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岩SHOWの「デイリー・デッキ」

リーサル・プロテクター、ヴェノムのためのデッキ案(スタンダード)
当コラムの筆者・岩SHOWは1985年の生まれ。今年40歳、不惑という年だが惑いまくりだ。そんな僕にとって、アメコミ=スパイダーマンであったことは言うまでもない。小学生の時にはアニメやゲームを通じてマーベルのキャラクターを知り、興味を持ってコミックなどの情報も追いかけるようになった。スパイダーマンはそんなキャラクターの中心にいて、ビジュアルも能力も少年心に響くもので……スパイダーマンのおもちゃなんかも当時(平成)から結構売られていたもので、そういったおもちゃを集めて遊んでいたものだ。
スパイダーマンだけではヒーローごっこは成り立たない、重要なのはヴィラン(悪人)だ。スパイダーマンと共にフィギュアなどが発売され、その他のグッズやゲームなどでも度々登場、その奇抜なビジュアルで時にスパイダーマン以上に我々のハートを鷲掴みにしていたヴィランが……ヴェノムだ。

そんなヴェノムをカード化した《エディ・ブロック》《リーサル・プロテクター、ヴェノム》。これらは1枚のカードに2つの面があり、両者から選んで唱えることができる。第一面は《エディ・ブロック》。エディは戦場に出ると能力が誘発、1マナ以下のクリーチャーを墓地から戦場に戻す。3マナでカード2枚分の働きを狙える堅実なアドバンテージ源で、序盤に除去されたクリーチャーを拾ったり生け贄に捧げて何かするタイプのクリーチャーを使いまわすなどしたいところ。
そして赤と緑も含めたコストを支払えば第二面の《リーサル・プロテクター、ヴェノム》に変身が可能。ヴェノムは5/5に威迫・トランプル・速攻と攻撃的なスペックの持ち主。そしてこれが攻撃するとクリーチャーを生け贄に捧げ、そのマナ総量分ドローしてから同じマナ総量以下のパーマネントを戦場に出せる。ヴェノムは悪人などを平然と喰らう飢えた怪物で、その特性を上手く表現した能力になっている。ただ喰うだけでなく、パーマネントを戦場に出すため盤面のクリーチャーの数を減らさないように立ち回れるのが、この手の生け贄系カードの中でも珍しい。今回はワンアンドオンリーな存在、ヴェノムを主役としたスタンダードのデッキを考えてみよう!
まず、ヴェノムというカードを活かすにはクリーチャーが必要だ。生け贄があってこそ彼らは輝く。クリーチャーを展開して手札が減ったところをヴェノムのドローで補充する動きを狙いたい。このヴェノムの生け贄を効率よく行うために、本来のマナ総量はある程度の数字でありながら、それを真面目に唱えずに代替コストで支払えるカードを探そう。
ちょうど『久遠の終端』にはワープという能力がある。これで軽く唱えたクリーチャーは追放されてしまうが、そうなる前にヴェノムにバクッと食わせて手札に変換しよう。《時系列の選別者》はワープコストも安く、墓地からも唱えられるという代物。まさしく生け贄に捧げてくれて言わんばかり。《反因果の残留》もワープで唱えられ、しかも戦場を離れると誘発する能力持ち。この能力でもドローとパーマネントの展開ができて、しかもマナ総量は{6}と重め。たっぷりドローして手札を満たしつつ、そこからパーマネントを複数展開し盤面も手札も最強な状態に。エルドラージすらも喰らうリーサル・プロテクター(残虐な庇護者)に痺れるぜ。
また、マナ不要で唱えられるクリーチャーと言えば計画能力を持つものもそれにあたる。計画は事前にコストを支払って追放しておき、後のターンに0マナで唱えられるという前払い式の能力。1ターンの密度を高められるカードで、これらを繰り出しながヴェノムも展開して攻撃→生け贄という動きがスムーズに行える。《荒野無頼団の先駆者》はパワー4以上のクリーチャーが戦場に出るとドローでき、またこれが戦場に出た時にマナを加えられるのもあって、早いターンにヴェノムを繰り出すことが可能になると相性◎。
既にスタンダードでも実績のある先駆者以外にも、計画を持ったカードの中には認知度が低いが魅力的なものがある。《鉄道の喧嘩屋》はクリーチャーが戦場に出た時に、それのパワー分の+1/+1カウンターをそれ自身に乗せるという豪快な能力を持つ。純粋にサイズが倍になるってことだ。この能力でヴェノムを10/10にしつつ、喧嘩屋を喰って5枚引いて……5マナ以下のパーマネントを戦場に出せる。これで2枚目の喧嘩屋を引いたりなんかすると、ヴェノムをどうにかされたとしてもメチャ強い後続が期待できる。これら計画クリーチャー、是非ともヴェノムと組ませたいぞ!
| 2 《始まりの町》 2 《マルチバースへの通り道》 4 《踏み鳴らされる地》 4 《花盛りの湿地》 3 《ブレイズマイアの境界》 3 《ウェイストウッドの境界》 1 《地底の遺体安置所》 1 《商業地区》 2 《沼》 2 《森》 -土地(24)- 4 《ラノワールのエルフ》 2 《腹黒茸》 1 《龍を狙い撃つ者》 3 《時系列の選別者》 4 《エディ・ブロック》 2 《止められぬ斬鬼》 4 《荒野無頼団の先駆者》 4 《鉄道の喧嘩屋》 1 《苦難の収穫者》 1 《情け容赦無き者、グウェノム》 2 《反因果の残留》 -クリーチャー(28)- |
1 《ソウル・ストーン》 4 《逃げ場なし》 3 《グウェン・ステイシーの死》 -呪文(8)- |
|
というわけでワープや計画を持ったクリーチャーらと《リーサル・プロテクター、ヴェノム》を組み合わせたデッキを考えてみた。ヴェノム×《鉄道の喧嘩屋》での大ダメージコンボを狙う、クリーチャー主体のビートダウンデッキにまとめてみた。ゴルガリ(黒緑)に赤をタッチする形で、ゴルガリと言えばパーマネントへの対処に長けたカラーリング。クリーチャーやその他のパーマネントへの除去が豊富なのが強みであるわけで、このリストでもそのあたりを意識してカードを選択した。
《腹黒茸》はアーティファクトやエンチャントを破壊できる。コストはこれ自身の生け贄であるわけだが、1マナクリーチャーであるため《エディ・ブロック》で墓地から戦場に戻すことができる。これで使いまわして、それらのパーマネントをキーにしたデッキを狙い撃ちだ。クリーチャーへの除去は《逃げ場なし》《グウェン・ステイシーの死》をチョイス。これらのパーマネントである除去を選んだ理由は、ヴェノムの能力で戦場に出せるため。使い勝手の良いインスタントやソーサリーを用いても良いが、ヴェノム自身の能力で相手のブロッカーを除去しながら攻撃を通すというムーブを優先した形だ。スパイダーマンの最初の恋人グウェンとの死別を描いた英雄譚は墓地対策にもなり、この手のクリーチャー除去タイプの英雄譚は活躍する傾向にあるので、スタンダードでどれだけの存在感を発揮するかが楽しみだ。
少年期に心を射止められ、30年近く愛し続けているヴェノムをマジックでプレイできる日が来るとは……人生、何があるかわからないねぇ。ヴィランでありヒーローな《エディ・ブロック》と《リーサル・プロテクター、ヴェノム》。クリーチャーを喰らい、カードを引き、好き放題に暴れれば……俺たちはヴェノムだ!
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