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開発秘話

Making Magic -マジック開発秘話-

代表統率者

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代表統率者

Mark Rosewater / Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru

2014年10月27日


 ようこそ、『統率者(2014年版)』プレビュー特集へ。今週は、間もなく発売される『統率者(2014年版)』を取り上げていく。まずはデザイン・チームの紹介、そしてデザインがどうやってできたかの簡単な説明、その後でクールなプレビュー・カードのお披露目だ。リード・デザイナーを務めたイーサン・フライシャー/Ethan Fleischer(と、リード・デベロッパーのイアン・デューク/Ian Duke)はこのデザインに関する特集記事を書いているので、私は同じような内容を違った視点から書いていくことにしよう。

来年の同じ日に

 詳しくない諸君のために、まずは『統率者』という商品群の歴史について説明しよう。毎年の夏に、我々はマジックのプレイヤーに変わった(そしてもっとカジュアル向けの)フォーマットを体験してもらえるような商品を作ることにしている。2009年の夏は『プレインチェイス』。プレインチェイス戦とは、各次元がゲームに与える影響を表す大型カードを使い、プレイヤーが次元間を渡り歩くというものだった。2010年、『アーチエネミー』、アーチエネミー戦とは、1人のプレイヤーが超強力なデッキを作り、他のプレイヤー群と戦うというものだった。そして2011年、我々は5つの『統率者』デッキを発売した。

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最初の『統率者』セット(2011年発売)

 『統率者』はジャッジの間で始まったフォーマットで、プレイヤーはそれぞれ99枚のシングルトン・デッキ(訳注:同名のカードは基本土地以外1枚しか入れられないというもの)と1体の統率者を準備する。最初はこの統率者は『Legends』の伝説のエルダー・ドラゴン5体のなかの1体を選ぶというものだったが、すぐにあらゆる伝説のクリーチャーから選べるようになった。統率者の選択によって、デッキに入れられる色が決定された。すぐにこのフォーマットを管轄する統率者ルール委員会(リンク先は英語)が生まれ(そして今日まで存続している)、フォーマットのバランスを保てるように禁止カードを決定していった。

 『統率者』は大ヒットを収めた。あまりにも大ヒットで、我々はこれを1回限りにするのはあり得ないと認識したほどである。工程の都合から、この変更をするには2年を要したが、去年から、『統率者』は毎年作られるようになったのだ。今回、この商品が作り出した問題のいくつかを取り上げ、そしてイーサン率いるチームがそれをどう扱ったか説明していこう。

印象の影響

 『統率者(2014年版)』は構築済みの形で発売される。つまり、パックで売るのではなく、1枚の公式な統率者と2枚の追加の統率者を含む100枚のデッキの形で売り出されるのである。この商品をデザインする上での鍵は、そのデッキのテーマが何になるかを決めることである。通常、このテーマは色を軸にしたものになる。


天球儀》 アート:Franz Vohwinkel

 元祖『統率者』は、「楔」(1色とその敵対色2色からなる3色の組み合わせ)デッキに焦点を当てた。当時、楔の伝説のクリーチャーはほとんどおらず、統率者戦を好むプレイヤーの間では需要があったのだ。『統率者(2013年版)』も3色テーマを扱ったが、こちらは「弧」(1色とその友好色2色からなる3色の組み合わせ)デッキに焦点を当てていた。『統率者(2014年版)』も、新しい何かをしなければならない。楔デッキでも弧デッキでもない、となると、3色はテーマにできないことになる。

 選択肢は他にいくつもあった。

  • マジック史上、4色の伝説のクリーチャーは存在しない。プレイヤーはいつか作って欲しいと常々言ってきている。4色デッキというのは選択肢になる。
  • 友好色の統率者はとても人気があるので、チームはそれらの新しい使い方を見付けられるだろう。
  • 同様に、敵対色の統率者も人気がある。そしてマジックの歴史上、友好色よりも敵対色のほうが少ない。
  • 単色デッキという選択肢もある。イーサンによる調査の結果、単色の統率者戦デッキはよくあるものだった。
  • 上記以外。チームは、単に色の数に直接結びついたものだけでない無数の選択肢を考えていた。

