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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:新ファイレクシア、地域予選に襲来!5色ファイレクシアン(スタンダード)

岩SHOW


 マジックのデッキをクールという観点から取り上げる、今週のCool Deck。今週は……チャンピオンズカップファイナルが明けた週に原稿を作成している。日本でクールなプレイヤー達がプロツアーというクールの頂点を決める戦いへの参加権利を巡って、涼しくも熱い戦いを繰り広げている一方……海の向こうでも同じく地域チャンピオンシップが開催され、プロツアーへ向けて競技プレイヤー達が持てる力のすべてをぶつけ合っていた。それらのトーナメントの上位入賞デッキの中にも、クールなものが潜んでいるはず……。

 リストを眺めていると、中国の同トーナメントにて、これは!と唸るデッキが見つかった。四千年の歴史、見せていただこうじゃないか。スタンダードで一際異彩を放つデッキをご紹介。

Haobo Ma - 「5色ファイレクシアン」
MTG China Open(地域チャンピオンシップ) トップ32(22位) / スタンダード (2024年5月24日)[MO] [ARENA]
4《種子中枢
4《魂の洞窟
4《閑静な中庭
1《英雄の公有地
1《アダーカー荒原
1《地底の大河
1《難破船の湿地
1《天上都市、大田原
1《ミレックス
1《平地
1《
1《
1《
-土地(22)-

4《戦闘バエの群れ
4《多汁質の頭蓋住まい
3《離反ダニ、スクレルヴ
4《ファイレクシアの宣教師
2《生体融合の解体者
1《硬化した屑鉄喰らい
1《残忍な巡礼者、コー追われのエラス
4《別館の歩哨
2《グリッサ・サンスレイヤー
1《ヨーグモスの法務官、ギックス
1《復活したアーテイ
1《エリシュ・ノーン
1《黙示録、シェオルドレッド
3《万物の座、オムナス
1《機械の母、エリシュ・ノーン
-クリーチャー(33)-
1《全軍突撃
1《呪文貫き
3《パクト破りの事件
-呪文(5)-
4《終焉よ来たれ
4《渦巻く霧の行進
4《敬慕される腐敗僧
1《完全化の杖
1《ティラナックス・レックス
1《死体傀儡、ヴェンセール
-サイドボード(15)-
MTGTop8 より引用)

 

 デッキリスト掲載ページの仕様で、アーキタイプは「4/5色レジェンド」と自動的に分類されていた。なので《伝説の秘宝》系デッキかなと開いてみれば……なんとたまげた、オール・ファイレクシアン!デッキ内の30を超えるクリーチャーカード、全てがファイレクシアンである。現在のスタンダードでここまで単一のクリーチャータイプに寄せている、所謂部族デッキは珍しい。しかもファイレクシアンだ。悪役・グロ・エイリアン的なキャラクターが好きな人にはたまらなくクールに映ることだろう。

 エリシュ・ノーンが率いる新ファイレクシアは……意外とサクッと敗戦。多元宇宙同時侵略は失敗に終わり、特にノーンはちょっとしたネタ要素も増える形にはなってしまったが……なんの、デッキではクールさを発揮し続けるラスボスとして君臨し続けている。ストーリー上では滅んでも、ファイレクシアの栄光はいつまでもデッキで表現することが可能ッ!《種子中枢》や《魂の洞窟》など、ファイレクシアン・デッキを組むための土地は十二分に用意されている。それらを余すことなく使った、これぞ5色オール・ファイレクシアン!

 生まれついての機械の身体、後天的にファイレクシアの油に染まったもの……クールな面々がひしめくデッキリストだが、その中で断トツにクールなオーラを放っているのが《万物の座、オムナス》!油を吸収しファイレクシア・マナの概念も取り込んだマナの化身だ。マナがフェイズをまたいでもなくならなくなるというルール破壊カードの一つである。黒マナに変換されてマナが残り続けるので、たとえば土地が5枚しかなくてもそこから捻出したマナを貯めておいて、次のターンに10マナ一気に支払うなんてことが可能になる。

 このマナの貯蓄がどういうカードと組み合わせればクールに運用できるか考えてみよう。《生体融合の解体者》を戦場へ戻したり、《ヨーグモスの法務官、ギックス》で対戦相手のカードを奪ったり……起動型能力との組み合わせはクールと表現して恥じないものじゃないかな。またオムナスは戦闘前メイン・フェイズの開始時にライブラリートップのカードを手札に加えられる。それが3色以上ならさらにマナが得られるというボーナスがあるが、これはこのリストではオムナスでしか満たすことは出来ないのであくまでオマケ。でも運に味方されれば、2枚目のオムナスをしっかり確保しつつ、マナも増えて盤石の体制が作れることだろう。

 このオムナスと共にクールの最高潮へと誘ってくれるカードが……構築では初めて使用されているのを目にする《パクト破りの事件》!基本土地を手札に持ってくることができるので、4色+オムナスなこのデッキに安定感をもたらしてくれる。特に2ターン目にこれから基本土地サーチ→3ターン目にギックスや《グリッサ・サンスレイヤー》、《別館の歩哨》などなど3マナのファイレクシアンを確実に唱えられるように動ける点を評価しての採用だろう。そしてオムナスとこれが揃ってしまうと……解明完了。以降の戦闘の開始時に、クリーチャー1体に飛行・二段攻撃・警戒をもたらす!これはヤバい。グリッサをこれで飛ばせた暁には、クールすぎてめまいがするんじゃないかな。やってみたい!

 中国の地域チャンピオンシップには総勢236名のプレイヤーが参加したそうだ。愛知で開催された日韓のそれには250名ほどが参加しているので、規模はほぼ同じ。トーナメントの形式は少し異なりはするが、22位でプロツアーまであと少しというラインに肉薄したのは……素直にすごいなと、拍手。プロツアー予選という舞台にここまでオリジナリティの強いデッキで参加しているのは、マジックプレイヤーとして尊敬と嫉妬が入り混じったような感情になるね。そんな思いにさせてくれるデッキ、これをクールと言わずしてなんと言うのか。我々もクールを目指して精進あるのみ。

 それじゃあ今週はここまで。Stay cool! All will be one!!

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