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開発秘話

Making Magic -マジック開発秘話-

トークンの歴史 その3

Mark Rosewater
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2025年9月8日

 

 約3週間前、私はトークンの歴史の振り返りを始めた。語りたい内容が多すぎて、話は「トークンの歴史 その2」に続いた。話したいことはまだまだあるため、今日は話を再開し、終わりまで語っていく。今回は再開地点は2014年だ。


『基本セット2015』

 

 7年の時を経て、「トークン」という単語がカード・タイプ欄に再び表示されるようになった(ただしトークンはカード・タイプではない)。カード情報エリアの左下に、カードのレアリティを表す文字として「T」が初めて記載された。

『統率者(2015年版)』

 

 『統率者(2015年版)』では、無尽メカニズムがアンコモンのサイクルとレアのアーティファクト1枚で導入された。無尽は、無尽を持つ攻撃クリーチャーのコピーであるクリーチャー・トークンを一時的に生成することで、対戦相手全員へ攻撃できるメカニズムだ。一時的なトークンを生成するカードは単体で何枚もデザインされていたが、無尽はこのデザイン技術が用いられた最初の名前付きメカニズムだった。また多人数戦向けに特別にデザインされた、最初のトークン・メカニズムでもある。

『イニストラードを覆う影』

 

 『イニストラードを覆う影』は、イニストラード次元への再訪であった。当時、我々は再訪に一石を投じようとしていた。そのため、オリジナルの『イニストラード』ブロックで試みていたゴシックホラーではなく、コズミックホラーを表現することになった。第1セットの『イニストラードを覆う影』では奇妙な事件の調査に焦点を当て、第2セットの『異界月』では明らかになった次元的恐怖をテーマにすることになったのだ。

 調査というメカニズムは、調査するという表現を行うためにどうしても必要であった。そして、調査は具体的に何が起こるのが最も調査らしいだろうか、と自問した。これはカードを引くのが分かりやすい答えだと考えられた。何故なら調査をすると、何かを知ることになるからだ。次に起きた問題は、これによってカードを多く引きすぎてしまうことであった。そこで、カードを1/2枚引く方法はないかと自問した。結果、手がかりとなるアーティファクト・トークンを生成し、{2}を払ってそれを生け贄に捧げて、カードを1枚引くメカニズムに辿り着いた。調査はカードを1/2枚引くことを可能にしたため、このメカニズムはセットにたくさん盛り込むことができた。

 手掛かり・トークンはマジックのデザインに大きな進歩をもたらした。プレイヤーは手がかりを使用してカードを引くだけでなく、セットの要素をデザインする際に軸とすることができるオブジェクトが生まれたのだ。手がかりの存在自体が、戦場にあるこのパーマネントを参照するカードを作り出すことを可能にした。手がかりはアーティファクトのため、「アーティファクト関連」テーマの一部とすることもできる。他の効果のために手がかりを生け贄に捧げることもできる。非常にフレイバーに富んでおり、手がかりのデザイン自体が有用であった。クリーチャーでないトークンが単体でセット構造の重要な要素となり得る、トークンデザインの新たな流れが始まったのだ。

『カラデシュ』

 

 『カラデシュ』は発明とその創造性に焦点を当てた次元を舞台としていた。そのため、アーティファクトをテーマとしたカードが大量に必要になることが分かっていた。多くのクリーチャーがテクノロジーを使用することを表現したいと考えており、発明によって何かが強化されていることを表すのに+1/+1カウンターを使用するというアイデアを気に入った。これをきっかけとして、私は最終的な名前付きメカニズムの必要性を説明する、デザイン会議を開催した。メカニズムのパラメータを説明する中で、製造のアイデアが浮かび上がった。

 製造はクリーチャー・メカニズムであり、製造を持つクリーチャーに指定された個数の+1/+1カウンターを置くか、指定された数の霊気装置・アーティファクト・クリーチャー・トークンを生成するかを選択できる。このメカニズムは、初のいずれかのモードがクリーチャー・トークンを生成するメカニズムであった。最大の課題は、1/1のアーティファクト・クリーチャー・トークンを生成することは、指定数の+1/+1カウンターをクリーチャーに置くよりも有利となる場合が多いことであり、この2つのモードのバランスが取れているデザインを作成するのは難しかった。

 『カラデシュ』は「生成する」というキーワード処理を導入したセットでもある。トークンを作り出すことは『マジック』のデザインの鍵であることが証明されていたため、これをより分かりやすく表現する目的で、ゲームの用語に生成を加えた。

