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岩SHOWの「デイリー・デッキ」

優勝デッキの亜種、加虐者レスディミーア(スタンダード)
プロツアー『ローウィンの昏明』では「ディミーア(青黒)加虐者」が優勝を果たした。トーナメント前の認知度は決して高くないデッキだったが、プロツアーでの華々しい結果と、フィーチャーマッチでの縦横無尽に戦う様とが最高のプロモーションとなり、このアーキタイプのシェアは一躍上昇。スタンダードの定番デッキとして君臨することとなった。
「ディミーア加虐者」とは《終末の加虐者》をフィニッシャーに据えたアーキタイプ。このデーモンは唱えて戦場に出すと。各プレイヤーのライブラリーを残り6枚になるまで追放する。そして加虐者はコントローラーに追加のドローをもたらすため、何もなければこれを唱えたプレイヤーの方が先にライブラリーが0になる。それまでに追加ドローのアドバンテージを活かして殴り勝つか、あるいはディミーアならではの《不穏な浅瀬》をクリーチャー化して攻撃し、対戦相手のライブラリーを4枚切削することで一気にその枚数を減少させ、強引にライブラリー切れを引き起こす……このコンボ的なフィニッシュ手段を備えたコントロール色の強いデッキだ。
黒のクリーチャー除去と青のドローとでデッキが構成されており、これらで対戦相手の攻めを躱して好機を伺う。《冬夜の物語》などの手札を捨てる手段で加虐者を捨てれば、墓地に落ちたそれを《スーペリア・スパイダーマン》でコピー。本来黒マナ6つというコストを持つこのデーモンを青黒4マナでお手軽に運用しようというのがデッキの狙いである。
この「ディミーア加虐者」はスタンダードにおける地位を一気に固めた。このようなプロツアーで活躍したデッキのその後のお約束として「亜種」の誕生がお約束だ。亜種というのは似て少々異なる存在……デッキの方向性はそのままに色を足したり、あるいは特定のカードを不採用にしてデッキをシンプル化させたりといった具合だ。今回紹介するのは「ディミーア加虐者」の亜種にして「加虐者レス」とでも呼ぶべきものだ。早速リストを見てみよう。
| 2 《マルチバースへの通り道》 4 《湿った墓》 4 《グルームレイクの境界》 1 《地底街の下水道》 4 《不穏な浅瀬》 2 《島》 9 《沼》 -土地(26)- 3 《分派の説教者》 4 《スーペリア・スパイダーマン》 1 《油浸の機械巨人》 2 《苦難の収穫者》 2 《ベイルマークの大主》 2 《量子の謎かけ屋》 1 《最深の裏切り、アクロゾズ》 4 《欺瞞》 1 《マラング川の執政》 -クリーチャー(20)- |
2 《脅迫戦術》 3 《報いの呪詛》 2 《苦々しい勝利》 2 《保安官を撃て》 4 《冬夜の物語》 1 《執念の徳目》 -呪文(14)- |
3 《強迫》 2 《無効》 2 《軽蔑的な一撃》 2 《戦略的裏切り》 1 《報いの呪詛》 2 《魂標ランタン》 2 《ティシャーナの潮縛り》 1 《油浸の機械巨人》 -サイドボード(15)- |
《終末の加虐者》不採用のディミーア!ライブラリーアウトで勝つというプランを捨てた形のデッキだ。しかしながら、アーキタイプの最重要パーツを失った亜種は成立するのか?ご安心を、昔からそういった勝ちパターンの1つを排除してよりシンプルに仕上げられたデッキというものが生まれてきたという歴史がある。「ディミーア加虐者」は加虐者が最大の特徴であるが、主役という点で見れば……それを墓地からコピーする《スーペリア・スパイダーマン》こそがそれに相応しい。
墓地のクリーチャーのコピーとなるこのスパイダーマンと組み合わせるのは《欺瞞》。《欺瞞》は支払った青マナ及び黒マナの数を参照して能力が誘発する。6マナのこれを唱えるのに{U}{U}および{B}{B}を支払えば、バウンスと手札破壊の両方が機能する。想起コストであれば2マナのみで唱えられ軽量に運用でき、バウンスか手札破壊のどちらかの恩恵を受けられる。想起で唱えたクリーチャーは生け贄に捧げられ墓地に落ちるが、それを利用してスパイダーマンを《欺瞞》のコピーとする。それにより計4マナという軽さで《欺瞞》の能力両方を誘発させることが可能!その上で4/4が戦場に残るので、対戦相手の行動を妨害しつつ強い盤面を作りだすことができるのだ。
加虐者デッキにおいてこのムーブは強みの1つであり、『ローウィンの昏明』がこれをもたらしたことがアーキタイプの躍進に繋がっている。そしてこのムーブさえあれば十分にデッキとして強く、加虐者で勝つのを無理に狙わなくて良いのでは?という考えの元にそれを排除したのがこのリストだ。《苦難の収穫者》のように自身の能力で捨てられるクリーチャーや、《冬夜の物語》《苦々しい勝利》などのカードを捨てる手段や《ベイルマークの大主》の切削などで墓地にクリーチャーを準備し、それをスパイダーマンでコピーする……そうした戦いに特化してライブラリーアウトを捨てた「加虐者レスディミーア」も十分に強く魅力的なデッキに仕上がっている。
加虐者やそれとシナジーを形成するカードが抜けたスロットに採用されているカードの中には、スタンダードにおけるちょっと懐かしい顔ぶれが並んでいるというのも興味深い点だ。例えば《最深の裏切り、アクロゾズ》。一時期はスタンダードの黒系デッキの定番クリーチャーだった。飛行と絆魂、死亡しても土地に変身するしぶとさを誇るこの神、最近採用するデッキが減少してお久しぶりな1枚だが、採用されているのも納得。攻撃時に手札を捨てさせる能力が《欺瞞》とスパイダーマンにより手札破壊を連打するデッキの方向性と噛み合っている。
また《執念の徳目》もリリース直後に比べて目にする頻度が減った1枚だが、今でもカードパワーは健在だ。出来事モードの《ロークスワインの嘲笑》として、ライフを保てるクリーチャー除去として機能し、マナが伸びれば徳目として唱えて、毎ターン墓地のクリーチャーを戦場に戻す強力なリアニメイト手段に。このエンチャントで釣り上げた《欺瞞》はマナを払っていないので能力の誘発はないが、それでも序盤の妨害手段が終盤に5/5として再利用できるのは十分に価値がある。こうしたちょっと懐かしい面々を優先し、加虐者というフィニッシュ手段を排除したディミーア…また一味違うゲーム体験が君を待っている。
というわけで加虐者デッキを使っているプレイヤーは勿論のこと、皆にプレイしてみて欲しい亜種デッキ。《欺瞞》×《スーペリア・スパイダーマン》の妙技に痺れろ!
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