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Making Magic -マジック開発秘話-
バック・トゥ・ザ・『未来予知』(フューチャーサイト)・パート3
2020年8月24日
3週前と先々週、『未来予知』のミライシフト・カードについて、どのようにデザインされたか、そして将来のセットに収録される可能性があるかどうかについて語ってきた。解説の後、すでに再録されているものやほとんど再録と言っていいカードがあるものを指摘した。そしてまだ再録されていないものについて、将来再録される可能性を予想してきた。今回もその続きとなる。
どのように評価しているかを思い出したい諸君は、ここをクリックしてくれたまえ。
今日はミライシフト・カードについての第3回にして最終回となる。
伝説の単色・サイクル
デザイン中によく起こることの1つに、アイデアは思いついたがそれをどこで使うかが思いつかず、居場所が見つかるまで保留しておくということがある。このサイクルで起こったのは、まさにそういうことである。テーブルトップ・マジック担当副社長のビル・ローズ/Bill Roseは、伝説という特殊タイプに伴う不利益を低減する助けとなるメカニズムを思いついた。おそらく、彼は戦場に出している伝説のクリーチャーの2枚目を引くことがあまりにも多かったので、マジックのデザイナーがすることをして、この状況で使えるものをデザインしたのだろう。
彼が作った最初のメカニズムは、同じ伝説のクリーチャー同士を積み重ねて、そのクリーチャーに追加の能力とスタッツを与えるというものだった。倍にできるものを倍にして、シナジーのある能力を追加するというものになることが多かった。ルール上の問題があまりにも多かったので、彼はこれをより単純なアイデアである壮大に移行させたのだ。伝説のクリーチャーが持つ能力で、その同名のカードを捨てて効果を得ることができるというものだった。ビルは、メカニズム(やカードやテーマ)を思いついたらいつも私にメールしてくる。私は、気に入ったものなら、保存しておいて使うべき場所を探すのだ。
そして『未来予知』のデザインに到る。(おそらく1年以上経っていた。)我々はミライシフトの伝説のクリーチャーを作る必要があり、マジックの有名な登場人物の子孫であるクリーチャーを作るというアイデアを思いついた。クリエイティブ的には未来のカードを作る助けになったが、それでも、メカニズム的に未来のカードを作る方法が必要だったのだ。そのとき、私はビルのメカニズムを思い出した。この類のことをしたことはなかったので、クールなミライシフトのアイデアだと思われた。壮大は結局、レアの単色の伝説のクリーチャーのサイクルに含まれることになり、多くのミライシフト・カードに印刷される新しいキーワードとなった。壮大能力はそれぞれが、そのカードの残りの部分とシナジー的に働く派手な効果にする必要があった。
それぞれのカードがどのように作られたか見ていこう。
《サマイトの守護者オリス》 ― オリスは、ウェザーライト号の乗組員で『テンペスト』でカード化されていた《サマイトの癒し手オアリム》の子孫である。オリスもオアリムも、ダメージを軽減する『アルファ版』の《サマイトの癒し手》の強化版である。彼女の壮大能力は、対戦相手が呪文を唱えたり攻撃したりしてくることを防ぐことでこちらを守ってくれるものである。
《西風の魔道士リネッサ》 ― リネッサは、『プロフェシー』の《西風の魔道士アレクシー》の子孫である。どちらも、複数のクリーチャーをオーナーの手札に戻すことができる。彼女の壮大能力は、パーマネント全体を戻すことができるというものだ。
《黒き剣の継承者コーラシュ》 ― コーラシュは、『レジェンド』の《黒き剣のダッコン》の子孫である。どちらも、自軍の沼の数に関連したスタッツを持つ。(訳注:《黒き剣のダッコン》は沼だけでなくすべての土地の数を参照します。)壮大能力は沼を増やし、さらに大きくなるとともに得られるマナも増やせるようにするものである。
《刃の翼タロックス》 ― タロックスは、『オンスロート』の《刃の翼ロリックス》の子孫である。どちらも速攻を持つ、巨大で攻撃的なドラゴンである。壮大能力はタロックスを一時的に大きくするものである。
