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週刊連載インタビュー「あなたにとってマジックとは?」
「あなたにとってマジックとは?」第11回:新旧プレイヤー編
週刊連載インタビュー「あなたにとってマジックとは?」第11回:新旧プレイヤー編
by 瀬尾亜沙子
世界中で2千万人を超えるプレイヤーとファンを持つ世界最高の戦略トレーディングカードゲーム『マジック:ザ・ギャザリング』。この記事では、5月末開催の記念すべき「モダンマスターズ・ウィークエンド」から、8月末開催の「世界選手権2015」まで、「あなたにとってマジックとは?」というインタビューをまとめた記事を毎週連載していきます。
『マジック・オリジン』、この夏発売の新セットでは、5人のプレインズウォーカーが何故プレインズウォーカーになったのかという理由が明かされます。プレイヤーの象徴でもあるプレインズウォーカーにも、それぞれ違った人生背景が隠されているのです。では、「マジックプレイヤーは何故マジックプレイヤーになったのか?」そこにはどんなストーリーが隠されているのでしょう......この連載記事でその謎を明らかにしてみます。
さまざまな方に「あなたにとってマジックとは?」という質問を投げかけているこの企画。今回話を聞いたのは、マジックをつい最近始めたばかりというご家族と、はるかな昔からやっている古豪プレイヤーという対照的な2組です。
川村家の皆さん
――あなたにとってマジックとは?
父:「家族との絆」ですね。
母:それ、いいね。私もそれもらっていい?(笑)マジックとは「家族との絆」。
父:実際、すごく家族の会話が増えましたからね。
――成吾君はどうですか?
子:トランプとかと同じ、「いつもやるような遊びの1つ」かな。
――今日は皆さんでこれから、初心者向けの大会(晴れる屋トーナメントセンターで開催されている、PWP1000以下限定大会「ビギワン」)にご参加ということですが、皆さんのマジック歴はどれくらいですか?
父:3か月くらいですね。僕が最初に始めて、2人に広めた感じです。
――どういうきっかけで始めたんですか?
父:仕事関係で、ちょっとマジックをかじっておかないといけないなと思っていたときに、同じ業界の人に勧められて、一緒に始めた感じです。前から、家族の共通の趣味があったらいいなって思ってたんですよね。子どもがだんだん大きくなってきて、運動がすごく好きとかじゃなければ家の中で1人でゲームしてるだけとかになっちゃう。一緒に楽しめることがあったらと思っていたところにマジックと出会って、これだったらたぶん子どもも気に入ると思って。あと、カードの絵がカッコよかった。かみさんは戦略的なゲームはけっこう苦手なんですけど、ファンタジーとかはけっこう好きなので、絵の感じは好きだろうと思って勧めてみたんです。
――マジックを勧められて、最初の印象はいかがでしたか?
母:最初は難しくて、すっごくやる気なかったです(笑)。細かい字がいっぱいで、何が書いてあるかわからなくて。でも絵はちょっと魅力的だったから、「あーなるほど、そういうことね」みたいな感じで少しずつ......。ライフも20までだから、計算しやすいし。ほかのカードゲームだと、何千とかあるじゃないですか。20だったら、計算するのも2とか3とかですむから(笑)
――なるほど。成吾君は何年生ですか?
子:小学4年生です。
――お父さんにマジックを教わって、どうでしたか?
子:最初はちょっと難しかったけど、だんだん慣れてきて、うまくなったかな。
――マジック以外のカードゲームはやってるんですか?
子:いや、まったくやってない。
母:でもみんなの中で一番理解が早いです。
父:もともと将棋とか好きなんで、考える系のゲームは好きなんでしょうね。
――お父さんとどっちが強いですか?
子:どっちもどっち。勝つ時があって、負ける時もある感じ。
――なるほど。普段はどういった感じでプレイしているんですか?
