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Making Magic -マジック開発秘話-
『カルドハイム』の物語 その2
2021年2月1日
先週、『カルドハイム』のカード個別のデザインの話を始めた。語るべきことはまだあるので、今回はその2になる。それではさっそく、話を始めよう。
《怒りの神、トラルフ》 // 《トラルフの鎚》
このカードをプレビューしたときに言ったとおり、すべての神々をMDFCにするというアイデアが浮かんだとき、一番最初のアイデア――実際のところ、そもそも神々をMDFCにする発想のもととなったアイデア――が、トールとその鎚だったのだ。興味深いことに、一番最初のデザインを振り返ってみると、私の記憶とは全く異なっていた。
〈大言壮語のアウキ〉
{2}{G}{G}
伝説のクリーチャー ― 神
4/4
あなたの手札を公開した状態でプレイする。あなたが土地でないカード1枚を引くたび、[カード名]の上に+1/+1カウンター1個を置く。このターンに[カード名]からダメージを受けたクリーチャー1体が死亡するたび、カード1枚を引く。//
〈アウキの鎚〉
{2}{G}
伝説のアーティファクト ― 装備品
装備しているクリーチャーは+2/+2の修整を受け「{1}{G}:クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。このクリーチャーはそれに、自身のパワーに等しい点数のダメージを与える。[カード名]をはずす。」を持つ。
伝説のクリーチャーに装備{2}
まず最初に、これは緑だろうか。北欧神話のトールは非常に赤い人物である。(マーベル版のソーは、赤白に近い。)おそらく、我々はクールなトールとミョルニル(トールの鎚)を単に作り、そしてメカニズム的フレイバーに最もふさわしい色に単純に当てはめたのだろう。かなり初期からこの2枚のカードがうまく噛み合うようにデザインされていたことが見て取れるだろう。我々は、この鎚を出せたら、それから最も利益を得るクリーチャーが1種類いるようにしたいと考えたのだ。また、この鎚を「投げる」ものにしたいと考えたこともわかるだろう。最後に、このカードは伝説のクリーチャーにしか装備できないことに注意が必要だ。これは、ミョルニルを持ち上げられるのは資格ある者だけということを想起させる。
このカードは、おそらく私のような人が「トールは赤でなければならない」と言ったのだろう、すぐに変更された。最初の赤のバージョンはこうだった。
〈豪雷のアウキ〉
{2}{R}{R}
伝説のクリーチャー ― 神
4/4あなたの手札を公開した状態でプレイする。あなたが土地でないカード1枚を引くたび、クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体かプレイヤー1人を対象とする。[カード名]はそれに3点のダメージを与える。//
〈アウキの鎚〉
{2}{R}
伝説のアーティファクト ― 装備品
あなたがコントロールしている効果が戦闘ダメージでないダメージを与えるたび、装備しているクリーチャーの上に+1/+1カウンター1個を置く。
伝説のクリーチャーに装備{2}
このバージョンの3点ダメージは、トールが稲妻の神であることを想起させる。(任意の対象に3店のダメージを与える象徴的な直接ダメージ呪文といえば《稲妻》だ。)大きく変更したが、我々はマジック版トールがその鎚と組み合わせたときに最強になるようにしようと試みていた。
次の反復工程ではこうなった。
〈豪雷のトラルフ〉
{3}{R}{R}
伝説のクリーチャー ― 神
4/4
[カード名]と他のあなたがコントロールしている神は速攻を持つ。
{1}{R}、カード1枚を捨てる:クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体かプレイヤー1人を対象とする。[カード名]はそれに3点のダメージを与える。//
〈リクラムル〉
{1}{R}
伝説のアーティファクト ― 装備品
装備しているクリーチャーは「{T}、[カード名]をはずす:クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体かプレイヤー1人を対象とする。[カード名]はそれに3点のダメージを与える。[カード名]をオーナーの手札に戻す。」を持つ。
伝説のクリーチャーに装備{1}
装備{4}