 このどれもがいい構想であり、今年やらなかったことも翌年以降にできるとイーサンはわかっていた。全ての選択肢を吟味した後で、イーサンは単色デッキという選択肢を選んだのだった。彼のしなければならなかったのは、魅力的なヒキを見付けることだった。

次元を渡れ

 ニコル・ボーラス、カーン、ヴェンセールの共通点は? 彼ら3人は、大修復後のプレインズウォーカーの中で統率者戦で統率者に選ぶことができる。なぜか? なぜなら、彼らは伝説のクリーチャーとしても、プレインズウォーカーとしてもカード化されているからだ(カーンはさらにヴァンガードのカードにもなっている)。

 伝説のクリーチャーが統率者になるようにした理由は、このフォーマットのヴォーソス的背景によるものである。このフォーマットはもともと、5体の伝説のエルダー・ドラゴン(《ニコル・ボーラス》はその一員だ)の中から1体を選び、それをデッキのリーダーとする、というものだった。やがてルールが変更されて、伝説のクリーチャーならどれでも統率者になれるようになったのだ。

 ここで、イーサン率いるチームが統率者で扱う新しい要素を探していたとき、彼らはとても自然に思える発想にたどり着いたのだ。マジックには伝説のクリーチャー以外にも、特定のキャラクターを表すカードが存在すると。そう、プレインズウォーカーだ。プレインズウォーカーを統率者にするというのは、フレイバー的にはよさそうに思えた。実際、多くのプレイヤーが非公式にプレインズウォーカーを統率者として使っていた(もちろん、公式ルールでは認められていないのだが)。

 ここで、話を少し巻き戻してみよう。イーサンは、伝説のクリーチャー以外のカードを統率者にするという発想が気に入っていた。チームが集まって何を扱うかを決める段になると、議論は当然の答え、プレインズウォーカーへと向かっていった。デザインでは、私が「明瞭の瞬間」と呼ぶ、チームにもたらされた決定があまりにも明瞭で、そこにいる誰もが正解を見付けたと判断し、全ての議論が止まってしまう瞬間がままあるものだ。チームの1人が、プレインズウォーカーを統率者にする、という発想を提示した瞬間、チームに明瞭の瞬間が訪れたのだ。

 イーサンは、チームが乗り越えるべき障害が2つあるということに気付いていた。まず、きちんと働くようなデザインを作ることができると照明しなければならない。プレインズウォーカーは統率者戦に相応しいものとは限らないので、デザインはトリッキーなものになる。2つめに、チームがデザインを作り上げたとして、統率者ルール委員会の賛同を得なければならない。統率者戦は、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社が作ったものでもなければ管理しているものでもない。つまり、毎年我々が『統率者』の商品を扱うたび、統率者ルール委員会と協議し、賛同を得なければならないのだ(協議を行い、そして賛同を得ている)。

 まず最初に、イーサン率いるチームは統率者としてうまく働くようなプレインズウォーカーをデザインできることを証明しようとした。プレインズウォーカーがマジックの歴史上の有名人物を表すトップダウンで作られたものだ、という結論を出すことは簡単だが、実際はその逆になる。デザインは非常にトリッキーなので、イーサン率いるチームはプレイして楽しいプレインズウォーカーとなるようなメカニズムを決めることから始めたのだ。それができたあとで、そのプレインズウォーカーが一体誰なのかを決めたのである。

 これらが行われている一方で、プレインズウォーカーに多大な影響を与える別のことが進行していた。

行方不明者

 次の話に入る前に、まずセットの作り方について説明しておこう。最初にセットに手をつけるのはデザイン・チームだ。最初に先行デザインをおこない、その後で通常のデザインを始める。この時点で、我々はデベロップやクリエイティブと協議する。メカニズムや世界の基本的な部分を作り上げる手助けをするのだ。クリエイティブの詳細ができるのは、まだもっと先の話で、アートやカード名、フレイバー・テキストなどが最終的に決まるのはデベロップの後半になる(アートは何週も前に発注されるが、アーティストが創作するのにも時間がかかるのだ)。

