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Making Magic -マジック開発秘話-
『ニューカペナの街角』の言葉 その1
2022年4月18日
先週と先々週で、『ニューカペナの街角』のデザインの話をした。(その1、その2)。そこで今日は、カード個別のデザインの話を始めることにしよう。今回の記事では、5枚のカード、魔除けに関する話1つをするが、今後数週間にわたっていろいろな話をする予定である。
ファミリーの魔除け
魔除けは、モードを持ち3つの効果の中から1つを選ぶことができる3色のアンコモンのサイクルである。魔除けはマジックにおいて長い歴史を持つ。最初に作られたのはマジックがまだ発売される前、いつか拡張が必要となることに備えて最初のプレイテスターのチーム(ビル・ローズ/Bill Rose、ジョエル・ミック/Joel Mick、チャーリー・カティノ/Charlie Catino、ドン・フェリス/Don Felice、ハワード・ハーレンベルグ/Howard Kahlenberg、エリオット・シーゲル/Elliott Siegel)がデザインした、『Menagerie』というコードネームのセット(後に『ミラージュ』、『ビジョンズ』として印刷された)の一部としてだった。周知の通り、誰もマジックが成功するかわかっていなかったが、誰もが楽観的だった。そこでリチャードはさまざまなプレイテスト・チームにセットのデザインを依頼していたのだ。(他に、後に『アイスエイジ』となる『Ice Age』と、『インベイジョン』に版図メカニズムなどとして組み込まれることになる『Spectral Chaos』があった。)
魔除けは、このチームが1マナを支払うには小さすぎる興味深い効果があることに気づいたことから作られた。それらの効果3つの中から選べるという柔軟性で、カード1枚に値する価値を持たせられたのだ。『ミラージュ』と『ビジョンズ』にはそれぞれコモンの単色のサイクルがあった。それらはプレイヤーの間でも開発部でも人気だったので、魔除けは何度も再登場することになった。私はこれのことを落葉樹と呼びさえしている。(「落葉樹」について詳しくは数週前の記事を参照のこと。)
次に魔除けが登場したのは『プレーンシフト』で、弧3色(色1色とその友好色2色)のアンコモンのサイクルだった。それに続いたのが、『オンスロート』の単色魔除けの3つ目のサイクルである。その後、単色魔除けの4つ目のサイクルは『次元の混乱』で、このセットのもう1つの現実のカラー・パイを使ったものだった。『アラーラの断片』では、2セット目の孤3色の魔除けが、こちらもアンコモンで作られた。『ラヴニカへの回帰』と『ギルド門侵犯』には、2色の魔除けの10枚サイクルがあった。『タルキール覇王譚』には、初となる楔3色(1色とその敵対色2色)のアンコモンのサイクルが登場した。そして、『ニューカペナの街角』に到る。
新しい3色陣営のセットを作るので、3つ目となる弧3色の魔除けのサイクルを、今回もアンコモンに作るのが当然だと考えた。3色の魔除けはデザインが単純である。3色それぞれについて効果を1つずつ作るのが普通だ。魔除けをデザインする上での大問題は、さまざまな魔除けの効果をそれぞれ独自のものにしなければならないことである。魔除けの1つが青の効果として打ち消し呪文を使ったなら、他の魔除けの青の効果を打ち消し呪文にすべきではないのだ。つまり、5枚いっしょにデザインしなければならないということである。1枚変更すると、多くの場合その影響が波及してしまうことになる。
魔除けは伝統的に、可能な限り軽くなっている3色の魔除けなら、コストは3マナ、MNO(開発部語で各色1点のこと)が通例である。また、効果を使いやすくするため、インスタントにしている。そして、いろいろな状況で使えるように、各モードが十分異なるようにすることも考慮しなければならない。陣営の魔除けにあるもう1つの課題は、効果全体としてそのカードが雰囲気とゲームプレイの両面でその陣営にふさわしいものになるようにすることである。また、理想的には、すべてのモードが使われるものであり、実質的に1つのことしかしないカードにならないことが望ましい。つまるところ、魔除けをデザインすることは複雑な試みなのである。さて、それではこのセットの魔除け5枚のデザインそれぞれについて見ていこう。各ファミリーの中央色にもとづいて、WUBRG順で進めていく。
