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開発秘話

Making Magic -マジック開発秘話-

バック・トゥ・ザ・『未来予知』(フューチャーサイト)・パート2

Mark Rosewater
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2020年8月10日

 

 先週、『未来予知』のミライシフト・カードすべてについて、どのように作られたのかについて、また「再録元」が将来作られる可能性についての検証を始めた。カードが大量にあるので、まだ語るべきカードがある。

 どのように評価しているかを思い出したい諸君は、ここをクリックしてくれたまえ。



 それでは先週の続きから始めよう。

幽霊火

 このカードはまだ再録されていないが、他のどのミライシフト・カードよりも大きな影響をマジックに与えたものと言えるかもしれない。まず、メカニズムの話から入ろう。私がこのカードをデザインしたのは、いつか、有色のコストを持つ無色の呪文を作ることがあると考えていたからである。私がメカニズム的に予想していた多くのこと同様、それがどこでどのように使われるかはわかっていなかったが、いつの日か必要になる道具だと単に認識していたのだ。また、私はこれが今まで見たことがないものであるという性質を示していて、しかも非常に単純な形だったので、ミライシフト・カードとしても気に入っていたのだ。このセットにはかなりの複雑さがあるので、私は可能な場合にはいつでも単純なカードで目標を達成できる方法を探していたのだ。1つだけを除いてあらゆる意味で、これは通常の直接ダメージ呪文なのだ。

 もちろん、数年後、私はこのメカニズムの使い方を『戦乱のゼンディカー』で見出すことになる。私は、あらゆる種類、あらゆるレアリティの呪文に持たせられ、単純な形の、エルドラージを特異なものだと感じさせる方法を見つける必要があった。この「《幽霊火》効果」と当時呼ばれていたものは、まさにふさわしかったのだ。後にそれは、欠色というキーワード・メカニズムになる。(展望デザインでは名前をつけず、《幽霊火》同様に書き下していた。)プレイヤーは何もしないように感じられるメカニズムを嫌うので、欠色には問題があった。完全に後知恵になるが、欠色はメカニズムではなく特殊タイプにするべきだっただろう。

 ただし、この話のもっと面白いところは、クリエイティブ面にある。無色であることの根拠は、この魔法が目に見えないことだった。確かに唱えるのには赤マナが必要だが、この呪文そのものには視認できる性質はないのだ。このフレイバーを強化するため、このカードのフレイバーテキストはこうした。「精霊ドラゴン、ウージンの眼を得た者のみが、彼の炎を見ることができる。」このフレイバーテキストの執筆者(誰だか思い出せたら称賛したい)が、「これは見えない」という以外の情報をすべてでっち上げた。「精霊ドラゴン、ウージン」となっている存在は、まだ作られていないのだ。このフレイバーテキストの執筆者は、クールな未来のクリエイティブの可能性を作っただけなのである。

 このフレイバーテキストがクリエイティブ・チーム(や、プレイヤー)に大きく影響を与え、その結果「精霊龍、ウギン」が作られて物語に組み込まれていったのだ。ウギンの物語を楽しんだことがある諸君、あれはすべてこの短いフレイバーテキストから始まったものだったのだ。

 私はいつもミライシフト・カードをセットに入れる機会を窺っていて、『戦乱のゼンディカー』は《幽霊火》を再録する最高の機会に思われた。舞台はゼンディカーだ。ウギンはこの次元に長い歴史を持つ。欠色(「《幽霊火》効果」)はこのブロックのメカニズムだ。《幽霊火》にふさわしい時期があるなら、今だ。1つだけ小さな問題があった。欠色を、エルドラージを定義するために使ってしまっていたのだ。エルドラージだけが欠色を持つ。《幽霊火》が、エルドラージであるというフレイバーを持たないのは明らかだ。成立させるようにカードのコンセプトを調整することはできるだろうか。できない。チャンドラが使う呪文を何らかの形でエルドラージと関連付けるのはどうだろうか。話の筋が全く通らない。このカードをこのセットに入れることを合理的に説明するべくさまざまなアイデアを試したが、クリエイティブ的に筋を通せるものは1つもなかった。残念ながら、我々はこれを採用できなかったが、私は本当に本当に尽力したのだとわかってもらいたい。