 この順番をここで取り上げるのは、そのために毎年起こりがちになる問題があるからである。クリエイティブ・チームは、フレイバー・テキストを手がけている間に世界や人物に肉付けしていく。中心となる人物については早期から議論されているが、それ以外の人物(物語全体において重要ではない人物)については少しばかり後になる。これのいい例が、ゲラルフとギサである。この兄妹は『イニストラード』のフレイバー・テキストの中心人物だが、この2人ができたのはカードを作ることができる限度よりもずっと後のことだった。実際、セットができあがるまで、この2人にそれほど人気が出るとは思ってもみなかったのである。

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 『イニストラード』ブロックを通して、プレイヤーからはゲラルフとギサを求める声が相次いだ。しかし、その声が届く頃には、カードを作ることができるタイミングはとっくに過ぎていたのだ。このようなことはしばしば起こっていたので、我々はプレイヤーが望んだのにカードにできなかった人物のリストを作り始めていたのだった。

 イーサン率いるチームは、伝説のクリーチャーのサイクルの1つをこれらの行方不明者のために使うという発想を気に入っていた。このサイクルの成功によって、行方不明者のその後がわかるのだ。郷愁は強力な道具であり、それによってセットに特徴を与えることができる。さて、伝説のクリーチャーについてできることを、プレインズウォーカーの統率者についてもできないだろうか?

 イーサン率いるチームはクリエイティブ・チームを訪れ、プレインズウォーカーとして誰を採用するかを探り始めた。プレインズウォーカーがきちんと働くことは重要だったので、メカニズムが先に定められており、そのデザインに相応しい人物を探すということになった。最初に白羽の矢が立ったのが、テフェリーであった。

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 テフェリーは、トレイリアのアカデミーでウルザに学んだうちの1人である。時間の事故が起こり、遅い時間の泡に囚われ、死にそうになったとき、彼はまだ少年だった。その後で成長し、『ミラージュ』の物語で中心的な役割を担うことになる。彼の時間魔法は、青のプレインズウォーカー向けにチームが作った常識外れのデザインにぴったりだと思われた。

 他の4人のプレインズウォーカーを選ぶのにはもう少し時間がかかった。私が今日公開するプレビュー・カードは緑のプレインズウォーカーなので、彼女について少々説明していこう。フレイアリーズは人間とエルフのハーフのプレインズウォーカーで、『アイスエイジ』の物語で大きな役割を果たした。世界呪文を唱え、氷河期を終わらせたのだ。彼女は、ドミナリアへのファイレクシアの侵略(『インベイジョン』ブロック)に対して、ファイレクシアと戦うためにウルザが集めたナイン・タイタンズの1人であった。彼女は後に『時のらせん』ブロックにも登場し、多元宇宙を脅かす裂け目を防ぐ助けとなった。

 デザイン・チームとクリエイティブ・チームは、緑の登場人物を書き連ねた長いリストから探したが、最終的にはフレイアリーズが完璧な選択だということが明らかだった。さて、それではいよいよ、ご紹介しよう、フレイアリーズだ

デッキの中のみんな

 プレインズウォーカーや伝説のクリーチャーが決まったら、次にイーサン率いるチームがやることはデッキの作成である。『統率者』の商品には、100枚デッキが5つ入っていて、各デッキには新カードが15枚、再録カードが85枚。『統率者(2014年版)』に関して言えば、これらのデッキは全て単色である。

 『統率者』のデザイン・チームには必ず5人のデザイナーがいて、商品には5つのデッキが含まれる。もう意味がわかっただろう。『統率者』のデザインにおいては、各デザイナーが1つのデッキに責任を持つのだ。そのデザイナーが最初にデッキを組み上げ、それからチーム全体で繰り返しと改善を行う。ここで、『統率者(2014年版)』のデザイン・チームの5人のメンバー(と、その手によるデッキ)を紹介しよう。

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イーサン・フライシャー/Ethan Fleischer(リード) - 赤

