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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

まさかのテゼレット参入!ボロス・ハンマー (パイオニア)

岩SHOW
 

 テゼレットというプレインズウォーカーには、他のキャラクターにはない魅力がある。アラーラ出身の彼はエーテリウムと呼ばれる金属の腕を持ち、機械に関する魔法を得意とする。ニコル・ボーラスに仕えることを選択した彼は、その右腕として多元宇宙にて暗躍。無限連合という組織を束ねて、かつてはジェイスなどのプレインズウォーカーの上司として偉そうにしていた。やられ役ポジションでありながら、新ファイレクシアとのコネクションを活かしてダークスティール製の頑丈な身体を手に入れることに成功した。

 そして多元宇宙のお尋ね者であるテゼレットは……その外側である終端にいる。かつて思いのままに駆け回った多元宇宙には帰ることができず、宇宙空間に放り出される形になったが……そこでも逞しく、犯罪組織の基盤を構築。どこまでいっても悪人を貫いている、そこに魅力を感じずにはいられない。さりげなくボーラスと新ファイレクシア、悪の二大巨塔と密接にかかわっている数少ないキャラでもあるしね。

 

 新天地でも変わらないテゼレットをカード化したものが《冷酷な船長、テゼレット》。テゼレットといえば青、あるいは青黒のカードとして作られてきたが……ここにきて無色のプレインズウォーカーに。カーンやウギンと肩を並べる形になったわけだが、そんな無色のテゼレットは歴代テゼレットの中でも3マナと最軽量。かつてカード化されたものももれなくそうであったように、アーティファクトと密接に関わるカードとしてデザインされている。

 アーティファクトが戦場に出ると忠誠カウンターを得て、マイナス能力の起動がスムーズに。[0]はアーティファクトやクリーチャーをアンタップ、アーティファクト・クリーチャーであるなら強化のオマケ付き。[−3]能力がこのカードの肝になってくるだろう、ライブラリーからアーティファクトをサーチして手札に。マナ総量1以下という制限はあるが、侮るなかれ。{0}や{1}はもちろん、マナコストがXのカードなども持ってこられるため、思いの外多くの選択肢がある。この能力を2回起動できればテゼレット1枚がアーティファクト2枚になってアドバンテージ獲得となる。忠誠カウンター増加能力も相まって、[−3]の連打も可能なのだ。[−7]はテゼレットのお約束、アーティファクトのクリーチャー化だ。大技に設定されているが、これも意外とスムーズに起動を狙えて決め手になり得る。

 アーティファクトデッキでこそ輝くテゼレット、彼が新たな戦いの場に選んだのは……かつてなら考えられないカラーリングのデッキだ。パイオニアのリストを見てみよう!

CrusherBotBG - 「ボロス・ハンマー」
Magic Online Pioneer Challenge 32 第14位 / パイオニア (2025年8月22日)[MO] [ARENA]
4 《聖なる鋳造所
4 《戦場の鍛冶場
4 《針縁の小道
2 《サンビロウの境界
2 《道路脇の聖遺
3 《ミレックス
1 《平地
1 《
-土地(21)-

4 《羽ばたき飛行機械
4 《継ぎ接ぎ自動機械
4 《ミッドガルの傭兵、クラウド
-クリーチャー(12)-
4 《バネ葉の太鼓
1 《ポータブル・ホール
4 《巨像の鎚
4 《コーリ鋼の短刀
1 《影槍
1 《チェーンソー
4 《シガルダの助け
4 《鍛冶の才能
4 《冷酷な船長、テゼレット
-呪文(27)-
3 《ポータブル・ホール
2 《摩耗 // 損耗
2 《幽霊による庇護
2 《ゴバカーンへの侵攻
2 《軍団の成形機械
2 《魔道士封じのトカゲ
2 《安らかなる眠り
-サイドボード(15)-
Magic Online より引用)

 

 

 ボロス(赤白)ハンマー!パイオニアに存在する装備デッキだ。装備品をサーチして手札に加えるクラウド、この能力を用いて《コーリ鋼の短刀》や《チェーンソー》といった強力な装備品を手札に加えて戦うアーキタイプで、主に用いるのは《巨像の鎚》!+10/+10という規格外の修正値でどんなクリーチャーも致命的な存在に変える脅威のウェポンは、装備コストも{8}と規格外。このコストを真面目に払うのは時間がかかりすぎるので、それを踏み倒すカードを用いる。《シガルダの助け》や《鍛冶の才能》は装備コストに関係なく装備品をクリーチャーに持たせられるので、これでお手軽に化物を生み出して戦う、パワフルなコンボ要素を搭載したビートダウンである。

 ここにテゼレットが加わることで、鎚を探せるカードが増える。装備品を出すことで忠誠カウンターも増え、装備を持つクリーチャーがいなくなってもそれら自身をクリーチャーに変えて最後の一押し……とテゼレットは噛み合ったカードであるというわけだ。

 

 テゼレットから持ってくるクリーチャーの枠には《羽ばたき飛行機械》の姿が。パワー0ではあるが、飛行を持つ{0}クリーチャーだ。これをテゼレットでコツコツと育てるだけでもそれなりの戦力になるだろう。連打することで忠誠カウンターを増やしたり、《コーリ鋼の短刀》からモンクを生成したり、もちろん鎚をはじめとした装備先としても優秀だ。また《継ぎ接ぎ自動機械》との相性も良い。アーティファクトを唱えることでサイズアップ、テゼレットやクラウドで装備品や飛行機械を持ってきて自動機械もマッシブなボディに成長させるべし!他にもテゼレットのサーチ先には《バネ葉の太鼓》だったり《ポータブル・ホール》だったりと選択肢があり、ゲームごとに違う働きを見せてくれるのがこのデッキの大きな魅力となっている。

 従来の装備品とそれらに相性の良いクリーチャーで固めたタイプもまだまだ戦えるし楽しいデッキであり、そこにテゼレットが加わりアーティファクト・クリーチャーをより強く意識したリストが登場。これまた独自の面白さでパイオニアプレイヤーを魅了している。どちらがより環境に適したデッキなのか、これから切磋琢磨して磨かれた刃のようなデッキに仕上がってほしいものだ。しかし青黒のイメージが強い、というかそれしかないテゼレットが、赤白という真逆のカラーリングのデッキの主役になる日がくるとはねぇ。人生とはわからないものだ。

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