このバージョンでは、トラルフが他の神々に速攻を与えるという形で指導力を見せている。彼の稲妻は、カードを引くことによる誘発型能力から、カードを捨てることをコストとする起動型能力に変わった。彼の鎚には固有名詞と、投げつけるだけでなく戻ってくるメカニズムが与えられた。投げたクリーチャーに戻ってくるというのは実質的には何もしないので、オーナーの手札に戻るようにした。これによって、少し強化する余地ができたのだ。また、手札に戻すことによって、この鎚を早期にプレイし、後にそのカードをトラルフとしてプレイするということができるようになった。しかしまだ完成には程遠かった。
〈豪雷のトラルフ〉
{3}{R}{R}
伝説のクリーチャー ― 神
4/4
各ターンで初めて1体以上の伝説のクリーチャーが攻撃するたび、あなたがコントロールしているすべての伝説のクリーチャーをアンタップする。このフェイズの後に、追加の戦闘フェイズ1つを加える。//
〈トラルフの鎚〉
{1}{R}
伝説のアーティファクト ― 装備品
あなたがコントロールしていて装備品がついている伝説のクリーチャーは+3/+0の修整を受ける。
装備しているクリーチャーは「{T}、[カード名]をはずす:クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体かプレイヤー1人を対象とする。これはそれに3点のダメージを与える。[カード名]をオーナーの手札に戻す。」を持つ。装備{2}
装備{4}
その後我々は歩く《連続突撃》的なバージョンを試し、トラルフを他の神々や英雄たちを戦いにいざなうようにした。このアイデアは、この鎚が稲妻を生み出すというフレイバーを伝えるものだったろう。このバージョンの鎚では伝説のクリーチャーへの装備がなくなり、代わりに+3/+0の修整を与えるようになった。このバージョンでは、これを装備しているクリーチャーだけを強化するのではなく装備品がついているすべての伝説のクリーチャーも強化することに注意。また、クリエイティブ・チームは、これに固有名詞をつけるのではなくトラルフの鎚と呼ぶことに決めた。
その次。
〈豪雷のトラルフ〉
{3}{R}{R}
伝説のクリーチャー ― 神
5/3
速攻
あなたがコントロールしている発生源が余剰のダメージを与えるたび、それ以外のクリーチャー1体かプレインズウォーカー1体かプレイヤー1人を対象とする。その発生源はそれにその量のダメージを与える。//
〈トラルフの鎚〉
{1}{R}
伝説のアーティファクト ― 装備品
装備しているクリーチャーは伝説であるなら+3/+0の修整を受け、「{T}、[カード名]をはずす:クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体かプレイヤー1人を対象とする。これはそれに3点のダメージを与える。[カード名]をオーナーの手札に戻す。」を持つ。
装備{2}
この変更によってトラルフは最終バージョンに近づいた。印刷されたカードでは5/3から5/4になり、速攻がトランプルになり、どのような余剰のダメージが誘発するかの条件は注意深く定義された。この鎚は、それを装備しているクリーチャーだけに+3/+0の修整を与えるようになった。印刷されたバージョンでは装備コストが{2}から{1}{R}になり、このカードのテンプレートが変更になったが、このバージョンに非常に近いものである。
私はこのカードの仕上がりに大変満足しているが、これが数多くの変更を経てきたことがわかるだろう。
《秘密を知るもの、トスキ》
長期読者の諸君は、私がリスのことが大好きだということをご存知だろう。(例えば、2002年のリス特集で、私はこの記事(リンク先は英語)を書いている。)私は、ウィザーズで働き始めたその日から最大のリスの支持者であるだろうが、同時に黒枠からリスを追放した原因でもある。私がセットを手掛け始めて以来、私は常にリスをカード化する機会を伺っていた。『オデッセイ』では、私がセットのクリエイティブ文を担当した、つまりカード名やフレイバー・テキストやクリーチャー・タイプを監督した。(当時、クリーチャー・タイプはカードのコンセプトづけに影響することが今よりも多かった。今は、クリーチャーが特定のクリーチャー・タイプであることがメカニズム的に意味を持つのでないかぎり、デザインはそれについて口出しをしない。)