《クローサの拳バルー》 ― バルーは『オデッセイ』ブロックと『オンスロート』ブロックの主役だった《クローサの拳カマール》の子孫である。カマールは『オデッセイ』と『オンスロート』でカード化されている。《クローサの拳バルー》と《クローサの拳カマール》はどちらも自軍のクリーチャーを強化してトランプルを与える。壮大能力は、自軍の土地が多ければ多いほど強くなる(これはバルーの能力と関係がある)トークンを生成する。
これらのカードの再録は、2つの理由から非常に難しい。1つ目に、これらはすべて、確かドミナリアにいる人物と関連している。2つ目に、伝説のクリーチャー・カードを一番よく使うフォーマットである統率者戦では、1枚制限という性質上このメカニズムを使うことができないので、これ以上の壮大カードを作るのは難しい。統率者戦でプレイアブルでなかったり弱かったりする伝説のクリーチャー・カードを作ることはあるが、メカニズム全体となると難しい。
再録機会:《サマイトの守護者オリス》《西風の魔道士リネッサ》《黒き剣の継承者コーラシュ》《刃の翼タロックス》《クローサの拳バルー》 ありえない
《貴族階級の嘲笑》
この呪文は、呪文をマナを使わずに唱えられるようにする新しい代替コストの実験だった。これは危険な領域であり、量の多寡を問わずすべきでないものである可能性がある。これを再録するということがありそうだとは思わないが、ふさわしい環境でなら可能性がないわけではないだろう。クリエイティブ的にはこれまでのどの世界とも似ていないクールな世界をほのめかすものになっている。
再録機会:まあない
《燐光の饗宴》
『フィフス・ドーン』で、アーロン・フォーサイス/Aaron Forsytheはマナ・シンボルを数えるカードを何枚かデザインした。これについてアーロンと話した時、彼がどうにか見つけ出してくれたので、彼が実際にデザインした最初のカードを紹介しよう。
〈酸性雰囲気/Acidic Atmosphere〉
{6}
アーティファクト
各クリーチャーはそれぞれ、マナ・コストに含まれる色マナ・シンボル1つにつき-1/-1の修整を受ける。(コストが{1}{W}{W}のクリーチャーは、-2/-2の修整を受ける。)
〈赤色破/Red Blast〉
{1}{R}{R}
インスタント
クリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、それは+X/+0の修整を受ける。Xは戦場にあるすべてのクリーチャーのマナ・コストに含まれる赤マナ・シンボルの総数に等しい。
〈光らせ続ける/Keep It Light〉
{3}{W}
エンチャント
マナ・コストに有色マナ・シンボル2個以上を含む呪文はプレイできない。
〈アンデッドの頭カウンター/Undead Bean-Counter〉
{1}{B}{B}
クリーチャー ― ゾンビ
[カード名]のパワーとタフネスはそれぞれ、あなたの墓地にあるすべてのカードのマナ・コストに含まれる黒マナ・シンボルの総数に等しい。
*/*
〈姿に忠実に/True to Form〉
{G}
エンチャント(クリーチャー)
エンチャントしているクリーチャーは、そのマナ・コストに含まれる緑マナ・シンボル1つにつき+1/+1の修整を受ける。
〈小さな白い蝶/Little White Butterflies〉
{2}{W}{W}
ソーサリー
あなたの手札を公開する。その後、飛行を持つ白の1/1のスピリット・クリーチャー・トークンを、あなたの手札にあるカードのマナ・コストに含まれる白マナ・シンボル1個につき1体戦場に出す。
私はアーロンに、これらのカードはメカニズムにできそうなので、より良い居場所を見つけるまで保存しておいたほうがいいだろうと言った。数年後、私は、翌年に予定していた混成マナの濃いブロックでこのメカニズムを使うことを決めていたので、《燐光の饗宴》をミライシフト・シートに入れたのだ。そして1年後、『イーブンタイド』で、《燐光の饗宴》は彩色という能力語を伴って再録された。
