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開発秘話

Play Design -プレイ・デザイン-

5-0モダン・デッキ・テク

Tom Ross
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2018年3月30日

 

 ようみんな! トム・ロスだ。私を知らない人のために言うと、私はここ最近マジック開発部のプレイ・デザイン・チームで働き始めた。以前は生活のために戦略記事を書いたりもしていたプロ・プレイヤーだった。

 私がここに採用されたのは、私がモダンに焦点を当てていたおかげでもある――StarCityGames.comのトーナメント・サーキットの構造の成果だ。私はモダンを追いかけこのフォーマットの新しいデッキを発見するのを楽しみとしている。

 いつもはこの「Play Design -プレイ・デザイン-」の記事は、我々の過程の内部での働きと我々が作るカードが、なぜどのようにそうなったかを伝えることに狙いを定めている。今日はより伝統的な記事を試み、私の琴線に触れた最近のモダン5-0のリストを検討してみたいと思う。

DJCOURT - 「装備品ストーム」
モダン[MO] [ARENA]
4 《神聖なる泉
4 《乾燥台地
4 《溢れかえる岸辺
-土地(12)-

4 《純鋼の聖騎士
4 《上級建設官、スラム
-クリーチャー(8)-
4 《オパールのモックス
4 《撤収
4 《手練
2 《ぶどう弾
4 《物読み
2 《解析調査
4 《骨の鋸
4 《聖戦士の盾
4 《カイトシールド
4 《蜘蛛糸の網
4 《極楽のマントル
-呪文(40)-
3 《トーモッドの墓所
3 《感電破
3 《沈黙
3 《解呪
3 《広がりゆく海
-サイドボード(15)-

 0マナのアーティファクトが多く入っているので「チーリオス」と呼ばれ親しまれているこのデッキは、誰もメタゲーム内で想定していないときに火を噴くガラスの大砲となることを狙っている。

 《純鋼の聖騎士》と0マナ装備品のコンボは、その不安定さによりモダンを壊さない楽しい基柱としてコソコソと動き回っていた。《上級建設官、スラム》はこのデッキにパーツを集めてくる十分な安定性をもたらした。DJCOURTは以前のリストにはなかった2枚のカードである《解析調査》と《物読み》を追加することによってさらに安定性を高めたが、恐らく常にプレイを続けていたはずだ。

 DJCOURTは最初の数ターンを有利にする絶対的に洗練されたマナを求めて、基本土地を0枚にすることを選び、このジャム・パッケージをさらに押し進めた。もし駄目なタイミングで《流刑への道》を食らったなら、恐らくどのみち負けてしまうだろう。《廃墟の地》や《血染めの月》でも同じだ――ゲームがそこまで行ってしまえば、すぐに終わってしまうだろう。序盤での勝率を最大化するほうがマシってことだ。

Julian_Brandmaier - 「戦域親和」
モダン[MO] [ARENA]
1 《冠雪の山
4 《ダークスティールの城塞
4 《ちらつき蛾の生息地
3 《激戦の戦域
-土地(12)-

4 《メムナイト
4 《羽ばたき飛行機械
4 《信号の邪魔者
2 《ボーマットの急使
4 《電結の荒廃者
4 《大霊堂のスカージ
4 《金属ガエル
4 《マイアの処罰者
-クリーチャー(30)-
4 《オパールのモックス
4 《溶接の壺
4 《バネ葉の太鼓
2 《虚空の杯
4 《頭蓋囲い
-呪文(18)-
2 《トーモッドの墓所
3 《墓掘りの檻
3 《はらわた撃ち
2 《古えの遺恨
2 《チス=ゴリアの鱗
2 《ギラプールの霊気格子
1 《冠雪の山
-サイドボード(15)-

 Julian_Brandmaierは《鋼の監視者》、《エーテリウムの達人》、《刻まれた勇者》のようなより高価なカードを《金属ガエル》や《マイアの処罰者》のような本物の親和カードのために断念した。『ミラディン』のアーティファクト・土地がない場合、親和カードを出すために我々は極めて軽量なアーティファクトを大量に入れることになる。《産業の塔》や《空僻地》なしでは色マナが乏しいためカード選択で妥協しなければならず、特にメインデッキの《感電破》や《物読み》をあきらめ、サイドボードを用途の狭いものにしなければならなかった。

 基本的に手札が空になり、起動型能力が完全に利点になるので《ボーマットの急使》はこのデッキで素晴らしい働きをする。《虚空の杯》は0マナのアーティファクトとしてと、1マナの呪文に激しく依存するデッキに対する強力な武器としての2つの役割を持っている。

 マナ・カーブが低いので土地の枚数は少なめになっている。《墨蛾の生息地》を失ったことは、このカードが「トロン」のようなライフの総量を守るデッキや、《臓物の予見者》《台所の嫌がらせ屋》《療治の侍臣》でライフを好きなだけ増やせるデッキや、《むかつき》のようなコンボ・デッキに対して素晴らしい角度の攻撃をしていたので、確かに注目するべきことだ。

 《激戦の戦域》はこのデッキでは大きな見返りがある。すぐに手札がなくなり、《激戦の戦域》を自由に使える《信号の邪魔者》の喚声誘発として起動する機会がある。この構成の親和は自分のゲームプランを最大化し、ゲームの主導権が奪われた場合のことは無視する別の例だ。《激戦の戦域》を失うことはゲームオーバーではなく、それらのゲームを重視することは速度とゲーム序盤での勝率を失うことに見合わない。

INGJOKER - 「ラムナプ・レッド」
モダン[MO] [ARENA]
13 《
4 《ラムナプの遺跡
1 《血に染まりし城砦、真火
2 《変わり谷
-土地(20)-

