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お知らせ
「パウパー・フォーマット委員会」発足のお知らせ
2022年1月10日
私はパウパーが大好きだ。
今でも覚えているよ。私がMagic Onlineでこのフォーマットを始めたのは15年ほど前。当時は有志によってイベントが開かれているだけだった。パウパーならではの制限や他ではお目にかかれないユニークなカードの数々を前に、私はすぐにこのフォーマットの虜になったんだ。
それから長きにわたり、パウパーは愛されてきた! 《巣穴からの総出》は唱えられなくなってしまったけれど(これは良いことだ)、Magic Onlineで公式にイベントが開かれたりコミュニティからの多大なるサポートを受けたりして、今やこのフォーマットは大きく成長している。
本日は、私からパウパーについての大きな発表をしたい。きっとこのフォーマットの健全さやコミュニティの結びつきを高める変更になるはずだ。これは本日公開した「Good Morning Magic(英語)」でも取りあげさせていただいた(この記事よりも詳しく語っているので、できればそちらも観てくれ)。
でも大きな発表だから、記事の形でもお知らせしたかったんだ。読者の皆さん、お待たせしました! それでは始めよう。
他にない難題
新しいセットが登場するたびに、私はみんながコモンとじっくり向き合ってパウパーで使えそうなカードを探しているのをいつも楽しく見ている。
『統率者レジェンズ』や『モダンホライゾン2』のようなサプリメント・セット(スタンダードのセットとは別に定期的に追加される製品)によって、パウパーで使用できるカードの数は年々増えている。そういった通常とは異なるパワー・レベルのコモンが収録されるセットはエキサイティングだけれど、そういうセットのカードがパウパーの第一線で見受けられる機会も増えてきている。そしてそれはときに……大きな影響を与えることもある。私たちは、《失墜》や《騒鳴の嵐》が環境を定義するのを目の当たりにしてきた。どちらのカードも、最終的に禁止された。
この2枚が環境に影響を与えたのは明らかだが、禁止されるまでには時間がかかった。
それはなぜか? どうしてそんなに時間がかかったのか?
ここでその課題をはっきり述べておこう。カードを禁止にする判断を適切に行うには、多くの議論とフォーマットへの知識と分析が必要だ。パウパーは多くのプレイヤーに楽しまれているフォーマットだが、それでもスタンダードやモダンのような他のフォーマットに比べるとプレイヤー人口が少ないというのは事実で、注目度が違う。さらに、競技環境を扱うプレイ・デザイン・チームは主要な競技フォーマットについてこの上ない知見を持っているけれど、パウパーについてはウィザーズのほとんどの者にとって得意な分野ではないのだ。
禁止カードの選定に携わる立場の者は、多くのパウパー・プレイヤーを喜ばせるために新たな仕事にとりかかる余裕も、専門知識も持ちあわせていないことがわかった。プレイ・デザインにスタンダードやモダンのプレイテストやデザイン決定よりもパウパーを優先しろと求めるわけにはいかないから、仕方がないところではあるが、これがラグを生む原因となり、パウパーに問題を引き起こしているのも事実だ。
私たちはこうして、誰も幸せになれない厳しい状況に置かれていた。
他にない難題を解決するには、他にない解決策が求められる場合がある。アーロン・フォーサイス/Aaron Forsytheと私が先導して進めてきたあるアイデアが、ついに実を結んだ。
この日を迎えられて心が躍っているよ。発表しよう。私たちは、「パウパー・フォーマット委員会/Pauper Format Panel」、略してPFPを発足する。
「パウパー・フォーマット委員会」導入
パウパーは常に、素晴らしいコミュニティとともに歩んできた。PFPには専門家たるコミュニティの方々が属し、このフォーマットを進める原動力となる。
パウパー・フォーマット委員会は、世界中から集めたパウパー・コミュニティの著名人6名に私を加えた計7名で構成される。私たちはこのフォーマットに関する議論を行い、ウィザーズのプレイ・デザイン・チームに推奨される対応を提案する。これにより、カードの禁止のような対応はずっと早くなり、これまで足かせになっていた課題が解消されるだろう。
これを聞いた方の中には、他のフォーマットにおける2つの類似組織がすぐに思い浮かんだ人もいるだろう――統率者戦の禁止カードやこのフォーマットに関する決定を行う「統率者ルール委員会/Commander Rules Committee」と、ルール委員会との情報交換や問題についての議論を行う「統率者諮問委員会/Commander Advisory Group」の2つだ。
それらと比べられるのはいたって自然なことだが、パウパー・フォーマット委員会はそういったグループとは少々異なる。それらの間くらいに位置すると言えばいいだろうか。すべての決定権を持つ「統率者ルール委員会」の「決定力」を10とするなら、パウパー・フォーマット委員会の決定力は8くらいなのだ。
PFPが行うのは、カードの禁止についての推奨事項を一緒に考えることだ。その後、ウィザーズ社員である私がその推奨事項を社内チームへ持ち込み、さらに議論を重ねていく。
大抵の場合、PFPの決定は大部分が受け入れられ、行動に移されると私は見ている。ときにはプレイ・デザインから追加の質問を受けて深堀りする必要はあるかもしれないけれど、プレイ・デザインもPFPが持つ専門知識を信頼してくれるはずだ。
では、PFPには誰が所属することになるのか?
