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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

スーペリア・リアニメイト:埋もれていたカードが日の目を浴びる(スタンダード)

岩SHOW


 新セットから加わったカードのおかげで、今までほとんど認知されていなかったようなカードが一気に人気を集めることがある。特定のアーキタイプを強化するカードの登場でそのパーツとなるカードも見直されたり、新カードによるコンボが発見されてその相方となるカードが注目される、あるいは新カードや新デッキへの対抗策となるカードのニーズが高まったり……マジックはこれだから面白い。

 膨大なカードが世に送り出され、その中にはひっそりと埋もれるものも数えきれないほど存在している。しかしある日突然そんなカードに手が差し伸べられ、すべてが変わる瞬間がやってくる!この逆転劇がたまらないのだ。今回はそんな「このカードがここにきて!」と感動できるデッキを紹介させていただこう。スタンダードのスゥルタイ(黒緑青)カラーのリストをピックアップ!

Frantuma - 「スーペリア・リアニメイト」
Magic Online Standard RC Super Qualifier トップ8 / スタンダード (2025年10月3日)[MO] [ARENA]
4 《湿った墓
4 《繁殖池
4 《花盛りの湿地
4 《植物の聖域
1 《地底街の下水道
1 《地底の遺体安置所
2 《魂の洞窟
2 《
-土地(22)-

1 《放射線を浴びた蜘蛛
4 《町の歓迎者
3 《蒸気核の学者
4 《スーペリア・スパイダーマン
4 《ベイルマークの大主
1 《苦難の収穫者
2 《マラング川の執政
4 《最後の贈り物の運び手
3 《簒奪者、アーデン
1 《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス
-クリーチャー(27)-
2 《苦々しい勝利
4 《幻獣との交わり
1 《ラクシャーサ流取り引き
4 《誉れある死者の目覚め
-呪文(11)-
3 《強迫
2 《無効
3 《受け継ぎし地の開墾
1 《洪水の大口へ
1 《突き刺し
3 《戦略的裏切り
2 《苦難の収穫者
-サイドボード(15)-
Magic Online より引用)

 

 

 墓地からクリーチャーを戦場に出す、黒が得意とする戦法で大型クリーチャーを繰り出すリアニメイト。そのスタンダードの最新モデルの登場だ。《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》《マラング川の執政》などの決定力の高いクリーチャーを墓地からダイレクトに戦場に繰り出し、それらが破壊や生け贄となっても再度釣り上げ……破壊力と持久力を兼ね備えた悪夢的な存在である。

 中でも《簒奪者、アーデン》は超強力、デーモンに絆魂などの能力を持たせ、そしてこのアーデン自身、戦闘の開始時に変則的なリアニメイトで墓地のクリーチャーを戦場にもたらすという能力持ち。クリーチャーカードを追放し、それのコピーであり5/5であるデーモンを生成するという寸法だ。コストが重いがそれに見合う超パワーカードで、アーデン自身をリアニメイトする価値がある。

 そんな大型クリーチャーらを墓地に落とす手段も《ベイルマークの大主》《町の歓迎者》《蒸気核の学者》と、クリーチャーが主体であり、リアニメイトデッキの中でもかなりクリーチャーに寄せた構成になっている。

 

 その構成の理由であり、リアニメイトデッキにおける肝心かなめな釣り竿=墓地のクリーチャーを戦場に降臨させる手段が……新カード《スーペリア・スパイダーマン》!4マナと唱えやすいこの伝説の蜘蛛・人間・英雄は、墓地のクリーチャーのコピーとして戦場に出てくることが可能というトリッキーなリアニメイト能力を持っている。

 これでアーデンやヴァルガヴォスのコピーになっても良いが……《スーペリア・スパイダーマン》の特性を最も活かせるのが……スタンダードのカード群に埋もれていた1枚、《最後の贈り物の運び手》!戦場のクリーチャーが全て墓地に送られ、それ以外のクリーチャーを墓地から戦場に戻すという、かつての《生ける屍》的な挙動を披露するド派手なクリーチャー!……なのだが、この能力の誘発には条件があり、これを唱えて戦場に出さなければならない。8マナと激重なコストであるため、そう簡単には本領を発揮できず……初見のインパクトは強いが、そんなカードあったねと忘れられる存在に……しかしそんな日々ももう終わりだ。《スーペリア・スパイダーマン》は4マナと現実的なコストで唱えながら、この運び手のコピーとして戦場に出てくる。簡単に盤面をリセットしながら、こちらの戦場にはクリーチャーが複数体並ぶことに。その中にアーデンが含まれていれば、運び手やそのコピーとなったスパイダーマンも速攻を持ち、このアクションを行ったターンにゲームを終わらせることも可能となっている。

 スタンダードに新たなコンボデッキが誕生し、《最後の贈り物の運び手》は一躍認知度を高めたのであった。うーん、こんな展開になるとは読めなんだ!

 

 《誉れある死者の目覚め》もまた、登場した直後よりも今現在の方が注目度が高まっているカードだ。この英雄譚はテキスト自体強いことは書かれているのだが、スタンダードにおいてスゥルタイデッキの影が薄かったこともあり、スタートには出遅れた。しかしこの秋、「スーペリア・リアニメイト」の登場でその雌伏の期間も終わりだ。土地でないパーマネントを破壊できる万能除去であり、切削して墓地のクリーチャーを増やし、そして墓地からクリーチャーか土地を回収出来る……このコンボの求めるものが詰まった理想的な英雄譚、今後はよく目にすることになるかもね。

 《スーペリア・スパイダーマン》という新たな力が登場したことで、それまで目立たなかった《最後の贈り物の運び手》のようなカードが一躍スターに。これぞマジックというカードゲームの醍醐味だ。使用率が低くても「これ強いんじゃないか?」「このカード好きだわぁ」そんなカードがあれば、その感覚を大事にしながらチャンスを待とう。いつか思わぬところから、光が差し込んでくるはずさ。

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