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Play Design -プレイ・デザイン-
Mファイル『イクサランの相克』編・赤から土地
2018年2月9日
Mファイルへの回帰の時間がまたまたやってきました! 1年後にデザイン・ファイルを振り返って、そのセットを作っている展望、セット、プレイ・デザイナーの開発中のカードについてのコメントを見ることはいつでも楽しく洞察に満ちたものなので、わたしたちは「Latest Developments -デベロップ最先端-」からの人気ある伝統のコーナーを続けることにしました。
以前はマルチバースと呼ばれていたドレイクは、マジックのカードを、すでに印刷されたものも、デザインの初期のものも、その間のものもすべて記録するために使う、社内のデータベースです。わたしたちは時折セット・デザイン中のカードに触れて、そのセット・リードのためにコメントを残します。皆さんが見るコメントだけがわたしたちがそのカードについて議論しているすべてではありません。これらはわたしたちがそのセット・リードとコミュニケーションを取って意見を伝える多くの手段の1つにすぎないのです。
各登場人物の顔をご覧になりたいなら、こちらをクリックするとコメンテーターの一覧が表示されます。
《血染めの太陽》
ID: スタンダード向けにこれを2マナにできるんじゃないかと思っていたんだが、他のフォーマットでフェッチランドを止めてしまうことが心配だ。
ID: これが3マナではスタンダードで何もしないんじゃないかと疑っている。もし我々がこれを砂漠や両面土地への対策として必要としているのなら、多分コストを軽くするか、キャントリップか、何か追加でおまけを付ける必要がある。
BH: キャントリップをつけた。
ROSEJ: これが起動型能力だけを止めるようになっていないのには驚いた。本当に《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》とか《ウギンの目》を止めたいの?
DEL: 実際には《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》は止まりません。タイプ変更効果は第4種で、第6種の能力除去効果よりも先に適用されますから。
ID: それで、これはウルザランドがタップしたら3マナ出るのはそのままなの?
BH: これが《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》を止めないのを分かっているし、モダンをプレイする人々がそれを学ぶ必要があるのはいいことだと思う。このカードをごちゃごちゃしたものにするのは好まない。
このカードはスタンダードの両面土地への対策としてデザインされました。わたしたちは一般的にスタンダードで使われるレベルの土地破壊呪文を印刷しておらず、そしてプレイヤーに両面土地に対抗する選択肢を、特にそれらがトップメタのデッキに入った場合に与えたいと考えました(特にわたしたちは《アズカンタの探索》だと予想していました)。
プレイ・デザイン・チームが達成しようとしたことの1つは、セットのテーマに対する対策を同じブロックに持たせることです。『イニストラードを覆う影』や『カラデシュ』のような過去のセットでは対策は1ブロック後まで出てきませんでした。これではそのセットのテーマが強力で、信頼できる対策が存在しない場合問題があると判明しました。これらの強力なテーマと対策の不在がスタンダードでの禁止へとつながりました。《約束された終末、エムラクール》は、墓地対策が同じブロックにあれば、大きく異なる使われ方をしたかもしれません。
わたしたちはセットのテーマへの対策をそのブロックにもっと増やすように取り組んでいて、《血染めの太陽》は始まりにすぎないのです。
《狂信的扇動者》
BH: サクるだけからタップとサクるになった。
MDT: 変更の理由は何ですか? 攻撃して、強襲を達成して、それからこいつをサクれなくなったのは悲しいです。
BH: 速攻をつけて、海賊に変更。
GSV: 盤面にコスト無しでいつでも飛ばせる1点ダメージがいるのは鬱陶しそうだ。これが最強のカードじゃないのは分かるけど、これが場に残ることになったらどう感じるかわからないな。
私は20年前のカードへの先祖返りを本当に楽しんで見ています。《モグの狂信者》はスタンダードとエクステンデッドにいたころ本当に強力なカードで、そして《狂信的扇動者》は新しいひねりを加えながらこのような先祖返りをするいい機会でした。《狂信的扇動者》は赤単と海賊の部族にとって強力な1マナ域です。
《鉄面提督の報奨》
TJA: この数字だと妥当で魅力的に見えるね(これからMファイルで3年間馬鹿みたいに言い続ける準備はできてる)。