パウパーはオンラインでもテーブルトップでも世界中でプレイされている。私は、そのことを象徴するメンバーを見つけることを大切にした。パウパー・フォーマット委員会には、私に加えて以下の6名が所属することになる。
(編訳注:以下、紹介文中のリンク先は基本的に英語です。)
ミルコ・チャヴァッタ/Mirco Ciavatta(イタリア):Magic Onlineでパウパーをプレイしたことがある方なら、どこかで「Heisen01」という強力なプレイヤーと出会う機会があったはずだ。彼はオンラインで培った技術をテーブルトップでも活かし、イタリアのトーナメント・シリーズ「Paupergeddon」を2度も制している! またパウパーの配信者/YouTuberとして、自身のYouTubeチャンネルで数日おきにパウパーのコンテンツを配信している。Twitterアカウントは「@Heisen01」だ。
エマ・パートロウ/Emma Partlow(イギリス):マジックの戦略を書く「TCGplayer」ライターである彼女は、さまざまな構築フォーマットについて語られ、パウパーもたびたび取り挙げられるポッドキャスト「BMCast」にも出演している。パウパーを愛する彼女と《ぬめるボーグル》の間には誰も割り込めないだろう! Twitterアカウントは「@emmmzyne」だ。
齋藤 隆二(日本):日本のパウパー専門ウェブサイト「PauperMTG.com」を運営するメンバーの一員(訳注:PauperMTG.comは齋藤 隆二、加藤 優〔@kato1850〕、大西 秀登〔@opp_store〕の3名による共同運営)である齋藤は、このフォーマットの研究者であり、競技志向のデッキの探求も一風変わったカードの探索も楽しんでいる。彼が携わったコンテンツ(編訳注:一例として動画チャンネル)は、日本語がわからなくても一見の価値ありだ! ぜひTwitterアカウント「@saito_o3」をフォローしてくれ。
ペイジ・スミス/Paige Smith(アメリカ):Magic Onlineで第一線を張り、特に「エルフ」デッキの扱いには定評があるペイジは、パウパーに関する記事を数多く書き上げ、このフォーマットの発展に大きく貢献してきた。現在は「CoolStuffInc」に記事を寄稿している彼女のTwitterアカウントは、「@TheMaverickGal」だ。
アレックス・アルマン/Alex Ullman(アメリカ):アレックスは、私が覚えている限りの長きにわたってパウパー・コミュニティの中心人物であり続けている。自身のブログで披露されるパウパーの深い分析や無数の記事、Discordでの存在感など、パウパー・プレイヤーの中でも最も知られた1人だろう。Twitterアカウントは「@NerdtotheCore」だ。
アレクサンドル・ウェーバー/Alexandre Weber(ブラジル):優れたプレイヤーであることに加え(ぜひYouTubeチャンネルで彼のプレイを観てくれ!)、イベント主催者としてパウパーのイベントを開催するなど、アレクサンドルにはブラジルのコミュニティとの深いつながりがある。ぜひTwitterアカウント「@Webermtg」をフォローしてくれ。
私からの紹介は以上だが、先ほど挙げた私の動画内でメンバーそれぞれが自己紹介もしているぞ。ぜひ観てくれ!
この6人をPFPに迎えることができて、本当に嬉しい。もちろん、今後時間が経つにつれてメンバーの増減もあるだろう。
今後のプラン
こうしてPFPが発足され、現在のパウパー環境に変更を加える可能性についての議論も先週から始まっている。多くのプレイヤーが変化を求めていることは私たちも認識しており、この場で発表できることはまだないけれど、近いうちにお知らせするつもりだ。『神河:輝ける世界』のプレビューが行われている間に何かを発表することはないから、何か変更が決まったら、プレビューが始まる前か終わった後に発表するよ。
それまで、禁止にすべきカードやPFPへのご意見など、パウパーに関する提案をぜひ気軽に送ってくれ。先ほど紹介したメンバーのTwitterでもいいし、Twitterアカウント「@GavinVerhey」から私に送ってくれてもいい。TumblrでもInstagramでもTikTokでも、YouTubeでも、BeyondBasicsMagic@gmail.comまでメールを送ってくれてもいいぞ。みんなの意見は大歓迎だ。
これはまったくの新しい試みで、他のメンバーたちとともにパウパーを掘り進め、さらに盛り上げていくのが本当に楽しみだ。かつて私がそうであったように、みんなを虜にするフォーマットにできたらと思う。
また近いうちにお会いしよう。
ガヴィン
- メール: BeyondBasicsMagic@gmail.com
- Instagram: GavinVerhey
- TikTok: @GavinVerhey
- Tumblr: GavInsight
- Twitter: @GavinVerhey
- YouTube: Good Morning Magic
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