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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

イゼット果敢のバリエーション、超アグロ型の独自の魅力(スタンダード)

岩SHOW


 このコラムでは日々、マジックの様々なデッキリスト、アーキタイプについて紹介している。アーキタイプというのは大まかな分類として用いられる概念で、以前に開発部の公開した記事によると6つのアーキタイプが存在するらしい。

  • アグロ
  • 攪乱的アグロ
  • ミッドレンジ
  • ランプ
  • コントロール
  • コンボ

 これらの大きなくくりがあり、そしてそれらに基づいてデッキは分類されているわけである。今回はこの中でも耳にする機会が多いアグロについて取り上げてみよう。アグロ/Aggroとはアグレッション、アグレッシブなど攻撃的なものを示す言葉の略称である。アーキタイプの在り方もまさしく攻撃性全開といったところで、「速やかに対戦相手のライフを0にして勝つ」というのがアグロ共通の理念だ。アグロデッキを最もアグロデッキたらしめる特徴は、1ターン目からクリーチャーを展開してくるという動き。早いターンに軽くて打点に優れたクリーチャーを展開し、それを強化したりそれの攻撃を通すための手段を用いて、対戦相手にプレッシャーをかけまくる。極端なリストでは3、4ターン目の決着を見据えているものもあり、とにかくさっさとゲームを終わらせる、それだけを追及している。

 それ故に爆発力はすさまじいが、長期戦にもつれ込むと息切れを起こしてしまうという、スタミナ面に難があるアーキタイプなのである。しかし攻撃こそ最大の防御、対戦相手がやりたいことをやる、その前にゲームを終わらせてしまえば、相手がどれだけ手札に強力なカードを抱えていようと関係なし!前のめりなアグロデッキをこよなく愛するプレイヤーは多く、初心者でも扱えるものでありながら極めるには腕がとわれるという、奥の深いアーキタイプなのである。

 アグロの中でもミッドレンジ、中速デッキ寄りのものがあったりもする。アドバンテージを獲得できるカード、中・長期戦への耐性を高めてより安定感を増した構築……そういったものも大変に魅力的で強いものではあるが、一方、そういった安定などをかなぐり捨てた前しか見ていないアグロの中のアグロもまた存在する。爆発力、速度のみを追求したリスト……清々しさすら感じさせる、尖ったリストをご覧いただこう。

MacIsaac - 「イゼット果敢」
Magic Online Standard Challenge 64 準優勝 / スタンダード (2026年3月24日)[MO] [ARENA]
4 《始まりの町
3 《マルチバースへの通り道
4 《蒸気孔
4 《尖塔断の運河
3 《リバーパイアーの境界
1 《
-土地(19)-

4 《神出鬼没のカワウソ
4 《精鋭射手団の目立ちたがり
4 《ドレイクの孵卵者
4 《無感情の売剣
-クリーチャー(16)-
4 《選択
4 《手練
1 《ブーメランの基礎
1 《噴出の稲妻
4 《裏の裏まで
4 《激しき乗りこなし
3 《急抗直下
4 《嵐追いの才能
-呪文(25)-
2 《噴出の稲妻
1 《紅蓮地獄
2 《焼きつけ
2 《洪水の大口へ
1 《戦慄大口の怒り
2 《魂標ランタン
2 《呪文貫き
2 《呪文嵌め
1 《ヤドクガエル
-サイドボード(15)-
Magic Online より引用)

 

 

 イゼット(青赤)カラーのアグロデッキ、いわゆる「果敢」と呼ばれる類のデッキだ。その名の通り果敢能力、またはそれに準ずるものを持ったクリーチャーが主役。《嵐追いの才能》《神出鬼没のカワウソ》を皮切りに、《精鋭射手団の目立ちたがり》と、クリーチャーではない呪文を唱えるとパワーが上昇するクリーチャーが主役。《選択》《手練》などを連打することで早いターンに高パワーでの攻撃を可能にする。このリストは他の一般的な「イゼット果敢」よりもかなり前のめりにチューンされたものだ。何せ、メイン・サイド共に3マナ以上の呪文は無し!《食糧補充》などを「重い!」と断じて排除したスタイル、痺れるぜ……メインに関しては、非クリーチャー呪文はすべて1マナである。これらを連打すること、ただそれだけを追求した尖りに尖ったリストがたまらない!

 カードチョイスもこの手のデッキではあまり目にしない《急抗直下》などが採用され、クリーチャーのパワーを押し上げることに全力な構築が特徴的だ。《神出鬼没のカワウソ》は自身よりパワーが低いクリーチャーにブロックされずに攻撃を通せるため、これのパワーをゴリゴリに上げて絶対にブロックさせない!という強い意志が現れているねぇ。対照的に《ブーメランの基礎》を1枚に抑えている点も見逃せないポイントだ。これで《嵐追いの才能》を使いまわすよりも、《急抗直下》などで爆発的にパワーを上昇させることを選択した、本当に思い切った構築だ。

 

 最近果敢デッキでまた需要が高まっているのが《ドレイクの孵卵者》だ。一時期のリストではこのカードが定番枠を担っていたが、時間を経て採用数は減少。そもそも果敢デッキが下火になった時期もあり、スタンダードで目にする機会は大きく減少していたのだが……果敢がまたのし上がってきたことで採用率がグイグイ上昇中。

 このカードのポテンシャルをグイッと引き出すカードこそ《激しき乗りこなし》!クリーチャーのパワーを3上昇させて速攻を与えるソーサリーで、これ1枚で孵卵者のパワーは5に。速攻を持って即攻撃、5つのカウンターを得てそれを消費してドレイク生成……流れるように動ければ、対戦相手を防戦一方状態にさせてしまえる。警戒も持っており素のタフネスも高めなので、アグロデッキ同士の殴り合いにおいて活躍する1枚だ。乗りこなしも勿論妥協せずに4枚投入なので、3ターン目何もない状況からいきなり5点ダメージ&ドレイクのおまけつきというムーブが、再現度高く繰り広げられることだろう。

 

 パワーをあげる呪文は《裏の裏まで》まで採用されている。この徹底っぷりの理由が《無感情の売剣》!これの出来事《合同火葬》は自身のクリーチャーのパワー分のダメージを対象に与えられるので、パワーが膨れ上がったカワウソや《精鋭射手団の目立ちたがり》を対戦相手本体にぶち込んでフィニッシュ!これで攻撃できないような状況であっても強引に勝ちに行くというのがこの超アグロ果敢デッキの狙いである。クリーチャーが死亡しても戦慄予示でクリーチャーが残る《裏の裏まで》はまさしくこの《合同火葬》の良き友であり、相手のライフを削り切れないような状況下でも自身のクリーチャーを犠牲にしながらダメージを飛ばすことを肯定してくれる。また、いざとなったら《始まりの町》などで黒マナを得て売剣本人を戦場に出せる……そんな状況にはなりたくないというのが本音だが、いざって時に選択肢があるのはありがたい。売剣本人の能力で思いのほかサイズのあるクリーチャーを用意できるかも?

 これぞTHEアグロな「イゼット果敢」、どんな印象を受けただろうか?プレイしたいと思ったあなたは、アグロユーザーの血が流れていること間違いなし。滾る情熱をダメージに昇華させて、狙え瞬殺!

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