《斡旋屋一家の魔除け》
まず最初に、白が中心のファミリー、斡旋屋一家から始めよう。
〈力の魔除け〉(バージョン#1)
{G}{W}{U}
インスタント
以下から1つを選ぶ。
・クリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、それは+3/+3の修整を受けトランプルを得る。
・タップ状態のクリーチャー1体を対象とする。それを破壊する。
・あなたがコントロールしていないクリーチャー最大2体を対象とする。それらをタップする。それらは、次のコントローラーのアンタップ・ステップにアンタップしない。
印刷されたカードでは、そしてプレイテスト版のほとんどでは、モードはマナ・コストに出てくる色の順番で書かれている。《斡旋屋一家の魔除け》の場合、1つ目の効果が緑の効果、2つ目の効果が白の効果、3つ目の効果が青の効果になる。この最初のデザインは、デザインに求められる幅の広さをよく示している。緑の能力は攻撃的でクリーチャー中心、白の能力は起こりうる問題への対策、青の能力はテンポを助け、脅威に一時的に対策できる。このカードに関して言えば、複数枚あった場合にはモード同士でコンボにもなる。青の効果で止めたクリーチャーを、白の効果で破壊できるのだ。(通常、3色の魔除けを複数枚組み合わせることはあまり考慮しない。)これらの3つの能力は、どれもこの魔除けにも他の魔除けにも採用されていないことに注意。
〈強察屋一家の魔除け〉(バージョン#2)
{G}{W}{U}
インスタント
以下から1つを選ぶ。
・あなたがコントロールしているクリーチャー1体と、それでないクリーチャー1体を対象とする。その前者の上に+1/+1カウンター1個を置く。その前者はその後者と格闘を行う。
・エンチャント1つを対象とする。それを追放する。
・クリーチャー最大2体を対象とする。それらをタップする。それらは、次のコントローラーのアンタップ・ステップにアンタップしない。
魔除けのデザインでもう1つよくあることが、反復工程ごとに激しく変化することがあるということである。今回の場合、第1バージョンと第2バージョンの間で共通なのは青の効果だけである。効果が重複しないようにするため、クリーチャー除去のモードは1つだけに定めている。(魔除けが構築で使われるようにするため、モードの1つは何らかの形で永続的にクリーチャーに対処できるものにすることが通例である。)そのため、緑の効果を巨大化から格闘にしたことで、白のモードを変えなければならなかったのだ。エンチャント破壊は、魔除けで輝くモードの好例である。カードとして作るには狭すぎることが多い対策だが、状況によっては非常に有効となる。
さまざまなバージョンを試しているうちに次第に必要なモードが見つかっていくことは、魔除けのデザインではよくあることなのだ。この白のモードは次の反復工程で変更されるが、最終的に印刷されたカードに採用されている。
《斡旋屋一家の魔除け》(バージョン#3)
{G}{W}{U}
インスタント
以下から1つを選ぶ。
・あなたがコントロールしているクリーチャー1体と、対戦相手がコントロールしているクリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、その前者は+1/+0の修整を受ける。それは自身のパワーに等しい点数のダメージをその後者に与える。
・プレインズウォーカーでないパーマネント1つを対象とする。それの上に盾カウンター1個を置く。
・プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーは自分の墓地を自分のライブラリーに加えて切り直す。
次のこのバージョンでは、緑のモードはクリーチャー対策のままだが格闘ではなく開発部後で言う噛みつき(一方的にダメージを与える)になった。おそらくこの+1/+0は緑の効果のパワーレベル調整のためだろう。デザイン・チームは常にファミリーのメカニズムが魔除けで使えるかどうかを監視しているので、白のモードは盾カウンターを使うようになった。
