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Play Design -プレイ・デザイン-
『イクサランの相克』フューチャー・フューチャー・リーグへの最初の調査
『イクサランの相克』フューチャー・フューチャー・リーグへの最初の調査
Andrew Brown / Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru
2018年1月26日
こんにちは、そして「Play Design -プレイ・デザイン-」へようこそ。今週はメリッサ・デトラ/Melissa DeToraはお休みで、私、アンドリュー・ブラウンがこの記事の執筆者となる。私のことをプロツアー『ゲートウォッチの誓い』やプロツアー『異界月』の偉大なトップ8として覚えている人もいるかもしれない。
今日は、いくつかの素敵なデッキとセットが最初にフューチャー・。フューチャー・リーグ(FFL)集中期間に入ったときの私の作業過程の一部を紹介しようと思う。この集中期間というのはセットが未来のスタンダード環境に入った最初の3か月間のことで、競技的なバランス変更の大部分が行われるところだ。集中期間の初期は私の仕事の中でも好きな期間だ。その創造性は高く、私はマイケル・メジャース/Michael Majorsのやりこみの成果を何度も倒すようになる(これは嘘だ。私はいつも負けている)。
セットが集中期間に入ると、皆メインのセット・デザイン時に何度もドラフトをしているので、ほとんどのFFLメンバーはカードをよく理解している。また我々は割合の上でカードが強すぎたり弱すぎたりすると認識する事前のコスト評価を行う。それらのカードを認識した後、それらをその割合に合わせるか、そのセットのリードに再デザインするように要求する。これはタフネスを1増減させるところから、まったく新しいカードを要求することもある。
集中期間は2つの部分に分けることができる。前半は我々がカードをストレステストするときで、そのほとんどを素早く学習し、デッキの軸になる全てのアンコモンからあらゆる変なレアに至るまで、明らかに強すぎるカードを見つけることに焦点を当てている。この部分は一言でまとめることができる――探求だ。
集中期間の後半は我々がより工夫を凝らし始め、その環境を操作し始める時だ。我々は探求し続けるが、最強のデッキを改善し、そのフォーマットに健全さを加えるカードをデザインすることにより多くの努力を傾ける。この後半を一言で表すならば反復工程だ。
新しいメカニズムを探求する
探検は素敵なメカニズムだが、ライブラリー操作や追加の土地をプレイヤーにもたらすメカニズムはどんなものでも素晴らしい。《翡翠光のレインジャー》や《マーフォークの枝渡り》のようなカードを見たときに私が最初に思ったのは、カード・アドバンテージを得るためにこの効果をどう使うことができるかということだ。
最初に向かったのは古典的なミッドレンジの枠組みで、デッキを強いカードで満たして墓地のカードとシナジーを形成させるために探検カードを加えたものだ。これは私が構築してともに戦った最初のリストの1つだ。
5 《森》 5 《平地》 4 《まばらな木立ち》 4 《陽花弁の木立ち》 4 《ハシェプのオアシス》 3 《シェフェトの砂丘》 -土地(25)- 4 《マーフォークの枝渡り》 4 《導路の召使い》 2 《僧帽地帯のドルイド》 4 《翡翠光のレインジャー》 2 《博覧会場の警備員》 2 《ピーマの改革派、リシュカー》 1 《不屈の神ロナス》 3 《賞罰の天使》 -クリーチャー(22)- |
2 《不可解な終焉》 2 《排斥》 3 《黄昏 // 払暁》 2 《枕戈 // 待旦》 2 《光輝の勇者、ファートリ》 2 《不撓のアジャニ》 -呪文(13)- |
探検はこのリストだと時間外労働をしてくれて、その使い途は多岐にわたる。余波や不朽カードを探検することはカードアドバンテージを得る角度の1つだ。+1/+1カウンターで探検クリーチャーを強化し、後で呪文を唱えることやクリーチャーを不朽することというアドバンテージが得られる。
