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開発秘話

Making Magic -マジック開発秘話-

デザインファイル:『ミラディン』その2

Mark Rosewater
authorpic_markrosewater.jpg

2026年3月10日

 

 先週、私は『ミラディン』のデザイン提出ファイルについて、デベロップメント前の段階でファイルがどのような姿をしていたかを順に見始めた。先週は白と青のカードについて語った。今週は黒、赤、緑のカードをすべて見ていく。


CB01_BCN
〈従者のミニオン〉
{1}{B}
クリーチャー ― ミニオン
2/1
[カード名]は装備しているかぎり、+1/+1の修整を受けるとともに畏怖を持つ。(このクリーチャーは、アーティファクト・クリーチャーや黒のクリーチャーにしかブロックされない。)

 このカードは「装備している間は強化される」サイクルの一部であった。

CB02_BCN
〈エネルギーの仲介者〉
{1}{B}
クリーチャー ― ミニオン
1/1
アーティファクト1つが戦場に出るたび、あなたは@を得る。
(このエネルギーは支払うまで失われない。)

 これもまた、アーティファクトとエネルギーを結びつけるカードである。

CB03_BCN
〈闇のクレリック〉
{2}{B}
クリーチャー ― クレリック
2/2
{B}, アーティファクト1つを生け贄に捧げる:プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーはカード1枚を捨てる。起動はソーサリーとしてのみ行う。

 完成版のセットでは、コストとしてアーティファクトを生け贄に捧げるのは赤の役割にすることを選んだ。何かを生け贄に捧げる数少ない黒のカードは、クリーチャーを生け贄に捧げる形へ変更された。

CB04_BCN
〈闇泥のシェイド〉
{5}{B}
クリーチャー ― シェイド
2/2
親和(アーティファクト)(あなたがコントロールしているアーティファクト1つにつき、この呪文を唱えるためのコストは{1}少なくなる。)
{B}:[カード名]はターン終了時まで+1/+1の修整を受ける。

 引き継ぎ版には、親和(アーティファクト)を持つカードがもっとずっと多く入っていた。

CB05_BCN
〈剃刀牙のゾンビ〉
{2}{B}
クリーチャー ― ゾンビ
2/1
畏怖(このクリーチャーは、アーティファクト・クリーチャーや黒のクリーチャーにしかブロックされない。)

 これは《ドロスをうろつくもの》になった。

CB06_BCN
〈冒涜的な創造物〉
{4}{B}
クリーチャー ― ゾンビ
3/3
エネ活性 ― @@@(これが戦場に出たとき、あなたは@@@を得る。このエネルギーは支払うまで失われない。)

 元々は、パーマネントが1つ戦場に出たときにエネルギーを得るためのキーワードとして「エネ活性/energize」を用意していた。

CB07_BCN
〈らい病の猟犬〉
{1}{B}
クリーチャー ― 猟犬
1/1
クリーチャー1体が[カード名]をブロックするたび、戦闘終了時にそのクリーチャーを破壊する。
アーティファクト1つを生け贄に捧げる:[カード名]を再生する。

 このカードの要素は、アンコモンの《屍賊のシャンブラー》へと取り込まれた。

 

CB08_BCN
〈生命吸収〉
{5}{B}
ソーサリー
親和(アーティファクト)(あなたがコントロールしているアーティファクト1つにつき、この呪文を唱えるためのコストは{1}少なくなる。)
クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。[カード名]はそれに3点のダメージを与える。あなたは3点のライフを得る。

CB09_BCN
〈恐怖〉
{1}{B}
インスタント
アーティファクトでも黒でもないクリーチャー1体を対象とし、それを破壊する。そのクリーチャーは再生できない。

 私の大好きなことのひとつは、カードが最初に登場したときとはまったく違う働きをする環境で、昔のカードを復活させることである。『ミラディン』におけるそのお気に入りの例が《恐怖》と《粉砕》だった。どちらも『アルファ版』で登場したカードだが、そのときの環境では《恐怖》は《粉砕》よりも明らかに強かった。だがアーティファクトが多い環境では、《恐怖》はアーティファクト・クリーチャーを破壊できないためはるかに弱くなり、《粉砕》は一気に強くなった。しばしば《恐怖》より《粉砕》を優先してドラフトしたくなるのだと理解した瞬間は、ドラフトの経験を積んだプレイヤーにとって実に楽しい瞬間だった。

CB10_BCN
〈力の奪取〉
{1}{B}
ソーサリー
あなたは@@@@@を得る。(このエネルギーは支払うまで失われない。)

 このファイルを見返していると、各色がどのようにエネルギーを得るかをどう差別化していたのか思い出そう、となる。黒は主に、呪文を唱えたときにエネルギーを得ていたのだと思う。