このメカニズムは結果としてハズレになった。私はこのメカニズムに強い期待を寄せていたので、かなり落胆した。幸いにも、何年も後に、初代『テーロス』で作り直しの機会が訪れ、大ヒットとなるメカニズムの信心へと変化させることができた。これは実装の重要性についての大きな教訓である。
再録機会:再録済み
《クァーグノス》
私が『未来予知』当時懸念していたことの1つが、常盤木キーワードが足りていないということだった。常盤木キーワードが重要なのは、それらでサイクルを作ることがよくあり、充分な数が存在しなければどのサイクルも似たようなものになってしまうからである。また、多くなりすぎない限り(新規プレイヤーにとっての語彙過負荷を起こしてしまう場合がある)、キーワードは大量に使っているメカニズムにフレイバーとまとまりを与えてくれるのだ。私は、新しいキーワードをミライシフト・カードに導入して、その後早期に使い始めるのは楽しいだろうと考えたのだ。この話をしているのは、このカードのデザインの重点が被覆メカニズムを導入するというところにあったからである。
《クァーグノス》の再録には、2つの大きな問題がある。1つ目は刹那だ。時間をテーマとしたブロックである『時のらせん』ブロックでは、テーマ的にうまく合っていた。本質的にインタラプトを復活させるというのは多くのユーザーを喜ばせるものではないので、これの再録について私は懐疑的である。2つ目に、被覆キーワードはすでに使われなくなっている。あまりにも多くのプレイヤーがこのキーワードの働きを直感で間違えていたので、その直感に合わせた呪禁に置き換えられているのだ。私は《クァーグノス》の再録という野望は持っていない、と言えば充分だろう。
再録機会:ありえない
《レイモス教の復興論者》
このカードは、『メルカディアン・マスクス』のレベルのメカニズムを調整したものである。レベル・カードを自分のライブラリーから戦場に出すのではなく、《レイモス教の復興論者》はそれを自分の墓地から戦場に出すのだ。これは、レベルである《静寂の捕縛》と組み合わせるように作られたはずである。(そして、《静寂の捕縛》では部族というカード・タイプが導入されている。)レベルは初登場時に大不評であり(しかも少しばかり強すぎ)、そのため私はこの新しい墓地バージョンも含むこれらのカードの再録を期待していない。
再録機会:ありえない
《サルコマイトのマイア》
『ミラディンの傷跡』発売当時からの諸君は、初代『ミラディン』のときからファイレクシアの存在をほのめかす手がかりを登場させていたことについて私がどのように言っていたか覚えているだろうか。これはその手がかりの1つである。これは(この時点で)ミラディンでしか見られなかったクリーチャーのマイアがファイレクシア化したものなのだ。衆知の通り、私は『ミラディン』への再訪を企画していることを知っていた。そして私は、有色アーティファクトを登場させる次元を探し続けていた。そして、これこそがメカニズムとクリエイティブの完璧な融合だと思ったのだ。残念ながら、『未来予知』と『ミラディンの傷跡』の間に『アラーラの断片』が挟まり、我々は有色アーティファクトというアイデアがエスパーの断片をデザインする上での問題を解決するということに気づいてしまった。つまり、『ミラディンの傷跡』にたどり着いたときには、他の道具を使ってファイレクシアのデザイン問題を解決することになったのだ。有色アーティファクト・クリーチャーは『新たなるファイレクシア』に少数いるが、それらはどれもファイレクシア・マナ・コストを持っていた。有色アーティファクトが常盤木な存在になりつつある中、再び新ファイレクシアを訪れるとしたらこの小型クリーチャーを見かける可能性は充分あると私は考えている。
再録機会:ありうる
《セトの虎》
このカードは、唱えたプレイヤーに色1色へのプロテクションを与える。えっ。確かに、すべてのミライシフト・カードが革新的なものというわけではない。このカードがまだ再録されていないことに私自身驚いている。その理由はカード名にあるかもしれない。確かこのカードを『アモンケット』ブロックに入れようと試みたのだが、2つの障害があった。1つ目が、イーサン・フライシャー/Ethan Fleisherがどうしても《エイヴンの思考検閲者》を入れたいと考え、同じセットに2枚のミライシフト・カードを入れるほどの需要がなかったこと。2つ目が、その時期はプロテクションが常盤木でなくなっていたということである。