BH: フューチャー・フューチャー・リーグはこれと2つの「何々をN個コントロールしているとこのゲームに勝つ」を注視している。
わたしたちがプレイ・デザインの一員として行っている仕事の1つは、コンボ・デッキを可能にするあらゆるカードを特定し、その特定したすべてのカードのストレステストをすることです。わたしたちが探しているものは、爆発的なマナを供給するもの、大量のパーマネントを盤面にあふれさせるもの、特定のリソースを参照して規模が拡大するものなどです。
《鉄面提督の報奨》はそのすべてに当てはまるので、セット・デザインの最初からわたしたちのレーダーに捕捉されていたカードでした。お察しの通り、このカードは開発を通して多くの変更が行われました。これは宝物やアーティファクトをコントロールすることを要求するものとなら何でも機能し(《機械化製法》、《富の享楽》、《マリオネットの達人》はこのカードといいコンボになります)、これを唱えるとすぐに都市の承認を得る条件を満たせます。
ティムは上のコメントを残したとき全く違うカードについて言及していました。もともとこのカードは《ボガーダンの鎚》のバリエーションでしたが、とてもよく似たカードが『イクサラン』にありました。わたしたちはセットを並行してデザインするので、プレイテストの際にカード間の類似点を見つけることがよくあります。『イクサラン』のカード《反復連射》は開発がはるかに進んでいて、すでにアートも割り振られていたのでそのまま残されました。この上記のカードは宝物関連のカードとしてデザインし直されました。
《凶兆艦隊の向こう見ず》
PI: これが文字通り逆瞬唱(瞬速、ターン終了時まで、など)になるのを見るのはちょっと好きだ。
BH: 「任意のマナを望むタイプであるかのように支払ってもよい」はレア投票で本当にみんなを惹きつけたので、これと『イクサラン』のあれにつけてもいいかもしれない。
JDR: 卓にクールなカードを持って来るために対戦相手を馬鹿にされたような気分にするのは、この海賊的な盗みすべてで陥りやすい罠だ。これが一線を越えているかは分からないが、これらすべてに注意するべきだろう。
BRYAN: プレイ・デザイン・チームからの注意――これで唱えられた呪文は、繰り返されたりこれで使える最初の呪文が厳しく咎められたりしないように追放されるべきである。
イクサラン次元では海賊は略奪をすることで知られていて、ゲームプレイの面でわたしたちはそれを海賊が対戦相手のものを盗むことで表現しました。《人質取り》、《死者の宝箱》、《凶兆艦隊の向こう見ず》はすべて、それが戦場のクリーチャーかアーティファクト、もしくはまだ唱えられていない呪文であっても、対戦相手の何かを盗むカードです。
しかしながら、盗んだものを唱えられないというのは楽しくないことでした。宝物はそれらの呪文を唱える助けとなる手段の1つですが、信頼性は不十分で、盗んだものがそこに居座ったままで唱えられないことがよくありました。それを解決するためにわたしたちはこのどのマナでも唱えられる能力(開発部では「マナ洗浄」と呼ばれています)を追加しました。
《雷群れの渡り》
JDR: こういうのがこのサイクルにあるとは思わなかった。うれしいサプライズだ!
AP: 好き。
ID: すごくいいね。
VEEN: これの名前を「生命は道を見つける」にさせてください。
《銀エラの達人》を『イクサランの相克』に再録することを知ると、わたしたちは適切なクリーチャー・タイプのカードを手札から公開するとコストが軽減されるカードのサイクルを完成させることにしました。このサイクルをデザインするに際し、わたしたちはサイクルの一部がクリーチャーでない呪文だと面白くなるということに気が付きました。
すべての部族のメカニズム的な動きが確定すると、わたしたちはこの恐竜の呪文がランプ呪文であるべきだと気が付きました。《雷群れの渡り》はこのサイクルで唯一クリーチャーでない呪文ですが、恐竜ランプ・デッキの2マナランプ呪文としてうまく追加されました。
《翡翠光のレインジャー》
MJG: このカードは好きだ、プレイしていてとても楽しい。
MAGO: クール。戻ってきてうれしい。
ID: コスト的ににとても簡潔でワクワクする。
『イクサラン』ブロックのすべてのカードが部族を意識しているわけではありません。《翡翠光のレインジャー》は部族と関係のあるクリーチャー・タイプですが、コスト的に単純に強いカードです。これは円滑なドローを助けることができる良いミッドレンジのカードであり、《巻きつき蛇》との素晴らしいシナジーを持っています。これはマーフォークなのでマーフォーク部族デッキでもプレイできますが、部族を使わないプレイヤーにとっても良い選択肢になるという点でも優れています。
《原初の飢え、ガルタ》
JDR: 「2体目を唱えるとき、GGである。」
