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岩SHOWの「デイリー・デッキ」

激動の1年、2025年を彩ったデッキたち(特別企画)
平日毎日更新のデイリー・デッキも、本日分が2025年内最終更新だ。次の更新は毎年恒例の1月1日、元日。2026年も新年のご挨拶ができる喜びを感じつつ、2025年のラストも全力でいこう。気合だーッ!
というわけで、今回は独断で「今年のデッキ」候補をいくつかピックアップ。色々あった、本当に色んなことがあった2025年の振り返りになれば幸いだ。
緑単上陸
| 4 《脱出トンネル》 4 《寓話の小道》 16 《森》 -土地(24)- 4 《ラノワールのエルフ》 4 《サッズのヒナチョコボ》 4 《ティファ・ロックハート》 4 《棘を播く者、逆棘のビル》 4 《苔生まれのハイドラ》 4 《春花のドルイド》 4 《旅するチョコボ》 -クリーチャー(28)- |
4 《蛇皮のヴェール》 1 《王のもてなし》 3 《過剰防衛》 -呪文(8)- |
3 《尾の強打》 2 《腹黒茸》 4 《脚当ての補充兵》 2 《毒を選べ》 2 《魂標ランタン》 2 《向上した精霊信者、ニッサ》 -サイドボード(15)- |
2025年はマジックと他のコンテンツとのコラボレーションの大変革が起こった年だ。これまでもSecret Lairだったりモダンやエターナル環境専用のセットとして世界的なキャラクターやコンテンツとのコラボは行われてきたが、今年リリースされたユニバースビヨンド・セットは『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』『マジック:ザ・ギャザリング | マーベル スパイダーマン』『マジック:ザ・ギャザリング | アバター 伝説の少年アン』の3セットは、これまでのシリーズと異なりスタンダードを経由する通常セットであった。
これにより皆が愛するキャラクターや名シーンが各フォーマットでプレイ可能に。この夢のコラボの先陣を切った『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』の新カードが最初に与えたインパクト……それが「緑単上陸」!土地が戦場に出ることで誘発する、マジックでもお馴染みの上陸能力。これはセット単体でもテーマの一つとなっており、上陸カードの中でも《ティファ・ロックハート》《サッズのヒナチョコボ》は低コストで高打点を生み出せる、強力なクリーチャーだ。これらとマジックの多元宇宙の《棘を播く者、逆棘のビル》《苔生まれのハイドラ》らを集結させ、《進化する未開地》や《春花のドルイド》《旅するチョコボ》などのカードで上陸を誘発させる……破壊力と爽快感に溢れたアグロデッキが今年の上半期に大きな存在感を示した。パワー64のティファで攻撃するシーンなど、皆も度々遭遇したことだろう。
イゼット大釜
| 3 《マルチバースへの通り道》 4 《尖塔断の運河》 4 《リバーパイアーの境界》 1 《魂石の聖域》 6 《島》 4 《山》 -土地(22)- 4 《略奪するアオザメ》 4 《逸失への恐怖》 4 《迷える黒魔道士、ビビ》 3 《蒸気核の学者》 3 《量子の謎かけ屋》 -クリーチャー(18)- |
4 《洪水の大口へ》 3 《塔の点火》 1 《削剥》 4 《冬夜の物語》 4 《プロフトの映像記憶》 4 《アガサの魂の大釜》 -呪文(20)- |
2 《抹消する稲妻》 2 《紅蓮地獄》 1 《削剥》 1 《塔の点火》 3 《声も出せない》 2 《無効》 1 《軽蔑的な一撃》 2 《呪文貫き》 1 《量子の謎かけ屋》 -サイドボード(15)- |
2025年のデッキを語る上で「イゼット大釜」は外せない。《迷える黒魔道士、ビビ》と《アガサの魂の大釜》のシナジーを主軸としたデッキである。インスタントやソーサリーが得意なこのカラーリングであるが、主役はクリーチャーたち。ビビは自身のパワーに等しい数のマナを加える能力を持ち、これを大釜で追放することで自身の+1/+1カウンターを持つクリーチャーすべてがその能力を起動できるようになる。《略奪するアオザメ》のように自力でカウンターを得るクリーチャーや《プロフトの映像記憶》を用いてカウンターをばら撒き、そこからマナを得て、更なる展開へ……。
このデッキはトーナメントシーンで支配的な存在となったため、キーパーツが禁止カードに指定されることに。色々と話題を振りまいたデッキだが、この1年を振り返る際に避けては通れない存在であるのでピックアップさせていただいた。いずれ年月を経れば「あの頃を代表する名デッキ」として忘れられない思い出になるだろう。
ディミーア・テンポ
| 4 《汚染された三角州》 2 《新緑の地下墓地》 2 《霧深い雨林》 4 《Underground Sea》 1 《地底街の下水道》 2 《不毛の大地》 3 《古えの墳墓》 1 《島》 1 《沼》 -土地(20)- 3 《知りたがりの学徒、タミヨウ》 2 《オークの弓使い》 3 《バロウゴイフ》 1 《厚かましい借り手》 2 《濁浪の執政》 -クリーチャー(11)- |
