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岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:ドレッジ・フェニックスと意図せぬクールさと(モダン)
気温がクールダウンしても、我々はクールさを求める……行きつく先は、そうマジックだ。そもそも筆者がマジックを始めたきっかけが、プラモデルを買いにチャリンコ漕いで、ちょっと離れたおもちゃ屋へ……しかしこれといったピンとくるキットがなく、帰ろうとか思ったところ、店内にディスプレイされたポップに目が行って……なんだこのクールな世界観は?とハートを鷲掴みにされたからだ。皆も同じようなルートを辿り、マジックというクールの理想郷に行きついたんじゃないのかな?というわけでクールなデッキやカードを噛みしめ味わい尽くす今週のCool Deck。今回も好きな人にはとことん響く、クールなルックスのデッキをお届けしよう。
| 3 《血染めのぬかるみ》 3 《乾燥台地》 3 《沸騰する小湖》 1 《血の墓所》 2 《蒸気孔》 2 《踏み鳴らされる地》 1 《轟音の滝》 1 《商業地区》 1 《耐え抜くもの、母聖樹》 2 《山》 -土地(19)- 4 《ゴルガリの凶漢》 4 《臭い草のインプ》 4 《弧光のフェニックス》 -クリーチャー(12)- |
4 《信仰無き物あさり》 4 《安堵の再会》 3 《異世界の凝視》 4 《溶岩の投げ矢》 2 《燃焼》 4 《這い寄る恐怖》 4 《壌土からの生命》 4 《美術家の才能》 -呪文(29)- |
2 《古えの遺恨》 1 《溜め込み屋のアウフ》 2 《記憶への放逐》 1 《絶望の力》 4 《虚空の力線》 2 《虚空の鏡》 3 《宝石の洞窟》 -サイドボード(15)- |
モダンの《弧光のフェニックス》デッキだ。4マナ3/2飛行+速攻、このフェニックスは不死鳥の名の通り墓地から戦場へと蘇る……その条件は同一ターンにインスタントかソーサリーを計3つ唱えて戦闘を迎えるというもの。これによりマナ不要でパワー3の航空戦力を確保でき、すかさず攻撃が可能に。《弧光のフェニックス》といえばパイオニアの主要デッキとして有名だが、モダンでもクールなデッキが作られている。ドローや、フェニックスを墓地に送れるインスタントやソーサリーがより強力なラインナップになるのだから当然と言えば当然。このリストはそれらの呪文が赤だけで十分な枚数が確保できているため、フェニックス=青赤のイメージから外れたカラーリングとなっているのがクールだ。
《信仰無き物あさり》《安堵の再会》などカードを引いて捨てる呪文がズラリ、そして墓地から唱えられる《溶岩の投げ矢》や《燃焼》がフェニックスの早期降臨を後押し。また《這い寄る恐怖》は呪文を唱えるわけではないのでフェニックスのサポートは出来ないが、これがライブラリーから墓地に落ちると対戦相手のライフを3点吸い取れる。そんなフェニックスデッキに一歩先のクールさをもたらしているのが……
《ゴルガリの凶漢》&《臭い草のインプ》!これらのクリーチャーの共通点は発掘という能力を持っていること。これを持つカードが墓地にある時にカードを引く場合、引く代わりにそのカードを手札に戻すことを選べる。それを選んだ場合は設定されている数だけ切削を行うというもので、これらと《信仰無き物あさり》などの相性はすこぶる良い。インプが墓地にいる時に物あさりを唱えたとしよう。カードを引く代わりに発掘で5枚を墓地に落とし、インプを手札に。そして2枚目のドローも発掘に置換が可能で、しかもインプの発掘の際に落ちたカードをそのまま拾うことができるのだ。
こうして墓地を一気に増やし、手札に戻った発掘持ちはそのまま捨てる。このアクションで瞬間的に肥えた墓地には、フェニックスやフラシュバック呪文があり、《這い寄る恐怖》が捲れて……思い通りに事が運べば、何もない状況から一気に勝ちまで持っていける。これらのクリーチャーに加えて《壌土からの生命》で発掘カードを揃えた「ドレッジ(発掘)フェニックス」は、最高にクールで刺激的なコンボを披露してくれるデッキなのだ。
さて、少々話はそれるが、先に行われたプロツアー『久遠の終端』の決勝戦をご覧になっただろうか。この戦いの最終ゲームでは、本来意図されていない使い方をされたカードが勝敗を決定づけ、プレイヤーを優勝へと導いた。そのカードは《鎮圧光線》。本来は土地カードを1枚も採用しないデッキにおいて、実質的な土地として第二面の《整然とした広場》としてプレイされることを意図して採用されていたカード。しかしこれを滅多に見ることがない、《鎮圧光線》のモードで唱えて対戦相手のクリーチャーをタップして麻痺状態にしたことで、対戦相手のプレインズウォーカーを討ち取り勝機を手繰り寄せるという、背筋がぞくぞくするようなクールなプレイング炸裂した。
こういう本来の想定を超えたカードの働きを見るとついついテンションが上がってしまうのだが……皆も同じくクールに感じてくれるだろうか。このリストの場合は先述の発掘クリーチャーらを素出しするのがこれにあたる。こんなことをせずに勝てるならそれに越したことはないが、背に腹は代えられんという状況もある。どちらも1/1と最低限のサイズでしかないが、インプは飛行持ちであり、また接死に似た能力で対戦相手のクリーチャーを相討ちに取ってくれる壁役として期待できる。凶漢の方は死亡するとクリーチャーカードを墓地からライブラリーの上に置く能力が誘発。《墓掘りの檻》などで墓地からクリーチャーを戦場に出せない状況であれば、これでフェニックスをトップに仕込んで素出しを狙う、なんていう……限界MTG、クールだと思うんだよなぁ。
クールってなんだ?それを知りたきゃマジックをやれ、これに尽きるよ。いや、このコラムを読むくらいにマジックに興味が湧いている時点で、皆もそのクールさはもう知っているはず。あの人クールなデッキ使ってるな、とか言われたいじゃないか。「ドレッジ・フェニックス」みたいなイカすやつ、携えたいもんだね。それじゃ今週はここまで。Stay cool! Bring the coolest deck!!
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