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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ノンクリでライブラリーアウト、エスパー・コントロール(スタンダード)

岩SHOW


 マジックプレイヤーは何かと略したがる。ダブルマリガンはダブマリ、ダブルシンボルはダブシン、《審判の日》は英語名の「Day of Judgment」を縮めてデイジャ……こんな具合に。最初は何のことかわからなかったものが何度も耳にするうちに馴染んだり、君も知らず知らずのうちに使っているものもあったりするだろう。

 ではノンクリという略語を使ったことはあるかな?初めて目にしたとしても、この流れからするとわかるだろう。ノン・クリーチャーを略したもので、つまりはクリーチャーがいないという意味。マジックはクリーチャーを戦場に出して戦闘を行うゲームではあるが、必ずクリーチャーを使いなさいというルールなわけでもない。たとえばコンボデッキなどであれば、クリーチャーを全く採用しない構築も珍しくはない。そういったノンクリデッキ相手に対しては○○をサイドアウトして……というように使われる略語というわけだ。

 というわけで今回はノンクリであるデッキを紹介しよう。レガシーなんかだとそういうデッキもあったりするが、今回は珍しくスタンダードのノンクリデッキが登場だ!

Torii Yuto - 「エスパー・コントロール(ライブラリーアウト)」
ストアチャンピオンシップ 準優勝 / スタンダード (2025年9月7日)[MO] [ARENA]
3 《湿った墓
3 《神無き祭殿
4 《行き届いた書庫
4 《フラッドファームの境界
1 《地底街の下水道
4 《グルームレイクの境界
4 《ブリーチボーンの境界
2 《貴族の町、ジドール
2 《平地
-土地(27)-
 
4 《星間航路の助言
4 《食糧補充
4 《失せろ
4 《長い別れ
2 《保安官を撃て
2 《執念の徳目
2 《ピナクルの星檻
2 《審判の日
3 《奔流川の記念碑
4 《特異点の断裂
2 《時空不調和
-呪文(33)-
2 《強迫
2 《湧霧の村
2 《安らかなる眠り
2 《勝利の楽士
1 《希望の光、ニコ
3 《精神刮ぎ
1 《ハイフェイのトリックスター
1 《微風を呼び覚ますもの、カイカ
1 《石に選ばれし者、アルファラエル
-サイドボード(15)-
晴れる屋 より引用)

 

 

 白青黒、エスパーと呼ばれるカラーリングのコントロールデッキだ。白と黒はパーマネント除去に長けている。ピンポイントなら《長い別れ》や《失せろ》(そういやピン除去という略し方もあるな)、全体を流すならデイジャや《ピナクルの星檻》などで対戦相手が展開してくるパーマネントを掃除していく。そうやって盤面を空にしながら、《星間航路の助言》《食糧補充》で都度手札を補充。そうやって対戦相手からの脅威を排除していくロングゲーム狙いのデッキである。

 こういったデッキはゲームに勝つためのカードを極力減らし他作りになっており、多くの場合は強力な高コストクリーチャーやプレインズウォーカーなどをほんの少し搭載しているという形が主流。しかしこのリストはクリーチャーで殴るような勝ち方は狙わない!相手の脅威を捌き切ったらライブラリーアウトで勝利するのだ。

 ライブラリーアウト、つまりライブラリーが0枚になってカードが引けないという敗北状態を突き付けるフィニッシュを目指しており、そのために用いるのが《特異点の断裂》!対戦相手のライブラリーを半分切削する大技なわけだが、このソーサリーは同時にクリーチャーをすべて破壊する除去の枠も担っている。まさいに攻防一体、防衛手段で相手を敗北へと近づける。また自身のライフ分切削をするという《時空不調和》も強烈だ。完璧な立ち回りでライフを維持できていれば、4マナで20枚切削という驚異のマナ効率で削り取ることも可能ッ!

 

 上記のソーサリーで切削すれば相手のライブラリーはかなり減ることになるが、それでもまだ20枚前後残っているだろう。そこからライブラリーが尽きるまでコントロールし続けても良いが、少し悠長なのでサクッと終わらせるのがスマートだ。

 そこで役に立つのが《奔流川の記念碑》。これは毎ターン2枚ずつ切削できるため、早いターンに設置して隙あらば起動してコリコリ削っていく形で運用することになる。対コントロールはこれだけで勝つこともあるだろう。また《特異点の断裂》で相手のライブラリーが半分になるということは、墓地に大量のカードが貯まることになる。そうなればこの記念碑の消尽能力を起動!そのプレイヤーの墓地の枚数分の切削を行うため、これが決まればほとんどの場合それで決着。消尽能力は1回のみの起動だが、こんな大技一発決まれば十分だ。というわけでロングゲーム狙いのデッキではあるが、勝ちのスイッチが入れば一気に決着、というのがこのノンクリ型コントロールの魅力だ。

 

 さて、ノンクリと言いつつもサイドボードには実に9枚もクリーチャーが採用されている。これもまたノンクリ系のあるあるで、クリーチャーを出してこないデッキに対してはそれらに対する除去をサイドボードの他のカード取り換える、というのがマジックの基本であるため、それを逆手にとってサイド後こちらはクリーチャーを投入。除去が薄いのでそれらをのびのび働かせる……というプランを遂行するのである。

 様々なクリーチャーが用意されているが特に注目の1枚は《精神刮ぎ》。3マナでパワー10、ブロックされないという激ヤバスペックであるが、対戦相手にダメージを与えずにその分の枚数をライブラリーを切削するというライブラリーアウトを後押しする伝説のナイトメアだ。これ単体でも2,3回攻撃が決まれば決定打になるし、記念碑と組み合わさればアグレッシブにライブラリーアウトまで一直線。クリーチャー除去を減らし、《否認》のようなカードを増やした相手にこれを繰り出すという展開が理想的だね。

 マジックプレイヤーは略語が好きなので、対戦中などもあれこれと略語が飛び交いがち。もしわからないフレーズを言われたら、気兼ねなく「それって何ですか?」と聴いてみよう。知らないことを恥じることはない、誰でも最初は知らないことなのだからね。

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