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開発秘話

Making Magic -マジック開発秘話-

ストーム値:『エルドレインの王権』~『ストリクスヘイヴン:魔法学院』 その1

Mark Rosewater
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2022年12月19日

 

 何年も前に私のブログ(TumblrでやっているBlogatog)で、特定のメカニズムその他のものが本流のセット(スタンダードで使えるもの)に再登場する可能性を予測する楽しい方法としてストーム値を作り出した。スタンダードでの再登場する可能性が低いストームというメカニズムにちなんで、それをストーム値と名付けたのだ。ストーム値が好評だったので、この「Making Magic -マジック開発秘話-」でも何度も取り上げている。

 この記事では、2年分の本流のセット、『エルドレインの王権』『イコリア:巨獣の棲処』『ゼンディカーの夜明け』『カルドハイム』『ストリクスヘイヴン:魔法学院』(1つ前のストーム値の記事で扱った『テーロス還魂記』は入っていない)を振り返る。ストーム値は1から10まであり、おそらく再録されるであろうメカニズム的要素が1、まず再録されないであろうメカニズム的要素が10である。値それぞれの意味は以下の通りだ。


 次のセットででも再び使われることになるのは間違いない。

例:飛行、接死、占術


 再び使われることになるのは間違いないが、すぐとは限らない。

例:キャントリップ、混成マナ、両面カード


 おそらく今後何回も使われることになるだろう。

例:サイクリング、フラッシュバック、上陸


 今後も使われることになるだろうが、確実と言えないような問題がある。

例:変異、キッカー、賛美


 再録するのにふさわしい場所を探す必要があるが、私は可能性が高いと思っている。

例:進化、怪物化、陰鬱


 再録するのにふさわしい場所を探す必要があるが、私は可能性が高いとはあまり思っていない。

例:貪食、忍術、生体武器


 再録されるとは思われないが、ふさわしい環境があれば再録はあり得る。

例:氷雪マナ、回顧、刹那


 再録されるとは思われないが、もしかしたらあり得る。

例:マッドネス、エコー、待機


 ありえないとは言わないが、ちょっとした奇跡が必要。

例:フェイジング、スレッショルド、激突


10

 ありえないとは言わないが、かなりの奇跡が必要。

例:ストーム、発掘


 次に、メカニズムのストーム値を決めるために私が使っている5つの分類について説明しよう。

人気

 プレイヤーがこのメカニズムを好きだったかどうか。プレイヤーが好きなものは、再録される可能性が高い。そうでなければ、再録される可能性は低い。これは「楽しかったか」という質問が大きな基準になる。この評価は以下の4段階になる。

  • 大好評 ― 市場調査で、史上すべてのメカニズムの中で上位25%に含まれているメカニズム。なお、これらの評価は現在のメカニズムと史上すべてのメカニズムとの比較になる(市場調査はずっと以前から始めていたのだ)。従って、上位に入るのは難しい。
  • 好評 ― 市場調査で、平均以上で上位25%には至らなかったもの。
  • 普通 ― 市場調査で、平均以下で下位25%には至らなかったもの。ただし平均としてかなり好かれるようにしているものなので、平均以下といってもプレイヤーの多くが嫌っているわけではなく、それ以上に好かれているメカニズムがあるというだけである。この分類に入ったからといって再録の可能性が下がるわけではない。
  • 不評 ― 市場調査で、下位25%のメカニズム。この区分に入ったものは、再録の可能性は低くなる。
デザイン空間

 このメカニズムで作れるカードの枚数にどれぐらい余裕があるか。それ以上カードを作ることができなければ、どれだけのプレイヤーが好んでいようと、どれだけデベロップしやすかろうと関係ないので、デザイン空間は重要である。この評価は以下の3段階になる。

  • 広大 ― このメカニズムには非常に広大なデザイン空間がある。何度でも再録できて、新カードを作る上での問題はない。
  • 中等 ― このメカニズムにはいくらかのデザイン空間があり、簡単に再録はできるが何度でもというわけにはいかない。
  • 狭小 ― このメカニズムはこのセット内でデザイン空間の限界に来ている。再録したときに充分なカードをつくるのは難しい。
多用途性

 このメカニズムと他のメカニズムの相性はどうか。このメカニズムには多くの前提が必要か、それともサポートはほとんどいらないか。言い換えると、このメカニズムによってデザインは簡単になるか難しくなるか。この評価は以下の3段階になる。