最終的に、すべてが陣営のメカニズムを使えないのであれば1つも使うべきではないと判断したのだった。この青の能力は環境が必要なものだが、この効果は青から緑に移動して《土建組一家の魔除け》に移った。(そして緑らしい形に調整された。)
印刷されたバージョンのカードは第3バージョンの緑のモードと、第2バージョンの白のモードと、新しい青のモードを持ったものになっている。この後見る通り、デザイン・チームは青にカードを引く効果が必要かどうか確信が持てなかった。
もう1つ注視していたものが、5種類の魔除けすべてが大体同じカードパワーになるようにすることである。これはカードにどの効果を組み合わせるかに影響しうる。
《常夜会一家の魔除け》
次は青中心のファミリーの魔除けである。
〈進行役の魔除け〉(バージョン#1)
{W}{U}{B}
インスタント
以下から1つを選ぶ。
・あなたの墓地にありマナ総量が2以下であるクリーチャー・カード1枚を対象とする。それを戦場に戻す。
・クリーチャー呪文1つを対象とする。それを打ち消す。
・対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーは自分の手札を公開する。あなたはその中からクリーチャーでも土地でもないカード1枚を選ぶ。そのプレイヤーはそのカードを捨てる。
この魔除けは、反復工程の間あまり変更されない魔除けがあるという最高の例である。白や青のモードは、完全に最終版と同じではないにせよ、印刷された版と同じ効果を有している。また、各モードがお互いに補完的であることも重要である。青のモードがクリーチャーを打ち消すのは、黒のモードの手札破壊がクリーチャーでないカードを片付けられるからである。
〈秘報会一家の魔除け〉(バージョン#2)
{W}{U}{B}
インスタント
以下から1つを選ぶ。
・あなたの墓地にありマナ総量が2以下であるパーマネント・カード1枚を対象とする。それを戦場に戻す。
・クリーチャーやプレインズウォーカーである呪文1つを対象とする。それを打ち消す。
・対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーは自分の手札を公開する。あなたはその中からクリーチャーでも土地でもないカード1枚を選ぶ。そのプレイヤーはそのカードを捨てる。
この第2バージョンは、モードの効果は同じでも実際にすることには微調整が加えられることがあるということを示している。白のモードは相変わらずリアニメイトだが、軽いクリーチャーだけを戻せたものがパーマネントを戻せるようになっている。(これは最近白で少し強化されている部分である。)青のモードは、打ち消すことができるものが増えている。おそらくこれは、このセットにはもっとプレインズウォーカー対策が必要だというプレイテストの結果だろう。
最終バージョンでは、白の効果に3つの調整が加えられている。多色の制限が加えられた。おそらくこれは、前の効果が強すぎたか、あるいはセット内に多色のシナジーを増やしたかったかだろう。この変更によって別の方向性で強くすることが可能になったので、マナ総量の制限が2から3に緩和されている。
最後に、戦場に出すカードがタップ状態で出るようになった。これはおそらく、このカードは他のモードの関係上、またサイクル全体がインスタントである関係上も、インスタントでなければならないが、戦闘を操作できないようにしたかったからだろう。黒のモードは完全に変更され、このカードのクリーチャー対策部分になった。そのため青のモードは変更が必要となり、クリーチャー対策から呪文(インスタントとソーサリー)対策に変わっている。
《貴顕廊一家の魔除け》
黒中心のファミリーの魔除けは、かなりの変更を経ている。
〈支配の魔除け〉(バージョン#1)
{U}{B}{R}
インスタント
以下から1つを選ぶ。
・カード2枚を引く。
・対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーはクリーチャーやプレインズウォーカーのうち1体を生け贄に捧げる。
・アーティファクト1つを対象とする。それを破壊する。