再録機会:ありうる
《ナー島の領主》《スキジックのうねり獣》
これら2枚はどちらも、マナ以外のエコー・コストを試したものである。《ナー島の領主》の最初のバージョンでは、「エコー ― 対戦相手1人はカードを3枚引く。」というようなテンプレートが使われていたと思う。しかしルールやテンプレートがこういう方法を好まなかったので、{0}のエコー・コストと誘発型能力に変更されたのだ。《スキジックのうねり獣》ではそのテンプレートになっているのは、生け贄に捧げることはコストだからである。再録するにはどちらもエコーの再録が必要で、エコーが再録されたとしてもマナ以外のコストについては議論を呼ぶだろう。そして私はどちらも見込みが薄いと思う。
再録機会:ありえない
《多相の戦士の真髄》
これもまた簡単にミライシフト以外にできるデザインで、誰も目を留めないことだろう。何がこのカードの再録を阻んでいるのかはわからない。おそらく、ふさわしいセットがあれば、これは簡単に入れられることだろう。
再録機会:ありうる
《蛇教団の聖儀式》
このカードと《悪性スリヴァー》は、有毒を持つただ2枚のカードであった。《悪性スリヴァー》の項で、毒を再録するときにはぜひ有毒を使いたいと思っていたが、最終的に『ミラディンの傷跡』のデザインを始めたときには感染のほうが好きになっていた、という話をした。有毒が再録される可能性がまったくないとは思っていないが、といってありうるというつもりもない。
再録機会:まあない
《呪文織りの渦巻》
ここで、《呪文織りの渦巻》を題材にした小芝居を見ていただこう。
私:質問してもいいかね?
ルール・マネージャー:もちろん。それは私の仕事ですから。
私:ルール上、パーマネント以外のものにエンチャントすることは可能かね?
ルール・マネージャー:たとえば何にです? プレイヤーとか?
私:いや、それは『Unglued』ですでにやっている。
ルール・マネージャー:それなら何にです?
私:墓地にあるカードだ。
ルール・マネージャー:新しい銀枠セットを作っているんですか?
私:いや、黒枠セットで考えている。
ルール・マネージャー:(頭を振る)
私:可能かね?
ルール・マネージャー:理論上は可能ですが……。
私:充分だ。ありがとう!
再録機会:ありえない
《呪文狂いのアウフ》
これはまた別の、1枚限りのデザインで、コスト減少にひねりを加えたものだ。再録されていないことに驚いたカードの1枚でもある。アウフがいる世界は多くないと思われる。
再録機会:ありうる
《神話送り》
占術の逆はいつかする可能性があると思っていたので、それをミライシフト・メカニズムの1つとして採用した。このカードを作ってみた結果、今は、このメカニズムはまったくもって面白くないということがわかっている。対戦相手に最悪のカードだけを引かせ続けるというのは、楽しい体験の方法論ではないのだ。このカードの再録について、私はあまり楽観的ではない。(とはいえ、ここで指摘しておくべきこととして、これはテーマにふさわしかった『アーチエネミー』で再録を果たしている。)
再録機会:まあない、または再録済み(『アーチエネミー』を含むなら。)
《スポロロスの古茸》
このカードは、『フォールン・エンパイア』への再訪を示唆していた。このデザインの独自性は、クリーチャーからカウンターを取り除く能力がこのクリーチャーだけにあるのではなくすべてのクリーチャーに与えられるというところにある。戦場にいる自軍のクリーチャーがこれだけのときには働かないという以外には、これの実際の適用について私は理解してすらいないかもしれない。(もちろん、デザインした当時にはわかっていた。)フレイバーとメカニズムの奇妙さから、これはほとんどのセットにはふさわしいものにならない。
再録機会:まあない
《蒸気打ちの親分》