  • 柔軟 ― このメカニズムは使用が簡単で、サポートはほとんど必要なく、他のメカニズムと容易に相互作用する。
  • 普通 ― このメカニズムは多少使用が難しく、いくらかのサポートが必要で、他のメカニズムと絡むのに問題がある。
  • 硬直 ― このメカニズムの使用は難しく、かなりの前提が必要となり、他のメカニズムと混ぜるのには明確な問題がある。
デベロップ/ブロック/プレイデザイン

 このメカニズムのコスト付けがどの程度難しいか。バランスを取るのは難しいか。このメカニズムを仕上げるのが簡単かどうか。この評価では、メカニズムをデベロップしてバランスをとる難易度を見ている。この評価は以下の3段階になる。

  • 問題なし ― デベロップが簡単。プレイデザインが乗り越えるべき大きな問題はない。
  • 普通 ― プレイデザインが、テストやデベロップにおいて特別の注意が必要な問題が存在する。ほとんどのメカニズムはこの分類に当てはまる。
  • 問題あり ― プレイデザインにとっての、大きな課題が存在する。テーマに立ち返り、構築にあまり影響を与えない方向に方向転換しなければならないこともありうる。
プレイアビリティ

 このメカニズムの働きや他のメカニズムとの相互作用を、プレイヤーが理解する上で問題があったかどうか。このメカニズムを使う上で物質的な問題はなかったか。記憶上の問題はなかったか。プレイ上の手助けは必要ないか。この評価はメカニズムをプレイする上での障壁があったかどうかを見るものである。評価は2段階になる。

  • 問題なし ― プレイする上で問題はなかった。
  • 問題あり ― プレイすることに影響するような問題が存在した。

 定例通り、ここで私はストーム値が単なる私の意見であり、楽しみのためのものであり、物事を予測する上で将来の情報は使っていないということを強調しておく。例えば、あるメカニズムが2年後に再録されると知っていたとしても、その情報を用いずに予測は行なう、ということである。

 これを踏まえて、メカニズムの値付けを始めることにしよう。


一徹(『エルドレインの王権』)

人気:不評

 一徹はぎりぎり下4分の1だったが、人々はこれに苦しめられたわけではないと言える。これは役馬メカニズムであり、リミテッドで少しだけ意味を持ったが、構築ではほとんど意味を持たなかったのだ。これが再登場したとしてもほとんどのプレイヤーは怒らないだろうが、求めている人も非常に少ない。これまでに再登場について聞いてきたプレイヤーは少数だけだ。

デザイン空間:中等

 これを持つカードが作れないからではなく、これと相性のいいカードを作るのが少しばかり難しいために、一見したよりも実際のデザイン空間のほうが狭い類のメカニズムである。また、これには難しい「デルタ」がある。デルタは、カードの2つの状態の間のパワーレベルの差を表す開発部語である。一徹は成立させるのが少しばかり難しいので、デルタは大きくなり、そのためにデザイン空間が少し小さくなるのだ。効果に数が入っていれば問題ないのだが、数に基づいたものでなければ難しい。

多用途性:普通

 このメカニズムは、単色テーマを持つセットでしか使えず、その頻度は決して高くない。とはいえ、このメカニズムは、他の多くのメカニズムに比べて、必要なマナ基盤以外にはそれほど必要なものはなかった。

デベロップ/プレイデザイン:普通

 今回、この分類についての解説については、プレイデザイン・チーム責任者のアンドリュー・ブラウン/Andrew Brownに聞いている。アンドリューいわく、一徹には3つの課題がある。1つ目に、うまくテストするためのマナ基盤が必要である。単色テーマでのマナ基盤は、一見して思うよりも難しいのだ。2つ目に、多色のデッキで一徹を持つカードが働くようにすることはかなり難しい。3つ目に、デルタが大きいのでバランス調整が難しい。

プレイアビリティ: 問題なし

 ルール上の問題や記憶上の問題、実装上の問題はなく、外部のプレイ補助具も必要ない。

ストーム値:7

 このメカニズムへの最大の逆風は、それほどファンがいないということだ。課題は少々あるが、必要なら不可能なものではない。これが再登場するとしたら、必要な役割をこれが果たすような単色テーマのセットでだろう。


出来事(『エルドレインの王権』『統率者レジェンズ:バルダーズ・ゲートの戦い』)