BRYAN: オォォォォォォ。
ID: これは純粋なティミー/カジュアルなカードで問題ないのかもしれないが、構築フォーマット向けにしたいのであれば「オールイン」がラスされることに対する何らかの要素を持たせたほうが良くなるだろう。
MJJ: すでにこれは機体と組み合わせることでかなり競技的だと思う。相手がクリーチャーを破壊しなければこれを4ターン目に出すのは簡単だ。
DOUGB: 《巨大化》はこれの最高の《暗黒の儀式》といった感じだ。
プレイ・デザイン・チームは、最強のデッキを見つけて壊れている物事を修正するだけでなく、もっと多くのことをしています。わたしたちは楽しいカードを探し、それらをスタンダードで成功するところまで持ち上げます。
わたしたちが楽しさを発見したデッキの1つは、《オテペクの猟匠》と《レギサウルスの頭目》をプレイする恐竜ミッドレンジ・デッキでした。しかしながらそのデッキには足りないものがあることは分かっていて、わたしたちはプレイテストの際にそのデッキを強くする方法を探していました。わたしたちはそれが強大で、対処しにくいフィニッシャーであることに気づきました。ガルタはマナ・カーブに沿った恐竜を大量にプレイすること究極の報酬で、これに速攻を与える方法があればなおさらです。
ガルタが懸念されていたことの1つは、これがどれぐらい「勝ちすぎ」なのかということでした。わたしたちはプレイヤーがガルタを安く出すために盤面を展開しすぎて全体除去1枚にやられる罠に陥ってほしくありませんでした。わたしたちはある時点でこれにトランプルを追加し、そしてこのカードは過剰に展開することを強要しますが、このカードの最大値はとても強力です――特にこのデッキに2つの異なる速攻を与えるカードがあればなおさらです。早ければこれを4ターン目に出す方法があります。あなたはわかりますか?
《万猛竜》
BH: 新デザイン。構築フォーマットに影響を与えることを意図したものではないが、ジョニーやティミーの大きな夢とともに競技性の少ないフォーマットでエキサイティングなものになる。
MDT: 恐竜の先触れと一緒にこれを作ることはできません、無限恐竜です!
GSV: 《上天の閃光》でゲームが引き分けになる。 #TheMoreYouKnow しかし真面目な話、スタンダードにこれがある間はクリーチャーが出ると4点以下のダメージを与えるものを認識するべきだね。問題にならないかもしれないけど、意識しておくだけでいい。
AP: 《霊気池の驚異》との相互作用があるという理由だけで構築級のカードだ。
わたしたちがどれぐらい先のことに取り組んでいるかというと、わたしたちがこのカードをプレイしていたとき、《霊気池の驚異》はまだスタンダードで使用可能でした。コメントから推測できるように、《万猛竜》と《帝国の先駆け》(当時は恐竜の先触れと呼ばれていました)のコストはどちらも異なり、その相互作用はプレイ・デザイン・チームに懸念されていました。そのコストがより妥当なものになった後、わたしたちはこのカードを《霊気池の驚異》とプレイし始め、そのことが先駆けとのコンボをより安定したものにしました。
加えて、新しいデザインの枠組みではプレイ・デザイン・チームは《霊気池の驚異》や《守護フェリダー》のような問題のあるカードの印刷を避けるように取り組んでいます。これはわたしたちが問題があると認識して、機能するけどもスタンダードで問題は起きないようにしたカードの一例です。
《執拗な猛竜》
TJA: これの適正なパワー/タフネスとコストの組み合わせが分からないが(今あるのがそうかもしれない)、赤白のカードとして見事な能力の並び方をしてる。
MKH: 超面白そう。
全ての恐竜が大きくて重いわけではありません。このカードは軽いアグレッシブなデッキ向けですが、3/3のサイズはこれに恐竜らしさを持たせています。これは《胆力の道》と特にうまく機能します。
《オラーズカの暴君、クメーナ》
BH: マーフォークにとって《稲妻の一撃》から生き残るのは大事なので3/3から2/4に。
BH: まだ『イクサラン』の伝説のマーフォークと似すぎている。
SPS: 私の青黒赤のレジェンドは今、部族の《変異種》ですが、大きく方法が異なっています。どちらも構わないと思いますぞ。
複数のセットが異なるメンバーによって並行してデザインされているとき、特にそれらのセットが同じブロックだと、似ているカードが出てきます。それを避ける方法の1つは、現在作業していないファイルを頻繁に調べて、セットのリードにその類似点を知らせることです。
クメーナは開発部が多数の起動型能力を持つクリーチャーを指す言葉である「《変異種》」で、当時《変異種》っぽい動きをする他のセットの他のカードがありました。この時点で、わたしたちはそれぞれのセットが必要としているものを把握するために協力をしました。マーフォーク部族デッキには強力なユーティリティ・クリーチャーが必要で、クメーナはその役割を埋めることができるカードでした。