 イーサンは第2回グレート・デザイナー・サーチの優勝者として6ヶ月のインターンシップを勝ち取り、その後フルタイムのデザイナーとして雇われることになった。私は彼を『テーロス』のデザイン・チームに(私の次席者として)入れ、続いて『神々の軍勢』にも入れて重大なデザイン上の挑戦の準備をさせた。すなわち、『ニクスへの旅』のリード・デザイナーを務めさせることである。これは度胸の据わったイーサンにとっても恐ろしい任務だった。なぜなら、その直後に彼には『統率者(2014年版)』をデザインするという任務があったからである。

 イーサンのデザインに関して私が気に入っていること(そして彼が第2回グレート・デザイナー・サーチで優勝できた大きな要因の1つだと思われること)は、デザインを仕上げる上で必要なものを見極める美的センスに優れているということである。『統率者』という商品は通常のエキスパンションとは大きく異なるデザインであり、私は、イーサンがチームにプレイヤーの望みに答える『統率者』デッキを作る方法を示すことで問題に挑むやりかたが大好きだ。彼とそのチームが、プレイヤーがエキサイトするようなこと、つまり、プレイヤーが気付いているかどうかに関わらず常に望んでいたことを多くやってのけたと私は感じている。

 イーサンは赤デッキの作成担当である(どのデッキを作るかはデザイナーそれぞれが自分の好みで選んだものである。イーサンが赤を選んだのは、他の誰も選ばなかったからだろうと思う。多人数戦での赤は非常に難しいのだ)。


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アーロン・フォーサイス/Aaron Forsythe - 緑

 知らない諸君のために言っておくと、アーロンはマジック開発部の上席ディレクター(つまり私のボス)だ。アーロンの本業は、社内のあらゆることを片付けて、マジックの開発部が仕事をできるようにすることである。アーロンが上層部と会議を重ねてくれているおかげで、日常の業務をしている我々がマジックを最高のゲームにすることに専念できるのだ。アーロンは元々はウェブサイトの立ち上げ当初の編集長としてウィザーズに入社した。それから、彼は開発部の一員となり、すぐに昇進していった。一時は、私は彼を私の代理にできるように育てようともしていたのだ。

 アーロンの仕事上の問題点は、彼はマジックの商品のデザインやデベロップを手がける時間が足りないということである。かつては、アーロンは多くのデザイン・チームやデベロップ・チームに在籍し、複数のセットでリード・デザイナーやリード・デベロッパーを務めてきたし、主席デベロッパーだった時期もあった。アーロンはデザインやデベロップを続けたいと思っているので、時々、こうして楽しめるような小さなプロジェクトを手がけるのだ。アーロンは長年の統率者戦プレイヤーなので、『統率者(2014年版)』は彼が手がけるプロジェクトに最適だった。

 アーロンは緑デッキの作成担当である。


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ダン・エモンズ/Dan Emmons - 青

 よく、マジックのデザイナーになるにはどうしたらいいかという質問を受ける。デザイナーへの道筋の典型を挙げるとしたら、ダンがそうなるだろう。ダンが最初に我々の目にとまったのは、第2回グレート・デザイナー・サーチの時である。彼は決勝進出者ではなかったが、決勝進出者がデザインを作るのを助けて尽力した中の1人だったのだ。やがて、彼はゲーム・サポート(カスタマー・サービスと呼ばれていた仕事だ)の一員となった。ウィザーズで働き出したまさに初日、ダンは私の元を訪れ、マジックのデザインがしたい、どうすれば一歩でも近づけるかと聞いてきたのだ。私は彼に、穴埋めチームに入るように伝えた。デベロップ中には、ボツになるカードが必ず存在し、そしてどこかの段階で、チームからカード・デザインに興味を持つ社内外の人に要求が出されるのだ。

 イーサンとショーンが第2回グレート・デザイナー・サーチでダンと協力していたので、ダンは先行デザインにも呼ばれた。さまざまなダンのデザインが認知されていった。およそ1年後、デザイン・チームに空きができたので、私はダンにその枠に入りたいかと尋ね、彼はもちろん承諾したのだ。ダンはただ熱心に働いたというだけでなく、彼独自の場所からデザインへと向かう嗅覚に優れていたのだ。しかしそれ以上に、彼には、開発部の誰よりも情熱と職業倫理があった。ダンは素晴らしいデザインをするために去って行ったが、彼の作り上げたものはこの『統率者(2014年版)』に込められている。

