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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:ばあばここでも活躍、5色人間(パイオニア)

岩SHOW


 マジックというゲームは本当にクールだ。ドラゴンや天使、デーモンといったファンタジーの象徴のような存在から、ロボットにサイバーパンク忍者にハイブリッド擬人化動物……そういった混沌としたものが同じ戦場に並んで戦う。そのカオスな情景が実にクールだ。そして、見るからに強そうな大怪獣よりも、もっとちっぽけでハートフルな存在の方が強いケースもあったりする。

 そんなわけでマジックのクールさを語る今週のCool Deck。今回は先日の世界選手権でも大活躍したカードについて。『アバター 伝説の少年アン』参入後のスタンダードで戦われた構築ラウンド。その場で縦横無尽の大活躍を見せたのは、全ての技を操るアバターか?それともドラゴンや海の大蛇、巨大な魚などの伝説的な生き物か?否、答えは……

 

 《ばあば》!かつてこれほど名前が短く誰でも覚えられる、クールなカード名があっただろうか。《ばあば》は「アバター 伝説の少年アン」という作品において、主人公アンと行動を共にする水の部族、サカとカタラの兄妹にとってのばあばだ。村においても最長老に当たる存在で、経験による知識と落ち着きを持った頼れるばあば……なのだが、まさか世界選手権で彼女が一番存在感を放つことになるとは思いもしなかった。こういうカードが強いからマジックって面白い、本当にクールだよな。

 《ばあば》はタップ状態になるとカードを1枚引き、1枚捨てる。攻撃時にはもちろんのこと、アバターの水の技という能力と相性の良いルーター(手札入れ替えクリーチャー)としてデザインされている。また講義が3枚以上墓地にあると、クリーチャーでない呪文のコストを{1}軽減する。そんなわけで世界選手権では講義デッキで大活躍したのだが……《ばあば》は、何も講義デッキ専用のカードではない!というわけで今回は講義が入っていないのにばあばをフル投入したデッキリストを紹介しよう!

Xenowan - 「5色人間」
Magic Online Pioneer Showcase Qualifier 優勝 / パイオニア (2025年12月7日)[MO] [ARENA]
4 《魂の洞窟
4 《英雄の公有地
4 《始まりの町
2 《神聖なる泉
2 《湿った墓
1 《蒸気孔
2 《闇滑りの岸
1 《天上都市、大田原
1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼
1 《
-土地(22)-

4 《ばあば
3 《暗黒騎士、セシル
4 《侵攻の伝令、ローナ
4 《太陽の執事長、インティ
4 《不屈の将軍、ジリーナ
1 《スペクタキュラー・スパイダーマン
4 《サイオニック・ウィーバー、アラクネ
3 《素早き救済者、アン
3 《正直者のラトスタイン
1 《ウェブ紡ぎ、シルク
-クリーチャー(31)-
3 《モックス・アンバー
4 《伝説の秘宝
-呪文(7)-
2 《封じ込める僧侶
2 《復活したアーテイ
1 《人質取り
3 《第三の道のロラン
3 《見下す高手、メイ
1 《スペクタキュラー・スパイダーマン
1 《配分の領事、カンバール
2 《悪夢滅ぼし、魁渡
-サイドボード(15)-
Magic Online より引用)

 

回転

 

 パイオニアの「5色人間」!あるいは……「5色レジェンド」!むしろ「伝説人間」とかでも良い!呼び方はなんであれそのままだ、広いパイオニア環境のえりすぐりの伝説の人間を詰め込んだビートダウンだ。《魂の洞窟》《英雄の公有地》そして《始まりの町》と5色土地がたっぷりあるのでこういう構築が現実的になっているというわけだ。《太陽の執事長、インティ》《素早き救済者、アン》など優秀なクリーチャーを繰り出し、妨害も挟みつつ攻撃を通していくのが理想的。伝説クリーチャーをコントロールしていることでマナを供給する《モックス・アンバー》が使えることもまた強みであり、そしてこのデッキの最大にクールな1枚が《伝説の秘宝》だ。

 伝説のクリーチャーをタップすることで好きな色マナを加えられるアーティファクト。これと組み合わせるのが《侵攻の伝令、ローナ》!ローナをタップしてマナを加え、そのマナで伝説呪文を唱えたらローナをアンタップ。またマナを加えるも良し、ルーターとして使うも良し……このローナと共に《ばあば》が秘宝の起動役になり、手札を入れ替えながらより良い状況を作っていくわけだ。

 

 パイオニアの《伝説の秘宝》デッキと言えば、すっかりお馴染みにもなったのが《サイオニック・ウィーバー、アラクネ》とのコンボ。アラクネはウェブスリングという能力を持ち、タップ状態のクリーチャーを手札に戻すことで白マナ1つで唱えられる。これと《伝説の秘宝》があれば、どんな伝説クリーチャーでもタップして白マナを出してから手札に戻し、1マナで唱えられるということ。そして、アラクネが2枚あったなら……アラクネAでマナを加えて戻してアラクネBを唱え、アラクネBをタップして白マナを加えてAを唱えて…と、2枚のアラクネでループを作りだせる。ただブンブン回しているだけでは何も起きないが、その横にローナが居れば無限マナ&無限ルーターが可能!この怒涛の黄金回転が生み出した無限のマナを《ウェブ紡ぎ、シルク》に注ぎ込めばクリーチャーのパワーを望むだけ上昇させられるので、超巨大クリーチャー軍で殴ってフィニッシュ!

 

 このクールなコンボを成立させるには、アラクネとローナといったクリーチャーを、各種除去から護ってやる必要がある。その守護役という大きな任務を担うのが《不屈の将軍、ジリーナ》だ。彼女はその実を捧げて他の人間に呪禁と破壊不能を与える。インスタントなどのピンポイント除去にも対応し、《至高の評決》などの全体破壊も気にしない。人間を並べてナンボのデッキで、恐れることなくフル展開を肯定してくれるジリーナは最高に頼もしい。

 そして我らがヒーロー、親愛なる隣人《スペクタキュラー・スパイダーマン》も瞬速で駆け付け、同じく全体への呪禁と破壊不能で皆を護る!スパイダーマンとアン、各作品のキャラクターが夢のクロスオーバーを果たすデッキでもある。こんなクールな光景、マジックだからこそだな。

 《ばあば》は講義デッキの主要パーツであり、そして講義が関係ないデッキでも十分に仕事をする強力な1マナクリーチャーだ。こういうキャラクターが大活躍するのだからマジックはクールだ。今後もクールな伏兵が輝き続けるのだろう、どんなカードからも目を離すな!それじゃあ今週はここまで。Stay cool! Watch out for Gran-Gran!!

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