このカードは各チャームのデザインがどのように相関しているかを示す好例である。青のモードは最初カードを引くもので、後に黒の効果のために変更になり、そして緑白青の魔除けに移動して、黒のモードは黒赤緑の魔除けの黒のモードだったものである。アーティファクトを破壊することも狭い対策なので、魔除けに持たせることが多い効果である。このセットの環境を踏まえて、最終的にどの魔除けにも与えられなかった。
《貴顕廊一家の魔除け》(バージョン#2)
{U}{B}{R}
インスタント
以下から1つを選ぶ。
・あなたのライブラリーの一番上にあるカード4枚を見る。そのうち1枚をあなたの手札に、残りをあなたの墓地に置く。
・対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーはクリーチャーやプレインズウォーカーのうちトークンでない1体を生け贄に捧げる。
・クリーチャーやプレインズウォーカーのうち1体を対象とする。[カード名]はそれに4点のダメージを与える。
この第2バージョンは、最終バージョンのもとになったものである。青のモードと赤のモードはどちらも、最終形ではないが、印刷されたカードが使っている効果である。通常はクリーチャー対策は1つだけに制限されているので、黒のモードを見て驚いた。だから取り除かれたのだろう。
最終版では数字を調整(4枚→5枚、4点→5点)して、黒のモードは新しいものになっている。黒のモードをライフ吸収にしたのは、おそらく、盤面にあまり影響を与えず、長期戦では強い影響を及ぼす可能性があるものを探した結果だろう。(「クロック」、つまり誰かが敗北するまで何ターンかかるか、という問題である。)
《土建組一家の魔除け》
〈抗争の魔除け〉(バージョン#1)
{B}{R}{G}
インスタント
以下から1つを選ぶ。
・クリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、それは接死と破壊不能を得る。
・クリーチャー1体を対象とする。[カード名]はそれに、あなたがコントロールしているクリーチャーの数に等しい点数のダメージを与える。
・あなたは5点のライフを得る。
これらの3つのモードのうち2つは、最終的にどのカードにも残らなかった。赤のモードは、赤緑白の魔除けに移動されている。ライフ獲得は単純で一般的に有用なので魔除けによくある効果だが、使いたい状況というのは非常に限られている。他の効果に埋没してしまうのだ。魔除けでよく使われている理由には、文章が短いからというものがある。
クリーチャーに能力を与えることは一般に、我々が選択肢を広げるときにのみ魔除けで使われることが多いので、第1バージョンで見かけるのは奇妙なことである。おそらく、破壊不能を与えるのは対戦相手のクリーチャーを破壊しようとしている自軍のクリーチャーを守るという意図だろう。
〈抗争の魔除け〉(バージョン#2)
{B}{R}{G}
インスタント
以下から1つを選ぶ。
・あなたの墓地にあるクリーチャー・カード最大2枚を対象とする。それらをあなたの手札に戻す。
・クリーチャー1体を対象とする。[カード名]はそれに、それのコントローラーがこのターンに失ったライフの点数に等しい点数のダメージを与える。
・エンチャント1つを対象とする。それを破壊する。
もう1つ魔除けのデザインで予想できないところは、一部の効果は、理論上は別物でも同時に存在できないぐらい似通ったプレイになるものがあるということである。今回で言えば、「クリーチャー2体を《死者再生》させる」(この黒のモード)とカード2枚を引く、の両方を同時には使っていない。
デザインを見ると、カードを引く効果は最初、青黒赤の魔除けにあったが取り除かれたので、デザイン・チームはこの黒のモードにこの効果を使うことができたのだ。これは、エンチャント破壊が最初に登場したときだと思われる。後にそれは緑白青の魔除けに移動されている。
《土建組一家の魔除け》(バージョン#3)
{B}{R}{G}
インスタント
以下から1つを選ぶ。
・あなたの墓地にあるクリーチャー・カード最大2枚を対象とする。それらをあなたの手札に戻す。
・クリーチャーやプレインズウォーカーのうち1体を対象とする。[カード名]はそれに4点のダメージを与える。
・単一の墓地にあるカード最大3枚を対象とする。それらをオーナーのライブラリーに加えて切り直す。
