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Making Magic -マジック開発秘話-
恐竜と吸血鬼と海賊(とマーフォーク) 愛するあなたのため その1
恐竜と吸血鬼と海賊(とマーフォーク) 愛するあなたのため その1
Mark Rosewater / Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru
2017年9月25日
『イクサラン』のプレビュー期間が終わり、次はカード個別のデザインの話を始める番だ。語るべきことは多いので、さっそく始めよう。
《鉄面提督ベケット》
3色の陣営を2つ作ったのは、特にリミテッドにおいてプレイヤーが3色全てを使うことを期待していたからではなく、さまざまな1色または2色の選択肢を提供できるようになるからという理由があった。例えば海賊をプレイしたければ、青単、黒単、赤単、青黒、黒赤、青赤を使うことができる。
しかし、2つのことがわかっていた。まず、お気に入りの海賊をありったけデッキに入れたいと考えるプレイヤーがいて、そういうプレイヤーはそれを奨励するようなカードが少なくとも1枚欲しいということ。そしてもう1つが、統率者戦プレイヤーはその部族のすべての色を持つ伝説のクリーチャーを欲しがるであろうということである。
そこで、海賊と恐竜のそれぞれに、強力な部族性を持つ3色の伝説のクリーチャーを神話レアで作ったのだ(恐竜については後述する)。神話レアにしたのは、プレイヤーがリミテッドで3色をあまりにも頻繁に強制されていると感じないようにするためである。
海賊については、我々は大量の海賊をプレイすることを強く推奨し、同時に海賊らしい振る舞いを推奨するクリーチャーが欲しいと感じた。まずはじめに我々はロード、すなわち自軍の海賊全てに+1/+1の修整を与えることで強化するクリーチャー(ああ、計算を簡単にするため、自軍の他の海賊全てを、としている)を作った。2つめの能力は、盗む能力(海賊は盗むものだから)で、大量の海賊で攻撃することが条件となっている。
我々はこの、(絵に描かれている通り)海賊軍団が他の船を襲撃することを表すアイデアが気に入った。これ全体で、海賊デッキをさらに海賊らしく感じられるようにできたと言えるだろう。
《秘儀での順応》
私は『ホームランド』をネタにするのが好きだが、クリーチャー・タイプを選ぶカードが初めて登場したのは他ならぬ『ホームランド』なのだ。そのカードは《An-Zerrin Ruins》という赤のエンチャントで、選ばれたクリーチャー・タイプをアンタップさせないというものだった。『アルファ版』には、アンタップできるクリーチャーの数を制限する《煙幕》というカードがあって、一時期はアンタップさせない効果は赤のものでもあったのだ。
『メルカディアン・マスクス』には《狩りの統率者》というカードがあった。これはクリーチャー・タイプ指定で有利を得る初めてのカードだった。《狩りの統率者》のパワーとタフネスは、戦場にあり選ばれたタイプであるクリーチャーの総数に等しいのだ。
『アポカリプス』には《不自然な淘汰》という青のエンチャントがあった。これは他のクリーチャーのクリーチャー・タイプを変更できる初めてのカードだった。『メルカディアン・マスクス』の黒のエンチャント《奸謀》は、戦場にあるものだけでなく他の領域にあるものも含む自軍のクリーチャー・カード全てを選んだクリーチャー・タイプに変更するという初めてのカードだ。
『オンスロート』の青のエンチャント《標準化》はこの能力を青に取り戻したが、影響を与えるのは戦場にいるクリーチャーだけになった。『新たなるファイレクシア』では青のエンチャントの《異種移植》でこの効果が戻ってきた。これは《標準化》よりも重く、既存のクリーチャー・タイプを書き換えるのではなく単に選んだクリーチャー・タイプを追加するようになった。
《秘儀での順応》は、戦場にあるクリーチャーだけでなく呪文や墓地にあるカードも変更するという面で《奸謀》に倣った、初めての青のカードである。
《アルゲールの断血》/《アクロゾズの神殿》
両面カードのデザインは難しいものだ。デザインに求められるものは以下の通り。
- 4つの部族のうち1つとの関連性 ― 『イクサラン』は4つの陣営のある部族セットである。有色のカードすべてとアーティファクトのほとんどがそれぞれ1つの陣営に関連しているようにしている。それぞれの項目で説明しよう。
