時の流れが速いなぁ！もう9月が始まったよ！

　なんか8月終わるの早くないか？みんな、やり残したことはないかい？って聞いたところで時は戻らないが……8月に出来ないことがあったら、9月にやっちゃえば良いじゃないか！というわけでスタンダードというフォーマットをこよなく愛するプレイヤーと共にこの厳しく激しくも最高に楽しい道、スタンダー道を歩むことを目指すこのコラム。今回は時の流れを感じられるスタンダードというフォーマットの醍醐味を語ろう。というわけでまずは時を遡って振り返りから。

　ちょうど1年前、2024年の夏。スタンダードには新たなハツカネズミ達がもたらされ、その中でも赤い面々は猛威を振るうことに。《心火の英雄》は1マナと非常に軽く、各ターンに一度、自身の呪文や能力の対象にした際に雄姿という能力が誘発、+1/+1カウンターが乗るという稀に見る成長効率の持ち主。これを《巨怪の怒り》などで対象にとるだけでそのサイズはバキバキに膨れ上がり、マナ総量で勝るクリーチャーらも圧倒。またこれを破壊や生け贄で除去したとしても、死亡時に自身のパワー分のダメージを対戦相手に与えるという、最後の抵抗を披露。これがシャレにならない痛手であり、多くのデッキが手を焼いた。これを《多様な鼠》で対象にとるメカニズムを搭載した赤系のアグロが大暴れし、様々なデッキの選択肢を奪ってしまった結果……《巨怪の怒り》が禁止となったわけである。

　この禁止によりハツカネズミは一気にパワーダウン、1マナのエースを失ったことでこの種族もおとなしくなるかと思われたが……なんのなんの、ネズミのしぶとさを侮っちゃいけない。人がいるところにネズミあり、ヤツらは形を変えて再びスタンダードの主役となるべくメインストリームに躍り出てきたぞ！

　スタンダード、ボロス（赤白）カラーのマウス……ハツカネズミデッキ！このデッキも《多様な鼠》でマウスらに二段攻撃やトランプルを持たせて、ガツガツと攻めていくアグロとして作られている。以前よりお馴染みの《熾火心の挑戦者》を対象にとってこれの雄姿で手数を稼ぐスタイルはそのまま。他の雄姿の候補として《花足の剣豪》を採用。ちょうど空いた1マナ域を埋めてくれて、新生能力で中盤以降の余ったマナの使い道にもなる。これの雄姿はすべてのマウスのパワーを上昇させる。マウスがズラリと並ぶとそれだけ効果が増すので、序盤から全力でマウスを並べていく。躊躇なく並べるのがこの小さな仲間の本領を発揮させる！

　雄姿のための対象をとるカードとしては《岩面村》《幽霊による庇護》……そして《岩山炎の後継者、メイブル》！メイブルは戦場に出た時に「岩山炎」なる装備品を生成する。これを手にしたクリーチャーはサイズアップだけでなく警戒・トランプル・速攻と戦闘面を有利にするキーワードを与える。これの装備能力でクリーチャーを対象に取れるため、単体強化と全体強化、あるいはアドバンテージ獲得を同時に行えるというわけである。メイブルはマウス全体を強化するロードと呼ばれる役でもあり、デッキパワーを高める重要な存在だ。今回のリストでは伝説だから3枚に抑えられているが、確実に引きたいカードでもあるので4枚フル投入しても問題ないぞ。

　そして4マナと比較的重めだが4枚投入されている《髭谷の先駆け》、こちらも要注目の1枚だ。これの雄姿は、ライブラリーの上5枚を見てその中にある3マナ以下のクリーチャーを戦場に直接出すという、なかなか派手な直接的アドバンテージだ。この能力でいきなりメイブルが出てきて打点が上昇、なんて展開に持っていければ最高だ。クリーチャーを戦場に出すのは自身のターンのみ可能、戦場に出さなければ手札に加えるという形で、どうあれ戦力補充になる。序盤からガンガン展開するという戦い方には常に全滅というリスクが伴うが、この先駆けがその不安から解放してくれる。1年前にはあまり注目されていなかったカードだが、マウスデッキの変化により最近のスタンダードでは目の離せない1枚へとランクアップ！

　1年という時を経て、スタンダードも大きく変化したものだ。デッキリストは歴史の教科書、流れゆく時を実感できる情報源。この変化、デッキの変遷を楽しんでこそのスタンダードだ。日々変わりゆく環境、その変化を機敏に感じ取れるようになったら、君も立派なスタンダー道を歩む者だ！