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開発秘話

Making Magic -マジック開発秘話-

『イクサラン:失われし洞窟』展望デザイン提出文書 その2

Mark Rosewater
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2023年11月13日

 

 先週、『イクサラン:失われし洞窟』の展望デザイン提出文書の公開をはじめた。記事2本分にするのに十分な長さだったので、今日はその2である。先週と同様、これからお見せする内容のほとんどは、私が展望デザインの最後に提出した実際の文書である。枠で囲った部分は、その文書に書かれている事柄について説明する私のコメントである。それでは本題に戻ろう。

 以上の道具を用いて、デザインは2つの異なる領域(戦場と墓地)の色を参照する。後者は資源獲得に直結するので、そちらから始めよう。

墓場の色を参照する

 初期デザインの危険性のひとつは、クールなアイデアに固執してしまう可能性があることだ。私たちは作製をしたかった。我々は、素材空間にマッチする貴重な宝石と作製を結びつけることにした。マジックには、ゲームで最も強力なサイクルである「モックス」の一部として、5つの有名な宝石がある。有名な素材を我々が手がけることで、すべてが一体となった素晴らしい瞬間だと思えたのだ。この一連のメカニズムがうまくいかなかった理由はたくさんあるが(それについては後述する)、そのうちのひとつは、モックスに合わせたいという我々の願望だったのかもしれない。おかげで、我々はセットを必要以上に複雑にすることを余儀なくされたのだ。

 このセットには資源獲得という要素を持たせて地底のフレーバーと結びつける必要があった。我々は元ネタを活かして、宝石を採鉱するというアイデアを採用した。それらは地底で発見されるもので、固有の価値を持っている。プレイテストを重ねた結果、パール、サファイア、ジェット、ルビー、エメラルドの5色の宝石が完成した。これは熱心なプレイヤーにとっていいアクセントとなるだろうし、宝石はそれぞれの色をうまく表現していると我々は考えている。

 

 もうひとつ、私が早い段階から抱いていて、展望デザインに至るまでずっと持ち続けていたアイデアが、カード上のレシピにモックスの宝石のシンボルを使うというものだった。展望デザインにおいて重要なのはクールな要素を作り出すことであり、視覚的なレシピは、これをフレーバー豊かで斬新なものにするために大いに役立つと考えたのだ。

 どうやって宝石を手に入れるのか。その主な方法は、まったく新しいメカニズムである採鉱/mineである。

採鉱と作製
〈パール色の癒し手〉

{2}{2/U}
クリーチャー ― ドレイク
2/2
飛行

採鉱と作製
〈採鉱機〉

{2}{G}
アーティファクト
<エメラルド>:採鉱機がタップ状態になるたび、1点のライフを得る。
{T}:好きな色1色のマナ1点を加える。
{2}, {T}:採鉱を行う。起動はソーサリーとしてのみ行う。(あなたの墓地にあるカード1枚を追放し、対応する宝石を採鉱する。)

〈金の精霊〉

{3}{W}
クリーチャー ― エレメンタル
3/3
<サファイア>:金の精霊は飛行を持つ。
<エメラルド>:金の精霊は警戒を持つ。
{2}, {T}:採鉱を行う。起動はソーサリーとしてのみ行う。(あなたの墓地にあるカード1枚を追放し、対応する宝石を採鉱する。)

〈怪物的モグラ〉

{5}{R}
クリーチャー — モグラ
5/5
トランプル
<ジェット><ルビー><エメラルド>:怪物的モグラは「このクリーチャーがあなたでないプレイヤーに戦闘ダメージを与えるたび、アーティファクトやクリーチャーや土地である1つを対象とする。それを破壊する。」を持つ。
{2}, {T}:採鉱を行う。起動はソーサリーとしてのみ行う。(あなたの墓地にあるカード1枚を追放し、対応する宝石を採鉱する。)

 

 このような文書では、振り返ってみることで執筆時には見えなかった問題点が見えてくることが多い。宝石を直接的なコスト(ルビーは墓地の赤いカード1枚を追放することを意味する)ではなくカウンターにしたことで、このシステムは必要以上に複雑になってしまった。プレイデザインが指摘したように、我々はエネルギーを作ったが、それには5つの変数があった。私は宝石を視覚的に見せる方法を見つけることでセット全体の雰囲気をよりクールなものにできたと信じているが、(完全に後知恵だが)カウンターではなくカード上のコストとしてそれを行うべきだっただろう。