最終的な結果として、『オデッセイ』ブロックには大量のリスが存在することになった。私は基本1/1の緑のリス・クリーチャー・トークンまで作ったのだ。『ウルザズ・サーガ』で私が作って注目を浴びた(《錯乱した隠遁者》が最も有名だろう)数少ないリス・カードよりも上だった。それは、(アーロン・フォーサイス/Aaron Forsytheが《錯乱した隠遁者》を主力にして組んだデッキでアメリカ・チームを率いたアメリカ選手権などの)いくつもの名高い大会で結果を残した。当時、マジックのブランド・チームはマジックのブランドをもう少し厳しいものにしたいと考えており、リスが大きな大会のカメラに映ることを嫌い、それ以上リスを作らないことに決めたのだ。その時、リスは黒枠から追い出されたのである。
私はマジック世界にリスを生き残らせるために銀枠を使ったが、銀枠セットの数はそう多くない。私の長年の目標は、リスを黒枠に呼び戻すことだった。私は、私とリスへの愛を共有するマーク・パーヴィス/Mark Purvis(かつてブランド・マネージャーと呼ばれていた、現在のマジックの製品設計者の1人)という素晴らしい仲間を見つけた。少しずつ、我々はリスを蘇らせるためにできることを積み重ね、我々の作戦に開発部員を引き入れていった。黒枠への最初の復帰は、『イコリア:巨獣の棲処』の《らせん樹の滑空獣》だった。それを目にしたことは嬉しかったが、それは緑では(リスの2種色である黒でも)なかった。『カルドハイム』でならリスを大規模に復活させる機会があるということはわかっていた。
周知の通り、北欧神話には、世界樹の底に住む大蛇と頂にいる鷲の間のメッセージを運んで世界樹を駆け回る、ラタトスクというリスがいる。史上初の伝説のリス以上にリスを黒枠に復帰させる機会になるものはあるだろうか。(黒枠では。私は銀枠でなら、『Unsanctioned』で《Acornelia, Fashionable Filcher》を作っている。)トスキ(マジック版のラタトスク)がメカニズム的にどうなるかはわからなかったが、私は、それをセットに入れるために何でもしようとしていた。興味深いことに、時流は変わり、誰もこのリスをセットに入れるべきではないと主張していなかったと思う。初期展望デザインで入り、外されることはなかったのだ。最初のデザインはこうだった。
〈やんちゃなリス、ラタトスク〉
{3}{G}
伝説のクリーチャー ― リス
1/1
破壊不能
可能なら[カード名]はブロックされなければならない。
他のあなたがコントロールしているクリーチャー1体が対戦相手1人に戦闘ダメージを与えるたび、カード1枚を引く。
見ての通り、これは最終版とそう遠く離れてはいない。次のバージョンでは、「[カード名]は可能なら毎ターン攻撃する。」が追加された。その後、「他の」が取り除かれ、トスキは自分が対戦相手に戦闘ダメージを与えたときにもカードを引けるようになった。その後、「可能なら[カード名]はブロックされなければならない。」が取り除かれた。最後に、「打ち消されない」が追加された。
最後にもう1つ、このカードについて、メカニズム的に緑ではないのではないかという議論があった。検証してみよう。
- この呪文は打ち消されない ― この能力は、特にクリーチャーの場合、1種色が緑である。
- 破壊不能 ― この能力の1種色は白だが、2種色が黒と緑である。
- トスキは可能なら毎ターン攻撃する ― この能力の1種色は赤である。すべての能力のうち、これが最も大きな曲げであるが、とはいえ緑は野生動物の色であり、攻撃中心の能力が大量にあるので、その曲げもさほど大きなものではない。また、これは欠点でもある。欠点を広げることは、それほど大きな問題ではないことが多い。
- あなたがコントロールしているクリーチャー1体がプレイヤー1人に戦闘ダメージを与えるたび、カード1枚を引く ― これは開発部が「《好奇心》」と呼ぶ能力(サボタージュ型のカードを引く誘発)を与えるものである。《好奇心》は青が1種色、緑が2種色である。通常、能力を他のクリーチャーに与えるのは1種色であることが多いが、2種色でも可能である。
これらを踏まえると、トスキにおける曲げは欠点だけであり、それもそれほど大きな曲げではない。それ以外のすべてはカラー・パイの緑に属しているので、これは間違いなく緑のカードである。
トスキをリスの訪れを告げるものだと見てもらいたい。(リスの群れとは限らない。リスが黒枠に戻ってこれるようになり、時折見かけられるだろうというだけのことである。)
《嘘の神、ヴァルキー》 // 《星界の騙し屋、ティボルト》