- フレイバーに富んでいて楽しい探索テーマの達成条件 ― これらのカードは、遠く離れた秘密の土地を探していることを表している。それらはトップダウン感があり、同時に楽しくて目指すべきゲームの局面を促進するものである必要がある。
- エキサイティングでフレイバーに富んだ土地 ― プレイヤーが達成条件を目指すようにするために、良い賞品を提供する必要がある。裏面の土地は、プレイヤーが達成条件を目指そうと思うようなものでなければならない。
- オモテ面と裏面の間の、フレイバーとゲームプレイを通したテーマ的な繋がり ― オモテ面と裏面が密接に関連していると感じられなければならない。物語を伝えるとともに、同じデッキに入れたいと思うような効果を両面で提供する必要がある。
それでは、このカードがこの各条件をどう満たしているか見ていこう。
4つの部族のうち1つとの関連性
このカードは吸血鬼に関連している。
フレイバーに富んでいて楽しい探索テーマの達成条件
吸血鬼は宗教的秩序に従っている。彼らの信じていることの1つが、自ら(吸血鬼なので血の摂取を止めて)飢えることで啓示を受けられるというものである。このカードでは、吸血鬼が血を断つことで新しい土地を見つける、ということを描いている。
エキサイティングでフレイバーに富んだ土地
裏面の土地を作るときに我々がやったことの1つは、マジックの歴史を振り返り、インスピレーションとしてエキサイティングな土地を探すことであった。《アクロゾズの神殿》は、『アラビアンナイト』のこのカードにインスピレーションを受けている。
《Diamond Valley》はもともと黒とは関連付けられていなかったが、生け贄と最も関連の深い黒らしい雰囲気を強く持っている。《アクロゾズの神殿》を黒と関連付けるために、タップして黒マナを出せる能力が与えられた。《Diamond Valley》をタップしてマナを出すことはできない(リチャード・ガーフィールド/Richard Garfieldは『アラビアンナイト』で土地のデザインを実験していた。後に、土地はマナを出せるか、あるいはマナを出せるものを手に入れられるようにする、というルールが作られた)。我々は黒関連の土地を色々と見たが、《Diamond Valley》が最も役に立つものだった。
オモテ面と裏面の間の、フレイバーとゲームプレイを通したテーマ的な繋がり
裏面の土地を使ってライフを得ることができる。このため、ライフを少なくするという達成条件はオモテ面と裏面のシナジーを作った。また、断食は弱体化と関連するので、ライフを失うのはフレイバー的である。さらにカードを引く効果を加えたのは、ライフを引き換えにカードを引くのは黒の要素であり、また啓示を通して情報を得るというテーマにもふさわしかったからである。
《骨塚協議》
デザインで楽しいことの1つが、いわば「ブラインドデート」とでも言うべきものだ。これは、2枚のカードを選び、それを組み合わせてクールな新しいカードを作ろうとしてみるというものである。たしかに、これで常に素晴らしいデザインができるわけではない。実際、ほとんどの場合は素晴らしいデザインはできない。しかし、できることがあるのだ。《骨塚協議》はその一例である。
「やあ《ゾンビ化》、君に紹介したいカードがあるんだ。彼女は当時大人気だったんだよ」
「《嘘か真か》ちゃん、背が高くて渋いイケメンが好きなんでしょ? そのうち2つに当てはまる人がいるんだけど」
2人は出会い、そしてクールな新カードが生まれたのだ。
《征服者のガレオン船》/《征服者の橋頭堡》
これも両面カードである。どのように組み上げられたか見ていこう。
4つの部族のうち1つとの関連性
「征服者」とは吸血鬼のことである。
フレイバーに富んでいて楽しい探索テーマの達成条件
最初に我々が扱った土地のフレイバーの1つが、海賊の隠れ家だった。海賊のネタの中で、楽しいひねりを加えられるものだと感じたのだ。他のフレイバーを扱っているうちに、我々は海賊には他にも両面カードにできるネタがあると気づき始めた。
そこで我々はこの土地に別の目的を与えることにした。それが吸血鬼の集合場所というものである。フレイバーは非常に直接的で、吸血鬼が新しい土地に拠点を作ろうとしていて、自分たちの船を解体して新しい基地を作る、というものだ。
エキサイティングでフレイバーに富んだ土地
これらの土地のほとんどは過去の人気のある土地を元にしたものだが、これは比較的独自のものである。3種類の方法でカードを手に入れることができる。