 採鉱はアーティファクトやクリーチャーにつく能力で、それらはすべて(後で述べる)作製強化を持っている。採鉱は、そのカードをタップして自分の墓地にあるカード1枚を追放し、そのカードのいずれかの色と一致する宝石を生成する能力である。例えば、青いカード1枚を追放してサファイヤ1個を採鉱したり、赤緑のカード1枚を追放してルビーかエメラルド1個を採鉱したりできる。カード1枚を採鉱して手に入る宝石は1個だけだが、複数の色がある場合は選択できる。無色のカードは採鉱できない。宝石はすべてカウンターで、プレイヤーが持つことになる。現在の計画では、このセットには『アモンケット』や『イコリア:巨獣の棲処』のようなパンチアウト式のカウンター・カードを採用する予定で、それには盤面の状態を把握するのに役立つ宝石が描かれている(そして見た目もとてもクールだ)。

 

 諸君の何人かが持つであろう質問に答えると、カウンターを使っていたので、両面カードを使わないように努力していた。DFCをサポートする補助員を入れるスロットと、パンチアウトカードを入れるスロットは衝突するのだ。両者はまた、セットの予算のうち同じ「追加要素」の部分でも衝突している。最後に、イクサランはまだこのセットの一部ではなかったので、DFCを使わなければならないというプレッシャーは少なかった。2つの状態を持つカードを使うなら、セットデザインはそれをDFCにすることをいつでも選択できる。舞台をイクサランに変更し、TDFCの裏に土地を持たせたいという要望が、TDFCの作製カードを含めるという選択をより素直なものにしたのだった。

 採鉱能力を持つカードはそれぞれ、作製コストも持っている。作製コストは色宝石で構成され(必要なら不特定マナも必要かもしれないが、今のところは宝石だけである)、1回限りの永続的な強化という点では怪物化とよく似た機能を持つ。作製コストを支払ったら、宝石カウンターをそのクリーチャーの上に置き、それが強化されたことを視覚的に示す。上にあるように、異なる強化にそれぞれ異なる作製コストがかかるデザインもある。それぞれのコストは異なる宝石を使うので、どのコストが支払われたかはそのクリーチャーの上にある宝石を見ればわかる。意図としては、宝石コストには色宝石のシンボルがあるということだ。現在考えているのは、色違いの宝石が与える能力は、その色の曲げの範囲内であり、カラーパイが壊れることはないだろうということだ。

 

 今回も、セットデザインが我々がそのメカニズムをどのように使いたいかを理解できるように、実際の実行を説明した。固有色に関しては新しい空間に足を踏み入れることになるので、統率者戦ルール委員会と話し合う必要があることは承知している。(知らない人のために言っておくと、統率者戦のルールを決めているのはウィザーズではない。)

 コモンでは、すべての作製カードは自分の色の作製宝石コストしか持っていないが(コスト数は様々)、高いレアリティになると、マナ・コストに含まれない色の宝石を持つカードが出てくる。色宝石が固有色を加えることについて、統率者の担当者たちと話し合うことになるだろう。例えば、宝石コストがジェット・エメラルド・エメラルドの緑単クリーチャーは、(デッキに黒のカードがないと強化できないため)黒緑とみなされる。

 

〈一撃の鉱石〉

{1}{R}
ソーサリー
1つを対象とする。一撃の鉱石はそれに2点のダメージを与える。ルビー1個を得る。

 メカニズムをカウンターで表現することを選択すれば、それは他のカードで使えるリソースになる。これも振り返ってみれば、カウンターは使うべきではなかった。

 展望デザイン・チームは副効果として色宝石を出すカードを何枚か作ったが、それが必要かどうかの判断はセットデザインに委ねられる。

 

作製テーブル
〈作製テーブル〉

トークン・アーティファクト
{2}, <宝石>, {T}:生け贄に捧げた宝石の色の1/1のノーム・アーティファクト・クリーチャー・トークン1体を生成する。
<宝石>, <宝石>, <宝石>, {T}:あなたのライブラリーから、生け贄に捧げた宝石の色1色のアーティファクト・カード1枚を探し、公開し、あなたの手札に加える。その後、ライブラリーを切り直す。
{2}, {T}:採鉱を行う。(あなたの墓地にあるカード1枚を追放し、対応する宝石を採鉱する。)
この能力はソーサリーとしてのみ起動できる。