CB11_BCN
〈精神のねじれ〉
{B}{B}
ソーサリー
プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーはアーティファクトでないカード2枚か、アーティファクト・カード1枚を捨てる。

 このカードは《精神ねじ切り》になった。このカードは《知識の渇望》で用いたのと同じメカニズム上の手法を使ってデザインされた。

UB01_BCN
〈顔喰らい〉
{3}{B}
クリーチャー ― ゾンビ・ホラー
5/1
アーティファクト1つを生け贄に捧げる:[カード名]をあなたの手札に戻す。この能力は[カード名]があなたの墓地にある場合にのみ起動できる。

 このカードは《屍賊の貪り食い》になった。アーティファクトを生け贄に捧げる要素を赤へ移した際、この能力はクリーチャーを生け贄に捧げる形へ変わった。

 

UB02_BCN
〈沼の悪鬼〉
{1}{B}{B}
クリーチャー ― ミニオン
2/2
沼渡り
{B}, アーティファクト1つを生け贄に捧げる:[カード名]はターン終了時まで+1/+1の修整を受ける。土地1つを対象とする。それはターン終了時まで沼になる。

 結局『ミラディン』には土地渡りは1枚も入らなかった。

UB03_BCN
〈やせこけた影〉
{3}{B}{B}
クリーチャー ― ゾンビ
4/3
[カード名]はブロックできない。
エネ活性 ― @@@@(これが戦場に出たとき、あなたは@@@@を得る。このエネルギーは支払うまで失われない。)

UB04_BCN
〈裏切りの仲買人〉
{4}{B}
クリーチャー ― ホラー
3/3
[カード名]からダメージを受けたクリーチャー1体が受けたターンに戦場から墓地に置かれるたび、アーティファクトでも黒でもないクリーチャー1体を対象とし、それを破壊する。

 プレイテストの結果、〈裏切りの仲買人〉は実質的にブロックされないと同列であり、またアンタップ状態なら誰もこれに向かって攻撃しなかった。盤面を膠着させるばかりで、実際にこの能力が使われることはなかった。

UB05_BCN
〈汚染された者〉
{B}{B}
クリーチャー ― ゾンビ
1/1
[カード名]がクリーチャー1体に戦闘ダメージを与えるたび、そのクリーチャーのコントローラーは与えられたダメージに等しい点数のライフを失う。
アーティファクト1つを生け贄に捧げる:[カード名]を再生する。

 提出版にどれほど多くのアーティファクト生け贄要素が入っていたか、私は忘れていた。そのかなりの部分が黒にあった。

UB06_BCN
〈再生術師〉
{6}{B}
クリーチャー ― クレリック
1/1
親和(アーティファクト)(あなたがコントロールしているアーティファクト1つにつき、この呪文を唱えるためのコストは{1}少なくなる。)
{4}, {T}:あなたの墓地にあるアーティファクト・クリーチャー1枚をあなたの手札に戻す。

 黒にアーティファクトを回収させることを認めたが、それは使い切りの能力に限った。

UB07_BCN
〈短絡〉
{3}{B}
ソーサリー
プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーは手札を公開し、その中にあるアーティファクト・カードをすべて捨てる。

UB08_BCN
〈蝙蝠の饗宴〉
{4}{B}{B}
ソーサリー
親和(アーティファクト)(あなたがコントロールしているアーティファクト1つにつき、この呪文を唱えるためのコストは{1}少なくなる。)
黒でないクリーチャー1体を対象とし、それを破壊する。あなたは、そのクリーチャーのタフネスに等しい@を得る。(このエネルギーは支払うまで失われない。)

 エネルギー起動を持つカードの大半がアーティファクトだったため、エネルギーを生み出すカードが親和(アーティファクト)を持つことは問題ないと判断した。

UB09_BCN
〈闇の研究〉
{2}{B}
ソーサリー
カード3枚を引く。それらをすべてのプレイヤーに公開する。こうして公開されたアーティファクトでないカード1枚につき、あなたは2点のライフを失う。

 これは、アーティファクトの多い黒のデッキでは効率がよすぎることが判明した。

RB01_BCN
〈ネクロポーズール〉
{2}{B}{B}
クリーチャー ― ゾンビ
2/1
畏怖(このクリーチャーは、アーティファクト・クリーチャーや黒のクリーチャーにしかブロックされない。)
[カード名]が防御プレイヤーに戦闘ダメージを与えたとき、あなたは{X}を支払ってもよい。そうしたなら、あなたはX点のライフを失い、カードX枚を引く。