私がミライシフト・カードで望んでいたものの1つが、それまで使われておらず、わざわざ説明もされていない術語を使うカードだった。また、そのカードは、一体何を意味しているのかわからないことで笑えるようにすることが重要だったので、少しばかりのバカバカしさが必要だと考えていた。私が最初に作ってみたのがこれだ。
〈ゴブリンのスプローグ/Goblin Splorg〉
{2}{R}{R}
クリーチャー - ゴブリン・スプローグ・戦士
3/3
{R}, ゴブリン1体を生け贄に捧げる:ターン終了時まで、すべてのスプローグは二段攻撃を得る。
{R}, スプローグ1体を生け贄に捧げる:ターン終了時まで、すべてのゴブリンは+2/+0を得る。
アーロン・フォーサイスは、我々が新しいクリーチャー・タイプを作るのは日常なので、これは我々が望むものを表現できていないと指摘した。もっと奇妙でもっと曖昧なものにするため、新しい単語が必要だったのだ。その次に作ってみたのがこれである。
〈[ゴブリンの蛙つまみ]**/[Goblin Flogpincher]**〉
{2}{R}{R}
クリーチャー - ゴブリン・装具工
3/3
あなたがコントロールしている装具工が碑を1つおっ立てるなら、代わりに碑を2つおっ立てる。
他のすべての装具工は+1/+0の修整を受け速攻を持つ。
編集チームが「碑をおっ立てる」が我々の想定以上の冷笑を誘うかもしれないと指摘したので、「からくりを組み立てる」に変更になった。そしてこのカードが世に出ると、我々が望んでいたような反響が返ってきた。人々はこのカードが一体何に言及しているのかという謎を楽しんだのだ。それで終わりにしていれば何の問題もなかったのだが、アーロンは当時書いていた記事の中で、からくりを作るつもりはないということを明言したのだ。ただの冗談であると。
人生の教訓――マジックのプレイヤーには、何かをするつもりはないということを伝えないこと。それは彼らの求める気持ちを強くするだけである。何年にも渡って、プレイヤーはからくりを作ることを求めていた。私は試みたが、このフレイバーを活かしながら使い物になるメカニズムを作ることが成功することはなかった。メカニズムを使い物になるようにすると、からくりらしいものにはならなかった。つまらない解答はいくつかできたが、それはマジックのユーザーが求めているものではなかった。からくりを作るのであれば、それは単なるヒットではなくホームラン級のものでなければならなかったのだ。
からくりが回収されたのは、『Unstable』だった。『Unstable』は、発明に焦点を当てた、スチームパンク風の世界だった。(いや、それはもっと後の話。デザインされたのが後なのだ。)からくりはまさにふさわしく、そして自由な銀枠世界でならこのメカニズムに必要な雰囲気を表すものをメカニズム的に作ることができたのだ。文字通り巨大な機械を組み上げるカードを集めた2つ目のデッキになった。ユーザーはこれを大変気に入り、今はプレイヤーからぜひ黒枠に採用して欲しいという声が届くようになっている。
再録機会:再録済み
《通りの悪霊》
マナ以外のエコー・コストを試したのなら、同じことをサイクリング・コストでしない理由があるだろうか。ライフは非常に有用だということがわかった。実際、スタンダードでは少しばかり有用すぎるかもしれないが、このカードは多くの再録セットに居場所を見つけている。(『Modern Masters』『マスターズ25th』『Mystery Booster』)スタンダードに再録されることになるとは思っていないが、サプリメント・セットには居場所を見つける可能性もあるのではないか。少しばかり困難な話ではあるが、ありえないわけではない。
再録機会:まあない
《嵐の精体》
最初、このカードは、ストームを持つクリーチャーとして作られた。その後、ルール上不可能だという説明を受けたので、ストームを持っているかのように感じられるクリーチャーを作るための最大限のことをしたのだ。成功したと言えるだろうか。プレイデザイン上の問題がないのであれば、このカードはいつの日か再録されるのではないかと考えている。
再録機会:ありうる
《タルモゴイフ》
