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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

~1枚のカードより~《スパイダーマンの原点》はボロスの改善ギミックでポテンシャルを発揮!(スタンダード)

岩SHOW


 手に入れたカードをしっかりと観察、考察してデッキを構築!それこそがマジックの原点だ。1枚のカードを吟味し、味わい尽くす……そんな1枚のカードからデッキを考えるコーナー。《クレイヴン・ザ・ハンター》をピックアップして分析、それを用いたデッキ例を紹介した第1回に続き、不定期で(良いサンプルとなるリストが見つかったら……)やっていこうと考えている。今回はマジックの原点に挑む、ということでこのカードを。

 

 現時点の最新セット『マジック:ザ・ギャザリング | マーベル スパイダーマン』より《スパイダーマンの原点》!ピーター・パーカーがスパイダーマンとしての能力を獲得してヒーローとなる過程を描いた英雄譚だ。Ⅰ章では2/1の蜘蛛・トークンを生成。蜘蛛らしく到達を持っているので、2マナのクリーチャーとしては悪くないスペック。

 そしてⅡ章、これが実にスパイダーマンらしいもので、クリーチャーに+1/+1カウンターを乗せてそれに伝説及び蜘蛛と英雄のタイプも与える。英雄=ヒーローになるって良いよなぁ。単純にⅠで生成した蜘蛛を強化しても良いし、他にもクリーチャーがいるならそれを育てるのもアリだ。また+1/+1カウンターは、あらゆるセットでテーマとして扱われる概念。カウンターを乗せる数を増やす、カウンターを他に移す、カウンターを取り除いて能力を起動する、カウンターが乗ることで能力が誘発する……数々の相互作用が見込めるものなので、使うのであればそういったカードで固めたカウンターがテーマのデッキで使うのが〇ということになるね。

 そしてⅢ章ではクリーチャー1体に二段攻撃を持たせる、フィニッシュとなる能力!というわけでやはりクリーチャーを展開して攻めるデッキで使ってこその英雄譚だ。

 

 同じセットである『マジック:ザ・ギャザリング | マーベル スパイダーマン』では+1/+1カウンターを用いるカード、そして改善がテーマの1つになっている。改善とはクリーチャーに装備品やオーラがついている、あるいはなんらかのカウンターが乗っている状態を指す。改善状態だと+αという類のカードが見られる中で、注目の1枚は《蜘蛛の心、アラーニャ》!アラーニャ自身も、攻撃クリーチャーに+1/+1カウンターを置いて改善を促し、そして改善されているクリーチャーがプレイヤーに戦闘ダメージを与えると、ライブラリーの一番上を追放してそのターンプレイ可能にするという……賞味期限は短いが、マナを使わずに手軽にアドバンテージを得られる。アグレッシブなデッキはクリーチャーの展開に、対戦相手のクリーチャーへの除去にと、何かと手札を吐き出しがち。なので改善クリーチャーで攻撃するだけでなんとか次の一手に繋げられるアラーニャは頼もしい存在。《スパイダーマンの原点》と組み合わせれば、改善クリーチャーを効率よく増やしつつ、二段攻撃を持った改善クリーチャーでライブラリーの上から2枚分のアドバンテージを稼ぎ出すことができる!これはアツい組み合わせだ。

 というわけで《スパイダーマンの原点》デッキ、もとい《蜘蛛の心、アラーニャ》と組み合わせたデッキの一例を紹介しよう!おあつらえ向きな逸品が見つかったぞ。

GoldD - 「ボロス・アグロ」
Magic Online Standard Challenge 第16位 / スタンダード (2025年10月13日)[MO] [ARENA]
4 《始まりの町
4 《聖なる鋳造所
4 《感動的な眺望所
4 《サンビロウの境界
1 《魂石の聖域
2 《平地
3 《
-土地(22)-

4 《雇われ爪
4 《熾火心の挑戦者
4 《叫ぶ宿敵
3 《コスモグランドの頂点
2 《蜘蛛の心、アラーニャ
-クリーチャー(17)-
4 《噴出の稲妻
4 《稲妻のらせん
3 《幽霊による庇護
2 《ボロスの魔除け
4 《オペラ劇場のラブソング
4 《スパイダーマンの原点
-呪文(21)-
3 《削剥
1 《炎魔法
3 《失せろ
1 《幽霊による庇護
1 《ボロスの魔除け
2 《安らかなる眠り
4 《剃刀族の棘頭
-サイドボード(15)-
Magic Online より引用)

 

 

 スタンダードのボロス(赤白)カラーのアグロデッキの登場だ。赤いアグロといえばスタンダードでも1・2を争う使用率を誇る、実力と人気を兼ね備えたデッキだ。そんな赤系アグロを土台として《雇われ爪》《叫ぶ宿敵》とお馴染みの顔ぶれが並ぶ。これらを《スパイダーマンの原点》で強化し、《蜘蛛の心、アラーニャ》で攻めを継続していくという作り。《雇われ爪》は自力で改善状態になれるため、アラーニャとの相性は言うまでもない。《熾火心の挑戦者》はボロス要素で対象にとりやすくなるのも素晴らしい。原点で2回、アラーニャで毎ターン、挑戦者の雄姿を誘発させられれば手数であらゆるデッキを圧倒するだろう。

 

 改善と言えば白という色が加わっていることが大きなプラス要素になる。まずオーラをつけるということで、現スタンダード最強のオーラとも言える《幽霊による庇護》!これが付けられたクリーチャーはパワー+1、絆魂、防護{2}と能力を3つ付けた上に対戦相手のパーマネントを除去する、言わずと知れた超強力オーラ。これを貼り付けて盤面を優位にしつつ、さらにアラーニャで美味しい思いを!原点の二段攻撃と絆魂でライフを一気に回復し、アグロデッキの心を折るというムーブも。

 そして手数の勝負が挑めるのであれば、《コスモグランドの頂点》がものを言う。同一ターンに2回呪文を唱えると能力が誘発。トークン生成も強いが、やはり+1/+1カウンターをばら撒いて改善クリーチャーを増やすという動きが至高であろう。

 

 現スタンダードにおいて、ボロスには他の2色デッキに対して一歩秀でたポイントも。土地が強い!現スタンダードの多色土地の中でも、2種類のマナを加えられるものの割合はかなり偏っている。ローテーションと新セットのスケジュールの関係から、2色土地がかなり少ない組み合わせもある一方で、ボロスは言うことなしのラインナップ。まず5つの組み合わせにのみ存在する通称ファストランド、他にコントロールしている土地の枚数が少なければデメリットなしの2色土地として《感動的な眺望所》が。さらに2点のライフを支払えばアンタップインするギルドランドからは、平地と山のタイプを持つ《聖なる鋳造所》。これら2つの2色土地を備えている分、それらがない2色よりもデッキがずっと組みやすい。他の多色土地と組み合わせて、安定したマナ基盤から攻め手を繰り出そう。

 今回はカウンターという要素をメインに《スパイダーマンの原点》を扱うデッキを紹介したが、この英雄譚にはトークンデッキという選択肢もある。トークンの数を増やしたり、トークンを強化するカードと共にプレイしても面白いこと間違いなしだ。マジックの原点に立ち返り、楽しいデッキを組んでみよう!

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