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週刊連載インタビュー「あなたにとってマジックとは?」
「あなたにとってマジックとは?」第1回:ウィザーズ・オブ・ザ・コースト 社員編
週刊連載インタビュー「あなたにとってマジックとは?」第1回:ウィザーズ・オブ・ザ・コースト 社員編
by 瀬尾 亜沙子
世界中で2千万人を超えるプレイヤーとファンを持つ世界最高の戦略トレーディングカードゲーム『マジック:ザ・ギャザリング』。
今週末より世界3カ国で前代未聞のお祭り「モダンマスターズ・ウィークエンド」が行われます。この記事では、記念すべき「モダンマスターズ・ウィークエンド」から、8月開催の「世界選手権2015」まで、「あなたにとってマジックとは?」というインタビューをまとめた記事を毎週連載していきます。
『マジック・オリジン』、この夏発売の新セットでは、5人のプレインズウォーカーが何故プレインズウォーカーになったのかという理由が明かされます。プレイヤーの象徴でもあるプレインズウォーカーにも、それぞれ違った人生背景が隠されているのです。では、「マジックプレイヤーは何故マジックプレイヤーになったのか?」そこにはどんなストーリーが隠されているのでしょう......この連載記事でその謎を明らかにしてみます。
連載スタートとなる今回は、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社の"中の人"3名に話を聞きました。
射場本 正巳
マジックプレイヤー時代は「宇宙忍者」「日本三大地雷」などと呼ばれ、独創的なデッキビルダーとして名を馳せた。現在ウィザーズ社の開発部で『デュエル・マスターズ』に携わっている。
――ずばり、あなたにとって「マジック」とは?
射場本:僕にとっては"人生のソリューション"ですね。
――ソリューション! ......えーと、それはつまり、どういうことですか?
射場本:「解法」ですね。僕の場合、マジックが人生を最適解に導いてくれる「解法」だったと思っています。
マジックと出会ってなかったとしてもゲームは何かしら......麻雀とかはやってたと思うんですけど、マジックだったおかげで、一時的なものではなくずっと続く深い友人関係を作れたし、マジックのプロツアーがなかったら海外旅行すら行く機会がなかったから、今みたいに海外に出て仕事をするルートなんて考えられなかったと思うし。
「マジック=人生」っていうほどでもないんだけど、今の正しいルートにたどり着かせてくれたというか、人生をいいほうに導いてくれた、いい先導者というようなものかなと思います。
――もとはプレイヤーだったのが、どうしてウィザーズ社に入ることになったんですか?
射場本:真剣にプレイヤーをやってたからこそ、ウィザーズの開発部の人たちからも一応知られてはいたし、それでできたコネクションによって声をかけてもらえたという感じですね。プロツアーの最中に現地で交流したりして、最低限レベルの英語はしゃべれるんだなと認識されてたのもあるだろうし。
プロツアーって勝負の場でもあるんだけど、人のつながりができるところでもあるので、知らず知らずのうちに就職活動をしていたようなものだと思いますね。
――なるほど。今はどんな仕事をされてるんですか?
射場本:『デュエル・マスターズ』のデザインですけど、こんなカードを作りたいんだっていうのを表現して製品に落とし込んで、それが完成して世に出たらうれしいし、それを使って遊んでくれてる人たちの姿を見るのもうれしい。この仕事はあらゆるポイントでうれしいことがたくさんあって、仕事に行くのが楽しいです。
――すばらしいですね!
射場本:僕、今やっている仕事が天職だと思っていて。マジックがなかったら今の仕事、ひいては今の豊かないい人生までたどり着く道はなかったと思うんですよね。マジックが自分を成長させてくれているので、僕がナーセットだとしたら、マジックはオジュタイですね(笑)
――とてもいい話をありがとうございました。
伊藤 高澄
イベント主催やジャッジとしての経験があり、現在はウィザーズ社のWPN(ウィザーズ・プレイ・ネットワーク)日本担当として勤務。
――あなたにとって「マジック」とは?
伊藤:なかなか一言で表すのは難しいのですが"縁(えん)"でしょうか。僕は競技プレイヤーのキャリアはほとんどなくて、マジックを広めることに注力してる期間のほうが長いですね。
――最初はプレイヤーだったんですよね。
伊藤:マジックを始めたのは高校1年で、まだスタンダードで『アイスエイジ』ブロックが使える頃でしたね。当時は、マジックを取り扱っている本屋さんが近所にあって、そこに行くと歳の離れた人たちが集まっているんです。昔はインターネットなんてなかったので、そういった場所で違う環境の人と出会えるのは新鮮なことでした。10歳ぐらい年上の人の車で遠くの大会に連れてってもらったり、ご飯をおごってもらったりしましたね(笑)
その時の思い出が楽しすぎて、マジックで遊べる場所を自分もつくってみたいなと思うようになったんです。イベントを自分で開いたり、ジャッジになったりして、マジックを普及させることが好きでやっていたら、ウィザーズに入ってました。
――ウィザーズの募集に応募して入社したんですか?