同時に、《鉄面提督ベケット》(サムが上で言及していたカード)は海賊デッキで機能しておらず、海賊デッキでより強くなるカードになるよう古典的なロードに略奪する能力をつけたものに変更されました。
《胆力の道》/《制覇の塔、メッツァーリ》
BH: 新デザイン。この面がワクワクしないので、もっと反復工程を期待する。
MJG: どっちの面もかなり変だと思う。
AF: 実際私はこの「無作為」の能力のファンだ。トークン3体をブロックして4/4をスルーし、戦闘ダメージステップにこれを起動できることを知っておこう。
わたしの感想では、これはこのセットで一番変なカードでした。
フレーバーの観点からは筋が通っています。このカードのプレイテスト名は「罠の廊下」で、この廊下を通過するためには急ぎ、そして警戒する必要がありました。塔の最上階に到着すれば、この起動型能力で射撃することができます。
この物語を伝えているにも関わらず、このカードは私にとってとても変なものでした。わたしはこのカードを入れてたくさんのデッキを作り、実際にこれが用途の広いものであることも理解しました。わたしはデッキに入れるクリーチャーを注意して選ぶ必要があり、そしてこのオモテ面の誘発型能力はときどき何もしませんが、これが裏返った後(驚くほど簡単です)はアグロ・デッキに対して強力なモードとコントロール・デッキに対して強力なモードを持っています。
現実世界ではこのカードを入れたデッキ構築が成功していて、それは最もプレイテストと反復工程を行った人にとって常に良い感じです。
《軍団の副官》
AEJ: この簡潔な部族への+1/+1の報酬が好きだ。
AF: 『闇の隆盛』の隊長との強さの類似性はドラフトにとって悪いものだと思われる。これで構わないのだろうか?
SPS: こういうシンプルなデザインは好きですぞ。
KEN: こいつはフライデー・ナイト・マジックでの吸血鬼部族の新しい色である白の見出しとしてこの部族に恩恵を与えてるんだけど、『イクサラン』ブロックを通して2枚ある白黒の伝説の吸血鬼は統率者向けにそういうことをしないんだよね。《血の調停者、ヴィシュ・カル》は吸血鬼部族に恩恵がないし。
《軍団の副官》と《マーフォークの霧縛り》は作られてから印刷まで変更がなかったカードです。これは特にスタンダード向けのカードではものすごく珍しいことです。また、5枚の部族ロードがリミテッド・フォーマットを歪めた『闇の隆盛』以降、これらのロードのドラフトでの強さに関する懸念がありました。
しかしながら、このゲームプレイとこれらのカードの魅力は素晴らしいものです。これらは期待通りの仕事を完璧にこなし、ドラフトと構築フォーマットの両方で上手く機能しました。アンコモンでは、資産のないプレイヤーにとってこれらは素晴らしい選択肢であり、それはこれらのカードにとって重要な目標でした。
《原初の災厄、ザカマ》
MDT: こういう能力が並んでいるのは好きなのですが、比べてみると白はひどい効率です。
BRYAN: 壊れてるかもしれないが、クールだ。
JDR: これを唱えるマナの量で起動型能力のコストが割り切れたらもっと満足するだろう(例えばコストを8にするか、10マナで5マナの起動型能力)。現状だと、マナを無駄にしているように感じる。
AP: 4.5マナ払ってるんじゃないかと疑ってるよ、ジュール。
BH: 能力は4マナではなく3マナで3つのことをするようになった。
KEN: 私の《巨大鯨》アイデアが取り入れられて嬉しい。「{2}{G}:占術3」か「{2}{G}:3/3を生成する」にするべきじゃないかな?
ジュールのコメントで暗示されているとおり、4マナの起動型能力を持つ9マナの恐竜は上手くプレイされません。これはすぐに3マナの起動型能力を持つように変更され、それははるかに満足のいくものでした。
《巨大鯨》デザインがスタンダードで印刷されるのは久しぶりで、わたしたちはあらゆる形の複数のマナを生み出す土地に注意しなければなりませんでした。このようなカードは過去やつい最近にも問題を起こしていましたが(《流浪のドレイク》が去年Pauperで禁止されました)、複数のマナを出す土地からこれを早く唱えるには条件を満たさないといけません。
Mファイル『イクサランの相克』編は以上です! わたしは皆さんがこのセットを楽しんでプレイしてくれているをこと願っています。いつも通り、どんな感想もTwitterやRedditでお待ちしています。読んでくれてありがとう!
ではまた次回。
メリッサ・デトラ (@MelissaDeTora)
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