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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:5色伝説のクールすぎる気のテクニック(スタンダード)

岩SHOW


 やってまいりました今週のCool Deckのコーナー。今回も全力でクールなデッキをお届けするのでどうぞよろしく。さて今回は、クールさの鮮度を保つため、勿体ぶらずにいきなりデッキリストを、ドン。

Itsuki Takiguchi - 「5色レジェンド」
ジャパンスタンダードカップ:『アバター 伝説の少年アン』 第19位 / スタンダード (2025年11月23日)[MO] [ARENA]
4 《魂の洞窟
4 《閑静な中庭
4 《始まりの町
3 《湿った墓
2 《神無き祭殿
2 《聖なる鋳造所
2 《踏み鳴らされる地
1 《繁殖池
1 《
-土地(23)-

4 《暗黒騎士、セシル
3 《ばあば
2 《ザックス・フェア
3 《スペクタキュラー・スパイダーマン
2 《勇敢なブーメラン使い、サカ
2 《太陽の執事長、インティ
1 《グウェン・ステイシー
1 《マイルズ・モラレス
4 《セラ・ファロン
3 《素早き救済者、アン
2 《サイオニック・ウィーバー、アラクネ
2 《運命を笑う者、アリーシャ
1 《シヴァのドミナント、ジル
1 《エディ・ブロック
1 《正直者のラトスタイン
1 《スーペリア・スパイダーマン
1 《岐路に立つアン
1 《不死鳥王、オザイ
-クリーチャー(35)-
2 《霊気化
-呪文(2)-
4 《紅蓮地獄
2 《スパイダーセンス
2 《倦怠の宝珠
1 《魂標ランタン
1 《除霊用掃除機
1 《安らかなる眠り
1 《驚嘆の救い手、スパイダーウーマン
2 《見下す高手、メイ
1 《シーンドライブ、ライトニング
-サイドボード(15)-
Melee より引用)

 

 

 こちらのリストは、先日開催されたジャパンスタンダードカップ:『アバター 伝説の少年アン』の上位入賞デッキだ。具体的に言うと6勝2敗の19位、最後勝てばTOP8のチャンスありという、1敗同士のプレイヤーによる予選ラウンド最終戦のフィーチャーマッチにて登場した……「5色レジェンド」!読んで字のごとく、5色の伝説のクリーチャーが集結している。

 それらに共通するのは他に人間のタイプを持っていること。そのため《魂の洞窟》《閑静な中庭》と同一タイプのクリーチャーにたいして使える5色マナを加える土地が運用できる。そこに《始まりの町》や各種ショックランドなどが加われば5色デッキをプレイするのもそう不可能ではない。そしてそこに集うのは《暗黒騎士、セシル》《シヴァのドミナント、ジル》などの「FINAL FANTASY」シリーズのキャラクター、《スペクタキュラー・スパイダーマン》《エディ・ブロック》などなどスパイダーマン世界のヒーローたち、さらには最新セット『マジック:ザ・ギャザリング | アバター 伝説の少年アン』より《素早き救済者、アン》や《不死鳥王、オザイ》などなど……特にアバターが正式発売日を迎えてから、2日後の大会である。そんなリリースされたてほやほやの新カード、伝説のクリーチャーらを迎え入れたクールな意欲作であるわけだ。

 これら伝説で統一することで恩恵が得られるからこその構築であるわけだが、その恩恵をもたらすのが《セラ・ファロン》!彼女は伝説の呪文のコストを{2}軽減する。{2}は大きいよ、各ターンに最初に唱えるものに限定されるとはいえ、これは展開力を大きく底上げしてくれる。そして伝説のクリーチャーが2体いると《クリスタルになったセラ》に返信。こうなるとマナ軽減だけでなく、伝説クリーチャーをまとめて+2/+2修整の大幅強化だ。というわけでセラの変身を狙って1ターン目から伝説クリーチャーを展開する、アグレッシブなデッキに仕上げられている。特に序盤を支える接死持ちのセシルと、呪禁&破壊不能でセラを護れる《スペクタキュラー・スパイダーマン》は打点にも優れており、クールな役割を担っている印象だ。こういった伝説の人間を繰り出しつつ、セラで強化して殴り勝つ!戦術はシンプルなのもクールだね。