 このカードを再録する場所をいつか見つけられる機会があると私は今も考えているのだ。

再録機会:ありうる

ゴールドメドウの監視人

 このカードはサイクルの一部である。

 このサイクルになっているカードのうち他の4枚はミライシフト・カードではないことにお気づきだろう。なぜこのようなことになったのか。我々は、スペルシェイパーのサイクルを作るというクールなアイデアを思いついた。それらのスペルシェイパーはカード1枚を捨ててクリーチャー・トークンを作るのだが、単なるクリーチャー・トークンではなく、既存のマジックのカードのコピーであるクリーチャー・トークンを作るのだ。その後我々は、サイクルの中の1枚が、まだ存在しないがいずれ存在することになるカードのクリーチャー・トークンを作るミライシフト・カードだとクールだと考えたのだ。トークンにするクールなカードの選択肢を確認し終えた後、我々は白に一番選択肢が少ないと判断し、白が生成するための未来のカードを作った。《ゴールドメドウの侵略者》はその直後のセット、『ローウィン』で登場することになる。ゴールドメドウは、最終的に、キスキンの氏族の1つになった。もちろん、このカードを作ったときの我々には、スペルシェイパーがキスキンであり、『未来予知』が世に出る時点では長い間キスキンを作ってこなかったということはすでにわかっていた。これは、『未来予知』作成当時に計画されていた、数少ない未来の再録カードの1枚であった。

 ゴールドメドウがローウィン世界のキスキンの氏族なので、《ゴールドメドウの監視人》も《ゴールドメドウの侵略者》も今はローウィンに関連付けられている。このカードの再録のためには、ローウィンを舞台にしてスペルシェイパーがいるセットでなければならない。

再録機会:まあない

墓を掻き回すもの

 このカードは、既存の2つのもの、マッドネス・メカニズムと《グレイブディガー》を組み合わせたことから生まれている。また、これはマッドネスでプレイした場合にのみ発生する効果を持つ初めてのカードでもある。マッドネスと、マッドネス・コストが支払われた場合に追加の効果が発生するカードが一緒に登場するのは、『イニストラードを覆う影』のことになる。これはイニストラードを舞台としているセットなので、ゾンビである《墓を掻き回すもの》はふさわしい。このカードはファイルに入ったが、残念ながら、スタンダードには強すぎるということがわかってセットから取り除かれたのだっあ。新カード群の一部として再録される最高の機会は、スタンダード向けではないサプリメント・セットということになるだろう。

再録機会:まあない

にやにや笑いのイグナス

 《にやにや笑いのイグナス》は、コストとしてオーナーの手札に戻るクリーチャーを試したものである。これは我々がしたいと思っているものだと示せたわけではない。ただし、このカードに問題があるとは考えていない。いつか、ふさわしいセットが現れるかもしれない。

再録機会:まあない

ウーコーの手下悪鬼

 マイケル・エリオット/Michael Elliottが、初めてエコーを提案したのは『テンペスト』のデザイン中だった。確か、彼の自作セット、「Astral Ways」の一部だったと思う。我々はそれを『ウルザズ・サーガ』に先送りにした。『時のらせん』ブロックでエコーを再録し、今回はマナ・コストと異なるエコー・コストを取れるようにした。《ウーコーの手下悪鬼》は、色違いのエコー・コストを実験したものである。私はエコーの再録についてそれほど楽観視しているわけではないので、《ウーコーの手下悪鬼》が新セットで再録される可能性は低いと考えている。

再録機会:ありえない

皇帝の仮面

 《皇帝の仮面》は、将来多人数戦を考慮したカードが作られるということをほのめかしている。興味深いことに、多人数戦は非常に人気が出たが、いちばん有名な多人数戦フォーマットである統率者戦にはチームメイトという概念はない。それを踏まえて、我々は何度か《皇帝の仮面》をセットに入れようと試してみたことがある。私は、これがいつか居場所を見つけることを期待している。

再録機会:まあない

放漫トカゲ》と《ムラガンダの印刻

 デザイン・チームが未来のメカニズムをほのめかせようとするのと同じように、クリエイティブ・チームは未来の世界をほのめかせようとしていた。可能性のある世界を記した短いリストに常に載り続けていた世界の1つが、先史世界であった。当時、恐竜が重要な役割を果たす世界はまだ扱われておらず、先史世界はまさにそれにふさわしいと思われたので、クリエイティブは先史世界を設定し、それをムラガンダと名付けた。その後、クリエイティブ・チームは我々が作った、マジックの単純な側面(基本土地からのマナを使うことと、バニラ・クリーチャーを奨励すること)を扱っているカードをムラガンダに関連付けた。