このカードは、ある目的でミライシフト・シートに収まっていた。まだ存在していないカード・タイプが1つ増える予定であり、すべてのカード・タイプを列記した注釈文が必要だったのだ。《ルアゴイフ》の変種で、自軍の墓地にあるクリーチャー・カードの枚数ではなく、自軍の墓地にあるカード・タイプの数を参照するものを作ることにした。最初の計画では、注釈文に「プレインズウォーカー」を加えるだけの予定だったのだ。その後、このカードは緑のプレインズウォーカー・カードを入れる場所を作るためにセットから除外された。我々は、プレインズウォーカーをミライシフト・カードで初登場させるつもりだったのだ。その後、プレインズウォーカー・カードのデザインを完璧なものにするために時間が必要だったのでその計画は中止された。興味深いことに、そのセットのリード・デベロッパーだったマイク・チュリアン/Mike Turianがファイルに《タルモゴイフ》を戻した時、私がこのカードを作ったときに決めたスタッツである*/*ではなく、《ルアゴイフ》と同じように*/*+1にしたのだった。『ローウィン』のデザイン中に、部族というカード・タイプを使うべきだと気が付き、それをまだデベロップ中だった《タルモゴイフ》に追加した。このカードを再録するにあたっての最大の障害は、その強さである。
再録機会:まあない
《ソーンウィールドの射手》
《クァーグノス》は被覆を導入した。《ソーンウィールドの射手》は到達と接死を導入した。前回忘れていたが、《ミストメドウの身隠し》では絆魂を導入していた。これが4つの新キーワードであった。到達と接死は現在、常盤木能力になっているので、このカードが再録されていないのは驚きだ。このカード名がふさわしい世界を見つけるだけの問題である。
再録機会:ありうる
《雷刃の突撃》
このカードは、フラッシュバックやバイバックの一種の変種である。ひねりを加えたのは、戦闘ダメージに関係しているということだ。広いものを言外に示しているように思えるので、これをキーワードや能力語にしていないことは驚きだ。これと回避能力を組み合わせたときに、バイバックのような、プレイヤーが同じ呪文を何度も繰り返すだけになるという問題に陥るかどうかはわからない。このメカニズムを調整することはありうるだろうが、このまま使うことについて私は懐疑的である。これ1枚だけの再録というならどうだろうか。
再録機会:まあない
《ヴィダルケンの霊気魔道士》
このカードと《誘導スリヴァー》は、基本土地サイクリングの基本土地・カードを持ってくる部分を特定のクリーチャー・タイプのクリーチャーを持ってくるようにした変種であるタイプ・サイクリングを導入している。同じプレイを繰り返す問題を抑えるために教示者系メカニズムを弾圧している(カード1枚単位では存在している)ので、タイプ・サイクリングが再録されることは考えがたいが、誰かが突然そうすることがありえないわけではない。
再録機会:まあない
《イクスリッドの看守》
これも、ミライシフト以外でも簡単に作れたミライシフト・カードである。このカードは非常にニッチなのでどのセットにもふさわしいとは言えないが、いつかこれがふさわしく感じられるセットが見つかると思われる。さまざまなセットでこのカードを入れようという試みがあったことは知っているが、さまざまな理由から、まだ印刷までは到っていない。
再録機会:ありうる
過ぎ去りし『未来』
ふぅ! 3週間かかった。ついに終わった。私が手掛けた、この奇妙な、セット内の一部のカード群への振り返りを楽しんでもらえたなら幸いである。いつもの通り、この記事や話題にしたカードについて、諸君からの感想を楽しみにしている。メール、各ソーシャルメディア(Twitter、Tumblr、Instagram、TikTok)で(英語で)聞かせてくれたまえ。
それではまた次回、『ゼンディカーの夜明け』のプレビューが始まる日にお会いしよう。
その日まで、あなたの未来があなたの過去の一部を含んだものでありますように。
(Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru)
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