父:僕は、仕事が終わって夜11時くらいに家に帰って晩ご飯を食べるんですが、ご飯を食べてる間に1戦か2戦付き合ってもらいます。
――食べてる間にですか!?
父:食べたりちょっと飲んだりしながらですね。その時間にはみんな食事は終わってるので、今まではみんなテレビ見たり好きなことしてて、僕だけ黙々と食べてたんです。ですが、今は食卓にご飯とカードを並べて息子と一緒にマジックをしています。
――もぐもぐしながら「じゃあアタックするわー」みたいな感じですか。いいですね! ちなみに、最初はどの商品を買ったんですか?
父:最初は全然わからなかったので、僕が適当にエントリーセットとブースターを買ってきてみんなで分けたんですけど、子どもは「このカードを使いたい」とかけっこう主張するので、「じゃあこうしたほうがいいんじゃないか」とか、相談してデッキを作ってます。僕も素人なので合ってるかはわかんないですけど。かみさんのほうは、できるだけシンプルに戦えるようにしてますね。
母:変異とか、難しいルールはわからないから、そういうのは使わなくていいように、ただ出して焼く!みたいな赤緑のデッキです。
子:僕は青黒。
――青黒ですか。玄人っぽいですね!
子:だけど、ちょっと難しい。
――青黒のどこが好きですか?
子:強いクリーチャー。特に飛行とか、トークン出すやつとか、あとタフネスが高いのが好き。
父:ダメージ与えて勝つより、手札や山札をなくして勝つっていうのが気持ちいいって感じなんでしょ?
母:相手の動きを制限するみたいなのがね。
――コントロール系ですか。どうしてそういう戦い方が好きなんですか?
子:クリーチャー同士の戦いだと、いろいろなのがやられちゃうけど、やられずにどうにかできないかなあと思っていろいろ探したら、手札を捨てさせるやつがあったから、それにした。
――なるほど、消耗戦を避ける感じなんですね。お父さんのほうはどういうデッキですか?
父:2人がカードを取ると青黒と赤緑はいいのがあまり残らないので、僕は残ったカードで白単です(笑)
――今使っているお気に入りのカードは何ですか?
子:《欺瞞の神、フィナックス》。タフネスが多いからやられない。あともう1つは《魂の貯蔵者、コソフェッド》。6/6で飛行もあるし。
母:私は《龍王アタルカ》です。確実にしとめてくれて、頼もしいから。
父:僕は《歴戦の戦士、ギデオン》です。こないだのプレリリース大会で、勝ってもらったパックの中に入ってたんですよ。まだ使い方がよくわかってないんですけど、うまく使えるようになりたいですね。あとは《太陽の神、ヘリオッド》かな。なんかネットで見たらあんまり評判よくなかったんですけど、使いこなしてみたいと思っています。
子:そんなに弱くないと思うよ。
――プレリリースにも出たんですか。
父:はい、こないだのオリジンのプレリリースイベントで、初めて大会に出ました。
子:1回だけ勝ったけど、ほかは全部負け。もうちょっと勝てるかなと思ったけど、意外と負けちゃった。
父:大会に出てみて、ますますハマった感じですね。
子:うん。
父:おもしろかったよね、あれで灯がついたね。
――どういうところが特におもしろかったですか?
父:試合の途中、「これ勝てるんじゃね?」みたいになってくると、ものすごい興奮するんですよ(笑)。あと、その前に僕1人だけで地元のお店で一度トーナメントに出たんですけど、そのときはボコボコに負けてすごい悔しくて、なんとかしてやろうという気持ちになりました。
――負けても、もっとやってやるぞ!って気持ちになったんですね。
子:負けたら、また強くしてやればいいから。
――じゃあ、今日の大会に来たのはリベンジですか?