最も軽い起動コストを持つ能力は、新しいカードを1枚手に入れられるが、それと引き換えにカード1枚を捨てる。2つ目の能力は単にカードを1枚引く。3つ目の能力では、自分の墓地からに限られるが好きなカードを手に入れることができる。
フレイバー的には、自分たちの拠点で休む間、吸血鬼は新しい世界について研究することができる、ということである。
オモテ面と裏面の間の、フレイバーとゲームプレイを通したテーマ的な繋がり
この繋がりはメカニズム的というよりもフレイバー的である。カードを引くことは一般に有効なので、2つの面の相性は良いが、他の両面カードのようにメカニズム的シナジーを持っているわけではない。
《凶兆艦隊の荒廃者》
《凶兆艦隊の荒廃者》はマジックの歴史上5枚目となる「third」という単語をルール文で使ったカードである。これらはどれも黒単色である。諸君は何枚挙げることができるだろうか。
一番簡単に挙げられるのは、《悪疫》だ。これは『アイスエイジ』で登場し、『第5版』で再録されている。これは各プレイヤーにライフの「3分の1」を失わせるものだった。
次に挙げられるのは『シャドウムーア』の《増え続ける荒廃》だ。これは初代『プレインチェイス』と初代『アーチエネミー』で再録されている。-1/-1カウンターをクリーチャー1体に1つ、2体目に2つ、「3体目」に3つ置くものだ。
その次は『未来予知』の《失われた時間》。対戦相手に手札を公開させ、そこから土地でないカード1枚を選び、それを対戦相手のライブラリーの上から「3枚目」に置く。
一番難しいのは『コンスピラシー:王位争奪』の《大逆》だ。これをドラフトした時、右のプレイヤーが色1色を選び、自分が2色目を選び、左のプレイヤーが「3色目」を選ぶ。この選ばれた色のいずれかであるクリーチャーを破壊することができるというものだ。
(訳注:黒以外であれば、他にも大量にあります。ライブラリーの3枚目に置くのは、《長期計画》《謎のスフィンクス》。《増え続ける荒廃》を次元にした《Raven's Run》や、その反対に+1/+1カウンターを置く《増え続ける成長》。同系なのがクリーチャーやプレイヤー3つに1点・2点・3点ダメージを与える《火炎放射》やクリーチャー3体に2点・3点・4点ダメージを与える《うねる撃ちこみ》(追放つき)。ある意味同系なのが3つのタイプからそれぞれ1つ・2つ・3つ生け贄に捧げさせる《破滅の儀式》。その他、第3ターンまで唱えられない《セラの報復者》。3回目の起動で追加の効果が発生する《巡礼者アシュリング》《内炎の点火者》《魂光りの炎族》。『イクサラン』にも、ターン内の3つ目の自分の呪文で誘発する《ヴァンスの爆破砲》があります。)
《探査の短剣》/《失われた谷間》
4つの部族のうち1つとの関連性
このカードは装備品なので、海賊とゆるく関連していると言える。
フレイバーに富んでいて楽しい探索テーマの達成条件
このカードは両面カードのデザインの中で一番のお気に入りだ。失われた土地を見つけるために、森を掻き分けて進まなければならない。そのため、こちらの妨害になる0/2で緑の植物・クリーチャー・トークン2体が対戦相手に与えられるのだ。
エキサイティングでフレイバーに富んだ土地
この土地は『ウェザーライト』の土地に触発されたものである。
面白いのは、《水蓮の谷間》もマジックの最も象徴的なカードである《Black Lotus》を元にしたものだということである。最初に両面カードの元にしたカードは《ガイアの揺籃の地》だが、2番目は《水蓮の谷間》なのだ。
オモテ面と裏面の間の、フレイバーとゲームプレイを通したテーマ的な繋がり
このカードは魅力的な物語を描いているが、メカニズム的に2つの面には特に繋がりはない。幸い、マナを生み出すことはほとんどのデッキで有用なので、これを軸にしてデッキを組むことは難しくはない。
《廃墟の地》
『アンティキティ』セットは、アーティファクトを色濃くテーマにしていた。色濃く、というのは、このセットのほとんどのカードに「アーティファクト」の語が存在していたのである。その語が存在していなかった唯一のカードが、タップして無色マナを出すか、あるいはタップして生け贄に捧げることで土地1つを破壊するかができる《露天鉱床》だった(訳注:《ウルザの塔》にも「アーティファクト」の語は含まれていません)。
このカードは非常に強力で、途方もなくつまらなかったので、やがて禁止されることになった。『テンペスト』で、私は改善された《露天鉱床》として《不毛の大地》というカードを作った。これは基本でない土地しか破壊できないという点を除いて同じカードだった。そしてこれも壊れていて、やがて禁止されることになったのだ。
