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2018年2月12日 禁止制限告知
2018年2月12日 禁止制限告知
Ian Duke
2018年2月12日
告知日:2018年2月12日
モダン:
《精神を刻む者、ジェイス》 解禁
《血編み髪のエルフ》 解禁
発効日:2018年2月19日
Magic Online 発効日:2018年2月14日
フォーマットごとの禁止・制限カードの一覧はこちら。
次回禁止制限告知日:2018年4月16日
時とともに、カードプールが広がるのに伴ってモダンのパワーレベルは自然と上昇しています。その理由としては、新セットで印刷される強力なカードや、増え続ける選択肢によるシナジーの増加があります。それを踏まえて、開発部はモダンの禁止リストを定期的に調査し、モダンに再び投入するのにふさわしいカードを探しています。
《精神を刻む者、ジェイス》と《血編み髪のエルフ》は、それぞれ、単純に強すぎるからという理由で禁止されていた強力なカードです。
モダンの他の部分がパワーレベル的に追いついてきたことを受けて、解禁に向けて再評価すべきカードとして開発部はこの2枚のカードのことを考えていました。我々はモダンのここ数年の進化を念入りに観察しており、そして今こそ変更を加えるのに最適なときだと判断したのです。それにはいくつかの理由があります。
- モダンがプロツアーに戻ってきて、脚光を浴びるようになり、その結果過去の判断を再検討して現在でもふさわしいかどうかを考えるべき時が来ました。
- プロツアーそのものと、プロツアーに向けてプロプレイヤーが試している過去数週間のMagic Onlineのデータをもとに、我々の判断と現実世界でどうなるかを比較検討できました。
- 他の禁止・制限の時期と比べて、今回は他のモダンのプロツアーまでの期間が最も長くなっています。そのため、世界最高峰の大会の圧力を即座に受けることなく、モダンがゆっくりと進化することができるはずです。
- ジェイスが『マスターズ25th』で再録されるので、プレイヤーが手に入れやすくなります。
それぞれの変更について、もう少し見ていきましょう。
《精神を刻む者、ジェイス》
史上最も象徴的で強力なプレインズウォーカーの《精神を刻む者、ジェイス》[EMA]は、モダンの誕生からずっと禁止リストに存在していました。当時、ジェイスはスタンダードで禁止されてからそれほど経っていませんでした。また、ジェイスは途方もなく強力なレガシー・フォーマットでもプレイされるほど強力でした。
時を経て、競技モダンは進化し、速くて先行型の脅威のあるフォーマットになりました。自分のメイン・フェイズに土地4枚をタップして1つの呪文を唱えるというハードルはとても高く、直接勝ちに繋がるようなカードに限られることもあります。例えば、プロツアー『イクサランの相克』のトップ8を見てみると、4マナでインスタントでないカードはほとんどありません。このフォーマットの進化を見ているうちに、我々は、ゲームを支配しようと考えるデッキがフォーマット内にある脅威の速さと多様性に対して苦しんでいることに気がつきました。それらのデッキは、爆発力を持つ勝利条件を採用しなければならないことすらあったのです。《精神を刻む者、ジェイス》が、この多様性のあるフォーマットにさらなる選択肢を加え、長引いたゲームを終わらせる新たな方法をコントロール・デッキにもたらすことができることを期待しています。
《血編み髪のエルフ》
《血編み髪のエルフ》は2013年1月、ジャンドがミッドレンジ・デッキ最強で、もしかするとフォーマット最強だった時期に禁止されました。《血編み髪のエルフ》を禁止した目標は、ジャンドの全体としての勝率低下に加え、ミッドレンジ・デッキに多様性をもたらすことでした。
当時から見て、モダンの黒緑系ミッドレンジ・デッキは、さまざまな他の色や脅威を使うように進化しました。現時点では、例えば赤を入れて《稲妻》[MM2]と《古えの遺恨》[MM3]か、白を入れて《未練ある魂》[MM3]と《石のような静寂》[MM3]かというような健全な選択が存在します。《精神を刻む者、ジェイス》[EMA]の解禁に伴い、それらのデッキの中には青に寄せるものも出てくるかもしれません。さらに加えて、「マルドゥ・パイロマンサー」などの別のミッドレンジ・デッキが登場しています。現在は、《血編み髪のエルフ》[C16]が昔のようにデッキの多様性に悪影響を及ぼすようなことはないと確信できるだけの充分な選択肢があります。