魔除けをデザインするときにやりたくなるのが、別々のモードに関連性を感じさせるようにすることである。このカードの3つのモードは、どれもカードを領域間で移動させるものである。(墓地→手札、戦場→墓地、墓地→ライブラリー)複数のバージョンでそのままだったモードが最終の製品版に採用されていないことにも興味をそそられた。おそらく、チームはこの黒のモードが気に入っていたが、青のモードでカードを引けるようにする必要が強かったのだろう。赤のモードは最終的に、青黒赤の魔除けに移動されている。
《土建組一家の魔除け》(バージョン#4)
{B}{R}{G}
インスタント
以下から1つを選ぶ。
・ターン終了時まで、すべてのクリーチャーは-3/-1の修整を受ける。
・あなたのライブラリーの一番上にあるカード2枚を追放する。次のあなたのターンの終了時まで、あなたはそれらのカードをプレイしてもよい。
・エンチャント1つを対象とする。それを破壊する。
そうしてこのカードは作り直されることになり、能力は移動された。チームは黒と赤のための新しい能力を見つけなければならなかった。赤のものは最終版のカードに入り、黒のモードは大外れだった。
興味深いことに、緑のモードは最終バージョンからさらに変更されている。おそらく、エンチャント除去カードがもう1枚必要になったので1つ戻して調整したのだろう。
見ていてクールだったもう1つのことは、デザイン・チームが既存の効果をカードの需要に合わせて調整しているやり方だった。対戦相手にクリーチャーかプレインズウォーカーを生け贄に捧げさせる黒のモードが弱すぎたので、それを「マナ総量が最大のもの」に変更してモードを強化し、このカードの有効なクリーチャー除去のモードにしたのだ。
《土建組一家の魔除け》(バージョン#5)
{B}{R}{G}
インスタント
以下から1つを選ぶ。
・クリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、それは-3/-3の修整を受ける。
・あなたのライブラリーの一番上にあるカード3枚を追放する。次のあなたの終了ステップの開始時まで、あなたはそれらのカードをプレイしてもよい。
・あなたのライブラリーから基本土地・カード1枚を探し、タップ状態で戦場に出す。その後、ライブラリーを切り直す。
私が身につけていないもう1つのことが、モードをカードに収めることである。モードが気に入らないからではなく、それ以上に収まる文章がので行数が少なくできるモードに入れ替えなければならない場合があるのだ。(先述の、ライフ獲得が好まれるという理由である。)このままだと、魔除けに8行以上の文章が必要になりそうである。このカードの黒のモードはチームにとって最大の難関だったようだ。4種類のものを試したが、最終的には他のカードから能力を盗むことにしたのだった。
《舞台座一家の魔除け》
緑中心のファミリーには、この3色のメカニズム的重なりが大きいという事実による独特の問題があった。
〈叙聖の魔除け〉(バージョン#1)
{R}{G}{W}
インスタント
以下から1つを選ぶ。
・カード1枚を捨てる。そうしたなら、カード2枚を引く。
・あなたがコントロールしているクリーチャー1体と、クリーチャー1体を対象とする。その前者はその後者に自身のパワーに等しい点数のダメージを与える。
・あなたがコントロールしているクリーチャー最大2体を対象とする。それらを追放し、オーナーのコントロール下で戦場に戻す。
1つ目の能力で、赤のモードは赤ルーターである。これは赤だけで、緑や白はしない。緑のモードは噛みつきである。これは緑白青の魔除けにあったものだということに気づくだろう。赤と緑はこれが可能だ。白のモードは明滅効果だ。これは白と青なので、この魔除けでは白だけである。
《舞台座一家の魔除け》(バージョン#2)
{R}{G}{W}
インスタント
以下から1つを選ぶ。
・ターン終了時まで、あなたがコントロールしているすべてのクリーチャーは+2/+0の修整を受ける。
・墓地からカード最大3枚を対象とする。それらを追放する。あなたはこれにより追放されたクリーチャー・カード1枚につき1点のライフを得る。
・緑の1/1の市民・クリーチャー・トークン2体を生成する。
