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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:《パーカー・ラック》デッキ2選、不運を乗り越えろ(スタンダード)

岩SHOW


 マジックはクールである。この大前提を世の人々に知ってもらうため、筆者は日々クールなデッキを探求しているわけである。今回はある1枚のカードから……

 

 『マジック:ザ・ギャザリング | マーベル スパイダーマン』より《パーカー・ラック》。今セットでは数々のマルチバースのスパイダーマン達がカード化され、こんなにもバリエーションがあるのかと驚いた方も多いことだろう。

 そんな中でもやはり最も馴染み深いのはスパイダーマンことピーター・パーカー。彼はとにかくついていない、学業や生活のこと、友人や家族のこと、そしてヒーローとして悪人と戦うこと……次から次へと人生の難題が押し寄せてくる、矢継ぎ早野に不幸にみまわれるヒーロー活動……だからこそ我々は彼に感情移入できるのかもしれない。

 そんな運のなさをカード化した《パーカー・ラック》、このエンチャントはターン終了時に能力が誘発。たがいにライブラリーの一番上のカードを公開して手札に加える。自分もカードが手に入るが、相手にもタダでカードをあげるというのは嬉しくない……のだが、このカードはそこがポイントになっている。互いに公開したカードのマナ総量分、対戦相手がライフを失う。ただ単に手札を満たすアドバンテージ源というだけでなく、相手のライフを減らす手段にもなってくれるのだ。これはつまり、高コストのカードを盛り込んだデッキであれば相手に大打撃を与えられるということ。もちろん相手のデッキにもそのようなカードが入っていると、こちらのライフがごっそり削り取られるかもしれないが……それもまたパーカー・ラックだ。開き直って運を天に任せよう。

 というわけで味わい深くクールなこのエンチャント、皆ならどう使う?僕はこんなデッキを組んで遊んでみたよ。

岩SHOW - 「ゴルガリ・パーカー・ラック」
スタンダード (2025年10月2日)[MO] [ARENA]
4 《ウェイストウッドの境界
4 《花盛りの湿地
1 《眠らずの小屋
14 《
-土地(23)-

4 《ラノワールのエルフ
3 《脚当ての補充兵
3 《逆上したベイロス
3 《鋭い目の管理者
2 《苔森の戦慄騎士
4 《好戦的な槌頭
2 《屑鉄撃ち
1 《神出鬼没の狩人、スーラク
3 《ウロボロイド
2 《コナーズの呪い、リザード
1 《破壊の嵐孵り
4 《原初の飢え、ガルタ
-クリーチャー(32)-
2 《保安官を撃て
3 《パーカー・ラック
-呪文(5)-
2 《長い別れ
1 《保安官を撃て
1 《見事な連携
1 《ライノの猛威
2 《屑鉄撃ち
2 《受け継ぎし地の開墾
2 《蛇皮のヴェール
1 《意志を貫く力
1 《亭主の才能
1 《除霊用掃除機
1 《アガサの魂の大釜
-サイドボード(15)-

 

 

 MTGアリーナで《パーカー・ラック》にあたるカードが手に入ったので、スタンダードでどう使おうか考えたところ……マナ総量が最重量クラスの《原初の飢え、ガルタ》と組み合わせるのが良いんじゃねぇか?と思いついた。ガルタを捲って12点!次のターンにこのガルタを繰り出せば、残り数点のライフにプレッシャーをかけられるはず。というわけで緑のサイズに優れたクリーチャーを中心に、黒をタッチする形でデッキ構築。《ラノワールのエルフ》から2ターン目に3マナのクリーチャー、あるいは《パーカー・ラック》を繰り出すのが理想のスタート。

 クリーチャーの方もマナに対してのサイズが大きい効率の良いものを選出。パワー4以上を基準にし、主砲を担うのは《好戦的な槌頭》!3マナ6/6と超スペック、他に恐竜が居なければ攻撃時にデメリットが誘発するが、ブロックに関しては何の制限もなく、これ1枚でガルタのコストを大幅軽減してくれる頼もしすぎるクールなヤツだ。これをデメリットなく攻撃させるために《イクサーリの伝承守り》《威厳ある放漫トカゲ》など恐竜にシフトした構築もクールだろうね、そちらも試してみたいところ。