私が最初にMDFCを『ゼンディカーの夜明け』『カルドハイム』『ストリクスヘイヴン』に分けたとき、私は『カルドハイム』のすべてのMDFCは1面がクリーチャーでもう1面がパーマネントになると言った。神々をMDFCにすると決めたとき、1面が神でもう1面はさまざまなパーマネントがあるようにするのは当然だった。多様性のために、我々はもう1面に使えるものが何種類あるかを見ることにした。クリーチャーができる。アーティファクトができる。装備品や機体はアーティファクトとは別扱いにできるだろう。エンチャントができる。土地は『ゼンディカーの夜明け』の特徴なのでできない。さて、ここでもう1種類パーマネント・タイプが存在する。プレインズウォーカーはどうだろうか。
まず、我々はその冗談に笑ったが、その後で検討を始めた。プレインズウォーカーはできるだろうか。何なら筋が通るだろうか。そして奇妙なアイデアが浮かんだ。マジック版ロキはプレインズウォーカーの偽りの姿だというのはどうだろうか。ロキには、自身を他者に偽装することに関する多くの物語が存在する。それを逆にするのは面白いひねりだろう。そのプレインズウォーカーは誰であるべきか。他の誰よりも素晴らしい選択肢が1人いることにすぐに気がついた。ティボルトだ。ティボルトの最初のカードはこれまで作ってきた中で最弱のプレインズウォーカーで、そのことがティボルトをマジック界のミームにした。そして彼は多くのプレイヤーに愛され、「もっとティボルトを」は非常によくある意見になったのだ。確かに彼は『灯争大戦』にいたが、いなかったのは誰がいるだろうか。これは、彼にクールな方法でスポットライトを当てる機会だった。
このアイデアを元に、我々は第1面が青単色の伝説の神で第2面が黒赤のティボルトというカードをデザインした。(ティボルトは赤単色のプレインズウォーカーでしか登場していなかったが、彼は黒赤のキャラクターである。)最初のデザインはこうだった。
〈知恵の神、ティボルトー〉
{1}{U}
伝説のクリーチャー ― 神
1/3
{1}、クリーチャー1体を生け贄に捧げる:カード1枚を引く。
{1}、カード1枚を捨てる:カード1枚を引く。//
〈ティボルト〉
{4}{B}{R}
伝説のプレインズウォーカー ― ティボルト
忠誠度 ― 5
+2:プレイヤー1人を対象とする。[カード名]はそれに1点のダメージを与える。そのプレイヤーはカード1枚を引く。
-3:クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体かプレイヤー1人を対象とする。[カード名]はそれにあなたの手札にあるカードの枚数に等しい点数のダメージを与える。
-6:対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーは「あなたが受けるダメージは3倍になる。」の紋章を生成する。
このカードの第1面は非常にメルヴィン的なデザインである。これは、青単色の知恵の神を装っている。この両方の能力はカードを引くものであり、非常に青い行動ではあるが、それぞれは実際は他の色がする方法で行なっているのだ。クリーチャーを生け贄に捧げてカードを引くのは黒であり、カードを捨てる(実質的には赤ルーター)のは赤である。一見すると、このカードは青のカードに見えるが、掘り下げてみるとこれは実際は黒赤だとわかるのだ。このカードは展望デザインが提出したままで、ただ起動コストが{1}からそれぞれ{B}と{R}に変更されているだけであった。
〈ティボルト〉のデザインは、第1面のカードを引くことを扱ったものである。+2能力は、対戦相手を対象にした場合には欠点のある赤の能力であり、自身を対象にした場合には黒のカード・ドローである。-3能力は、手札のカードを参照する直接ダメージ呪文だ。-6能力は、最初の2つの能力の直接ダメージに紐ついた奥義である。
このカードはその後、セットデザインの間に多くの変更を経た。(プレインズウォーカーについては、完全にデザインし直すことは非常に当たり前である。)これはセットデザインによる初期のバージョンである。
〈嘘の神、ヴァルキー〉
{1}{B}
伝説のクリーチャー ― 神
1/3
[カード名]が戦場に出たとき、対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーは自分の手札を公開する。あなたはその中からクリーチャー・カード1枚を選ぶ。[カード名]が戦場を離れるまで、そのカードを追放する。