 我々はしばしば、デザイン上の元ネタにちなんでカード名をつける。このカードは『アイスエイジ』の《ネクロポーテンス》にインスピレーションを得て、その名から名づけられた。

 

RB02_BCN
〈異形の力売り〉
{3}{B}{B}
クリーチャー ― ミニオン
3/3
2点のライフを支払う:クリーチャーでも装備品でもないアーティファクト1つを対象とする。それはターン終了時まで、パワーとタフネスがそれぞれ、それのマナ総量に等しいアーティファクト・クリーチャーになる。

 『アンティキティー』の《異形の騒霊》も私の好きな昔のカードの1枚だったので、それに触発されたカードを作った。最終的には、アーティファクトをクリーチャー化するのは黒のカラーパイには属さないと判断した。

RB03_BCN
〈恐怖の死霊〉
{5}{B}{B}
クリーチャー ― スペクター
2/3
飛行
[カード名]が防御プレイヤーに戦闘ダメージを与えるたび、そのプレイヤーはカード1枚を無作為に捨てる。その捨てられたカードが土地でないカードであるなら、そのプレイヤーのライブラリーと墓地からそのカードと同じ名前のカードをすべて探し、それらを追放する。その後、そのプレイヤーはライブラリーを切り直す。

 私は『テンペスト』で《ロボトミー》というカードを作った。

 

 私はこのカードに新しいひねりを加えたかったのだ。だが、これはあまり面白くなかった。

RB04_BCN
〈圧制者〉
{1}{B}{B}
クリーチャー ― ミニオン
2/2
各プレイヤーの手札の上限枚数は、あなたの手札の枚数に等しい。

 私は『オデッセイ』でプレイヤーの手札上限を変えるカードを試していたので、このカードはそれの新しいひねりを探した結果である。

RB05_BCN
〈思い出せまい〉
{7}{B}
ソーサリー
親和(沼)(あなたがコントロールしている沼1つにつき、この呪文を唱えるためのコストは{1}少なくなる。)
カード名1つを選ぶ。プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーの手札、ライブラリー、墓地から、その名前のカードをすべて探し、それらを追放する。

 《ロボトミー》系呪文への二度目の挑戦である。ああ、1枚に絞るべきだったのだろう。どちらも印刷には至らなかった。

RB06_BCN
〈悪魔との契約〉
{B}
インスタント
カード名1つを選ぶ。あなたのライブラリーの一番上から、その名前のカードが公開されるまでカードを公開していく。そのカードをあなたの手札に加える。こうして公開されたカード1枚につき、あなたは1点のライフを失う。公開されたカードは追放される。

 またしても「脳内印刷」カードである。これは《大霊堂の戦利品》になった。

RB07_BCN
〈霊魂吸収〉
{3}{B}
エンチャント
いずれかのプレイヤーが呪文を唱えるたび、そのプレイヤーは[カード名]の上にある吸魂カウンター1個につき1点のライフを失う。その後、[カード名]の上に吸魂カウンター1個を置く。

RB08_BCN
〈呪われた所有権〉
{3}{B}
エンチャント
すべてのアーティファクトは「あなたのアップキープの開始時に、1点のライフを支払うか、このアーティファクトを生け贄に捧げる。」を得る。

 これは『レジェンド』の《The Tabernacle at Pendrell Vale》のひねりであった。

 

RB09_BCN
〈感染傷〉
{2}{B}{B}
エンチャント
[カード名]が戦場に出るに際し、このターンにダメージを受けたプレイヤー1人を選ぶ。
そのプレイヤーのターンの開始時に、そのプレイヤーは[カード名]がプレイされたターンに自身が受けたダメージに等しい点数のライフを失う。

RB10_BCN
〈超昏迷〉
{1}{B}{B}
ソーサリー
プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーは自分の手札1枚につき、2点のライフを支払うか、そのカードを捨てる。

 我々は、何らかの買い取り要素を持つ手札破壊カードを試していた。

CR01_BCN
〈従者のゴブリン〉
{2}{R}
クリーチャー ― ゴブリン
2/2
[カード名]は装備しているかぎり、+2/+0の修整を受けるとともに速攻を持つ。

 これも「装備している間、強化」サイクルのカードである。完成版のセットでは、キーワード能力を得たのは白と赤だけであった。これは、元の提出版でこの要素を持っていたのがこの2色だったことへの、ささやかな名残である。

CR02_BCN
〈猪突のオーク〉
{2}{R}
クリーチャー ― オーク
2/2
アーティファクト1つを生け贄に捧げる:[カード名]はターン終了時まで+1/+0の修整を受けるとともに先制攻撃を得る。