人気:大好評

 出来事は、全期間を通して最も好評なメカニズムの1つである。プレイヤーはこれが大好きなのだ。(一般的に、基本的に2つの呪文であるカードは人気が高い。)

デザイン空間:広大

 出来事は、デザイン的に、非常に制限のないメカニズムである。『エルドレインの王権』ではクリーチャーだけだったが、『統率者レジェンズ:バルダーズ・ゲートの戦い』が示した通り、どのパーマネントにも持たせられる。出来事を持つカードは面白い物語を伝えることが望ましいだが、伝えるべき物語にはいろいろな形がある。デザイン的に最大の制限は、特に出来事呪文において、ルール文の量が限られることである。

多用途性:普通

 出来事を持つカードはどのセットにでも入れることができるが、デザイン的に溶け込んだものにしたいと考えるなら出来事を参照するカードなどの構造的サポートが必要となる。

デベロップ/プレイデザイン:普通

 アンドリューいわく、出来事を持つカードのバランスを取るのは難しいと言うより時間がかかるものである。扱う数字は多い。(このメカニズムには我々が「ツマミ/knob」と呼んでいる、カードのバランスを取るために調整できる数字などが多い。)プレイデザイン上の最大の課題は、展望デザイン上やセットデザイン上のものと同じで、ルール文の量が限られているため、効果を調整できる方法が限られることである。

プレイアビリティ: 問題なし

 出来事にはいくらかのルール上の障害があったが、幸いにもそう頻繁ではなかった。プレイ補助具は必要ないが、その呪文が追放領域にあって唱えることができるということを覚えておく必要があり、わずかな記憶上の問題になる。境界線上だが、私は「問題なし」と評定した。

ストーム値:3

 これはプレイヤーが大好きな大当たりのメカニズムである。デザイン上にはわずかな手間になるが、扱えないものは何もない。これはおそらく何度も再登場するメカニズムになるだろう。


食物・トークン(『エルドレインの王権』『統率者2021』『モダンホライゾン2』『ニューカペナの街角』『Unfinity』)

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人気:普通

 食物・トークンは上半分と下半分の中間点よりわずかに下に位置している。プレイヤーはこのトークンのフレイバーは好きだが、大好きとか大嫌いというわけではないようだ。

デザイン空間:広大

 アーティファクト・トークンはさまざまなものの副産物にできるのでデザインしやすい。食物・トークンは可能な限りフレイバーに富んでいるべきであり、そのためにデザインに少しの縛りは生じるが、デザイン空間が減るというわけではない。

多用途性: 柔軟

 ライフを得ることはかなり汎用的なので、食物・トークンを有意義にすることはまったく難しくない。

デベロップ/プレイデザイン:普通

 ライフを得ることを無思慮に扱えばゲームプレイが低速化するので、プレイデザインはただゲームにライフを加えるだけにならないようにしなければならない。そのため、食物・トークンの別の使い方があるようにするのが普通で、プレイデザイン的な難しさが生まれる。セット内の数が増えれば、バランスを取るのは難しくなる。

プレイアビリティ: 問題あり

 食物・トークンはトークンなので、プレイヤーは表す手段を準備しなければならない。しかし、それ以外は直接的である。

ストーム値:2

 食物・トークンは非常にフレイバーに富んでいるので、多くのセットにぜひ入れたくなる。これは落葉樹にしているので、今後も何度も再登場することだろう。トークンのコスト(セット内に存在するトークンを作らなければならないこと、クリーチャーでないトークンに伴う意識空間)のためにこれを入れる前には再考が必要だが、だからといって登場頻度がそれほど堕ちるとは思わない。


相棒(『イコリア:巨獣の棲処』)

人気:不評

 相棒は、我々が評価を初めて以来最低評価のメカニズムの1つである。その理由には、我々がバランス調整を間違い、ほとんどあらゆる構築フォーマットに渡る問題を引き起こしたことが含まれる。

デザイン空間:狭小

 相棒には、基柱にしたくなるような効果が必要で、かつ対戦相手から見て制限に従っていることがわかるようでなければならない。『イコリア:巨獣の棲処』で10個作ったが、これで可能な空間はほぼ使い切っており、このメカニズムにどれほど空間が残っているかは疑わしい。

多用途性:普通

 相棒には構造上必要なものはあまりないが(1枚だけセットに入れることも可能である)、通常、特に、リミテッドに影響を与えるアンコモンに何かを作る場合、セット内のものには何らかのサポートがあるようにしたいものである。