私のこのデッキの気に入っている部分は《黄昏 // 払暁》と、そしてこれと探検クリーチャーの相互作用だ。クリーチャーをあとで戻してくるために墓地に詰め込んで、《黄昏》の方を唱えたくないなら墓地に送ることもできる。
また土地が多いと探検の価値を高めてくれるので、私は土地の枚数を多くしている。これらの要素とシナジーを全て含んだデッキを構築することにより、このメカニズムの異なる多くの側面をテストすることができ、どの使い方が強力でどれが素敵なだけであるかを学ぼうとすることができた。
新しいメカニズムの感触をつかんだ後の次のステップは、それを限界まで推すことだ。その後、私はこのメカニズムの極限を知るために《発見の道》を使ったオールイン・バージョンの探検デッキを作った。これは本質的に、強力なカードから、弱いがよりシナジーのあるカードへの転換だ。
3 《森》 4 《平地》 4 《まばらな木立ち》 4 《陽花弁の木立ち》 4 《ハシェプのオアシス》 4 《シェフェトの砂丘》 -土地(23)- 4 《聖なる猫》 4 《マーフォークの枝渡り》 4 《立て直しのケンラ》 3 《典雅な襲撃者》 4 《翡翠光のレインジャー》 2 《空中対応員》 2 《ピーマの改革派、リシュカー》 2 《むら気な長剣歯》 -クリーチャー(25)- |
4 《軍団の上陸》 4 《発見の道》 2 《スラムの巧技》 2 《黄昏 // 払暁》 -呪文(12)- |
これは最初の探検デッキよりもまとまりのある戦略になっている。《空中対応員》以外のこのデッキに入っているすべてのカードは探検でカードアドバンテージを引き出す戦略に向かっている。
このデッキで私が気に入っているカードは《むら気な長剣歯》だ。ひとたび《発見の道》が回り出せば、《むら気な長剣歯》は不朽と永遠ができるぐらいまでマナを伸ばしてくれる。もう1つのすごい小ネタが《ピーマの改革派、リシュカー》と探検だ。+1/+1カウンターで、こちらの盤面をミイラになった子猫であふれ続けさせるためのもう1マナを得ることができる。
新しいメカニズムをテストした後の最後のステップは、それらをすでに知られている成功した戦略への移植することだ。私が次のデッキで取り上げた角度は確実性を高めることだった。プロツアー『霊気紛争』後、我々は多くのプレイヤーが《キランの真意号》とそれに搭乗するパワー3のクリーチャー、特に《屑鉄場のたかり屋》の入った機体デッキをプレイしていたことに気づいた。
このデッキの狙いは、探検するマーフォークが、腹を減らした《屑鉄場のたかり屋》と、彼の行方不明だったいとこ《戦慄の放浪者》に餌をやるのを助けることだ。探検のような価値あるメカニズムでよくある危険の1つは、我々が環境に与える価値の量を容易に見落としてしまうことなので、我々はこれのようなすでに強いことが分かっているデッキにそのメカニズムをつなぎ合わせるデッキは注意してテストしている。
2 《沼》 1 《山》 1 《森》 2 《泥濘の峡谷》 4 《竜髑髏の山頂》 4 《花盛りの湿地》 4 《森林の墓地》 2 《隠れた茂み》 4 《霊気拠点》 -土地(24)- 4 《戦慄の放浪者》 4 《マーフォークの枝渡り》 4 《屑鉄場のたかり屋》 4 《通電の喧嘩屋》 4 《翡翠光のレインジャー》 2 《ピア・ナラー》 -クリーチャー(22)- |
2 《稲妻の一撃》 4 《無許可の分解》 4 《キランの真意号》 2 《霊気圏の収集艇》 2 《試練を超えた者、サムト》 -呪文(14)- |
ほとんどの「マルドゥ機体」デッキにある定番カードが多く入っているが、このデッキは素早く墓地を満たして《戦慄の放浪者》と《屑鉄場のたかり屋》を連打することで対コントロールの遅いゲームに有利になっている。また私の好きなビートダウン・コンボである《キランの真意号》と《試練を超えた者、サムト》も入っている。サムトで《キランの真意号》に搭乗し、それから[+1]能力を《キランの真意号》を対象にして攻撃して8点だ。バキッ!