 これはゴブリンになり、《クラーク族の兵卒》として印刷された。

CR03_BCN
〈狂える巨人〉
{3}{R}
クリーチャー ― 巨人
3/3
[カード名]はアーティファクト・クリーチャーにはブロックされない。

 これは《オーガの爆走者》になった。アーティファクト・クリーチャーにブロックされない代わりに、これをブロックしたクリーチャーを破壊するようになった。

CR04_BCN
〈ゴブリンの修繕工〉
{1}{R}
クリーチャー ― ゴブリン
1/1
{R}, アーティファクト1つを生け贄に捧げる:クリーチャー1体を対象とする。[カード名]はそれに1点のダメージを与える。

 これは《クラーク族のシャーマン》になった。なぜか、ダメージ先は飛行を持たないクリーチャーに限定された。

CR05_BCN
〈生命のミノタウルス〉
{4}{R}
クリーチャー ― ミノタウルス
4/2
[カード名]が防御プレイヤーに戦闘ダメージを与えるたび、あなたは@@を得る。(このエネルギーは支払うまで失われない。)

 これは、何度もエネルギーを生み出せる数少ないカードの1枚である。

CR06_BCN
〈火吹きのゴブリン〉
{1}{R}
クリーチャー ― ゴブリン
1/1
先制攻撃、速攻

 これは《ゴブリンの打撃者》になった。

CR07_BCN
〈追い打ちの侮辱〉
{1}{R}
インスタント
あなたは、このターンにあなたがコントロールするクリーチャーがプレイヤー1人に与えたダメージの合計に等しい@を得る。(このエネルギーは支払うまで失われない。)

 そのターンに何をしたかに応じて、柔軟な量のエネルギーを生み出すカードを我々は数多く作った。もしエネルギーが削除されていなければ、それをバランス調整するのは非常に難しかったはずである。全体として、この提出版のエネルギー経済は壊れていた。とはいえ、これはデベロップメントで対処される前提だったため、我々はそこにあまり時間を割いていなかった。

CR08_BCN
〈激昂〉
{R}
インスタント
クリーチャー1体を対象とする。それは可能ならこのターン攻撃する。

CR09_BCN
〈粉砕〉
{1}{R}
インスタント
アーティファクト1つを対象とし、それを破壊する。

 リミテッドで《粉砕》をメインデッキから入れるセットはそう多くないが、これはそのひとつであった。

CR10_BCN
〈熱溶岩の雨〉
{1}{R}{R}
ソーサリー
土地1つを対象とし、それを破壊する。その土地がアーティファクトであるなら、[カード名]はその土地のコントローラーに2点のダメージを与える。

 これは《溶鉄の雨》になり、アーティファクト土地ではなく、すべての基本でない土地を見るようになった。

CR11_BCN
〈ドカーン!〉
{6}{R}
インスタント
親和(アーティファクト)(あなたがコントロールしているアーティファクト1つにつき、この呪文を唱えるためのコストは{1}少なくなる。)
クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。[カード名]はそれに4点のダメージを与える。

 記憶していたよりも、親和(アーティファクト)を持つ除去呪文がずっと多い。

UR01_BCN
〈狂える猿〉
{4}{R}{R}
クリーチャー ― 類人猿
2/2
親和(アーティファクト)(あなたがコントロールしているアーティファクト1つにつき、この呪文を唱えるためのコストは{1}少なくなる。)
{3}, {T}, アーティファクト1つを生け贄に捧げる:クリーチャー1体を対象とする。[カード名]はそれにX点のダメージを与える。Xはその生け贄に捧げたアーティファクトのマナ総量に等しい。

 『アライアンス』には、テクノロジーを嫌う類人猿の物語があったため、類人猿がアーティファクトを壊すカードが何枚も存在した。これは開発部で長年にわたるお約束となり、我々のアーティファクト破壊クリーチャーの多くは類人猿や猿になった。

UR02_BCN
〈怒れるデルヴィッシュ〉
{1}{R}{R}
クリーチャー ― デルヴィッシュ
0/0
速攻
[カード名]は+1/+1カウンター1個が置かれた状態で戦場に出る。
[カード名]が対戦相手1人にダメージを与えるたび、これの上に+1/+1カウンター1個を置く。

 これは赤の「デルヴィッシュ」である。最終的には《炎歩スリス》として印刷された。

UR03_BCN
〈ならず者の火吹き〉
{2}{R}
クリーチャー ― ウィザード
1/1
{R}, {T}:クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。[カード名]はそれに[カード名]のパワーに等しい点数のダメージを与える。

 これは《トゲ撃ちゴブリン》になった。

UR04_BCN
〈狂えるバーバリアン〉
{3}{R}{R}
クリーチャー ― バーバリアン
3/2
先制攻撃
{R}, アーティファクト1つを生け贄に捧げる:あなたは@@を得る。(このエネルギーは支払うまで失われない。)