デベロップ/プレイデザイン:問題あり

 パワーレベルの問題でメカニズムそのものを取り消す必要があることはありえないので、これが問題のあるメカニズムであることの何よりの証となる。アンドリューはこのメカニズムについて2つ大問題があると言う。1つ目が、プレイヤーが無数にいる現実世界でははるかに効率的なデッキ構築がなされること、そして2つ目が、このメカニズムには監視すべき変数が多すぎることである。これは我々が作ったメカニズムの中で最もバランスを取るのが難しいものの1つである。

プレイアビリティ: 問題あり

 ルール上の問題、記憶上の問題、実行上の問題がある。対戦相手に、相手のデッキに何が入っているかを監視しなければならないと感じさせる。これは負荷が多いメカニズムである。

ストーム値:9

 相棒には10をつけるべきかもしれない。人気がなく、デザイン空間が狭く、バランス取りが難しい。しかし、何度も尋ねられたメカニズムである。(点数付けは大衆全体の関心を表しているつもりだ。)そして、最高の機会が訪れたなら、これについて検討はすると信じている。


サイクリング(『ウルザズ・サーガ』ブロック、『オンスロート』ブロック、『時のらせん』ブロック、『アラーラの断片』ブロック、『アモンケット』ブロック、『モダンホライゾン』『イコリア:巨獣の棲処』『ニューカペナの街角』)

人気:好評

 サイクリングは時とともに評価を落としている人気のメカニズムだが、その理由はプレイヤーが嫌っているからではなく一般的になっているからである。もはや魅力的な新しいものではないのだ。とはいえ、プレイヤーはこれを見たら喜んでいる。ここで、市場調査はメカニズムの全体的な感じを使うのにはいい道具だが、プレイヤーが楽しんでいるかどうかの指標にはならないという問題があることを指摘しておこう。

デザイン空間:広大

 サイクリングは、考えられる限りでもっとも広大なデザイン空間を持つ。あらゆるカード・タイプにつけることができ、さまざまな調整が可能である。新しいサイクリング・カードをデザインする限界について心配したことはない。

多用途性: 柔軟

 サイクリング・カードをセットに1枚だけ入れることも、プレイヤーが基柱とするテーマにすることもできる。非常に有用でどんなデザインにも加えられるので、デザイナーはサイクリングが大好きだ。

デベロップ/プレイデザイン:普通

 『イコリア:巨獣の棲処』でのサイクリング{1}の実験から、サイクリングでバランス上の問題を起こすことは可能だとわかった。良い知らせは、我々がこれをよく使っているので、他のゲームの要素とどう相互作用するかについて非常によく理解できているということである。

プレイアビリティ: 問題なし

 ルール上の大問題も、記憶上の問題も、実行上の問題もなく、プレイ補助具も必要ない。サイクリングを使うのは簡単だ。

ストーム値:3

 『ニューカペナの街角』で、我々はサイクリングは落葉樹になった。。ほとんどの落葉樹メカニズムがそうであるように2にすることも考えたが、落葉樹であるこのキーワードや能力語メカニズムを3に留めることにした。これはサイクリングを平均的にデザイン道具と呼ぶ中でもっとも頻繁に使うとは思わないからである。


変容(『イコリア:巨獣の棲処』)

人気:普通

 変容は非常に賛否両論である。好きなプレイヤーは大好きだが、単純にファンではないプレイヤーが多い。(複雑なメカニズムで奇妙なルール上の相互作用があるからだろう。)

デザイン空間:中等

 変容は、多くの可能性を持つがいいゲームプレイにつながるものはかなり少ないメカニズムの好例である。将来のセットで、少し異なる方向性で使うことができる充分な広さのデザイン空間がある。

多用途性:硬直

 セットに1枚だけ変容カードを入れることはできない。かなりの下敷きが必要であり、すべての変容カードが変容を持たないカードとどう相互作用するかを考慮しなければならない。

デベロップ/プレイデザイン:普通

 このメカニズムをアンドリューが「問題あり」としなかったことにもっとも驚かされた。彼いわく、変容カードを作る上で最大の問題は、それをリミテッド環境の「生物圏」で扱うことではなく(それは私が想定したほど難しくない)、変容を意識せずにデザインされた前後のセットのすべてのものと相互作用するようにすることなのだ。もう1つの大問題は、ちょっとしたルール上の悪夢であり、これによってあらゆる奇妙な相互作用が起こりうる。(もちろん、それは他のセットのカードとうまく働くようにする難しさに関連している。)

