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現在のスタンダードと、次回禁止制限告知の11月10日への変更について

Carmen Klomparens
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2025年9月9日

 

 注目度の高い複数のスタンダード・イベントが終わり、スポットライト・シリーズの最新の結果が届きました。そして《迷える黒魔道士、ビビ》と《アガサの魂の大釜》をめぐる議論、スタンダードにおける「緊急」禁止措置の憶測が飛び交っている現状を踏まえると、今こそ現在の状況を確認するべきだと判断しました。

 最初に、私たちはこの時期における禁止制限告知のタイミングを間違えていたと考えています。告知をプレイシーズンと連動させる形式にしたのは今年が初めてでしたが、適切な告知時期をスケジュールできていませんでした。これがスタンダードを含んだいくつかのフォーマットにさらなる負担を与え、競技的プレイの楽しさを損なう要因になっていることを認識しています。

 そのため来年の禁止制限告知の回数と時期について、より積極的な検討を行っており、回数を増やすことを検討しています。告知の頻度はまだ調整中ですが、主要なセットの発売に合わせて(あるいはそれに近い頻度で)告知を行うことを目指しています。それによりプレイシーズン中の不意の混乱を防ぎ、プレイヤーの禁止制限告知への見通しを保ちたいと考えています。この2つは常に両立できるわけではありませんが、現状の禁止制限の発表機会は少なすぎる、という声は数多く受け取っています。

 また、告知した次回の禁止制限告知を11月24日から11月10日に若干前倒しすることを決定しました。これは、スタンダードでの地域チャンピオンシップ予選(RCQ)シーズンに向けてデッキや旅行の計画を立てていたプレイヤーの妨げにならないようにするという基本方針を保ちながら、告知を前倒しに変更することで、万が一何か変更があった場合、プレイヤーが世界選手権に向けて準備する時間をより多く確保できるようにするためです。

 一方で、RCQシーズンの最中は事前告知のない緊急禁止措置は行いません。ただし、必要があればシーズン中でも緊急で出すべきだ、という要望があることは把握しており、この要望についての議論も重ねてきました。最終的にはいくつかの理由から、(ほぼ)当初通りの方針を維持することとなりました。

 1つ目の理由:RCQに参加するプレイヤーのためです。彼らは移動の計画やデッキの構築と調整、イベントへの参加時間の捻出などに時間、労力、資金を投じています。突然フォーマットに変更が行われることは、そうしたプレイヤーに最も大きな痛手を与え、私たちの明確な目標の一つである「プレイヤーへ、イベントのデッキ選択を行うための安定した環境と情報を提供する」を損なうことになります。

 数年前、私たちはあえて事前に決められた禁止日を廃止し、いつでもカードを禁止できる柔軟性を持とうとしたことがあります。時には事前に告知を出し、時には出さずに変更を行ってきました。ですがこれは混乱を招き、今振り返れば誤った仕組みでした。週末はいつも禁止の憶測が飛び交い、フォーマットが変化していく際中でも禁止の要求が毎週発生し、告知のタイミングの適切な判断はほとんどできませんでした。この失敗を繰り返すことはありません。プレイヤーやトーナメント主催者へ、告知の時期が分かった状態でスケジュールが立てられる環境を提供したいと考えています。

 2つ目の理由:私たちは11月に行動を起こす可能性が高いです。《迷える黒魔道士、ビビ》はスタンダード環境を歪めており、おそらくは退いてもらう必要があるでしょう。一方で《アガサの魂の大釜》についてはまだ確信が持てていません。しかし、スタンダード・フォーマットは現時点では最終的な形に到達してはいないとも考えています。環境が安定すれば、長期的な成功に向けてスタンダードをどう整えるべきか、より明確に見極めることができるでしょう。

 これはどういう意味を持つのでしょうか?

 現状、私たちが見ている状況は次のとおりです。ビビ大釜デッキが突出したメタゲーム占有率と上位入賞を記録して注目を集めています。しかし最近、プレイヤーたちは赤単の新しいバージョンを生み出しました。このデッキはメタゲームのバランスを取り戻しつつあります。単に『MTGアリーナ』のランク戦での使用率が高まっているだけでなく、環境全体に対しての勝率が高く、ビビ大釜系デッキに対しては60%を超えるペースで勝ち星を重ねています。また新たなデッキ(例えば「Magic Online Challenge」で2位となった緑単ストンピィ)の登場も見られ、これらのデッキはまだ使用率は低いですが有望な勝率を示しています。ビビ大釜デッキが上位を占めているにもかかわらず、フォーマットにおける最強のデッキは赤単であり、今後さらに進化を遂げる可能性も十分にあります。

 《迷える黒魔道士、ビビ》は明らかに突出したカードですが、環境はまだ均衡点に達していません。

 3つ目の理由:短期的には、スタンダード環境は1つか2つの支配的なデッキによって悪影響を受ける場合があります。しかし長期的には、突然の禁止でデッキが使えなくなることはプレイヤーにとって確実に大きな悪影響となります。私たちはプレイヤーがデッキを組んだ際、それは可能な限り長い期間使い続けることができる、という確信を持てるようにしたいと考えています。そのためにスタンダードを3年制に移行し、可能な限り禁止を最小限に抑えようとしています。

 補足として、スタンダードにおける禁止に関する哲学は変わっていないという点を挙げておきます。私たちの禁止に関する考えは、基本的にはローテーションに合わせて年に一回変更を加えるべきであって、例外は「緊急」事態(社内で「フェリダー」案件と呼ばれているもの)に限ります。現状は緊急事態が発生する可能性は高いと考えていますが、ここで注意してほしいのは、私たちが緊急と呼ぶのは年間ローテーションのタイミング以外の禁止制限告知で禁止を出す場合であり、告知のスケジュール自体を逸脱することを意味してはいないことにご注意ください。

 最後の理由:私たちは競技レベルのスタンダード環境に偏りがあることを認識していますが、プレイされているスタンダードの大多数はそうではないということも認識しています。『MTGアリーナ』のランク戦はそこまで歪んでおらず、店舗でのプレイもまた同様です。競技シーンの外側でスタンダードを遊んでいる多くのプレイヤーは、内側とは異なる体験をしています。とはいえ「大多数のプレイでは問題がない」と「競技レベルでは不安定」という二つの間でバランスを取る必要があり、私たちはまだ適切なバランスには到達していません。しかし禁止の判断を下す際、我々はプレイ環境すべてを考慮しています。競技レベルのプレイは記事の見出しとなったり注目を集めたりしますが、日常的なプレイ体験もまた重要な位置にあります。

 これは、現在の状況とは逆のケースも起こり得ることを意味しています。つまり、競技レベルのプレイはバランスが取れているように見えても、日常的なプレイが楽しくなく、魅力を欠く状況であれば我々は行動を起こす可能性があります。今はそのような状況ではありませんが、フォーマットに関するより大きな議論では考慮すべき点です。

 最後に、今回の記事の主な焦点はスタンダードでしたが、11月10日の告知では通常どおり、私たちが扱うすべてのフォーマットが対象となることをお伝えしておきます。

 以上から、次回の禁止制限告知は11月10日となります。私たちはスタンダードの動向を注視し続けますが、現在の環境に鑑みて行動を取る準備はできています。それまでは、スタンダードRCQやローカルイベント、デジタルプラットフォームでのゲームプレイを楽しんでいただければ幸いです。

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