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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

白単人間:構築フォーマットの変遷(パイオニア)

岩SHOW


 マジックに歴史あり。30年を超える歴史があると、色んな変遷があるものだ。現行のルールを確認してみよう。今現在、マジックの新セットはプレリリースと呼ばれる期間からマジックの公認店舗にて先行販売されており、それと同時にそのセットのカードが各構築フォーマットで使用可能になる。つまり、正式な発売日の一週間前から新カードが活躍することになるのだ。

 しかしかつては、発売日から1ヶ月ほど経ってから公式のトーナメントで使用可能になる、というタイムラグが設けられていた期間もあった。これは今のようにネットが発達しておらず、ルールに関する正しい裁定が世界中のジャッジ間でまとめられ、共有される準備期間ということだったんじゃないかな。プレイヤーも勿論、運営も今よりもずっと手探りだったわけだ。

 Magic Onlineにも歴史がある。最近はセットによってリリースされるタイミングが異なり、最新セット『マジック:ザ・ギャザリング | アバター 伝説の少年アン』はテーブルトップの正式発売日は11月21日。Magic OnlineおよびMTGアリーナでは18日(日本時間19日)にリリースを迎えた。リアルのカードよりも一足早く遊べるという形だが、かつてはテーブルトップでの発売開始よりもかなり遅れてリリースされていた。それぞれに良しあしがあるだろうが、より多くの人がマジックを楽しめる今の時代は恵まれていることは間違いないね。

 そんなわけでこの原稿を書いている今は、Magic Onlineで『マジック:ザ・ギャザリング | アバター 伝説の少年アン』がリリースされた数時間後。解禁と同時にドラフトをいくつか遊んで、寝不足だ。こんなタイミングでもう新カードを採用したデッキリストが公開されているのがMagic Onlineの素晴らしいところだな。というわけでオンライン上リリース後、最速でリーグ戦を5戦全勝したデッキリストを1つ紹介させていただこう!

_Cygnus - 「白単人間」
Magic Online Pioneer League 32 5-0 / パイオニア (2025年11月19日)[MO] [ARENA]
3 《魂の洞窟
1 《皇国の地、永岩城
1 《アーデンベイル城
1 《放棄された気の寺
4 《変わり谷
12 《平地
-土地(22)-

4 《内なる空の管理人
4 《徴兵士官
2 《有望な信徒
2 《不屈の護衛
4 《スレイベンの守護者、サリア
4 《サリアの副官
4 《銅纏いの先兵
4 《輝かしい聖戦士、エーデリン
2 《救出専門家
2 《勇敢なる救出者、スキ
-クリーチャー(32)-
2 《ポータブル・ホール
2 《石の宣告
2 《共同戦線
-呪文(6)-
3 《エイヴンの阻む者
1 《石の宣告
2 《ポータブル・ホール
2 《安らかなる眠り
3 《婚礼の発表
2 《空罠師、マクディーとイトラ》(《驚嘆の救い手、スパイダーウーマン》)
2 《編み手と導き手、イェラとオスキ》(《サイオニック・ウィーバー、アラクネ》)
-サイドボード(15)-
Magic Online より引用)

 

 

 というわけで選んだフォーマットはパイオニア!リーグ戦最速で全勝を成し遂げたデッキの1つは白単色の人間アグロ!人間クリーチャーをたっぷりと採用、1マナクリーチャーが12枚採用されていることからもわかる通り、最序盤からガンガンとクリーチャーを展開しノンストップで攻撃を仕掛け続ける、超前のめりなアーキタイプだ。人間でタイプを統一することで、《サリアの副官》で+1/+1カウンターをばら撒き、またこれ自身も強化される。《銅纏いの先兵》も人間のパワーを上昇させて護法{1}も与えて強化。軽い人間とこれらの強化役で強力な盤面を作り上げ、対戦相手の体制が整う前に勝負を終わらせる……これが人間をメインとしたアグロデッキの流儀だ。

 《スレイベンの守護者、サリア》で非クリーチャー呪文を唱えることをスローダウン、《有望な信徒》でのアーティファクトやエンチャントの破壊、《不屈の護衛》や《救出専門家》で相手の除去を受けても盤面を保つ……という具合に、ただ戦闘面で優れたクリーチャーだけではなく細かい仕事ができるクリーチャーも採用されているのもこのアーキタイプの強み。相手を選ばずに柔軟に戦えるのだ。

 

 さて、『マジック:ザ・ギャザリング | アバター 伝説の少年アン』リリース直後のデッキということでこのリストにはしっかりと新カードがお試し的に採用されている。人間というタイプはあらゆるセットに収録されているのもあって、新セットの恩恵を受けやすいというのもセールスポイントになっている。アバターの世界にも数えきれないほど人間がおり、特に伝説の人間が多数含まれている。

 その中からチョイスされたのは《勇敢なる救出者、スキ》!スキ本人以外のクリーチャーのパワーを1上昇させる強化役であり、また自身のターンにパーマネントが戦場を離れると同盟者トークン背を生成する能力も持つ。除去や戦闘で人間が倒れても、最低限の追加戦力が補填される。《輝かしい聖戦士、エーデリン》の生成する人間は討ち取られやすいものであり、そのトークンが無駄死にせずに同盟者を残してくれるのは嬉しい。《不屈の護衛》を生け贄にして破壊不能のクリーチャーを突っ込ませる動きとも噛み合っているね。

 さらに新カード《共同戦線》も同盟者を生成するソーサリーで、トークン生成後に全クリーチャーに+1/+1カウンターを乗せて強化してくれる。盤面をリセットされた後の再建手段として期待できるし、X=0で唱えても打点に貢献してくれるため使い勝手の良い呪文だろう。スキとこの《共同戦線》、またその他のアバターのカードに言えることは、これらが生成するトークンは同盟者であって人間ではないということ。トークンに書かれた見た目は完全に人間なだけに勘違いしてしまわないに要注意!

 

 白単色のデッキ、ということで《放棄された気の寺》も採用されている。アバターのレア土地サイクルは基本土地をコントロールしていないとデメリットが発生するが、いずれもかなり強力な起動型能力を持っている。タップ状態で出るというデメリットがあってもそれに見合う土地ではあるのだが、この手のアグロデッキではアンタップで出るに越したことはない。単色デッキで《平地》が土地の大半を占めるこのリストであれば、デメリットもそこまで気にならないはずだ。全クリーチャーに+1/+1カウンターをばら撒く、土地がもたらすにしては非常に強力な能力。ゲームが長引いた時にマナの使い道になり勝利に貢献する、この手のデッキではお約束のカードになるかもしれないね。

 今は新カードがリリースされてすぐに構築フォーマットで使用できるし、発売日に先駆けて遊ぶことも可能だ。ステキな時代だ。この恩恵にあやかって、ガンガン新デッキを作って遊びまくろうぜ!

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