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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ディミーア加虐者:欺瞞に満ちたコントロール(スタンダード)

岩SHOW


 「いやぁプロツアー、おもろかったなぁ~!」これに尽きるね。久しぶりに実況のお仕事で携わらせていただいて、フィーチャーマッチを見届けたが……世界最高峰の舞台、やっぱりめちゃくちゃ面白い。ドラフトもスタンダードも、どちらのラウンドも『ローウィンの昏明』の魅力が発揮されたゲームが展開され、マジック欲を大いにかき立てられた。

 少し前の環境と別物となったスタンダード環境、フィーチャーテーブルを彩ったどのデッキも遊んでみたい……というわけで、これからしばらくは当コラムもプロツアーで使われたデッキを紹介していくことになるのでどうぞよろしく!まずはデッキのビジュアルもインパクトのあったこのデッキから……

クリストファー・ラーセン/Christoffer Larsen - 「ディミーア加虐者」
プロツアー『ローウィンの昏明』 / スタンダード(2026年1月30~2月1日)[MO] [ARENA]
4 《グルームレイクの境界
2 《マルチバースへの通り道
4 《不穏な浅瀬
11 《
1 《地底街の下水道
4 《湿った墓
-土地(26)-

4 《欺瞞
3 《終末の加虐者
3 《苦難の収穫者
4 《スーペリア・スパイダーマン
-クリーチャー(14)-
1 《大反目者の魔除け
3 《苦々しい勝利
2 《死人に口無し
3 《限りない強欲
2 《脅迫戦術
4 《報いの呪詛
3 《食糧補充
2 《冬夜の物語
-呪文(20)-
1 《残虐爪の強奪
4 《強迫
1 《否認
3 《量子の謎かけ屋
2 《保安官を撃て
2 《魂標ランタン
2 《倦怠の宝珠
-サイドボード(15)-
 

 「ディミーア(青黒)加虐者」!《終末の加虐者》をゲームを終わらせるフィニッシャーに据えた、コントロール色の強いアーキタイプだ。《報いの呪詛》《死人に口なし》など黒の除去呪文がベースになっており、これらで相手の攻めを捌いていく。

 攻めに転じるタイミングがくれば《終末の加虐者》を戦場に出し、これの能力でお互いのライブラリーを残り6枚に。擦り減ったライブラリーに向かって《不穏な浅瀬》で攻撃し、切削してその枚数を減らすことで、対戦相手の方が先にライブラリーからカードを引けないという敗北条件に至る……このコンボが勝ち筋の1つになっている、スタイリッシュでカッコいいデッキだ。

 

 このデッキには《スーペリア・スパイダーマン》が採用されている。黒マナ6つと非常に重いコストの加虐者を、《冬夜の物語》などで墓地に落とし、スパイダーマンでコピーすることによって軽くて使いやすい加虐者として運用するという狙いだ。

 またそれだけでなく、ローウィンよりやってきた新カード《欺瞞》と組み合わせる。青青を支払っていればバウンス、黒黒を支払っていれば手札破壊が行えるこのエレメンタル。想起コストであれば序盤に唱えてその能力の恩恵を受け、能動的に墓地に落とすことが可能。さらにこれを《スーペリア・スパイダーマン》でコピーすれば、合計4マナの支払いで青と黒両方の能力を誘発させるというスーパープレイが可能に。戻したクリーチャーを即捨てさせるなど、テクニカルな動きでアドバンテージを獲得。対戦相手とリソースの差をつけながら、このスパイダーマンで殴り勝つというルートが確立され、一気に注目のアーキタイプと相成ったのだ。

 同じく能動的に墓地に落とせる《苦難の収穫者》など、デッキを構成するカードがスパイダーマンと相性の良いもので構築されているのは、さすが調整チームによってプロツアーに持ち込まれたデッキというところ。

 

 個人的にアツいなと思うカードは《限りない強欲》。このソーサリーはモードを選ぶもので、マナさえ払えばどちらも選べるという放題呪文。これはカードを探してライブラリーの上に仕込むサーチと、ライフは失うが3枚引けるドローとを併せ持っている。質と量の両方のアドバンテージが狙えるわけで、土地が止まるときついこのデッキにおいて事故が回避できる3ドローはライフを減らしてでも有難いもの……でありながら、さらに《終末の加虐者》降臨後は、擦り減ったライブラリーをアウトさせるため、対戦相手に3枚ドローさせるという手段にもなる。こういうカードをしっかり採用することで、デッキの幅が拡がるね。自分と相手の両方を対象に取れる呪文は、このように色んな使い方を考えてみよう。

 

 他に面白い挙動を見せたカードとして《倦怠の宝珠》も挙げておこう。「気の技」デッキのように《素早き救済者、アン》など戦場に出た時に能力を誘発させるクリーチャーがたっぷりといる現環境で、それらへのアンサーとなるサイドボードの用心棒。このアーティファクトは自分のデッキのクリーチャーらにも機能し、その能力の恩恵を受けられなくなるが……たとえば加虐者の場合、時にライブラリーを6枚に削る能力は自分の首を絞めるものになることも。このデーモンは追加のドローをもたらし、何もなければ自分の方が先にライブラリーが枯れてしまう。宝珠を置いた後に出す加虐者は、そんなデメリット面を気にせずに単純に追加ドローをもたらす巨大航空戦力として用いることが可能だ。また《欺瞞》も何もしなくはなるが、想起で唱えた場合に誘発する生け贄も起こらなくなるため、2マナで出せる5/5に。というわけでサイド後にはデッキのカードがその役目を変えるという、可変性のある構築が実に面白かった。

 

 デッキの強さとプレイヤーの腕も相まって、この「ディミーア加虐者」は使用者7名中2名をトップ8に送り出すという、勝ち組デッキとなった。しかもクリストファー・ラーセン/Christoffer Larsenは見事に優勝!素晴らしい成績とインパクトを残す結果に。《報いの呪詛》を4枚採用するなどして、今大会最多勢力となった《アナグマモグラの仔》系デッキをマークした構築も功を奏したのだろう。

 この枯朽を行うとライフを得られる除去は、《欺瞞》とセットで使うテクを覚えておこう。想起で唱えて戦場に出て、生け贄に捧げる能力を解決する前にこれに-1/-1カウンターを乗せることで、しっかりとライフゲインすることが可能だ。1枚のカードを骨の髄まで味わってこそ、大きな成果が得られる。このデッキはそういうことを教えてくれる、マジックの面白さが詰まった逸品だ。

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