 ムラガンダは、訪れてほしい世界として頻繁にリクエストされている。問題が1つだけあった。これら2つのメカニズムはどちらもそれほど豊かなものではなく、世界を構築する軸になるものでもないのだ。そのため我々は、メカニズム的に興味深い世界を作りながら期待に応えることができるとは思えなかったので、ムラガンダを訪れることを躊躇していた。いつの日かこの問題を解決できることを希望しているが、すぐに解決できるとは思っていない。このことは、ムラガンダ以外の世界に入れることが難しい《ムラガンダの印刻》については深刻な問題である。(プレイヤーが大好きなので)さまざまな世界に恐竜を配置するようになってきており、このメカニズムはセットに1枚だけでも入れられるものなので、《放漫トカゲ》の再録の可能性は高いと思っている。例えば、『イクサラン』のときに《放漫トカゲ》を検討したはずだ。

再録機会:《放漫トカゲ》 ありうる/《ムラガンダの印刻》 まあない

論理の結び目》《死に際の喘ぎ》《墓忍び

 『未来予知』で作られた新メカニズムすべての中で、私が一番期待していたのが探査であった。(サイクル以外で一番枚数が多く3枚存在する、唯一のメカニズムであることからもそれが示唆されている。)私はそれを入れる場所を探し続けていた。『イニストラード』で試したが、フラッシュバックその他の墓地を参照するメカニズムと対立しすぎていた。我々は最終的に、『タルキール覇王譚』のスゥルタイ氏族のメカニズムをこれの居場所として見出した。私は、このメカニズムを使う2セットのうち1つで、探査を持つ『未来予知』のカード3枚のうち1枚を再録することを決めていた。

 《論理の結び目》はどうか。プレイデザイナーたちが懸念を示したので、ボツになった。《死に際の喘ぎ》はどうか。「色関連」よりも楔3色を重視したセットでは、緑でない、という条件がついているのは奇妙だった。あとの残りは《墓忍び》である。これは良さげだと思われた。《論理の結び目》のように強すぎることもなく、《死に際の喘ぎ》のように奇妙なメカニズム的ひねりがあるわけでもない。問題を指摘したのはクリエイティブ・チームだった。タルキールにはデーモンはいないというのだ。後に、クリエイティブ・チームは方針転換してタルキールにデーモンが存在することにしたが、誰も《墓忍び》のことを思い出さなかったので、このカードが作られることはなかった。

 これら3枚のカードすべてが持つ問題は、探査がメカニズムとして少々強すぎたということであり、そのためこのメカニズムを再録するのは難しく、これら3枚を再録するのはそれよりさらに難しくなっているのだ。通常、スタンダード以外のフォーマット向けのセットでなら印刷される可能性がある、というところだが、探査はほとんどの広いフォーマットで問題があるということが証明されている。

再録機会:ありえない

輝く透光

 私は、いずれデザインでクリーチャー・エンチャントを使う必要が出るとわかっていた。それがどこでなのかはわからなかったので、このカードのクリエイティブ的扱いはあてずっぽうだったのだ。この世界は最終的にテーロスになった。《輝く透光》を入れることについて議論したが、このブロックではクリーチャー・エンチャントはエンチャントらしいものでなければならないという規則があり、フレンチバニラのクリーチャー・エンチャントはこの制限を満たさなかった。『テーロス還魂記』では、この制限をかなり緩めたが、《輝く透光》はそれでも最終的に採用には到らなかったのだ。しかしながら、セットデザインに提出された展望デザイン・ファイルには入っていた。我々は試みたのだ。

 私はテーロス以外の世界でクリーチャー・エンチャントを使うことがあると信じているので、《輝く透光》が再録される機会もまたあることだろう。

再録機会:ありうる

光糸の場》《研磨車》《鞭背ドレイク》《生けるものの洞窟

 変異は、ルール・チームが『アルファ版』の《Camouflage》と《Illusionary Mask》のルールを解決しようとしたことによる副産物である。我々は最終的にそれを『オンスロート』ブロックで使い、そしてすぐに熱烈なファンを獲得した。変異は『時のらせん』ブロックで再録されている。我々は変異を持つミライシフト・カード4枚を作った。1枚目が《鞭背ドレイク》で、これは色違いの変異コストを持っていた。(《ウーコーの手下悪鬼》とエコーでしたのと同じようなことである。)