 ダンは青デッキを手がけた。


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ジェイムズ・ハタ/James Hata - 黒

 ここで諸君にちょっとした秘密をお知らせしよう。ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社はマジック以外のゲームも作っているのだ。そして、それらのゲームも誰かがデザインしなければならない。つまり、開発部にいてもマジック開発部にいない人物が存在する。ジェイムズはそんな中の1人である。彼は、日本のトレーディング・カードゲーム、『デュエル・マスターズ』と、その英語版である『Kaijudo』が本来の担当である。マジック開発部は、開発部内のマジック以外の担当者を時折使うのが好きなので、ジェイムズが『統率者(2014年版)』のチームに招かれたのだ。

 緊密なデザイナー集団がいて、あまりに多くのマジックの商品を作っているので、多くの集団思考ができている。デザイン・チームには好みがあり、一緒に仕事をすればするほどに同じような考え方をするようになっていくのだ。他のゲームを手がけていたデザイナーをチームに入れることで、それまでと違う素晴らしい洞察がもたらされることになる。ジェイムズは我々と異なった視点から問題に取り組み、マジックに関して斬新な視点をもたらしてくれた。彼は、我々が当たり前だと思い込んでいたことを見直すことができたのだ。

 ジェイムズは黒デッキを担当していた。


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チャールズ・ラプキン/Charles Rapkin - 白

 5人のうち最初の3人はマジック開発部の一員で、そのうち2人は中核デザイナーだ。最初の4人は開発部員だ。チャールズはそうではない。開発部外からデザイン・チームやデベロップ・チームに人を招くのは我々が好んですることである。これには2つの利点がある。1つめに、それによって決まった手順に新たな視点がもたらされる。さらに2つめに、それによってウィザーズ社内の開発部以外の人々が開発部の仕事をよく理解してくれるようになるのだ。チャールズは店舗でのイベント運営を助ける、組織化プレイ部の一員である。

 チャールズがチームに招かれたのは、彼が統率者戦の熱心なプレイヤーであると同時に、この商品をどうやって店舗に置いてもらうかという問題に取り組む助けになる、店舗でのイベントに関する知識を持っているからであった。チャールズは喜んでデザイン・チームに加わってくれて、そして、すばらしい戦力になったのである。

 チャールズは白デッキを手がけた。


最後にもう一言

 デザイン・チームには多くの難関があった。単色デッキには多くの難関があり、チームは単色デッキの新しい魅力を作り出す方法を探さなければならなかった。統率者戦における単色デッキの新しいプレイ・スタイルを作る、あるいは助けるように、統率者全て(プレインズウォーカーのサイクル、マジックの過去に存在した伝説のクリーチャーのサイクル、フレイバーに富んだ伝説のクリーチャーの再録サイクル)をデザインし、あるいは選択していった。それだけでなく、チームは各デッキに必要な道具を調えるよう、アーティファクトを追加するなどの手も打ったのだ。

 デザイン・チームは新しいキーワード(先述の、イーサンとイアンの手による特集記事で読むことができる)を作り、統率者戦に新しいメカニズム的な変化をもたらし、また、自分ともう1人のプレイヤーを助けるような呪文のサイクルを作り上げた。それに加えて、チームは統率者戦にスパイスを加えるような新しいカードのデザインにも尽力したのだ。

 『統率者』のデザインは通常のデザインとは異なり、ブースターではなくデッキを作る。チームはただ各デッキを魅力的にするだけでなく、相手に使われても楽しいものにしなければならなかったのだ。5人で奈落のテーブルを囲み、統率者戦のゲームをしているというのはデザイン中によく見かけた姿だった。

 こうして、『統率者(2014年版)』が完成した。

 今日の記事の感想はもちろん、統率者戦やこの商品に関して何か意見があるかも教えて欲しい。メール、各ソーシャルメディア(TwitterTumblrGoogle+Instagram)で(英語で)聞かせてくれたまえ。

 それではまた次回、私が狡知をふるうときにお会いしよう。

 その日まで、あなたの統率者に忠誠度がありますように。

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