UR05_BCN
〈ゴブリンの盗人〉
{R}
クリーチャー ― ゴブリン
1/1
[カード名]が防御プレイヤーに戦闘ダメージを与えるたび、アーティファクト1つを対象とする。それをアンタップし、ターン終了時までそのコントロールを得る。

 ここでは、赤が一時的にパーマネントを奪う新しい形を試していた。『ミラディン』が「アーティファクトが重要」なセットだったので、それをアーティファクトに結びつけたのである。

UR06_BCN
〈エイトグ〉
{1}{R}
クリーチャー ― エイトグ
1/2
アーティファクト1つを生け贄に捧げる:[カード名]はターン終了時まで+2/+2の修整を受ける。

 ウィザーズに来る前、《エイトグ》は私が史上最も好きなクリーチャーだった。ならば、あらゆるものが金属でできた世界にそれを連れてこないわけがない。《エイトグ》は『ミラディン』の最初のプレイテストでもう入っていたはずである。

UR07_BCN
〈半田付けの愉快〉
{2}{R}
ソーサリー
[カード名]を唱えるための追加コストとして、アーティファクト1つを生け贄に捧げる。アーティファクト・クリーチャー1体を対象とする。その上に、その生け贄に捧げたアーティファクトのマナ総量に等しい個数の+1/+1カウンターを置く。

 これは後に《鍛冶場の鎧》になった。デベロップメントはこれをインスタントに変え、マナ・コストに追加の{2}を加えた。

UR08_BCN
〈鉛を食らえ〉
{3}{R}
ソーサリー
クリーチャー1体を対象とする。[カード名]はそれにあなたがコントロールするアーティファクトの数に等しい点数のダメージを与える。

UR09_BCN
〈爆破〉
{X}{R}
ソーサリー
マナ総量がXであるアーティファクト1つを対象とし、それを破壊する。そのアーティファクトは再生できない。[カード名]はそのアーティファクトのコントローラーにX点のダメージを与える。

 これも『アンティキティー』からの再録である。あのセットへの私の愛が、このデザインにはにじみ出ている。

RR01_BCN
〈両利きの騎士〉
{4}{R}
クリーチャー ― 兵士
3/3
[カード名]がちょうど2つの装備品を装備しているなら、[カード名]は+4/+4の修整を受ける。

RR02_BCN
〈デルヴィッシュ・ドラゴン〉
{3}{R}{R}{R}
クリーチャー ― ドラゴン
0/0
飛行
{R}{R}:[カード名]はターン終了時まで+2/+0の修整を受ける。
[カード名]は+1/+1カウンター4個が置かれた状態で戦場に出る。
[カード名]がプレイヤー1人にダメージを与えるたび、これの上に+1/+1カウンター1個を置く。

 完成版のセットには、コモンのスリスのサイクルが存在した。だが元のデザイン提出ファイルでは、我々はドラゴンを作っていた。印刷されたセットにいるドラゴンは、無色のアーティファクト・クリーチャーである《機械仕掛けのドラゴン》1体だけである。

RR03_BCN
〈ジャイアントエイトグ〉
{5}{R}{R}
クリーチャー ― アトグ・巨人
3/4
アーティファクト1つを生け贄に捧げる:[カード名]はターン終了時まで+3/+3の修整を受けるとともにトランプルを得る。

 ただ《エイトグ》を復活させるだけでは足りなかった。私は巨大な《エイトグ》を作りたくなり、それが最終的に《メガエイトグ》になった。

RR04_BCN
〈マグマの精霊〉
{3}{R}{R}
クリーチャー ― エレメンタル
3/3
{R}{R}:クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。[カード名]はそれに1点のダメージを与える。
{R}{R}:ターン終了時まで、すべての赤の発生源は追加で1点のダメージを与える。

 これは単体で見れば格好いいが、セット全体とはあまり関係がないカードの一例である。

RR05_BCN
〈血の精霊〉
{R}{R}{R}
クリーチャー ― エレメンタル
1/1
[カード名]が戦場に出たとき、このターンに対戦相手がダメージを受けていないなら、これを生け贄に捧げる。
対戦相手1人がダメージを受けるたび、[カード名]の上にその点数に等しい個数の+1/+1カウンターを置く。

RR06_BCN
〈静電ショック〉
{2}{R}
エンチャント
プレイヤー1人がアーティファクトの起動型能力を起動するたび、[カード名]はそのアーティファクトのコントローラーに1点のダメージを与える。