 芳醇さのためにどうしても作製テーブルが欲しかった。カードにするのか、トークンにするのか、何度も試行錯誤した。この文書に関するコメントの多くは自己反省であり、私は自分がどれだけ複雑なセットにしてしまったかを見て少しうろたえている。何が問題だったのか、以下で少し話すつもりだが、過剰な複雑さは何の役にも立たなかった。

 高いレアリティで作製コストを持つクリーチャー(現在は伝説のクリーチャー)の中には、(ダンジョンや統治者の補助カードなどのような)外部のゲーム用具である「作製テーブル」と言うトークン・アーティファクトと一緒に戦場に出るものがある。作製テーブルには3つの機能がある。1つ目は宝石を採鉱すること。2つ目は、宝石1つを、その宝石の色の1/1のノーム・アーティファクト・クリーチャーに変えること。3つ目は、色の宝石3個を、デッキに入っているその宝石の色のアーティファクトに変えることである。これら3つの能力はすべてソーサリーとしてのみ使用できる。作製テーブルが通常高いレアリティでしか現れないのは、リミテッドで大きな悪影響を及ぼすことなく、構築(特に統率者戦)で作製メカニズムを助けるようにデザインされているからである。

 

戦場の色を参照する

 単色混成や色違いクリーチャー・トークンのような様々な道具を使用しているため、戦場に何種類の色のクリーチャーがいるかということも参照することができることに気づいた。前述したように、私たちは「色関連」をこれまでとは違う方向に押し進めることに興味があったので、色関連のメカニズムはすべて、同じ色をたくさん持っていることで利益を得るのではなく、特定の色のパーマネントが1つでもあるかどうかを参照するものにした。この理念から生まれたのが、版図のようなメカニズムを含むいくつかのデザインである。

光明
〈気難しいサラマンダー〉

{2}{2/R}
クリーチャー — サラマンダー
3/2
光明 ― 気難しいサラマンダーが死亡したとき、これは各対戦相手にそれぞれX点のダメージを与える。Xはあなたがコントロールしているパーマネントの中の色の種類数に等しい。

〈分岐した虹〉

{U}
インスタント
光明 ― マナ総量があなたがコントロールしているパーマネントの中の色の種類数以下でありインスタントやソーサリーである呪文1つを対象とする。それをコピーする。そのコピーの新しい対象を選んでもよい。

 光明はクールなメカニズムで、いつか「色関連」をテーマにしたセットを作るとき(マジックは腹を空かせた怪物なので、いずれそうなるだろう)、光明を使うことを検討することになるだろう。版図(基本土地タイプを何種類持っているかを気にする)はとても楽しいし、光明も似たような領域でプレイしているように見えるが、必要とするものはよりリスクの少ないマナ基盤になっている。展望デザインは多くのクールなアイデアを思いついたと思うが、このセットでは意味をなさないものが多かったのだ。28年以上この仕事をしてきたからこそ、私はこうしたクールなアイデアが最終的に居場所を見つけることがわかっている。

 光明は、あなたが戦場に出しているパーマネントの中の色の種類を数えて能力を設定する能力語であり、拡大型になりうる。必要であれば、拡大型ではなく閾値型(「3色以上をコントロールしている場合」)の光明カードを作ることも可能である。光明はあらゆる種類のカードにもたせることができるが、採鉱がパーマネントに寄っているため、呪文に少し使っている。

 

閾値1効果
〈古の偶像〉

{4}
アーティファクト・クリーチャー ― ゴーレム
4/4
あなたが白のパーマネントをコントロールしているなら、古の偶像は警戒を持つ。青なら飛行、黒なら絆魂、赤なら速攻、緑ならトランプルについて同様である。

〈洞窟の乱闘〉

{G}
ソーサリー
あなたがコントロールしているクリーチャー1体を対象とし、あなたがコントロールしていないクリーチャー1体を対象とする。その前者が白なら、ターン終了時まで、その前者は絆魂を得る。その後、その前者はその後者と格闘を行う。

