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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

イゼット・ルーティング:質を高めて勝機を掴め(スタンダード)

岩SHOW


 第31回目となるマジック世界選手権が終了。これで2025年の競技イベントシーズンは終了だ。この2025年にはいろんなことがあった……マジックって最高だなと改めて認識させられた、忘れられない1年になるだろう。まあ競技イベントのシーズンが終わったとて、2025年はまだもう少し続く。その日々の中でまだまだマジックを堪能するのが我々のやるべきことだろう。世界選手権の参加者に敬意を払いつつ、最高峰の舞台で活躍したプレイヤーらのデッキリストをチェックし、オンラインだったり店舗大会、それぞれのマジックに活かすべし!

 今回は予選ラウンドを突破し、世界最強を争うシングルエリミネーションを戦った8名より、第29回大会の世界王者であるジャン=エマニュエル・ドゥプラ/Jean-Emmanuel Deprazが使用した「イゼット(青赤)ルーティング」を取り上げさせていただこう。

Jean-Emmanuel Depraz - 「Izzet Looting」
第31回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権 / スタンダード(2025年12月5~7日)[MO] [ARENA]
4 《マルチバースへの通り道
4 《尖塔断の運河
4 《リバーパイアーの境界
9 《
2 《
-土地(23)-

2 《トラアザラシ
4 《精神の決闘者
4 《逸失への恐怖
4 《量子の謎かけ屋
-クリーチャー(14)-
4 《塔の点火
1 《削剥
4 《ブーメランの基礎
2 《洪水の大口へ
1 《紅蓮地獄
3 《冬夜の物語
2 《降霜断崖の包囲
2 《咆哮する焼炉 // 蒸気サウナ
4 《嵐追いの才能
-呪文(23)-
2 《無効
2 《呪文貫き
2 《スパイダーセンス
1 《軽蔑的な一撃
2 《今のうちに出よう
1 《炎魔法
1 《紅蓮地獄
1 《壊滅的猛威
1 《除霊用掃除機
1 《液状の重罪犯、ハイドロマン
1 《アイローの表演
-サイドボード(15)-
 
 

 ルーティングとは“物あさり”のこと。過去のカードで《マーフォークの物あさり》や《信仰無き物あさり》に見られるように、ルーティング・ルーターといった物あさり系カードの特徴は、カードを引いて同じ枚数すてるというアクション。これは通常のドロー呪文や能力のように、手札が増えるわけではない。だがその内容を入れ替えて質を高めることを狙える。このアクションは特に競技思考のプレイヤーに好まれるもので、状況を見極めてベストなアンサーを探しに行く手段として、ルーティングは様々なデッキにて用いられている。

 このスタンダードのデッキは《精神の決闘者》《逸失への恐怖》、そして《冬夜の物語》などルーティングやそれに似たアクションを行うカードを用いて、手札を入れ替え続けて常に万全の体制を目指す。これによりカードを引き込むことで《精神の決闘者》のパワーが上昇。飛行を活かして高いダメージを叩き込む……という勝ちパターンを狙うデッキだ。青のクリーチャーの中での最強格《量子の謎かけ屋》も決闘者のパワーをパンプアップさせ、ワープで唱えてからタップして《冬夜の物語》の調和コストにあてる、そのような細工なしでも単体で十分強い……と言うことなしな1枚。こういったカードを取り揃えて多くの手札を常に保ち、その数をルーティングで質へと変えていく。状況判断能力は問われるが、「マジックをやっている」という感覚を味わえる、強くて楽しいアーキタイプだ。

 

 今スタンダードの青いデッキは《嵐追いの才能》により支えられ、デッキパワーを底上げされている。青くて攻めるデッキを使うなら、この才能からカワウソを繰り出すのが手っ取り早い。ただでさえ強いエンチャントだったが、新カード《ブーメランの基礎》の加入によりその切れ味は増すことに。

 自分のパーマネントを戻せて、その際には1枚ドローする1マナソーサリー……これで才能を戻して出し直せば、カワウソの頭数が増え、先に出していたカワウソは果敢でサイズアップ。このアクションをしておきながら手札が減らず、フィニッシュに移行する際にはブーメランで相手のクリーチャーを戻して攻撃をねじ込む……何もかもが噛み合っているこの2枚。才能のレベル2では墓地のインスタントやソーサリーを回収出来る。これでブーメランを拾って、才能を戻してカワウソ再出撃。またレベル2にしてブーメラン回収、というムーブは長期戦における息切れというものを防ぎ、途切れない攻めを実現。才能が2枚あれば、片方をレベル3にすることで爆速で無尽蔵なカワウソラッシュをお見舞いできるぞ。青いデッキのエンジンはこの2枚が担っている!

 

 ブーメランの登場で存在感がマシマシになっているのは《咆哮する焼炉 // 蒸気サウナ》もだ。イゼットの強みはこれを使えることと言っても過言ではない。基本的には《咆哮する焼炉》として用いる。手札の枚数分のダメージを与えることで高いタフネスを持つクリーチャーへの除去として機能。これをブーメランすることで、手札の枚数を維持したまま火力を下げずにもう一発をぶちかませるようになるわけだ。またいざともなれば《蒸気サウナ》の部屋を開け、尽きない手札をもたらすアドバンテージ源となってくれる。超頼もしいエンチャント、今旬が訪れている!

 「イゼット・ルーティング」はテクニカルなデッキで、プレイが上手い人ほどその強さを発揮できるアーキタイプ……ではあるが、興味を持ったならどんなプレイヤーにでも挑戦してみて欲しい。ルーティングでチャンスを拡げて、しっかりと勝機を逃さずに掴む。その感覚は練習を続ければ必ずや培うことができるッ!さあ、目指せ次の世界選手権ッッ!

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