 このカードは、最終的には少し狭すぎた。

RR07_BCN
〈羅利骨灰〉
{5}{R}{R}{R}
ソーサリー
戦場にあるすべてのアーティファクトとクリーチャーと土地を破壊する。その後、各プレイヤーは自分の手札にある望む枚数のアーティファクトやクリーチャーや土地を、自分のコントロール下で戦場に出してもよい。

 これもまた、混沌とした赤のレア・カードへの挑戦の1枚である。

RR08_BCN
〈盲目化〉
{4}{R}{R}
エンチャント
プレイヤー1人が対象を選ぶ必要のある呪文や能力を使うたび、その呪文や能力は代わりに適正な対象を無作為に選ぶ。

 このカードは別のファイルで作成され、その後『ミラディン』へ移された。結果として、少々予測不能すぎることがわかった。

RR09_BCN
〈度胸なくして栄光なし〉
{3}{R}{R}
エンチャント
あなたのアップキープに、あなたがコントロールするクリーチャー1体を選ぶ。そのクリーチャーは+X/+0の修整を受ける。Xは戦場にあるクリーチャーの総数に等しい。ターン終了時にそのクリーチャーを生け贄に捧げる。

RR10_BCN
〈溶接〉
{3}{R}
インスタント
[カード名]を唱えるための追加コストとして、アーティファクト1つを生け贄に捧げる。あなたの墓地にあるアーティファクト・カード1枚を、あなたのコントロール下で戦場に出す。

 私は『ウルザズ・レガシー』で《ゴブリンの溶接工》というカードをデザインした。

 

 このカードは、同じ効果を使い切りの呪文として試してみたものでしかない。これは《財宝発掘》になった。

CG01_BCN
〈従者のエルフ〉
{1}{G}
クリーチャー ― エルフ
1/2
[カード名]は装備しているかぎり、+2/+1の修整を受ける。

 これは「装備している間、強化」サイクルにおける緑の担当であった。

CG02_BCN
〈エルフの狂信者〉
{1}{G}
クリーチャー ― エルフ
2/1
プロテクション(アーティファクト)

 『アンティキティー』への私の愛は、今もなおデザインの源泉であり続けている。1994年の世界選手権で、私は小型クリーチャーを大量に入れ、それらを強化する手段も備えた緑青デッキを使った。《ミシュラの工廠》が非常に人気だったため、メインデッキに《アルゴスのピクシー》を数枚入れ、さらにサイドボードにも用意していた。

 

 《アルゴスのピクシー》が単純にプロテクション(アーティファクト)を持っていないことは、以前からずっと気になっていた。『ミラディン』をデザインしていたとき、私はそれを持つバージョンを作った。それが《テル=ジラードに選ばれし者》である。

CG03_BCN
〈狂信の蜘蛛〉
{4}{G}
クリーチャー ― 蜘蛛
2/4
プロテクション(アーティファクト)
[カード名]は飛行を持つかのようにブロックできる。

 プロテクション(アーティファクト)を持つクリーチャーが1枚だけでは足りなかった。セットの「巨大蜘蛛」枠にもプロテクション(アーティファクト)を持たせたら格好いいと思ったのである。このカードは《テル=ジラードの射手》になった。

CG04_BCN
〈林間の歩み手〉
{3}{G}
クリーチャー ― エルフ
1/3
アーティファクト1つが戦場から墓地に置かれるたび、あなたは@を得る。(このエネルギーは支払うまで失われない。)

 さて、ここからは緑のエネルギー生成カードである。

CG05_BCN
〈ちびトロール〉
{2}{G}
クリーチャー ― トロール
2/2
トランプル
{2}{G}:[カード名]を再生する。

 このカードは後に《トロールの苦行者》になった。トランプルは呪禁へと変わった。

CG06_BCN
〈錆作り〉
{1}{G}{G}
クリーチャー ― エルフ・ウィザード
3/2
{T}, [カード名]を生け贄に捧げる:アーティファクト1つを対象とし、それを破壊する。

 おそらく、セットにはこれと《ヴィリジアンのシャーマン》の両方は不要だと判断されたのであろう。

CG07_BCN
〈シタヌールの猪〉
{2}{G}
クリーチャー ― ビースト
2/2
[カード名]がアーティファクト・クリーチャーをブロックするか、アーティファクト・クリーチャーにブロックされるたび、[カード名]はターン終了時まで+3/+3の修整を受ける。

 緑はアーティファクトを最も嫌う色なので、我々はアーティファクトを罰する新しい方法を探していた。

CG08_BCN
〈胞子喰らい〉
{4}{G}
クリーチャー ― ビースト
4/5
[カード名]が戦場に出たとき、プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーは@@を失う。