 「色関連」の空間を扱う中で、これも重要な発見だった。拡大型の色効果や、1色のカードすべてに影響を与える効果は、同じ色のカードをたくさん持っていると巨大な効果を得られるため、プレイする色の数を減らすことを促すことになった。「閾値1」の効果(つまり、その色のカードが1枚でもあれば効果が有効になる)は、我々が必要としたタッチを促すことができた。

 我々が「色関連」のセットを作るとき、特定の色のカードに能力を与えるカード(「あなたがコントロールしているすべての青のクリーチャーは飛行を得る。」)をデザインすることがよくある。『Offroading』では、これらのカードはすべて「閾値1」として機能するように、つまり利益を得るためにはその色のカードが1枚あればいいようにデザインされている(「あなたが青のパーマネントをコントロールしているなら、あなたがコントロールしているすべてのクリーチャーは飛行を得る。」)。つまり、この種のカードは呪文にする必要があり、パーマネントにするなら自身と違う色を参照するようにする必要がある。

 

最後のメカニズム的道具

 このセットに取り入れたいと思ったもう一つの側面は、採掘する/digというアイデアだった。地底世界の人気のある素材のひとつに、発見という要素がある。世界には見つけるべきさまざまな宝物があり、採掘はその発見の手段なのだ。探しているものがどのようなものなのか、結果を知らない状態で探せるメカニズムが欲しかった。それでライブラリーにたどり着いた。墓地には地底に関する素晴らしいフレーバーがたくさんあるが、隠された情報は存在しない。最終的に我々がたどり着いたのは、カードの流れを提供しつつ、採鉱と組み合わせて特定の宝石を見つけることができるようにするメカニズムだった。

採掘
〈用心深い守護者〉

{5}{W}
クリーチャー ― 巨人
3/6
警戒
採掘{1}{W}({1}{W}, このカードを捨てる:諜報1を行い、その後、カード1枚を引く。)

〈大地の子守歌〉

{3}{U}{U}
ソーサリー
クリーチャー最大2体を対象とする。それらをオーナーの手札に戻す。
採掘{1}{U}({1}{U}, このカードを捨てる:諜報1を行い、その後、カード1枚を引く。)

 採掘につながったフレーバー的需要は、最終版では発見によって満たされることになる。舞台をイクサランにすると決めた時点で探検を追加することになったが、発掘と探検は似すぎていた。採掘はいい潤滑的メカニズムで、「リソースとしての墓地」をテーマにしたセットではうまく機能するだろうと思ったのだ。

 採掘はサイクリングと諜報を組み合わせたものである。採掘では、マナを支払って手札のカードを捨て、それによって自分のライブラリーの一番上にあるカードを見て、それを墓地に置くかどうかを選び、その後、カード1枚を引くことができる。採掘はサイクリングの汎用性をすべて備えており、さらに採鉱のために特定の色のカードを自分の墓地に送るための2種類の方法になるという利点もある。我々は、このメカニズムが必要なフレーバーの豊かさだけでなく、カードの流れやシナジーもセットに加えると考えている。

 

結論

 先行デザイン・チームと展望デザイン・チームが(クリエイティブ・チームと一緒に)地底を中心にしたセットを作製したことを、私はとても誇りに思っている。このジャンルの他のゲームの面白さの本質を捉えた、魅力的な世界を作る方法を見つけたと思う。いつものことだが、セットデザイン・チームが我々の描いた展望をもとにどんなことをやってくれるのか楽しみでならない。この文書に書かれていること(あるいは書かれていないこと)について何か質問があれば、私に話してほしい。

 ご清聴に感謝する。

マーク・ローズウォーター

 終わりにする前に、少し自己反省をしよう。展望デザイン提出文書から完成品が大きくかけ離れているのはなぜか? その答えは大きく2つある。

理由1:イクサランに変更した

 舞台を変えることを選んだ時点で、セットにはイクサランらしさを感じさせる義務があった。そう、これは背景セットであり、元の『イクサラン』ブロックの核となるメカニズムを繰り返すものではなかったが、それでもセットの次元を共有しているように感じさせる必要があった。これにより、探検、変身する両面カード(TDFC)、恐竜タイプ系などのメカニズムが押し込まれることになる。これらを追加したことで、波及効果がもたらされることになる。