父:知り合いに初心者向けの大会があるって聞いて。かみさんはまだ一度も大会に出たことがないんですけど、この大会だったら大丈夫かなと。
母:プレリリースのときは、ちょっと入れない雰囲気だったので......。カードの向きが違うとかもわからなくて、注意されたりして。
――カードの向き? ああ、デッキに上下が違うカードが混ざっていて注意されたってことですか。
母:そうです。
父:そういう、いろいろと細かい作法というか、マナーがあるんですよね。
――確かに、大会だとカードの向きはそろえてないと注意されますね。でも最初はそんなこと知らないですよね。
父:そういうことも、毎回1つずつ勉強していく感じですね。
――そうですね。それでは、今日の大会ぜひがんばってください!
岡本尋
最後のアジア太平洋選手権(2001年)での優勝や、2003年の世界選手権準優勝で知られる、愛知の古豪プレイヤー。
――あなたにとってマジックとは?
岡本:「人生」って言うとローリー(殿堂プレイヤー・藤田剛史)さんに「薄っぺらい」って突っ込まれるんで避けたいですが、「人生」以外の言葉は難しいですね......。マジックがないと今の仕事もやってないし、仕事のスタッフさんとかもマジックとかのつながりだし。ほんと、やってなかったら今ごろ何やってたんだろう......。
――普通の会社員とかでしょうか?
岡本:うーん......想像つかないです。
――ちなみにマジックはいつ始められたんですか?
岡本:『アライアンス』くらいかな。ゲームセンターで一緒に遊んでた人たちがやってて、それを見て「何これ?」と。
――ゲームセンターでマジックをやってたんですか?
岡本:いや、ゲームセンターの近くに友達の家があって、閉店してからそこにみんなで集まってテーブルトーク・ロールプレイングゲームとかを遊んでて、その合間にマジックやってたんです。それを横で見てたら、なんかおもしろそうだなと思って始めました。そう、マジックで生活が豊かになりましたね(笑)
――生活が豊かになった! それは、金銭的以外にもということですよね。
岡本:心が豊かってことですね。人生、無駄なことは何ひとつないので、難しい問題とかが起きても、マジックで培った経験を生かして、「前もこんなことあったから対応できるな」とか。それにけっこう自分コミュ障なんですけど、人付き合いもうまくなったと思います。普通に暮らしてたら、会社の人とか学校の同級生くらいしか基本的に友達にならないですけど、マジックやったおかげで幅が広がって、どっちかというと県外のほうが友達が多かったくらいですから。まったく関係なかった人とかも、人づてでつながったりしました。
――友達を作る手助けをしてくれたと。
岡本:海外も行ったことないし英語もしゃべれない人間が、いきなりPTQ(プロツアー予選)抜けて海外の大会に行かなきゃいけないってなるから、すでに行ったことのある人に頼るしかない。そこからちょっとずつ付き合いが始まって、毎週PTQとかで会う人と友達になったり、PTQ抜けた人たちでプロツアーに行って仲良くなったり......。そうやって友達を増やす中で、うまく友達を作るスキルが身についたのがよかったですね。本当、いろんな経験しましたからね。そういうのが若いときにできたのはよかったです。一番バイタリティーのあるときしかできないことで、今同じことをやれって言われても難しいので。
――じゃあ、マジックはコミュニケーションツールみたいな感じですね。
岡本:マジックは僕にとって、友達作りのツールでもあります。そういえば、こないだグランプリでオリヴィエ・ルーエル(フランスの殿堂プレイヤー)と会って、いまだに英語はできないんですけど、なんとなく通じて「久しぶり! 1人で来たの?」みたいなやりとりしましたよ。
――旧知の間柄ですもんね。
岡本:英語はもっとちゃんとやっておけばよかったと後悔してますね。一番バイタリティーがあるときに、マジックの練習を半分くらいにしてでも英語を覚えておけばよかったなあと。いろんな海外のプレイヤーと話せたら、おもしろさがたぶん倍くらい変わると思うんですよ。
――では、「英語を覚えよう」というのは若い世代へのメッセージとしておきましょう。ありがとうございました。
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