回転

回転

 

 さて、このデッキは見た目だけではなくクールなテクニックも内包している。ここに関わってくるのは《素早き救済者、アン》だ。最新カードの中でも注目され、しかもこのトーナメントでもかなりの数が使用されていた今最もクールでホットな1枚だ。呪文やクリーチャーを追放する気の技という能力を持ち、これは特に自分のクリーチャーに対して使用すると、救済者の名の通りにそれが戦闘で打ち負けたり除去を撃ち込まれたりして死亡するのを防ぎ、追放領域から唱えてそれの能力をつい買いまわすことも狙える。

 フィーチャーマッチで炸裂したのは……この気の技のネクストレヴェルな使い方だ。《グウェン・ステイシー》で対戦相手の攻撃をブロック、このグウェンに対してアンを唱えて気の技の対象に……次のターンにこれを唱えて、グウェンが戦場に出た時の能力でライブラリーの一番上を追放、捲れたカードでワンチャンス狙いに行くのかな……なんて見ていたら、それどころではなかった。《クリスタルになったセラ》で気の技で唱えるための{2}が軽減され、マナなしで唱えられる。それはまあわかるとして、一瞬理解できなかったのは戦場に出てきたのが……《ゴースト・スパイダー》だったことだ。グウェンの変身後の姿が何故……?と思ったが、なるほど。気の技で追放されているカードは{2}を支払って唱えられるが、モードを持つ両面カードはその際にどちらのモードで唱えるかを選べる。第1面や第2面がどんなコストが設けられていようが、たったの{2}で唱えられる……つまり、{2}で飛行・警戒・速攻を持った4/4の《ゴースト・スパイダー》が降臨する!この動きはヤベェ、ゲーム中ではセラで0マナで出てきて、しかも修正を受けて6/6になっており、これが決定打となって勝利を収めていた……クールすぎるムーブにゾクッときたよ。

 このリストでは他に《マイルズ・モラレス》を《アルティメット・スパイダーマン》、《エディ・ブロック》を《リーサル・プロテクター、ヴェノム》として、この気の技ルートで唱えられる。いずれも高コストで強力なクリーチャーが破格のコストで手に入る。一部のマニアにはぶっささるクールすぎるテク、今日この場で覚えていってくれよな。

 

 このリストのメインデッキに採用されている、数少ない非クリーチャー呪文、それがたった2枚の《霊気化》だ。攻撃クリーチャーを全て手札に戻すというインスタント、何故このカードがチョイスされているのだろう?その答えは……おそらく《不動の守護者、アッパ》かな。《素早き救済者、アン》とアッパを互いに気の技で追放する。そのコストはオーロック博士で軽減し、これにより望む数だけアッパとアンを出し入れして、同盟者トークンを生成できる。このコンボは大会直前に判明し、デッキリストが広まったことで大会においてもかなりの注目を集めた仮想敵であった。《霊気化》であれば無限に増殖した同盟者が雪崩れ込んできても、すべて手札に戻す=トークンなので追放して己の身を護れる。そうやって攻撃を耐えて、返しのターンで《ゴースト・スパイダー》《不死鳥王、オザイ》などの飛行クリーチャーで攻撃して勝つ……というワンチャンスをもぎ取るためのチョイス、だったのではないかな。こういうデッキリストに秘められたクールな謎もマニア心を刺激するぜ。

 このコーナーで色んなデッキをクールだと最高の賛辞を送っている理由は、デッキを生み出した人に次なる新作を生み出すモチベーションにしてもらえたら、という思いもある。世界でも指折りのクールなデッキビルダーを目指して、環境最初期も、中盤も、終盤も!皆もデッキを作りまくろう。それじゃあ今週はここまで。Stay cool! Show me your cool one!!

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