 (同じセットに採掘と探検を入れたくなかったので)近すぎるものを押し出したり、(伝説の土地への変身を再現するTDFCがあるなら、作製メカニズムもそれを使ったほうがいいので)統合を強要したり、衝突を引き起こしたりした。『イクサラン』ブロックはタイプ系テーマで最もよく知られていた。数を減らしていたとはいえ、恐竜はドラフトのアーキタイプとして、他の3種はより広い構築フォーマット用に高いレアリティで必要だった。そのクリーチャー・タイプを参照することは、色関連と似ているが方向性が異なるため、構造的に少し衝突することになる。例えば、あるカードが恐竜にボーナスを与え、別のカードが赤のクリーチャーにボーナスを与えるというのは奇妙だろう。これでは、盤面の状態を把握するのが複雑になってしまう。

 最大の問題はデザイン空間の問題だった。テーマの余地は限られている。我々が作ろうとしているものの核心であることから、主要テーマは地底でなければならなかった。展望デザインは色関連を副次的テーマに選んだが、次元がイクサランになってからはイクサランらしさが新しい副次的テーマになった。両方を入れる余地はなかったので、色関連は押し出されることになった。

理由2:十分に強力な予備プランがないまま、少し大胆すぎた

 私は、クールなアイディアがあったのでこのセットをリードした。そのため、私率いるデザインチームは大鉈を振るった。それこそが、展望デザインがやるべきことなのだ。しかし、我々は2、3のミスを犯した(ここで言う「我々」とは、私がチームを率い、これが私の展望であったため、本当は「私」のことである)。

ミス1:構造が複雑すぎた

 5種類のカウンター(その前は5種類のアーティファクト・トークン)を使うのは多すぎた。工程が多すぎて、プレイデザイン・チームがバランスを取るのは不可能に近い。色関連というテーマは、それ単体ではおそらく問題ないだろうが、このシステムに加わると大変なことになる。例えば、単色混成マナを使った経験は豊富ではないので、セットデザインやプレイデザインにかなりの時間を要しただろう。我々が取り組んでいた核となるアイデアは良かったが(そして作製の最終バージョンは、我々がやっていたことの基本的な型に沿ったものだった)、やりすぎだった。

ミス2:部品の相互接続が強すぎた

 セットデザインでファイルを構築する際、メカニズム的にやり過ぎたとわかったら、まず最初にデザインの一部を削除する。我々はほとんどの部品を、削除することが難しくなるような形で組み合わせていた。ここでも、我々は、自分たちの下流にいる人たちが調整するのが難しくなるような形でセットを作っていたのだ。

ミス3:代替案を作らなかった

 この3つのミスのうち、これが最大のミスだ。展望デザインは冒険的であっても構わない。実際、私はすべての展望デザイン・チームに、大きく考えるよう求めている。しかし、我々の最も重要な責任は、後続のチームが彼らの仕事をこなせるようにすることだ。大胆であることの中には、大胆なことがうまくいかなかった場合の計画を持つことも含まれているし、普段はそうしている。舞台裏で、私はやるべきことよりも少し多くのことをこなしており、ここでボールを落としてしまっただけなのだ。私は舞台裏の工程を共有して、セットを作るときに何が起こっているのかを知ってもらうのが好きだ。これが私のしくじりだ。この展望デザインの結果、我々は代替案を成果物とするよう変更した。つまり、展望デザイン・チームは正式に代替案を提出しなければならなくなったのだ。

 エリック・ラウアー、ジュール・ロビンス、そして彼らが率いるセット・デザイン・チームが、イクサランに適合させ、我々の目標をメカニズム的に機能する形で表現し、このセットを機能させる方法を考え出したことに拍手を送りたい。この展望デザイン提出文書が、物事が常に計画通りに進むとは限らないこと、そして30年間セットを作り続けていても、不都合なことがあることを明確にする助けとなることを願っている。

 

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 これで、この文書を見終わった。2週間に渡る『イクサラン:失われし洞窟』展望デザイン提出文書を楽しんでもらえていれば幸いである。いつもの通り、この記事や『イクサラン:失われし洞窟』に関する意見を、メール、各ソーシャルメディア(X(旧Twitter)TumblrInstagramTikTok)で(英語で)聞かせてくれたまえ。

 それではまた次回、『イクサラン:失われし洞窟』のカード個別のデザインの話を始める日にお会いしよう。

 その日まで、あなたが『イクサラン:失われし洞窟』 を楽しく探検できますように。

(Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru)

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