『アモンケット』

 

 『アモンケット』では不朽メカニズムが導入された。このクリーチャー・メカニズムは、マナを支払い、墓地のクリーチャー・カードを追放することで、白のゾンビ・クリーチャー・トークンを生成する。これは死亡しているクリーチャーをミイラとして蘇らせるフレイバーを再現している。トークンを生成するメカニズムは過去にも作成したことがあったが、不朽はこの能力を持つクリーチャーそれぞれが、対応する独自のトークンを生成できる初めてのメカニズムであった。そのため、セット内の不朽を持つすべてのクリーチャーに対応したトークン・カードを作ることになり、それには追加のアート・リソースが必要となった。この出来事は『アモンケット』が初めてだった。

『破滅の刻』

 

 『破滅の刻』では永遠メカニズムが導入された。永遠は不朽の調整版であり、重要な違いが2点ある。クリーチャー・トークンは常に4/4であることと、白ではなく黒になることだ。このメカニズムは、ニコル・ボーラスがアモンケットの人々を利用して作り出そうとしているゾンビの軍団(これは『灯争大戦』のストーリーで重要な役割を果たすことになる)を表している。永遠は、既存のトークン・メカニズムに変更を加えた初めてのケースであった。永遠において興味深いデザイン上の課題の1つは、コピー・トークンが4/4であることをどう活かすか、である。

『イクサラン』

 

 『イクサラン』はタイプ的テーマを持っていた。主要なクリーチャー・タイプの内の1つは海賊だったので、『テーロス』ブロックで使用した金・アーティファクト・トークンを復活させるのは素晴らしいアイデアに思えた。手がかりトークンが有用であることを『イニストラードを覆う影』ブロックで実証済みのため、別のアーティファクト・トークンで再び試してみたかったのだ。マナを生み出すトークンは、このセットにおいて素晴らしいツールになると予想できた。しかし、1つの問題があった。

 カラデシュ・ブロックの第2セット『霊気紛争』では、「即席」と呼ばれるメカニズムが導入された。このメカニズムは、アーティファクトをタップすることで呪文のコストを支払う助けにできる。金・トークンは即席呪文を唱える際に2マナ分を支払うことができ、これは少々強すぎた。

 そこで、金・トークンをリメイクすることにした。リメイク後のメカニズムは長期的に使用する可能性があると考えたため、名前は自由度が高い「宝物」にすることにした。イクサランにおける金を表すだけでなく、異なる次元では別の物を表すことができる。宝物はすぐに、我々が日常的に使用するツールになった。

『統率者(2018年版)』

 

 《仮面使い、エストリッド》は、オーラ・トークンを生成する初のカードだった。アーティファクト・トークンが全盛期を迎えていた一方、エンチャント・トークンは遥かに遅い登場ペースであった。

『ラヴニカの献身』

 

 『イニストラード』の《宿命の旅人》にインスピレーションを受けて、『ラヴニカの献身』のオルゾフのメカニズムである死後が生まれた。死後はこの能力を持つクリーチャーが死亡すると、飛行を持つ白であり黒である1/1のスピリット・クリーチャー・トークンを生成するクリーチャー・メカニズムである。これは、オルゾフへの債務が死後も続くことを表している。今までも死亡時にトークンを生成するクリーチャーは単体で存在していたが、名前付きメカニズムとして作成したのはこれが初である。不朽と永遠はクリーチャーの死亡後にマナを支払うとトークンを生成する能力だが、死後は死亡時誘発型能力である。

『灯争大戦』

 

 『破滅の刻』で、ニコル・ボーラス率いるゾンビの軍団「永遠衆」が登場した。『破滅の刻』では、永遠衆を表すために永遠と加虐を使用していた。しかし、この2つのメカニズムは『灯争大戦』にはうまく適合できなかったため、変わりを探すために我々は様々なメカニズムを試していた。最も簡単な解決方法は、永遠衆を表すクリーチャー・トークンを生成するメカニズムを作ることであった。しかし、クリーチャー・トークンを生成していくことは戦場を複雑化させ、混乱を招く傾向があった。我々は様々な解決方法(トークンはブロックでいない、一緒に攻撃やブロックしなければならない等)を試したが、最終的に動員メカニズムという、より斬新な解決策に辿り着いた。