新しいセットがFFLに来たときに、いつも私が頭の中で自分に問いかけるのを好む質問は「このフォーマットに何枚《濃霧》と《吠えたける鉱山》は何枚あるのか?」だ。「ターボ・フォグ」は強くするのが驚くほど容易な戦術であり、我々が注意をせずそれがそのフォーマットの最強のデッキの1つになった場合、毎ラウンドかなりの時間がかかることでトーナメントの楽しさが減ってしまうというリスクを背負うことになる。
その一方で、私は「ターボ・フォグ」を探求するのがいつでも大好きなので、『イクサランの相克』で最初に挑んだのは《クメーナの覚醒》をテストすることだった。以下のリストは私がメリッサに対戦を強要したバージョンの「ターボ・フォグ」だ。
7 《島》 4 《森》 4 《植物の聖域》 2 《森林地の小川》 4 《まばらな木立ち》 4 《霊気拠点》 -土地(25)- 4 《僧帽地帯のドルイド》 2 《導路の召使い》 1 《周到の神ケフネト》 1 《奔流の機械巨人》 -クリーチャー(8)- |
4 《祝祭の開幕》 4 《花粉のもや》 4 《アズカンタの探索》 2 《否認》 1 《想起横溢》 1 《電招の塔》 4 《ルクサの恵み》 4 《クメーナの覚醒》 1 《川の叱責》 1 《副陽の接近》 1 《暗記 // 記憶》 -呪文(27)- |
変な勝ち方をする伝統的ではないデッキをテストするとき、私はいつも複数の勝ち手段を混ぜようとする。これによりどの手段が効果的か、どの手段が楽しいかを評価することができる。
このデッキには《周到の神ケフネト》、《電招の塔》、《副陽の接近》と3つの信頼できる勝ち手段がある。このデッキの真のヒーローは《僧帽地帯のドルイド》だ。追加でカードを引くほとんどのエンチャントが4マナなので、2マナから4マナへ1ターン早くたどり着くことはまさしくこのデッキが求めていることだ。また《僧帽地帯のドルイド》は通常「ターボ・フォグ」を餌にしているデッキの1つであるアグロに対してのブロッカーとしても役立つ。「ターボ・フォグ」を構築する上で私が好きな部分は、特定の状況に対する1枚刺しをどれにするか考えることだ。
今回紹介できるFFLのデッキは以上だが、『ドミナリア』が出たらFFL集中期間での私のお気に入りのデッキを紹介するためにまた戻ってくる。その間、私はほとんどのプロツアーと西海岸のグランプリに行くので、よろしく!
――アンドリュー・ブラウン (@Murk_lurker)
おまけですごいデッキをどうぞ!
8 《山》 7 《沼》 4 《泥濘の峡谷》 4 《竜髑髏の山頂》 2 《燃え殻の痩せ地》 -土地(25)- 2 《薄暮軍団の盲信者》 1 《害悪の機械巨人》 -クリーチャー(3)- |
4 《マグマのしぶき》 4 《アゾールの門口》 3 《削剥》 2 《アルゲールの断血》 1 《板歩きの刑》 2 《焼けつく双陽》 1 《バントゥ最後の算段》 2 《ヴラスカの侮辱》 3 《破滅の刻》 4 《木端 // 微塵》 3 《不帰 // 回帰》 3 《反逆の先導者、チャンドラ》 -呪文(32)- |
これは古典的な赤黒コントロールに、《太陽の聖域》のマナを使った《木端 // 微塵》のコンボの特別な切り口をつけたものだ。
このデッキの目標は相手の脅威をすべて除去して、《木端 // 微塵》が20点で撃てるまで自分自身を守りきることだ。《アゾールの門口》はデッキ構築に興味深い制限を加えている。マナ・カーブは《アゾールの門口》を変身させるのに十分なカードを得るためいつも以上に重要だ。しかし余波メカニズムのおかげでデッキ構築上の問題をいくらか回避することができる。《木端 // 微塵》や《不帰 // 回帰》を《アゾールの門口》で追放したとき、両方のマナ・コストの合計で数えられる――つまり《木端 // 微塵》の点数で見たマナ・コストは4で、《不帰 // 回帰》は7だ。
このデッキはプレイして超楽しいし、間違いなく私がグランプリのサイドイベントやフライデー・ナイト・マジックに持って行きたいものだ。
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