4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《食糧補充》 4 《意志の力》 2 《否定の力》 2 《目くらまし》 4 《思考囲い》 4 《致命的な一押し》 1 《シェオルドレッドの勅令》 -呪文(29)- |
1 《シェオルドレッドの勅令》 1 《漸増爆弾》 2 《記憶への放逐》 2 《水流破》 1 《強迫》 2 《除霊用掃除機》 1 《外科的摘出》 2 《攪乱のフルート》 1 《悪意の大梟》 1 《悪夢滅ぼし、魁渡》 1 《厚かましい借り手》 -サイドボード(15)- |
2025年にリリースされたカードの中で、もっとも広範囲で活躍したカードとなると……《食糧補充》!『霊気走破』が2月にリリースされてからというもの、あらゆるフォーマットでこのソーサリーの姿を目にする。3マナでライブラリーの上から5枚見てそのうち2枚を手札に加える。かつての《時を越えた探索》を想起させる、質と量の両方のアドバンテージで手札を満たす最高に使い勝手良い1枚だ。
コントロール、ミッドレンジ、コンボ……あらゆるアーキタイプで用いられている便利呪文が、特に輝く舞台がレガシー。レガシーにはこのカードが要求する不特定2マナを支払うのにもってこいの《古えの墳墓》があるため、他のフォーマットよりもさらに手軽に唱えられる。これで良質の手札を維持しながら戦う「ディミーア(青黒)テンポ」は、同じく3マナの《バロウゴイフ》を墳墓から繰り出し、墳墓で擦り減ったライフを絆魂で回復しながら墓地にカードを送り、《濁浪の執政》に繋げてフィニッシュ……強くてカッコいいこのリストを、スタンダード以外のフォーマットから選出させていただこう。生でフィーチャーマッチを見ていて痺れた記憶はいつまでも鮮明に残るだろうな。
赤単アグロ(《自爆》入り)
| 16 《山》 4 《岩面村》 2 《魂石の聖域》 -土地(22)- 3 《魔道士封じのトカゲ》 4 《多様な鼠》 4 《熾火心の挑戦者》 4 《心火の英雄》 4 《雇われ爪》 4 《双つ口の嵐孵り》 1 《光砕く者、テルサ》 4 《叫ぶ宿敵》 -クリーチャー(28)- |
4 《噴出の稲妻》 4 《巨怪の怒り》 1 《自爆》 1 《稲妻の一撃》 -呪文(10)- |
2 《魂標ランタン》 2 《メテオストライク》 3 《塔の点火》 2 《石術の連射》 1 《魔道士封じのトカゲ》 2 《真紅の鼓動の事件》 3 《陽背骨のオオヤマネコ》 -サイドボード(15)- |
我々日本のプレイヤーにとって、2025年の忘れられない瞬間は、行弘賢選手のプロツアー『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』優勝の瞬間。プロツアーの形式の変更など、様々な要因から一時期はモチベーションを失っていた行弘選手が、かつての形式に戻ったプロツアーで頂点を勝ち取ったことは……「マジックはいつかなんらかの形で必ず応えてくれる」というメッセージ性に富んだものであり、世界中のプレイヤーに感動と勇気を与えたことだろう。行弘選手はこのプロツアー優勝の勢いをそのままに、世界選手権でもトップ8入賞を果たして栄光のカイ・ブッディ・プレイヤー・オブ・ザ・イヤーにも輝いた。年間最高のプレイヤーのデッキをここで紹介しないわけにはいかないぞと。
《多様な鼠》でハツカネズミにトランプルor二段攻撃を与える能力と、《心火の英雄》《熾火心の挑戦者》の雄姿とを組み合せた軽量で大ダメージに繋がるムーブが軸になっており、そこに《雇われ爪》《叫ぶ宿敵》などの効率よくダメージを与えるコストパフォーマンスに優れた面々が加わる。さらには《魔道士封じのトカゲ》で果敢系や《全知》コンボをメインからしっかり対策、《双つ口の嵐孵り》を前兆のみで用いるなどプロツアーというフィールドを見据えた構築が功を奏する形に。2025年、「赤単アグロ」はそのリストを様々な形に変化させてきたが、いずれのリストも過去の同アーキタイプと比べてもかなり強い、歴代でも上位に入るパワフルなデッキだったなと……思い返せば個人的にも赤単と戦い続けた1年だったなと。激しいラッシュに圧倒されたものだが、それもまた楽しかったなぁ。
いずれのデッキも素晴らしいもので、ここに上げられなかったデッキも数えていけばキリがない。2025年はかつてないほどボリューミーな1年だった……そして2026年は今年よりもさらに多い、7つのセットがリリースされるとのこと。ユニバースビヨンドもアツいラインナップが控えており、一年中マジックのことだけを考えることになりそうだ。そんな期待を胸に抱きながら、残り僅かの今年を最後まで楽しく過ごそう。それでは、良いお年を!また来年も、どうぞよろしく!
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