 クリーチャー・トークンが複数体生成されていくのではなく、軍団全体を1体のクリーチャー・トークンで表すことになった。最初に動員を行ったときは、0/0のゾンビ・軍団・トークンが1体生成され、その上に動員の数に等しい数の+1/+1トークンが置かれる。その後、軍団をコントロールしている状態で動員を行うたび、動員の数の+1/+1カウンターが既にいるゾンビ・軍団・トークンに置かれていく。これによって、ゾンビの軍団はゲームの時間が過ぎていくのに合わせて強化されていき、盤面を多く使用することなく大きな脅威となる。

 動員はとても貴重なツールとなった。単一のトークンを1つ生成し、それを基に何かが構築されていくアイデアは、開発部のツールボックス内で貴重なツールとなった。我々は新たなメカニズムのためにインスピレーションを得たいとき、何度も動員を見つめ直してきた。

『エルドレインの王権』

 

 『エルドレインの王権』はおとぎ話をテーマにしており、このセットに取り組んでいる間、我々はおとぎ話で重要な役割を果たす食物を参照したデザインを盛り込みたいと考えた。手掛かり・トークンと宝物・トークンでの成功を振り返り、セットの核要素となる食物・トークンを作ることにした。食物がライフを与えるというのはフレイバー的にも完璧で、あらゆるデッキで使えるリソースであった。食物・トークンがゲームを毎回引き延ばすのは望まなかったため、食物・トークンの他の使い方も模索した。後のセットでは食物・トークンがより広く使われるようになり、ライフ以外の使用方法がさらに推し進められた。食物・トークンは、我々が頻繁に使う落葉樹ツールになった。

 『エルドレインの王権』では、「定義済みトークン」という概念も導入された。定義済みトークンは、ゲームルールでそのトークンの能力が定義されているものの、カードのルールテキストでどのようなトークンが生成されるかを明示することもできるトークンである。これは最初に宝物・トークンと食物・トークンに実装されたが、その後、他の頻繁に使用されるトークンにも適用された。

『カルドハイム』

 

 『カルドハイム』では、ニコという名前の新しいプレインズウォーカーが登場した。ニコにメカニズム上ユニークな要素を加えるため、「破片・トークン」という新しいタイプのトークンを考案した。破片は、カードを引く前に占術1を行える、手がかりを調整したトークンである。フレイバー上の理由と、新しいデザイン空間への進出を図るため、このエンチャント・トークンをデザインした。今のところ、このトークンを生成できるのはニコだけである。

『ゼンディカーの夜明け』

 

 《石成エンジン》は「対象のパーマネント呪文1つをコピーする」というテキストを持つ初のカードである。コピーされたパーマネント呪文は、解決時にトークンになる。この挙動が可能なのはコピールールを変更し、プレイヤーがパーマネント呪文をコピーできるようにしたためだ。これ以前は、パーマネントでない呪文しかコピーできなかった。

『統率者レジェンズ』

 

 『統率者レジェンズ』では再演メカニズムが導入された。再演は無尽の調整版だ。コストを支払って墓地にあるクリーチャー・カードを追放し、再演能力で対戦相手の数に等しい数、速攻を持つコピー・トークンを生成する。これらのトークンはターン終了時、生け贄に捧げられる。

『モダンホライゾン2』

 

 『モダンホライゾン2』では《片目のガース》が印刷された。このカードは、既存のカードリストにあるカードのコピーを生成できる初のカードである。そのうちの2枚、《シヴ山のドラゴン》と《Black Lotus》は、コピー・トークンがパーマネント・カードとして戦場に出ることになる。

『フォーゴトン・レルム探訪』

 

 『フォーゴトン・レルム探訪』では、ダンジョンの探索という全く新しいメカニズムが導入された。ダンジョンの探索をスタートするたび、3つのダンジョンから1つを選ぶ。各ダンジョンは、デッキとは別にカードとして存在する。3つのダンジョンはそれぞれ少なくとも1つのトークンを生成する。「狂える魔道士の迷宮」は、宝物・トークンと黒の1/1のスケルトン・クリーチャー・トークンを生成する。「ファンデルヴァーの失われた鉱山」は、宝物・トークンと赤の1/1のゴブリン・クリーチャー・トークンを生成する。「魂を喰らう墓」は、接死を持つ黒の4/4の伝説の神・ホラー・クリーチャー・トークンであるアトロパルを生成する。

『イニストラード:真紅の契り』

 

 『イニストラード:真紅の契り』は吸血鬼をテーマにしたセットで、新しいアーティファクト・トークンの「血」が登場した。血トークンは生け贄に捧げることでカードを1枚捨て、カードを1枚引くことができる。このセットには、血トークンの活用方法が他にもたくさん存在する。