 『ミラディン』は『カラデシュ』よりも、対戦相手のエネルギーに干渉することにずっと積極的であった。『カラデシュ』を振り返ると、プレイヤーに対戦相手のエネルギーと相互作用する手段を与えなかったのは誤りだったと感じている。

CG09_BCN
〈茶色のアウフ〉
{G}
クリーチャー ― アウフ
1/1
{1}{G}, {T}:アーティファクトの起動型能力1つを対象とし、それを打ち消す。

 これは、名前も含めて提出版そのまま印刷された最初のカードだと思う。

CG10_BCN
〈エネルギー成長〉
{G}
インスタント
クリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで+2/+2の修整を受ける。あなたは、そのクリーチャーが与えたダメージ1点につき@を得る。(このエネルギーは支払うまで失われない。)

 この提出版には、可変量のエネルギーを生み出すカードが数多くある。

CG11_BCN
〈酸化〉
{G}
インスタント
アーティファクト1つを対象とし、それを破壊する。そのアーティファクトは再生できない。

 これは単に、『アンティキティー』の《崩壊》をよりすっきりした形にしようと試みたものである。

 

UG01_BCN
〈エルフの洗礼者〉
{1}{G}
クリーチャー ― エルフ
1/1
{T}:クリーチャー1体を対象とする。それは呪文や能力の対象にならない。

 『ミラディン』は、主に緑において呪禁(当時はまだ名前がなかった)を本格的に扱い始めた最初のセットである。

UG02_BCN
〈殴打の番人〉
{4}{G}
クリーチャー ― ビースト
3/3
あなたがクリーチャー呪文を唱えるたび、クリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで+1/+1の修整を受けるとともにトランプルを得る。

 これは『ニューカペナの街角』で出たキーワード団結の、名前がまだついていない初期版である。

UG03_BCN
〈ラノワールの近縁〉
{1}{G}
クリーチャー ― エルフ
1/1
{T}:[カード名]のパワーに等しい数の{G}を加える。

 このカードは《ヴィリジアンの社交家》になった。これは《トゲ撃ちゴブリン》の対になるカードとしてデザインされた。

UG04_BCN
〈無作法な隠遁者〉
{3}{G}
クリーチャー ― トロール
2/4
{3}{G}, {T}:プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーは@を失う。

 青はエネルギーを盗む。緑はただそれを奪い去るだけだ。

UG05_BCN
〈狂信の獣〉
{4}{G}{G}
クリーチャー ― ビースト
5/6
プロテクション(アーティファクト)

UG06_BCN
〈スパジー野郎〉
{1}{G}{G}
クリーチャー ― 熊
2/3
[カード名]が対戦相手1人にダメージを与えるたび、アーティファクト1つを対象とし、それを破壊する。

 このカードは『レジェンズ』の《Floral Spuzzem》に着想を得たものである。

 

 《Floral Spuzzem》は、そのルール・テキストで有名である。そこでは、選択を行うのがプレイヤーではなくクリーチャーだと書かれている。

UG07_BCN
〈ウークタビーのエルフ〉
{2}{G}
クリーチャー ― エルフ
2/2
[カード名]が戦場に出たとき、アーティファクト1つを対象とし、それを破壊する。

 これは《ヴィリジアンのシャーマン》になった。

UG08_BCN
〈機械への怒り〉
{G}
インスタント
あなたがコントロールする望む数のクリーチャーを対象とする。それらはターン終了時までプロテクション(アーティファクト)を得る。

 このカードは、白のカードである《剃刀の障壁》になった。アーティファクトに加えて色1色を選び、それからのプロテクションも得ることもできる。

UG09_BCN
〈制御の制御者〉
{1}{G}
インスタント
このターン、インスタント呪文は唱えられない。
[カード名]は打ち消されない。

 我々は時としてカラーパイの実験を行う。最終的には、インスタントを止めるのは緑の役割ではないと判断した。

〈ダ・ビースト〉
{5}{G}{G}{G}
クリーチャー ― ビースト
10/10
[カード名]は呪文や能力の対象にならない。

 これは《板金鎧の金屑ワーム》になり、より小さい{4}{G}{G}{G}の8/8として印刷された。

RG02_BCN
〈自然のスピリット〉
{4}{G}
クリーチャー ― スピリット
2/2
各プレイヤーのターン終了時に、そのプレイヤーの対戦相手1人がそのプレイヤーの墓地にあるクリーチャー・カード1枚を選ぶ。それをそれのオーナーの手札に戻す。
クリーチャーが戦場から墓地に置かれるなら、代わりにそれを追放する。