4 《ボーマットの急使
4 《ゴブリンの先達
2 《渋面の溶岩使い
4 《大歓楽の幻霊
2 《凶兆艦隊の向こう見ず
4 《ゴブリンの熟練扇動者
4 《暴れ回るフェロキドン
-クリーチャー(24)-
4 《噴出の稲妻
4 《稲妻
2 《火葬
2 《灼熱の血
4 《裂け目の稲妻
-呪文(16)-
4 《炎の斬りつけ
3 《漸増爆弾
2 《灼熱の血
2 《粉々
4 《溶鉄の雨
-サイドボード(15)-

 この赤単デッキは伝統的な「バーン」とは大きく異なっており、同じカテゴリーとして考えるのは難しい。私はこういうデッキ構築のやり方が大好きだ。「バーン」や「ゴブリン」デッキで自分から動くのではなく、スタンダードの「ラムナプ・レッド」からの移植品を見てみよう。

 このデッキは6~7枚の3点火力を集めようとするのではなく、ある種の古き良きクリーチャー・ビートダウンを行う。そのマナ・カーブは《ゴブリンの熟練扇動者》と《暴れ回るフェロキドン》へと向かって伸びている。《ゴブリンの熟練扇動者》はしばらくの間スタンダードで使われなかったが、最終的にそのフォーマットを定義するカードの1枚になった。レガシーでも見かけるほどだ!

 《暴れ回るフェロキドン》(《守護フェリダー》への対策として推された)はどうかと言うと、スタンダードでは今のところ強すぎるようだ。これがあることで《頭蓋割り》を入れずに済み、相手の横並べ戦略についてあまり心配する必要がなくなる。

 このデッキの火力呪文はブロックするクリーチャーを除去し攻撃を通すことに焦点を当てている。高めのマナ・カーブによって《噴出の稲妻》のキッカーや《ラムナプの遺跡》の生け贄が現実的に可能になっている。フェッチランドの不採用によってライフが減りにくく、そのことは少し遅めで《ラムナプの遺跡》や《大歓楽の幻霊》、そして有名な逆コンボである《暴れ回るフェロキドン》と《ゴブリンの熟練扇動者》によってダメージを受けるこのデッキにとってはいいことだ。

 このデッキリストを繰り返すために、私は《かき立てる炎》を何枚かと、あと多分《炎樹族の使者》も試してみた。《変わり谷》と《ボーマットの急使》は緑マナのちょっとした使いみちを与えてくれる。不特定マナ・シンボルも多くあり、《炎樹族の使者》を3ターン目にプレイするのも最悪というわけではない。

SCARL19 - 「エスパー・御霊の復讐」
モダン[MO] [ARENA]
1 《平地
1 《
2 《
1 《神聖なる泉
1 《神無き祭殿
2 《湿った墓
1 《溢れかえる岸辺
4 《湿地の干潟
4 《汚染された三角州
2 《闇滑りの岸
1 《忍び寄るタール坑
1 《死の溜まる地、死蔵
-土地(21)-

4 《ヴリンの神童、ジェイス
1 《瞬唱の魔道士
4 《幽霊議員オブゼダート
2 《黄金牙、タシグル
1 《原初の潮流、ネザール
-クリーチャー(12)-
4 《血清の幻視
4 《思考掃き
3 《致命的な一押し
3 《コジレックの審問
3 《思考囲い
4 《御霊の復讐
2 《集団的蛮行
3 《未練ある魂
1 《残忍な切断
-呪文(27)-
1 《ヴェンディリオン三人衆
2 《仕組まれた爆薬
2 《断片化
1 《流刑への道
2 《軽蔑的な一撃
2 《石のような静寂
1 《集団的蛮行
3 《虚空の力線
1 《滅び
-サイドボード(15)-

 私はこういうデッキが大好きだ。コンボ要素を単純に強いカードで援護している。似たようなレシピが《欠片の双子》と《詐欺師の総督》でもあった。

 我々は《御霊の復讐》デッキをチームモダン・スーパーリーグの3週目に試してみた。そのゲームプランは伝説のクリーチャーを《集団的蛮行》や《ヴリンの神童、ジェイス》で捨てるというものだ。《思考掃き》で自分を対象にして墓地になにか叩き込むこともできるし、ピンチの場合は《コジレックの審問》や《思考囲い》の対象を自分にすることもできる。

 仕込みが終わったら、その伝説のクリーチャーに《御霊の復讐》を唱えよう。それが《ヴリンの神童、ジェイス》の場合、それを起動して墓地に5枚以上カードがあるなら《束縛なきテレパス、ジェイス》に変身させることができる。追放されて戻ってくるので、これはゲーム上の新しいオブジェクトとなり、《御霊の復讐》の「ターン終了時に」の誘発を回避することができる! インスタント速度で出てくる2マナのプレインズウォーカーはずるい。

 《幽霊議員オブゼダート》の場合、マジックのルールを(いい意味で)こちらの有利なように回避することができる。《御霊の復讐》が追放して、そしてまた《幽霊議員オブゼダート》も「ターン終了時」に追放する誘発型能力を持っているので、それを行って《御霊の復讐》の要求も満たすことができる。かなりの取り引きだ。

 新しいスパイスが《原初の潮流、ネザール》だ。このバカでかいエルダー・恐竜がスタンダード以外で見かけられたのはこれが初めてであり、モダンでは全くもってバカげたことだ! 君はネザールをブリンクさせるためにカードを3枚(《未練ある魂》かな?)捨ててもいい。

 

 モダンはとてつもなく深く、そのコミュニティが常に探求を行っていることは素晴らしい。モダンは君のやりたいことができて、条件を満たせば成功を収められるフォーマットだ。私はみんなの思いついたことを見るのが大好きだ!

(Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru)

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