直接勝利に結びつかない4マナのカードなので、《血編み髪のエルフ》[C16]はゲームが長引き、リソースが変換できるようになった時に最強となります。一見すると攻撃的に見えるカードですが、《血編み髪のエルフ》[C16]はマナ・カーブを上に寄せ、やりとりのあるゲームをするようなデッキを生み出す動機になるのです。
永遠の相克
かつてのスタンダードの敵が同時にモダンに帰ってくるというのは詩的なものを感じますが、それらのカードが直接対立してバランスをとることを期待しているわけではありません。確かに《血編み髪のエルフ》[C16]は《精神を刻む者、ジェイス》[EMA]を殺すのに効果的ですが、これらの解禁が同時に行なわれる理由はもっと繊細なものです。
プロツアー『イクサランの相克』の上位デッキを見ると、土地を4枚タップして唱えるようなカードは限られたものでした。(無色エルドラージやトロン、その他いくつかの人気デッキは例外です)《精神を刻む者、ジェイス》[EMA]と《血編み髪のエルフ》[C16]は、それぞれ異なったデッキで4マナの最重量級カードとして同じような役割を果たす強力な選択肢になるのです。色の異なる同じマナ・コストに魅力的な選択肢を複数同時に増やすことは、その一方を使うデッキが増えすぎる危険性を減らすことになります。
添え書き
開発部は昨年のモダンのメタゲームの進化を嬉しく思っており、プロツアー『イクサランの相克』はモダンのファンにとって素晴らしい観戦経験となりました。不幸なことに、コミュニティにおいて、モダンのプロツアーでデッキが結果を残すと、そのデッキの何かが禁止されることになるという思い込みが絶えません。
ここではっきり強調しておきますが、イベント1つ、あるいは短期間の複数のイベントでも、何かのデッキが結果を残したことがすなわち環境に問題があるという危険信号だということはありえません。私たちが禁止制限リストへの変更について議論する場合、プレイパターンの健全さ、メタゲーム内の多様性、やりとりのあるゲームプレイ、プレイ的や戦略的対抗手段を持つデッキということのほうを、最新のイベントでどのデッキが優勝したかよりもずっと重視しています。究極的には、禁止制限リストを変更する上での基本的な目標は、マジックのフォーマットを可能な限り楽しいものにすることです。単純で自動的な規則数個にまとめるのは難しいもので、実際のところこの工程はまったく単純でも自動的でもありません。
プロツアーの結果が出る前後のMagic Onlineのデータやプロツアーそのものを分析し、メタゲームが自然に「ランタン・コントロール」の成功に対応していくだけの充分な手段があることがわかりました。実際、Magic Onlineにおいて、プロツアー以降「ランタン・コントロール」の勝率は下がってきています。私たちはこのメタゲームの盛衰が今後も健全に続くと期待しており、現時点では介入の必要を感じていません。
そして、このプロツアーを振り返って、最も強かった、あるいは優勝したデッキを弱体化させるために禁止するのではなく、主に最も人気があるとはいえないデッキのためにさらなる選択肢を増やすことにしました。実際、よくプレイされていたアーキタイプ4つ(人間、親和、バーン、トロン)に《精神を刻む者、ジェイス》[EMA]や《血編み髪のエルフ》[C16]が入ることはないでしょう。
プロツアーによって、私たちのフォーマットが競技的圧力にどう反応するかの素晴らしいデータと考察が得られます。私たちはこれからも禁止制限リストの変更をお伝えするためにそのデータを使っていくことになります。しかし、この告知が、プロツアーが必ず禁止を生むわけではないという明確なメッセージとなっていることを望みます。特に、あなたのお気に入りのデッキ(新しく気に入ったデッキも!)が結果を残したからと言って自動的に危険になるというわけではないのです。
また、この告知の発効日にもご注意ください。Magic Onlineでの発効は水曜日ですが、紙のマジックでは次の月曜日になります。これはこの週末のグランプリ・リヨン2018に向かっているプレイヤーがこの告知によって影響を受けないようにするためです。
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