 何もが長く死んだままではいられない。このカードはプレイテスト中にゲームを長引かせたはずである。

RG03_BCN
〈群れ呼び〉
{6}{G}{G}
クリーチャー ― ビースト
6/6
トランプル
[カード名]が防御プレイヤーに戦闘ダメージを与えるたび、与えたダメージ1点につき、緑の1/1の[名前]トークン1体を戦場に出す。

 これは《生きている蟻塚》になった。ダメージ1点ごとにトークン・クリーチャーへ変換する最初のカードである。これはその後も繰り返し掘り下げることになるデザインの鉱脈であった。

RG04_BCN
〈再成長するもの〉
{2}{G}{G}
クリーチャー ― スパイク
2/2
アーティファクト1つが戦場から墓地に置かれるたび、あなたの墓地にあるアーティファクトでないカード1枚を対象とし、それをあなたの手札に戻す。

 見返してみると、もうひとつのテーマが見えてくる。カード・アドバンテージが多すぎるのである。これはデザイン提出ファイルではよくあることだ。

RG05_BCN
〈エルフの仲介者〉
{3}{G}
クリーチャー ― エルフ
1/2
対戦相手がアーティファクト1つをタップするか、その起動型能力を起動するたび、あなたは@を得る。(このエネルギーは支払うまで失われない。)
{T}:好きな色1色のマナ2点を加える。

 我々は、対戦相手が何かをすること自体を抑制する効果は廃止した。

RG06_BCN
〈成長する少年〉
{3}{G}{G}
クリーチャー ― エレメンタル
2/2
[カード名]は、いずれかの対戦相手がコントロールするタップ状態のパーマネント1つにつき+1/+1の修整を受ける。

 このカードは最終的に《銅の蹄のヴォラック》として印刷された。

 

 興味深いことに、このカードは対戦相手がコントロールするアンタップ状態のパーマネント1つにつき+1/+1を得る形へ変更された。相手が何かをしたことを罰するのではなく、何もしなかったことを罰するようにした。それは正しい判断である。ゲームを終わらせるのに必要な慣性を生み出してくれるからだ。

RG07_BCN
〈翠緑のほとばしり〉
{2}{G}
エンチャント
プレイヤー1人が土地1つをマナを引き出すためにタップするたび、それは同じタイプのマナ1点を追加で生み出す。

 私は長年にわたり、緑の《ほとばしる魔力》、つまり今で言う《春の鼓動》をゲームへ入れようとしていた。開発部の誰かがこれに反対していたわけではない。ただ、セットには他に必要なものがあり、しかもこれはどのセットにも入れられる類いのカードだったため、毎回はじき出され続けていたのである。これは、私がそれを『ミラディン』に入れようとして失敗した例である。

RG08_BCN
〈誰か他人の歌〉
{3}{G}
エンチャント
各クリーチャーでないアーティファクトは、パワーとタフネスがそれぞれそのマナ総量に等しいアーティファクト・クリーチャーである。

 これもまた『アンティキティー』に触発されたデザインである。今回は《ティタニアの歌》を作り直そうとしていた。

 

 最後の一文、すなわち「《ティタニアの歌》が戦場を離れても、この効果はターン終了時まで続く。」はルール上の問題を引き起こした。そこで我々は、ほぼ同じ効果を持ちながらルールをややこしくしないバージョンを作ろうとしていた。

RG09_BCN
〈スーパーファストボンド〉
{G}
エンチャント
プレイヤー1人が土地1枚をプレイするたび、他のすべてのプレイヤーは土地1枚を戦場に出してもよい。
(これは「1ターンに土地は1枚まで」というルールを無効にしない。)

 これは、統率者戦というものができる何年も前にデザインされた。

RG10_BCN
〈群れの前の静けさ〉
{5}{G}{G}
ソーサリー
すべてのプレイヤーは、自分のライブラリーから、戦場にあるクリーチャー1体と同じ名前であるクリーチャー・カードを望む枚数だけ探してもよい。それらをそのプレイヤーのコントロール下で戦場に出す。

 私は《クローン》系効果が大好きなので、緑でそれを行う方法を探していた。緑は、自分がコントロールするクリーチャーをコピーすることは許されている。


ミラディンの人々

 以上が、『ミラディン』のデザイン提出文書にあった黒、赤、緑のカードすべてである。いつものように、今日の記事でも、ここで語ったカードのいずれについてでも、『ミラディン』そのものについてでも、私はあらゆるフィードバックを歓迎している。メールやソーシャル・メディア(XTumblrInstagramBlueskyTikTok)を通じて(英語で)送ってもらえると幸いだ。

 来週はコモンとアンコモンのアーティファクトを見ていくので、また付き合ってほしい。

 その日まで、あなたが『ミラディン』をもう一度見つめ直せますように。


(Tr. Ryuki Matsushita)

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