伊藤:そうです。WPNという、いわゆるマジック公認店の仕組みがありますけど、これができたときから、面白い仕組みだなと思ってたんです。がんばったお店にはちゃんと見返りがあるという仕組みがすごくいいなと。やる気があって、マジックをたくさん広めてくれるお店ほどメリットが多いという仕組みに共感して、ウィザーズでこの仕事をしたいと思っていたら、たまたま募集があってうまく採用された感じですね。
――すごくいいタイミングですね。WPNについてもう少し詳しく教えていただけますか?
伊藤:WPNとは、イベントの開催実績に応じて店舗のサポートレベルが上がって、その段階によって受けられるサポートが変わっていくという仕組みです。
普通にマジックを遊んでいるプレイヤーさんにわかりやすく伝えるならば、皆さんの遊ぶ環境を日々支えている部門です。普段何気なく皆さんが参加しているお店のイベントにもいろいろな種類があって、それをお店に開いてもらったり、イベントの記録をしっかりデータベースに残して、整備・管理することで、皆さんが楽しく遊べる環境作りをしています。
――WPNの仕事ってけっこう裏方だと思うんですけど、やりがいはどんなところですか?
伊藤:僕がやりがいをかんじる時は、新しいWPN公認店が増えたときですね。やっぱりマジックで遊べる場所が増えるのは自分にとっても嬉しいことです。日本はすごくたくさんTCGがあるので、「別にうちは『マジック』を扱わなくても十分儲かってる」というお店もたくさんあるんですね。でも、そういうお店にマジックに興味を持ってもらえると「よしっ!」と思います。個人的にはあらゆるお店でマジックのイベントをやってもらいたいと思っています。僕が入ってもうすぐ4年目に入るんですけど、当時と比べるとWPN公認店の数はざっくり倍になりましたね。
――それはすごいですね。どうもありがとうございました。
伊藤 豪志
マジックの知識がほとんどなかったにもかかわらず、ウィザーズ社日本支部で働き始めたという珍しい存在。WPN(ウィザーズ・プレイ・ネットワーク)日本担当として勤務。
――あなたにとって「マジック」とは?
伊藤:僕にとってのマジックは、"運命を感じさせてくれるもの"ですね。じつはクラスメイトからのイジメがきっかけでマジックをはじめるようになりました。仲の良い友達のほとんどが僕を無視していた時期があったのですが、そんな僕と遊んでくれていた友達がたまたまマジックをしていて遊ぶようになりました。嫌なことがあっても夢中になって遊べるマジックがあって一緒に遊んでくれる友達がいたからやっていけたと思います。その時一緒に遊んでくれた友達とマジックには感謝しかないですね。
――たまたまウィザーズを受けたんですか?
伊藤:はい、たまたまです。中学生の時からサッカー部に入り、ウィザーズに入社するまで約15年くらいはマジックをしていなくて、東京には教員免許を取得するために来ました。取得できたら実家のある三重県に帰省し教師になろうと思っていて、東京の仕事についてはまったく調べてなかったのですが、そういえば昔マジックが好きだったなと思ってリクナビ見たら、求人が掲載されていて面白そうだったのでダメもとで応募しました。募集要項にも、「スポーツのインストラクターや教員免許を持っている方募集」みたいなことが書いてあって、これ俺でしょ! って。――――すごい! 運命的ですね。
――どういった仕事をしているのですか?
伊藤: WPNというお店のサポートチームをやってるんですけど、WPNの仕組みをわかりやすくお店の人に理解していただいて、マジックのイベントやったらこんないいことがありますよとか、こうやったらいいんじゃないですかとか、いろいろ案内するのが仕事ですね。
――やりがいはどんなところですか?
伊藤:自分が伝えたいことが伝わったときですかね。お店の方が説明を理解してくれたって手ごたえがあったり、担当者の方がやる気になってくれたりするとすごいうれしいです。
――もともと教師を目指されていたということなので、そういう教えることが得意だったりするんですか?
伊藤:教えるのが得意というか、できるだけ相手の気持ちになって丁寧に、それこそ小学生とかでもわかるくらい噛み砕いて案内するようにしてますね。
――なるほど。趣味のほうのマジックはどれくらいやってるんですか?
伊藤:入ったのが去年の夏なんですけど、それまでマジックのカードも一切持ってなくて、社内で遊びだしてちょっと集まってきた感じですね。
――社内でマジック・リーグをやってますもんね。
伊藤:僕一応リーグの運営担当みたいになってて、一番遊んでますけどあんま勝ってないです(笑) 昼休みにまわりの席の人と対戦したり、あとは業務時間終了後に集まって勝負したりとかもあります。
――楽しそうですね。
伊藤:それはすごく思いますね。仕事に行きたくないって思ったことがなくて、同年代の友達と話すとそういうところは全然違うなと思います。月曜日だからしんどいとかじゃなくて、早く行ってみんなに会いたい! ってなります。僕がさみしがり屋なだけかもしれないですけど(笑)
――いいですねー。それでは、今日はどうもありがとうございました。
(第2回に続く)
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