{X}:点数で見たマナ・コストがXでありこれによって追放されているクリーチャー・カード1枚を対象とする。[カード名]は、カード名が[カード名]であり他のタイプに加えて伝説であることを除き、それのコピーになる。//
〈ティボルト〉
{3}{B}{R}
伝説のプレインズウォーカー ― ティボルト
忠誠度 ― 5
+1:対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーは「[カード名]はそのプレイヤーに4点のダメージを与える。」を選んでもよい。そうしなかったなら、あなたはカード2枚を引く。
-2:すべてのプレイヤーのライフ総量は13になる。
-6:対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーは「発生源があなたにダメージを与えるなら、代わりにそれはあなたにそのダメージの3倍の点数のダメージを与える。」を持つ紋章を得る。
まず、これの第1面が黒になり、ロキらしくなった。ティボルトは自身を、嘘の神であると偽っているのだ。この新デザインは、トップダウンのロキに寄せられている。クリーチャーを対戦相手から盗み、そのクリーチャーに偽装できるのだ。ティボルトは元のデザインにさらに近づいた。
印刷されたデザインではヴァルキーが少し調整され、カードを各対戦相手から奪うようになった。一方、ティボルトはデザインされ直している。その常在型能力は奪ったカードを唱えることができるという点でヴァルキーと共通している。他の2つの能力はそれぞれの色らしい方法で追放し(黒は切削やクリーチャー破壊、赤はアーティファクト破壊)、常在型能力と関わっている。
非常にキュートなメルヴィン的デザインであった最初のデザインは私の心に刺さるものだったが、この最終バージョンに満足している。
《世界樹》
ソーシャルメディアや私のブログでよく受けている質問が、「なぜこれは伝説じゃないんですか?世界樹は何本あるんですか?」というものである。一言で応えると、伝説の土地はゲームプレイ的によくないことが多いのだ。理由を説明しよう。2枚目の伝説のクリーチャーを引くのは厄介なことだが、対戦相手が1体目を除去した場合の控えとして働く。土地は破壊されることがめったにないので、1枚目をプレイしたら、残りは手札に無駄カードとして溜まることになることが多い。経験豊富なプレイヤーであれば、デッキ作成のときにそれを考慮に入れる。4枚未満にするか、土地を生け贄に捧げて利益を得る方法を入れるだろう。少なくとも、2枚目以降については完全な1枚分の土地としては考えずにデッキを作ることになる。経験の浅いプレイヤーはこの問題に気づかず、伝説の土地を他の土地と同じように扱うことになり、マナスクリューを招いて楽しくない目に遭うのだ。
我々は、可能な限り、メカニズム的に楽しく、クリエイティブ的に満足できるカードを作ろうとしているが、この2つが衝突したときはゲームプレイの側に寄せることが多い。クリエイティブ問題を解決するため、我々は何年も前に、土地はクリエイティブ的に特定の場所を表すのではなくその場所へのつながりを表すものだとした。これはつまり、ほとんどの場所で複数のマナの絆を作ることができるということであり、そのことが《世界樹》を複数枚並べられる(あるいは同じアートの《森》を大量にデッキに入れられる)ことの理由となっている。
これまでもこれからも、カードのデザインが筋が通るものであれば伝説の土地を印刷することはあるが、それは当たり前ではなく例外なのだ。
「そして皆は幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし」
本日はここまで。これらのカードがどのように作られたのかのを楽しんでもらえたなら幸いである。いつもの通り、この記事、話題にしたカード、『カルドハイム』全般についての反響を楽しみにしている。メール、各ソーシャルメディア(Twitter、Tumblr、Instagram、TikTok)で(英語で)聞かせてくれたまえ。
それではまた次回、『カルドハイム』に関する質問にお答えする日にお会いしよう。
その日まで、あなたが10個の領界を渡る旅路を楽しんでくれますように。
(Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru)
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