 さらに、このセットではトークンの命名方法が変更された。このセット以降、トークンはサブタイプを列挙し、その後ろに「トークン」という単語を付け加えた名前で呼ばれるようになった。例えば、手掛かりというトークンはゲームのルールでは「手掛かり・トークン」と名付けられている。この変更がない場合、《真髄の針》で「血/Blood」を指定することで血・トークンの起動を封じることができてしまう。分割カードの《肉体 // 血流》(Flesh+Blood)が「Blood」という名前を持っているためだ)。

『統率者レジェンズ:バルダーズ・ゲートの戦い』

 

 『統率者レジェンズ:バルダーズ・ゲートの戦い』では、『コンスピラシー:王位争奪』の統治者メカニズムに着想を得たイニシアチブが導入された。イニシアチブを得るたび、あるいはイニシアチブを持っている間のアップキープ開始時、あなたは地底街へと探索に出ることができる。地底街は他のダンジョンと似ている。地底街は宝物・トークンと、威迫を持つ黒の4/1のスケルトン・クリーチャー・トークンを生成する。

『団結のドミナリア』

 

 パワーストーンは、タップするとアーティファクトでない呪文には使えないマナを生み出す(つまり、そのマナはアーティファクトを唱えたり、何らかの能力のコストを支払ったりするのに使える)。パワーストーンは『兄弟戦争』のために作られたメカニズムである。 『団結のドミナリア』の1枚のカードと『団結のドミナリア』統率者デッキの1枚のカードで、パワーストーンのティザーを公開した。

『機械兵団の進軍』

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 『機械兵団の進軍』は、ファイレクシアの物語の終焉を飾る集大成となるイベントであった。多元宇宙の多くの次元を揺るがしたファイレクシアの侵略を象徴するセットであった。ファイレクシアンを表すため、変身する両面カードを用いた。そこからインスピレーションを得て、両面アーティファクト・トークンと培養メカニズムが生まれた。培養メカニズムを持つカードは、培養器・トークンを生成する。培養器・トークンは、一定数の+1/+1カウンターが置かれたアーティファクト・トークンであり、マナを支払うとファイレクシアン・アーティファクト・クリーチャーに変身する。これはトークンに新しいデザイン技術をどのように合体させたかを示す好例である。

『エルドレインの森』

 

 長年に渡りアーティファクト・トークンがデザインを席巻してきた後、ついにエンチャント・トークンの番が来た。『エルドレインの森』では、フレイバー豊かなラベルが付けられた、定義済みのオーラ・エンチャント・トークンである役割トークンが導入された。メインのセットには6つの役割・トークンが存在し、このセットの統率者デッキでは7つ目の役割・トークンが導入された。これほど多くの異なるトークンが存在することは少々困難であることが判明したため、ブースターパックへのトークンカードの封入方法を変更し、出現数を増やすことにした。

『統率者デッキ:Warhammer 40,000』

 

 『統率者デッキ:Warhammer 40,000』では、「分隊」と呼ばれる新しいメカニズムが導入された。これはキッカーのようなメカニズムで、コストを何度でも支払うことができる。分隊を持つクリーチャーが戦場に出たとき、分隊コストを支払った回数分、そのクリーチャーのコピーであるトークンを生成する。

『ファイレクシア:完全なる統一』

 

 『ファイレクシア:完全なる統一』では、『ミラディン包囲戦』の生体武器メカニズムの調整版が導入された。0/0の黒の細菌クリーチャー・トークンとは異なり、《ミラディンのために!》メカニズムは2/2の赤のレベル・クリーチャー・トークンを生成するため、このメカニズムを持つ全てのカードにタフネス強化の効果を持たせる必要がなくなった。クリーチャー・スロットに配置できる装備品を作れるという発想は大きな革新であり、その後も個々のカードデザインで採用され続けていたため、このメカニズムを改良したメカニズムを作ることが継続されているのも当然と言えるだろう。

『指輪物語:中つ国の伝承』

 

 『指輪物語:中つ国の伝承』は、我々が初めて手がけた「ユニバースビヨンド」大型セットだった。このセットでは巨大なオーク軍団を作る必要があった。動員は完璧なメカニズムだったが、オーク・軍団・トークンではなく、ゾンビ・軍団・トークンを生成する能力であることが欠点だった。そこで動員メカニズムを微調整し、軍団のクリーチャー・タイプを自由に選べるようにした。 『灯争大戦』のカードテキストは「ゾンビ動員」に変更した。これは、トークン生成メカニズムがデザインの核心部分となったため、その活用性を最大限に高めることに注力してきたことの表れである。

