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岩SHOWの「デイリー・デッキ」

グルール・スパイダー:ロードの名はスパイダーハム!(スタンダード)
『マジック:ザ・ギャザリング | マーベル スパイダーマン』がやってくる。非常に楽しみなセットがついにリリースの時を迎える、これは大事件だ。2025年9月に入って、怒涛のプレビューラッシュが開始。日々更新されるカード情報を追いかけている最中にこの原稿を作成している。どちらかというと日本の漫画より80・90年代のアメコミのイラストに惹かれる性質だった若い頃の筆者にとって、マーベル社のコミックブック……とりわけスパイダーマンとその関連キャラクターのビジュアルはストライクど真ん中。それらで鍛えられた感性により、マジックの世界観にのめり込んだことは間違いない。僕にとってはスパイダーマンもマジックも、人生に楽しさや感動をもたらしてくれたかけがえのない存在だ。
そんな精神的二大巨塔のタッグ、しかもスタンダードで使用可能な通常セットというのだからたまらない。当コラムをタイプする指も滑らかに動くというものだ。スパイダーマンに敬意を払ってしっかり解説もせねばならないからね。

今回のメインは《スパイダーハム、ピーター・ポーカー》!蜘蛛・猪・コウモリ・熊・鳥……兎に角いろんな動物をまとめて強化する。ギャグキャラらしく冗談のように多いタイプを参照するカードになっているが、ネタに走っているだけではなく実用性も高いカードに思える。同じタイプを強化する、通称ロードと呼ばれる役目のカードがあれば、そのタイプのクリーチャーを多数採用した、タイプ的なデッキは組みやすくなる。それらに恵まれている種族は良いが、たとえば蜘蛛のようにそういったカードがほとんど存在しなかったタイプもあるわけで、スパイダーハムはそういったタイプにとっての救世主となる……かもしれない。
マジックのデッキを紹介する当コラム、せっかくなので今回は《スパイダーハム、ピーター・ポーカー》を用いたスタンダードのデッキを考えてみよう。どのタイプでデッキを組むかって?そりゃもちろん新カードが大挙して押し寄せる、蜘蛛に決まりだ!
まずはスタンダード、既存の蜘蛛をチェック。蜘蛛といえば主に緑のクリーチャーとして作られており、大昔から飛行を苦手とする緑にとって、飛行対策になる存在としてデザインされがちである。蝶などの飛ぶ昆虫、時には小型の鳥なども捕らえる巣をつくる蜘蛛は、到達を持ち空の住人に対して牙をむくブロック役となる。また小さな蜘蛛がワラワラと群れるイメージから、トークンなどで複数体並ぶカードとしても作られることが多い。《ひきつる人形》はイラストを遠目で見ると蜘蛛と無関係に見えるが……苦手な人もいるだろうからあまり細かくは触れないでおこう。マナを加えることでデッキの動きをスムーズにしてくれるサポート役であり、マナを加える度に巣カウンターが増える。これを生け贄に捧げるとその巣の数だけの蜘蛛に分裂するという……恐怖度も高いが、なかなかに面白く固有の強さを持ったアーティファクト・クリーチャーだ。これ自身もそうだし、生成するトークンもスパイダーハムで強化されるので、以前よりも注目すべき1枚かも。
それから《魂を紡ぐもの》。収録カードが大変に多い『ファウンデーションズ』出身なので、他に埋もれてあまり認知されていないカードだとは思うが……これがなかなか強いんだな。3マナ4/3到達とスペックは優秀で、トークンやこれ以外のクリーチャーが死亡すると、代わりのクリーチャーを手札に補充してくれるという強力な能力を持っている。

では新規の蜘蛛カードに目を移そう。原稿作成時はまだプレビュー期間中なのですべての蜘蛛をチェックできたわけではないが、現時点で判明しているカードの中にも「これは!」と思わせられるものが確認できる。まずは《スパイダーパンク》。尖った反体制派のこのスパイディは、呪文と能力が打ち消されなくなりダメージも軽減されなくなるという形でその姿勢をカード化。さらにすべての蜘蛛が暴動を持つように。すぐさま攻撃したい場合は速攻を、サイズ勝負したい場合は+1/+1カウンターを選択するというアドリブの効く能力だ。これで後続の蜘蛛らは速攻を得られるので、《ひきつる人形》で生成したトークンですぐさま攻撃することが可能に。
そして《スパイダーパンク》とスパイダーハムを手札に加えられる《放射線を浴びた蜘蛛》!スパイダーマンというシリーズの始まりを告げるこの蜘蛛は、生け贄に捧げて蜘蛛・英雄を探すことができる。貴重な1マナ域の蜘蛛でもあり、接死&到達でこれ自体が対戦相手にとって鬱陶しい存在にもなる。これらのカードを組み合わせて、グルール(赤緑)カラーの蜘蛛デッキのサンプルを作ってみた。
| 4 《踏み鳴らされる地》 4 《ソーンスパイアの境界》 1 《不穏な尾根》 2 《魂の洞窟》 2 《魂石の聖域》 5 《山》 5 《森》 -土地(23)- 4 《放射線を浴びた蜘蛛》 2 《雇われ爪》 2 《脚当ての補充兵》 3 《スピナレットとスパイダリング》 3 《スパイダーハム、ピーター・ポーカー》 3 《スパイダーパンク》 4 《ひきつる人形》 4 《魂を紡ぐもの》 2 《スカーレット・スパイダー、ベン・ライリー》 -クリーチャー(27)- |
4 《噴出の稲妻》 2 《魔女跡追いの激情》 2 《追加の腕を生やす》 2 《意志を貫く力》 -呪文(10)- |
|

所謂アグロデッキの形で、早いターンから蜘蛛たちを展開して《スパイダーハム、ピーター・ポーカー》や《スパイダーパンク》で強化して攻撃を仕掛けていく。《スピナレットとスパイダリング》は蜘蛛2体以上で攻撃するとサイズアップする、蜘蛛デッキでは非常に優秀な1マナ域……ではあるが伝説なので4枚採用するかは何とも言えないところ。とりあえず《雇われ爪》《脚当ての補充兵》などポーカーの恩恵を受けられるものと併用する形にしているが、実際にプレイしてみて感触が良ければ4枚にするのも手だろう。
蜘蛛だけにこだわらずともあらゆる動物らを集めた、楽しいデッキが組める可能性もある。《スパイダーハム、ピーター・ポーカー》、唯一無二のキャラクターで君だけのデッキを組んでみよう!
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