 他の3枚は、ミライシフトの垂直サイクルの一部であった。変異はクリーチャーでしか使われていなかったので、他の3種類のパーマネント・タイプのカードに変異を持たせたのだ。(プレインズウォーカー・カードは次のセットの『ローウィン』で初登場するので、まだ存在していない。)コモンは変異を持つ土地(《生けるものの洞窟》)、アンコモンは変異を持つエンチャント(《光糸の場》)、レアは変異を持つアーティファクト(《研磨車》)だった。

 クリーチャーでない変異にはプレイ上、ルール上の問題が大量にあるので、色違いの変異のほうがクリーチャーでない変異よりは印刷される可能性が高いと思われる。

再録機会:《鞭背ドレイク》 ありうる/《光糸の場》《研磨車》《生けるものの洞窟》 まあない

スリヴァー・サイクル

 スリヴァーもまた、マイク・エリオットの「Astral Ways」で作られたものである。初登場が『テンペスト』で、その後『レギオン』で再登場し、『時のらせん』でもまた再登場している。『未来予知』で、我々は、それぞれがそれまでに存在しなかった能力をすべてのスリヴァーに与えるというスリヴァーのミライシフト・サイクルを作ることに決めた。そのメカニズムを採用し、同時に、スリヴァーがいるセットを作らなければならないので、これらの再録の可能性は低い。より興味深い質問は、それら5つのメカニズムそれぞれが再録される可能性はどうか、である。

吸収 ― このメカニズムは、『Star Wars Trading Card Game』のために作った「Armor」というメカニズムをもとにしたと思われる。最終的に、我々が予想していたよりも少し強力なものになってゲームの進行を遅めたので、これの再録についてはそれほど楽観視していない。

タイプ・サイクリング ― 『スカージ』で導入された基本土地サイクリングは、自分のカードをサイクリングして、未知のカードを得るのではなく自分のライブラリーから特定の基本土地・カードを探してくるというものである。タイプ・サイクリングは、特定のクリーチャー・タイプのカードを探してくるということを除いて、それと同じである。この能力は《誘導スリヴァー》だけでなく、他のミライシフト・カードである《ヴィダルケンの霊気魔道士》にもついている。開発部は教示者メカニズムにいい顔をしないので、このメカニズムの再録も期待できないと思っている。

消術 ― 消術は基本的に、他のプレイヤーに占術を行なうというものである。これは直感的で、そして『未来予知』以降、占術は常盤木にさえなっているのだ。問題は、単純に、楽しくないということである。対戦相手に自分のライブラリーを占術されるのは本当に不快なのだ。そのため、これもまた再録をあまり楽観視していないメカニズムである。

激情 ― このメカニズムは、ブロックを推奨するメカニズムとして作られた。ブロックするなよ、大きくなるぞ。と。私はさまざまなセットで激情を入れようとしたが、プレイデザインは同意しなかった。私は、プレイパターンが楽しくない、と何度も言われた。私は、これらのスリヴァーが持つメカニズムの中で、これ(か、有毒)が一番日の目を見る可能性が高いと思っているが、比較対象が低い話ではある。

有毒 ― これは私が、毒がいつの日か戻ってくるのだという証を立てたものである。基本的に、これまでに毒が使われてきた方法をキーワード化しただけなのだ。我々は『ミラディンの傷跡』のデザイン開始時に有毒をファイレクシアのメカニズムとして入れたが、プレイテストの結果、プレイヤーは毒で死ぬ前にダメージで死ぬことが多かったのだ。また、クリーチャー戦闘において相互作用性もそう高くなかった。我々の解決策は、感染だった。感染にはまた別の問題があり、毒はいつの日か戻ってくると私は考えているので、有毒にもまた機会はあるかもしれない。

再録機会:《血清スリヴァー》《催眠スリヴァー》《誘導スリヴァー》《激情スリヴァー》《悪性スリヴァー》 ありえない/吸収、タイプ・サイクリング、消術 まあない/激情、有毒 ありうる

ミストメドウの身隠し

 このカードは、特定の点数で見たマナ・コストからのプロテクションを導入した。このカードは1年も経たないうちに『シャドウムーア』に再録された。続く年の「再録元」同様、我々はこれを続ける計画でいる。この能力も多数のカードで採用するだろう(《無傷のハクトス》、《ラバブリンクの冒険者》でしている)。