赤のモードは、全体強化に変更された。緑と白はどちらも全体強化が可能だが、+1/+0は少しばかり赤寄りである。緑のモードは墓地にあるカードを追放してライフを得る。緑と白はこれが可能だ。白のモードは1/1の緑白のクリーチャー・トークンを生成する。このクリーチャー・トークンが緑白なのは、他のカードに存在するものに合わせている。この能力は緑や赤というよりも白だが、3色どれでも1/1クリーチャー・トークンを生成することは可能だ。
《舞台座一家の魔除け》(バージョン#3)
{R}{G}{W}
インスタント
以下から1つを選ぶ。
・ターン終了時まで、あなたがコントロールしているすべてのクリーチャーは+1/+1の修整を受ける。それらをアンタップする。
・緑白の1/1の市民・クリーチャー・トークン2体を生成する。
・クリーチャー1体を対象とする。[カード名]はそれに、あなたがコントロールしているクリーチャーの数に等しい点数のダメージを与える。
ここからが奇妙なことの始まりである。赤のモードは赤ではない。赤は、(パワー以上に)タフネスを強化することはないし、クリーチャーをアンタップすることも(コントロールを一時的に奪ったのでない限り)ないが、緑や白なら可能である。緑のモードはトークンを生成する。上述の通り、これは3色どれにでも可能である。白のモードは自軍のクリーチャーの数に基づいてダメージを与える。これは赤ができることだが通常赤には必要ないことなので、最近白に移した能力である。白は「軍勢を並べる」色なので、これを白で可能にしたのだ。
こうなると、順番が正しくないように見える。1つ目の能力は緑や白で、2つ目の能力は任意の色で、3つ目の能力は赤や白である。おそらく、他のことのバランスを取る上で問題が生じ、このカードをもっとも柔軟性のあるカードとして使ったのだろう。
《舞台座一家の魔除け》(バージョン#4)
{R}{G}{W}
インスタント
以下から1つを選ぶ。
・クリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、それは+2/+2の修整を受け飛行と警戒を得る。
・緑白の1/1の市民・クリーチャー・トークン1体と、「このクリーチャーが死亡したとき、プレイヤーやクリーチャーやプレインズウォーカーのうち1つを対象とする。これはそれに1点のダメージを与える。」を持つ赤の1/1のデビル・クリーチャー・トークン1体を生成する。
・クリーチャーやプレインズウォーカーのうち1体を対象とする。[カード名]はそれに、あなたがコントロールしているクリーチャーの数に等しい点数のダメージを与える。
さてさらに混乱してきた。明らかに順番がおかしい。1つ目のモードは白で、赤でも緑でもない。2つ目のモードはデビルを生成するのでおそらく赤だ。3つ目のモードは赤か白だ。緑のモードはどこに行ったのか。おそらく、1つ目のモードが緑で、このカードは白でもあるから飛行も問題ないと考えたのではないか。
それでもなお、このカードは気持ち悪い。幸いにも、印刷されたカードでは解決されている。赤のモードはクリーチャーとプレインズウォーカーの数に基づいたダメージだ。緑のモードは緑のキーワードを与えるクリーチャー強化である。白はクリーチャー・トークンを作っている。興味深いことに、この魔除けは唯一、ある色、この場合白がほとんどすべてのモードを扱える魔除けになっている。(トランプルを与えることだけはできないが。)
『通り』の終わり
単一のサイクルだけを楽しく深掘りしてきた。見てわかる通り、変更できる点や考慮すべき問題は多いので、開発部が魔除けをセットに加えるとなるとかなりの作業を必要とすることになる。いつもの通り、今日の記事や魔除けについて、あるいは『ニューカペナの街角』そのものについての感想を楽しみにしている。メール、各ソーシャルメディア(Twitter、Tumblr、Instagram、TikTok)で(英語で)聞かせてくれたまえ。
それではまた次回、『ニューカペナの街角』のカード個別の話の続きをする日にお会いしよう。そこでは魔除け以外のカードの話をしよう。
その日まで、私と同じように魅力的な魔除けを見つけられますように。
(Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru)
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