プレイアビリティ: 問題あり

 変容は、これまでの中でルール上もっとも複雑なメカニズムの1つである。多くのプレイヤーが嫌うのは、単純に、様々な実際の状況でどう働くかが理解できないからである。

ストーム値:7

 説得が難しいメカニズムなのでもう少し高い値にすべきだったかもしれないが、ファンには人気が高いメカニズムであり、常々聞かれているものでもあるのだ。私はこれを入れるべき場所を求めているが、同時に簡単な話ではないとわかっている。(イコリアへの再訪以外では。)


キッカー(『インベイジョン』ブロック、『時のらせん』ブロック、『ゼンディカー』ブロック、『ドミナリア』『モダンホライゾン』『モダンホライゾン2』『ゼンディカーの夜明け』『団結のドミナリア』)

人気:普通

 キッカーは、サイクリング同様、時とともに人気が下がっているが、それはこのメカニズムが嫌われているからではなく当たり前になっているからである。

デザイン空間:広大

 キッカーにはおそらくマジック全体よりも膨大なデザイン空間がある。あらゆるカード・タイプに持たせることができ、汎用性も高い。キッカーに関する最大の懸念は、キッカーでできることが何かではなく、キッカーが他のメカニズムの範囲に踏み込んでしまわないかである。これまでの記事やポッドキャストで、完全に後知恵であるが、キッカーをこれほど広いメカニズムにせず、新しいメカニズムが「ただのキッカーじゃないか」とユーザーに言われないように小分けにすべきだったと語っている。

多用途性: 柔軟

 キッカー・カードをセットに1枚だけ入れることも、軸にしたテーマを作ることもできる。キッカーはもっとも柔軟なメカニズムなのだ。

デベロップ/プレイデザイン:問題なし

 アンドリューの言葉を借りれば、「簡単です。キッカーです。」

プレイアビリティ: 問題なし

 ルール上の問題も、記憶上の問題も、実行上の問題もなく、プレイ補助具も必要ない。簡単です。キッカーです。

ストーム値:3

 キッカーは使いやすくプレイ感も素晴らしい。何度も何度も使うことだろう。


上陸(『ゼンディカー』ブロック、『戦乱のゼンディカー』ブロック、『ゼンディカーの夜明け』)

人気:普通

 サイクリングやキッカーで言ったのと同じである。上陸は初登場時は大人気だで、今も充分好かれているが、プレイヤーが見慣れてきた頃で少しずつ評価が下がっている。(これの初期の評価は史上最高だったと書き添えておこう。)

デザイン空間:広大

 サイクリングやキッカーには比ぶべくもないが、それでも広大だ。あらゆるカード・タイプにつけることができるが(ただしまだソーサリーにつけたことはない)、パーマネントでもっともよく作用する。

多用途性:普通

 上陸は、この点では、サイクリングやキッカーと異なる。これには少しばかりの構造的サポートが必要である。通例、上陸があるセットでは上陸を誘発させる方法が増えている。また、土地をプレイすることに焦点を当てると、デザインの他の部分にも影響が及ぶ。例えば、マナが増えることになり、通常以上のマナ消費先が必要となる。

デベロップ/プレイデザイン:問題なし

 上陸カードを作るためにかなりの時間を費やしてきたので、プレイデザインは上陸カードと他のカードの相互作用について細部まで理解している。

プレイアビリティ: 問題なし

 土地がプレイされることについて注意する必要はあるので、これをどう評価するかは考慮した。幸いにも、注意することが難しいものではない。

ストーム値:3

 上陸も落葉樹に格上げになっているが、落葉樹のキーワードや能力語を3に留めることに決めた。

「ストーム値あり」

 まだ完了まで程遠いと気づいたときには途中だったので、この記事を2部作にすることにした。その2は新年、2023年1月3日に公開となる。いつもの通り、今日の記事や私の評価に関する諸君の反響を楽しみにしている。メール、各ソーシャルメディア(TwitterTumblrInstagramTikTok)で(英語で)聞かせてくれたまえ。

 それではまた次回、その2でお会いしよう。

 その日まで、あなたが楽しい年末年始を過ごせますように。

(Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru)

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