再録機会:再録済み

ナカティルの戦群れ

 このカードでは、攻撃した時に自身のコピーであるトークンを作ることを実験している。これはおそらく、別の緑のアンコモンである《踏み荒らし》の別の解釈をしようとしたものだろう。アイデアは斬新だが、このカードは結局のところリミテッドでかなり強すぎ、多くのリミテッドのゲームを台無しにした。このメカニズムをそのまま使うことは考えられないが、これはいずれ踏み込むことが予想できる興味深いデザイン空間を開拓してくれた。

再録機会:ありえない

ナルコメーバ

 このカードは、私が《黄泉からの橋》をデザインしたのと同じ時期にデザインされたものである。私はそれまで扱ったことがない誘発イベントを探していて、「切削されたとき」にたどり着いたのだ。このカードは、我々が居場所を見つけることができたカードの好例である。《ナルコメーバ》は競技プレイで見られたが、それは環境にあった他のカードによる部分が大きかった。『ラヴニカのギルド』のセットデザイン中に、リード・デザイナーのエリック・ラウアー/Erik Lauerが、《ナルコメーバ》はこのセットにふさわしく、また問題を起こすために必要な相互作用を起こすカードはスタンダードに存在しないので問題にならないと判断したのだった。

再録機会:再録済み

2色土地のサイクル

 これは、2週前に私が語った、サイクル内の各2色土地がそれぞれ別々の未来の2色土地サイクルの一部であるという2色土地のサイクルである。それぞれの土地について語っていこう。

雨雲の迷路 ― この2色土地にはいくらかの記憶上の問題がある。(少なくとも競技プレイでは)マナを正しく出すことを確認するため、対戦相手が把握しておく必要があるので、我々は土地の記憶上の問題には特に注意している。この2色土地のサイクルがいつか作られる機会があると私は考えている。

涙の川 ― カード単体で見て、私はこのデザインに誇りを持っている。この特定の2色との作用と、マナが必要な時期や状況が、あまりにもきれいに符合しているのだ。しかし、2色土地サイクルとして見ると、このカードは記憶上の問題の悪夢である。私は、この2色土地サイクルが再録されることについては非常に懐疑的である。

偶像の石塚 ― 『未来予知』がまだデザイン中に、各セットにミライシフト・カードを1枚ずつ入れるようにするため、この2色土地のサイクルを『未来予知』の1年後の『シャドウムーア』で登場させるということが計画されていた。

燃え柳の木立ち ― 私は、この2色土地サイクルも作れると考えている。これは『アイスエイジ』のペインランドの鏡像としてデザインされたものだ。

地平線の梢 ― 興味深いことに、この2色土地サイクルもまた、少し弱い側に位置する『アイスエイジ』のペインランドをもとにしている。(我々が2色土地の適正なパワーレベルを理解するのには何年もかかったのだ。)これらは、もう不必要になったときにその土地を生け贄に捧げてカードを引けるという追加の能力を持っている。私は、この2色土地もいずれ再録されることを確信している。

再録機会:《偶像の石塚》 再録済み/《雨雲の迷路》《燃え柳の木立ち》《地平線の梢》 ありうる/《涙の川》 ありえない

拒否

 ミライシフトのデザインが難しいと伝える方法の1つが、《拒否》のような呪文を入れているということである。これがどのように未来をほのめかしているのか、言い切ることができない。このセットのミライシフトでないカードとして入っていたとしても、誰も気づかなかったことだろう。私は、これはいつの日かふさわしいセットが来たときに再録されることになるミライシフト・カードだと信じている。唯一の問題は、これが狭いことだが、ふさわしい世界では狭くないこともあり得る。

再録機会:ありうる

今後しばらく

 今週も時間が来てしまった。私の話が楽しめるものであれば幸いである。ミライシフト・シートがマジック史上の楽しい瞬間だったことに気がついた。いつもの通り、この記事や私が話題にしたカードについての諸君の感想を聞かせてほしい。メール、各ソーシャルメディア(TwitterTumblrInstagramTikTok)で(英語で)聞かせてくれたまえ。

 それではまた次回、私が年次で発表している「デザイン演説」の日にお会いしよう。その後、『未来予知』のデザインの話に戻ってくる。

 その日まで、心躍る未来の夢があなたとともにありますように。

(Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru)

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