次に私が《露天鉱床》の改善版として試みたのが『メルカディアン・マスクス』の《黄塵地帯》だった。これは土地を破壊するのに3マナの支払いと土地1枚を生け贄に捧げること(これ自身でなくてもよくしたのは誤りだった)を必要とした。これは《露天鉱床》や《不毛の大地》ほどは悪くなかったが、やはりつまらないものだった。
『ディセンション』で、私は再挑戦した(まだわかりにくければ言っておこう、私は頑固なのだ)。《幽霊街》は《露天鉱床》に1つおまけをつけたものだ。破壊された土地のコントローラーは自分のライブラリーを見て、そこから基本土地1枚を探して戦場に出せるのだ。これは、便利な土地を破壊することはできるが、対戦相手のマナ基盤を阻害することはできないようにする、というアイデアだった。これはうまくいった。
そして『イクサラン』チームがこのセットの強力な土地(特に両面カードの裏面)に対処する助けとなる土地を探していたとき、彼らは《幽霊街》の変種を作ることになった。変わったところは、能力を使うのに2マナが必要だが、全プレイヤーが自分のデッキから基本土地を探すことができるというところである。
《太陽の化身、ギシャス》
先に述べたとおり、我々は神話レアの伝説のクリーチャーを3色部族2つに置くことにした。《太陽の化身、ギシャス》は、恐竜の神話レアである。恐竜のロードとしてTレックスっぽい何かを必要としていたので、とても大きくて攻撃的なものである必要があったのだ。
我々が最初にやったのは、キーワード能力を3つ与えることだった。もとはトランプル(赤緑)、警戒(緑白)、先制攻撃(赤白)だったが、先制攻撃は少しばかり強すぎた。戦闘で倒すことが不可能になったのだ。そこで我々はやり直して、3色各色が1種色であるキーワードを持たせることにした。トランプル(緑)、警戒(白)、速攻(赤)である。
次は、攻撃的になることを推奨する一方で、いくらか恐竜部族の繋がりを持つ能力が必要である。我々は他の恐竜を強化する以外の攻撃誘発を実験したが、作り上げるのが難しく、神話レアらしさが充分なものにはならなかった。その後、与えたダメージの量に応じた戦闘ダメージ誘発を試した。これはトランプルにさらなる利点をもたらすことになった。問題は、部族の戦闘ダメージ誘発をどうやって作るかということであった。
我々はさまざまな形で恐竜を強化することを掘り下げていったが、充分な頻度で起こることはなかった。では、誘発型能力によって恐竜を作るのはどうだろうか。恐竜・トークンを生成することを試したが、それはあまり魅力的ではなかった。では、デッキの一番上にある恐竜を戦場に出せるというのはどうだろうか。クールだ! こうして、恐竜のリーダーができあがったのだった。
《イトリモクの成長儀式》/《太陽の揺籃の地、イトリモク》
4つの部族のうち1つとの関連性
このカードは恐竜と関連している。
フレイバーに富んでいて楽しい探索テーマの達成条件
失われた土地をどうやって見つけるのかといえば、クリーチャーの後をつけるのだ。このカードはクリーチャー中心で、クリーチャーを出す助けになると同時にクリーチャーを出していることが必要になっている。
エキサイティングでフレイバーに富んだ土地
この土地は『ウルザズ・サーガ』の土地に触発されたものである。
《ガイアの揺籃の地》は、マジックの歴史上最も壊れたエキスパンション『ウルザズ・サーガ』のカードである。『イクサラン』の両面カードのクールなところの1つは、通常作るには強力過ぎる土地を作ることができるようになったということである。両面カードで可能なことを見せるために最初に作ったカードの裏面が《ガイアの揺籃の地》であったと記憶している。とてもクールなカードだ。
オモテ面と裏面の間の、フレイバーとゲームプレイを通したテーマ的な繋がり
この2つの面は非常にシナジー性が高い。オモテ面はクリーチャーを見つける助けになり、プレイすると利益を得る。そして裏面はクリーチャーを戦場に出していることによって利益をもたらす。非常によくまとまったカードだ。
《戦場の詩人、ファートリ》
伝統的に大型セットには3枚のプレインズウォーカーがいる。ジェイスとヴラスカはどちらもストーリー上重要な役割を果たしているので、彼らがカードになることはわかっていた。ジェイスは青単色でヴラスカは黒緑。そうなると、もう1つプレインズウォーカー枠が余ることになる。
