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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

エスパー・ラフィーン:モードを持つ両面カードの裏技(パイオニア)

岩SHOW
 

 マジックのカードの裏面、このデザインはマジで最高。茶をベースにした落ち着いた色合いながら、その質感は古の呪文書や石板のよう。その中心にちりばめられた、各色を意味する結晶のような5つのシンボル。そしてマジックとDECKMASTERのそれぞれのロゴが醸し出す雰囲気……初めてパックを剥いたその瞬間からこの背面にゾッコンだ。

回転

 

 とは言ったものの、そんな最高の背面を取っ払ったカードにも魅力がある。第2面を持つカードだ。条件を満たすことで変身するカード達、そして2つのモードを持つ両面カードがこれにあたる。その後者とは第1面と第2面、どちらかのモードを選んでプレイできるカードであり、『マジック:ザ・ギャザリング | マーベル スパイダーマン』でも各色の神話レアにこのモードを持つ両面カードが採用されている。人間としての姿、そして各自のヒーローやヴィランに変身した姿……状況に合わせて選んでプレイできるこれらのカードは、フレイバー的にも大変に魅力的。

 そしてマジックというゲームにおいても、これらのカードは工夫のし甲斐がある。このゲームのルールは時に複雑怪奇、想像もしないような化学反応を引き起こす……ということでパイオニアのテクニカルなデッキを紹介しよう!

kanara38204 - 「エスパー・ラフィーン」
Magic Online Pioneer Challenge 32 第10位 / パイオニア (2025年10月17日)[MO] [ARENA]
4 《英雄の公有地
3 《始まりの町
2 《マナの合流点
2 《神聖なる泉
2 《湿った墓
2 《神無き祭殿
2 《金属海の沿岸
1 《闇滑りの岸
1 《秘密の中庭
2 《皇国の地、永岩城
1 《天上都市、大田原
1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼
2 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ
1 《
-土地(26)-

3 《暗黒騎士、セシル
4 《闇の中の研究者、ナシ
3 《嘘の神、ヴァルキー
4 《策謀の予見者、ラフィーン
2 《エディ・ブロック
2 《道の体現者、シィコ
-クリーチャー(18)-
4 《思考囲い
4 《致命的な一押し
1 《幽霊による庇護
2 《消失の詩句
4 《不浄な別室 // 祭儀室
1 《再覚醒したジェイス
-呪文(16)-
2 《強迫
2 《否認
2 《害獣駆除
1 《幽霊による庇護
2 《ウルザの殲滅破
2 《安らかなる眠り
2 《減衰球
2 《悪夢滅ぼし、魁渡
-サイドボード(15)-
Magic Online より引用)

 

 

 パイオニアのエスパー(白青黒)+αのラフィーンデッキ!攻撃クリーチャーを謀議させ、カードを引いて捨てての手札入れ替え&捨てた土地以外のカードの数だけそのクリーチャーに+1/+1カウンターを乗せる《策謀の予見者、ラフィーン》。このスフィンクスは手札の内容をより質の良いものに高めてその後の展開をサポートしつつ、クリーチャーをみるみるうちに育てて大ダメージを発生させる強力な3マナ域。ラフィーンと伝説のクリーチャーで固めることで《英雄の公有地》で多色のデッキをスムーズに運用し、《闇の中の研究者、ナシ》で墓地に落ちたカードを拾って手札もガッツリ補充。

 そんな伝説を主としたパイオニアのアーキタイプに、強引に足されたカーが目を引く。《道の体現者、シィコ》!このドラゴンは墓地にあるマナ総量3以下のカードを追放し、そのコピーを唱える能力を持つ。その際にマナの支払いは不要で、5マナにして実質的に計8マナの働きを披露してくれる……わけだが。この能力こそが、冒頭で触れたモードを持つ両面カードを輝かせる。

回転

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 《嘘の神、ヴァルキー》は第2面《星界の騙し屋、ティボルト》を持つ。このカードが墓地にある時は第1面が参照されるので、《道の体現者、シィコ》で追放することができる。その上でコピーして唱える際には、モードを選ぶことに。ヴァルキーか、あるいはティボルトか……そう、マナ総量は3でない方のモードをもマナ不要で唱えられる!このとんちのようなムーブを駆使して、様々なカードをお得に使おうというのがこのデッキの裏テーマだ。《再覚醒したジェイス》もマナ総量3以下の呪文を追放し、計画状態に。ヴァルキーが追放されているが、唱える時にはしっかりティボルトのモードも選べるぞ。

 そしてこのデッキの、もう1つのモードを持つ両面呪文が《エディ・ブロック》!彼をシィコやジェイスを経由させることで《リーサル・プロテクター、ヴェノム》として唱えられる!エスパーがベースのデッキでジャンド(黒赤緑)のクリーチャーを運用するという禍々しさがたまらないぜ。ヴェノムは威迫・トランプル・速攻を持つ5/5で攻めるクリーチャーとして優秀なスペックを持ち、そして彼で攻撃することでクリーチャーを生け贄に捧げられる。そのクリーチャーのマナ総量分カードを引き、それ以下のマナ総量のパーマネントを戦場に出せるという、特殊なムーブを披露。そんなわけでシィコからヴェノムを唱えた場合、シィコを喰って5枚ドロー!からの5マナ以下のパーマネントを戦場へ……という莫大なアドバンテージを稼ぎ出してくれるのだ。このロマンあふれるシィコ→ヴェノムを決めるために、ラフィーンやナシで墓地に《エディ・ブロック》を落とすのがこのデッキの勝ちパターン。またエディとして唱えても《暗黒騎士、セシル》を墓地から再利用可能で、接死の鉄壁を築くことも可能なのが嬉しいね。

 マジックのカードには両面にテキストが書かれたものがある。それらに関するルールは、慣れればどうということはないがマジックを始めたばかりの時には戸惑うこともあるかもしれない。今回のモードを持つ両面カードの裏技的運用をはじめ、「えっ、そんなことになるの?」ということに何度も直面するだろう。そういったルールに詳しくなっていくというのも、マジックの楽しいプロセスであるのだ。

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