『イクサラン:失われし洞窟』

 

 『イクサラン:失われし洞窟』では地図・トークンが導入された。これは定義済みトークンのルールテキストに、常緑木でないキーワード・メカニズムが組み込まれた初めてのケースである。地図・トークンは、生け贄に捧げることでクリーチャーに探検を行わせることができる。これはオリジナルの『イクサラン』ブロックのメカニズムである。

 地図・トークンは、トークンにおいて複雑さを積極的に扱う姿勢を示しており、それが『マジック』カードのデザインにどれほど深く根付いているかを示している。ただし、これは注意が必要なデザイン空間であることは認識している。

『Fallout』

 

 『Fallout』ではジャンク・トークンが導入された。これを「衝動的ドロー」で生け贄に捧げると、ライブラリーの一番上のカードを追放し、ターン終了までそれをプレイすることができる。私のTumblrブログでは、プレイヤーからジャンク・トークンの復活を求める声が頻繁に寄せられている。

『モダンホライゾン3』

 

 『モダンホライゾン3』には、次のカードのコピー・トークンを生成できるカードがある。《タルモゴイフ》(《不休のディサ》と《タルモゴイフの巣》)と《呪文喰いの奇魔》(《ラルと暗黙の迷路》)だ。

『ブルームバロウ』

 

 『ブルームバロウ』にはトークン・メカニズムが1つではなく2つある。「新生」は、キッカーのように追加コストを支払うことで、新生を持つクリーチャーの1/1のコピー・トークンを生成するクリーチャー・メカニズムだ。不朽と同様、このセットでは新生クリーチャーそれぞれに対応したトークン・カードを作成している。

 もう一つのメカニズムは「贈呈」で、これは特定のリソースを他のプレイヤーに与えることで、自身のカードを強化する。贈られるリソースは多くの場合、トークンである。このメカニズムを持つカードは、対戦相手に食物、宝物、またはクリーチャー・トークン(最も一般的なのは青の1/1の魚)を贈呈することができる。

『タルキール:龍嵐録』

 

 『タルキール:龍嵐録』は、2つのトークン生成メカニズムがあるセットだ。1つ目はマルドゥのメカニズムの「応召」だ。これはクリーチャー・メカニズムであり、「応召」を持つクリーチャーが攻撃すると誘発し、赤の1/1の戦士・クリーチャー・トークンを複数体生成して攻撃に参加させる。これらのトークンはターン終了時、生け贄に捧げられる。追加ダメージを与えるだけではなくトークンが消える前に、これらを追加のリソースとしてどう使うかを考えるのも楽しいメカニズムである。

 2つ目は、アブザンのメカニズム「闘魂」である。これは『カラデシュ』の製造メカニズムの調整版だ。トークンと+1/+1カウンターの不一致を解消するため、トークンを1体だけ生成する。ただし、そのトークンは通常、大きいサイズとなる(N個の+1/+1カウンターか、N/Nの白のスピリット・クリーチャー・トークンを生成する)。2025年にトークン生成メカニズムを複数持つセットが2つあったという事実は、トークンの影響力がどれほど拡大し続けているかを示している。

『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』

 

 『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』では、ジョブ選択という、装備品を装備したクリーチャー・トークンを生成する新たな装備品メカニズムが導入された。ジョブ選択により、無色の1/1の英雄・クリーチャー・トークンが生成される。このメカニズムのより汎用的な落葉樹バージョンの作成が、すぐそこまで迫っていると考えている。

『久遠の終端』

 

 『久遠の終端』では、新しい定義済みのアーティファクト・トークン「着陸船」が導入された。着陸船を生け贄に捧げることで、あなたのライブラリーから基本土地を1枚探し出し、それをタップ状態で戦場に出す。


トークン努力

 この3週にわたる連載で見てきたように、トークンは『マジック』のデザインにおいて欠かせない存在であり、それが近い将来中に変わることはないと考えている。今回の歴史の振り返りが有意義なものになったことを願っている。いつものように、今回の記事やトークン全般の役割、あるいはここで取り上げた具体的な事例について、感想やフィードバックをメールやソーシャル・メディア(XTumblrInstagramBlueskyTikTok)を通じて(英語で)送ってもらえると幸いだ。

 来週は「マイワード:黒」で、『マジック』の色の黒が語る番である。

 その日まで、たくさんのトークンを生成できますように。


(Tr. Ryuki Matsushita)

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