このプレインズウォーカーについて、4つのことがわかっていた。
- プレインズウォーカーの色のバランス的に、理想的には赤白。
- 初期のプレインズウォーカーには男性が多かったので、プレインズウォーカーの性別のバランス上、女性であるほうが望ましい。
- イクサラン出身であることが望ましい。ジェイスとヴラスカは来訪者であり、セットのプレインズウォーカーの1人はその次元出身者にしたいと考えている。
- いずれかの陣営に関連する存在にしたい。赤白であれば、恐竜になる。プレインズウォーカーは最も知性的であるべきなので、残念ながら恐竜であることを求める多くの声には答えられない。
最初に作られた能力は、恐竜を作る能力だったと思う。このセットの恐竜・トークンは緑でトランプルを持つ3/3クリーチャーなので、それを使った。これは[0]能力、つまり忠誠度を増やしも減らしもしない能力である。
次にできたのが、[-X]の奥義で、直接ダメージを選んだ通りにクリーチャーに与えることができるというものだった。「ブロックできない」というおまけは、それがフレイバー的で、クリーチャーを通すトドメとして働くようにつけられた。
これらの能力はどれも白っぽくなかったので(白はトークンを作るが、通常は小さいトークンである)、+の能力は白らしいものにする必要があった。恐竜と相性が良くて非常に白らしいものは何か。クリーチャーのパワーと関連付けたライフ回復はどうか。恐竜は大きいものだし、最悪の場合でも3/3の恐竜・トークンを先に出しておくことができるのだ。
こうして恐竜大好きプレインズウォーカーが誕生したのだった。
《狡猾な漂流者、ジェイス》
ジェイスの得意な系統は精神魔法である。その中には記憶を操作することや思考を読み取ることが含まれるが、もう1つ重要なのは幻覚だ。
長年に渡り、私はさまざまな幻覚絡みのジェイスのデザインをしてきたが、さまざまな理由でどれも印刷には到らなかった。ストーリー上、ジェイスは(再び――彼がその回数を覚えていたとしたら)記憶喪失になり、彼の持っていた心を読む力を忘れてしまった(これはジェイスがさまざまなものについて知らされないというストーリー上の鍵だ)。
つまり、『イクサラン』では、彼は幻影の力だけを使うのだ。そうなると、ついに幻覚のジェイスのデザインをするときが来たことになる。私にとって残念なのは、これが決まったのがデベロップ中であり、私のこれまでのデザインを活用することはできなかったことだ。
最初にデザインされたのは彼の奥義だったと記憶している。幻影術師が戦闘のために最初に学ぶ技は何かというと、自分のコピーを戦闘に使うことだろう。次は呪文の対象になったら生け贄に捧げなければならない「幻影能力」を持つイリュージョン・クリーチャー・トークンの生成だ。
2つ目と3つ目の能力はマイナス能力なので、プラスの忠誠度能力としてルーター能力を持つことになった。これが戦闘ダメージに関連付けられることで、2つ目の能力と相互作用することができるようになっている。
ジェイスの基本土地サイクル
『破滅の刻』の終わりに、ジェイスはニコル・ボーラスと精神戦を行ない、散々に敗れた。本能的にプレインズウォークして逃れたが、その結果記憶を失ってしまった。イクサランにたどり着いたが、その次元の何らかの力によって、彼はプレインズウォークしていくことができなくなった。つまり、このストーリーのはじめに、記憶を失ったジェイスがイクサランの荒野をさまようところを目撃することになる。クリエイティブ・チームは、ここにクールな可能性があると気づき、飛びついたのだ。
基本土地のサイクル1つで(『イクサラン』では、基本土地はそれぞれ4枚ずつある)、ジェイスがうろついているところを目撃する。ほとんどの絵で彼は中心に描かれてはいないが、よく見て探せば見つけることができる。基本土地に秘められたちょっとした物語について、諸君がどう感じるか知りたいと思っている。
カードはカードとして
今日はここまで。これらの話を楽しんでもらえたなら幸いである。いつもの通り、今日の記事や今日話題にしたカードについての考えを聞かせてほしい。メール、各ソーシャルメディア(Twitter、Tumblr、Google+、Instagram)で(英語で)聞かせてくれたまえ。
それではまた次回、カード個別のデザインの話のその2でお会いしよう。
その日まで、あなた自身だけの『イクサラン』の話があなたとともにありますように。
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