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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

バント気の技:豊富なアーキタイプがもたらすもの(スタンダード)

岩SHOW


 スタンダード、一時期よりもずっとアーキタイプが増えたと実感している……MTGアリーナでも日々、ランク戦で当たるデッキに変化が見える。今日はこれとよく当たるな、アレまったく見ないな……と思っていたら次の日には真逆になったり。これが面白いよね、慣れさせないこの環境……日々違うゲーム体験が送れるなんて最高じゃないか。

 アーキタイプが増えると、すべてを対策しきれなくなる。全部のデッキを相手どれるデッキやサイドボードプランなんて、存在できない。何かを対策するということは、何かを切り捨てるということ。そういう理由から対戦相手のガードが下がった時、好機を逃さず躍動するデッキ達がいる。たとえば今回紹介するこのデッキもそんなものの1つだ。

Christopher Wright - 「バント気の技」
地域チャンピオンシップ予選(アメリカ・リンカーン) 準優勝 / スタンダード (2026年3月7日)[MO] [ARENA]
4 《始まりの町
3 《神聖なる泉
4 《寺院の庭
4 《繁殖池
3 《フラッドファームの境界
4 《ハッシュウッドの境界
1 《魂の洞窟
1 《平地
-土地(24)-

4 《ラノワールのエルフ
4 《木苺の使い魔
4 《アナグマモグラの仔
4 《灰毛の天才、オーロック博士
4 《素早き救済者、アン
4 《不動の守護者、アッパ
4 《岐路に立つアン
-クリーチャー(28)-
4 《次元転移用ウェブウォッチ
4 《ミケランジェロの奥義
-呪文(8)-
1 《安らかなる眠り
4 《縫い目破り
2 《アバターの怒り
1 《牛の介入
1 《失せろ
1 《スパイダーセンス
1 《幽愁
1 《クチルの側衛
1 《エイヴンの阻む者
1 《沼地のハンター、レザーヘッド
1 《魂の洞窟
-サイドボード(15)-
MTGTop8 より引用)

 

 

 「バント(緑白青)気の技」!このアーキタイプはトーナメント的な視点で見れば、浮き沈みの激しいものである。デッキパワーは十分なのであるが、スタンダードのカードプール内にこのデッキを沈黙させるカードが複数見られることから、それらのカードが多くのデッキで採用されている時にはどうしても結果を残しにくい。逆にガードが下がっていればこちらのものと言わんばかりに暴れ回る、そんな側面もある意味このデッキの魅力である。

 さてアーキタイプ名が示す通り、このデッキのキーとなるのは気の技という能力。これにより追放されたカードは、{2}支払うことで唱え直せる。対戦相手に対して用いれば一時的な除去や打ち消しとして機能し、自分のカードに対して使えば除去を避ける手段になったり、パーマネントが戦場に出た時の能力を使いまわすアドバンテージ源になったりと、応用が利く重しく強力な能力である。

 それらの中でも土地以外のパーマネントに対して好きなだけ気の技を行える《不動の守護者、アッパ》がこのデッキの最重要パーツ。アッパは追放猟奇から呪文を唱えると同盟者・トークンを生成する。これを活かすには《灰毛の天才、オーロック博士》と組み合わせる。オーロック博士が追放領域から唱える呪文のコストを{2}軽減する。ちょうど気の技から唱えることストと同じ値であり、つまり0マナで呪文が唱えられる。同盟者を量産した後に、アッパ以外で気の技を行えるカードでアッパを追放→{0}で唱えて出し直したアッパがもう一度気の技を行い……このように動けば無限ループでトークンを無尽蔵に生成できる。

 このリストでは気の技要員に《素早き救済者、アン》を採用して、これとアッパとオーロック博士でぐりぐりと回転させ、無限トークンで勝つコンボを形成。これを軸に、《アナグマモグラの仔》とマナ・クリーチャー、《岐路に立つアン》や気の技で追放して《初めてのお使い》で唱えることを狙っている《木苺の使い魔》などのクリーチャーを戦場に出すカードで固める……という作りがこのアーキタイプの基本だ。

 

 上記のクリーチャーを探す手段は、このデッキにおいて非常に重要。複数枚見つかる可能性があるカードが特に価値が大きい。《次元転移用ウェブウォッチ》はライブラリーから2枚追放してそれらをプレイ可能にする。運の要素も濃いカードではあるが、土地もプレイ出来たり、追放領域から唱える呪文のためのマナを捻出できたり、そして最も大きい強みは気の技で追放して出し直すことで何度も使いまわせるという点。このウェブウォッチはすっかり気の技デッキのパーツとしてのポジションを確立している。

 そしてもう1枚、複数のクリーチャーが見つかるカードとして新たに《ミケランジェロの奥義》が注目されている。ライブラリーの上から8枚見て、その中からマナ総量が合計6になるようにクリーチャーを戦場に出せる。この手のカードの中でも8枚というのはかなりの枚数で、マナ総量6といえばアッパとオーロック博士をセット出せる値なので、これ1枚でコンボパーツが揃うなんてことも起こるだろう。隠密コストであれば計4マナで唱えられたり、このカードも予想外の角度から飛んでくる可能性があって面白いね。今後緑のクリーチャー系コンボでは検討に値するソーサリーとなるだろう。

 

 さて、冒頭の話に戻ってみよう。アーキタイプが豊富になったことで、ガードが下がっている時であれば力を発揮できる気の技デッキ……逆にガッチリとガードを固められると、苦戦を強いられるのもまた事実だ。このデッキに対するキラーカードは《倦怠の宝珠》、そして《門衛のスラル》。これらのカードはクリーチャーが戦場に出た時に誘発する能力を機能不全にさせる。気の技を行うカードはすべてそれが誘発の条件であるし、《アナグマモグラの仔》《岐路に立つアン》などのコンボの周囲を固めるカードもその影響を受けるため、これらのカードがサイドボードから入ってくると超キツイ。そのことはこのリストのサイドボードに《縫い目破り》が4枚フル投入されていることからもうかがえる。

 このリストが用いられた大会の他のデッキリストにも目を通してみたところ、これら二大キラーカードは見当たらず。ガードが下がっているタイミングであればしっかり勝てるアーキタイプだということだ。すべてのデッキが対策されるわけではない。対策に弱いデッキであっても、隙間を見つけられればしっかり勝てる。対策への対策を用意すること、そしてタイミングを見極めること。デッキが豊富なスタンダードで、様々な選択肢からデッキを選ぶ楽しさを体験してみよう。

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