 

 《コナーズの呪い、リザード》またの名を《冷血の呪いの王》、これも期待の新クリーチャー。4マナ5/5トランプルと自身のサイズも良し、そしてこれが戦場に出るとクリーチャー1体を4/4のトカゲに変貌させる。自身の《ラノワールのエルフ》などの小粒をこれでサイズアップさせ、打点に貢献するとともにガルタの降臨を早めるという攻めの使用は言うまでもなく強い。

 そして守りに関してもこの能力は使える。対戦相手のクリーチャーがサイズで勝っている場合にはこれで無理やり縮小。また、トカゲに変えられるクリーチャーはすべての能力を失うため、こちらの怪獣らの進撃を足止めする接死持ちなどを黙らせてサイズ勝負に持ち込むことが可能に。ややこしいシステム系のクリーチャーもトカゲに変化させ、稼いだ時間で《パーカー・ラック》でとどめを刺そう!

Thavrai - 「黒単パーカー・ラック」
スタンダード (2025年9月29日)[MO] [ARENA]
4 《魂石の聖域
20 《
-土地(24)-

4 《腐食の荒馬
4 《デモンズウォール
4 《反因果の残留
-クリーチャー(12)-
3 《保安官を撃て
4 《大反目者の魔除け
4 《中止 // 停止
4 《パーカー・ラック
1 《闇のクリスタル
4 《不浄な別室 // 祭儀室
4 《執念の徳目
-呪文(24)-
Moxfield より引用)

 

 

 世界中のクールな皆はどんな形で《パーカー・ラック》を使っているのだろう?と気になって調べてみると、こんなクールな黒単を発見。《デモンズウォール》と《不浄な別室》のシナジーを軸にし、クリーチャー除去を搭載した中速デッキ……そこに《パーカー・ラック》と共に搭載されているのが《腐食の荒馬》だ。これは攻撃時にライブラリーの上を公開、それが手札に入るがそのマナ総量分のライフを失う……のだが、これに騎乗できていた場合にはライフを失うのは対戦相手となる。これで高コストカードを捲ってライフを溶かしていく寸法なわけだが、重要なのは騎乗するためのクリーチャー。《デモンズウォール》《魂石の聖域》と共にそれを担うのは《反因果の残留》。このエルドラ―ジはマナ総量が6と公開されれば大きくライフを失わせるものでありながら、自身で使う場合にはワープ{4}で唱えられる。ワープで出したクリーチャーはターン終了時に追放されるが、その前にこれで騎乗して殴るというわけだ。戦場を離れるとカードを引き、パーマネントを展開できるおまけも嬉しい。クールなカードチョイスに痺れるぜ。

 

 さて、そんな荒馬&ラックで捲りたい高コストカードだが、まずは先にも触れた《不浄な別室 // 祭儀室》。部屋カードは手札やライブラリーなど、唱えられていない状態にあると2つの部屋のコストを足した値がマナ総量となる。このエンチャントは3+5で8と非常に大きなマナ総量を持ち、自分で唱える際にはそんなに重いコストじゃないという点がクール。というわけでこの手のモードを持つカードをピックアップしていけば自ずと目指す形が出来上がるわけだ。

 このリストでは《中止 // 停止》を採用しているのが最高にクール。《停止》のモードでは唱えられないが、墓地体躯でありライフを得られて手札が減らない《中止》は、《アガサの魂の大釜》などの対策になるいぶし銀の活躍を見せてくれるだろう。《執念の徳目》は《ロークスワインの嘲笑》を含めないためマナ総量は本体が持つ7であることには注意しよう。これも2マナの除去でありながら捲れて嬉しい、なんだったら素出し出来れば勝利も目前というクールなエンチャントだ。

 今回は《パーカー・ラック》デッキを2つ紹介させていただいた。まだまだ面白く、そしてクールな使い方ができる1枚であるはずなので、各々で自慢の構築を目指してマイデッキを作ってみて欲しい。今後高コストやモードを持つ呪文が出るたびに注目されること間違いなし、今から使い込んで《パーカー・ラック》全一を目指すのも超クール。それじゃ今週はここまで。Stay cool! Overcome bad luck!!

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