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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:正真正銘のティムールデッキ feat.エルドラージ(スタンダード)

岩SHOW


 マジックというクールなコンテンツを世に広めるべく、日夜クールなデッキを探している……今週のCool Deckのコーナー。この夏にリリースされたセット『久遠の終端』の舞台はこれまでの次元とガラリと雰囲気を変えて、多元宇宙の外縁にあたる場所……そこには宇宙空間が拡がり、恒星と惑星、銀河が存在する…今までマジックでは扱ってこなかった世界観はクールそのもの。そしてこの宇宙空間にはあるものが漂っているという……。

 

 エルドラージ!多元宇宙においても次元内のありとあらゆるものを喰らい、同化させる恐るべき環境破壊の権化だ。ゼンディカーを発端に、イニストラードなどで暴れ回ったこの最悪の侵略者は、久遠と呼ばれる宇宙にも存在している。遥か昔、このエルドラージが引き金となる宇宙戦争が勃発。ドリックスと呼ばれる種族が中心となってエルドラージを狩り、この脅威は沈静化。さすがはテクノロジーが進んでいる久遠の文明だ。ただエルドラージを完全に根絶できたわけではなく、残留しているエルドラージによる汚染には常時対処しているという状態のようだ。これまでのセットとがらりと趣を変えつつも繋がりを見せ、しかもワクワクさせる……最高にクールだなぁ。

 そしてその残留しているエルドラージをカード化した《反因果の残留》もまたクールだ。戦場を離れた時、1枚ドローしてから自身の土地の枚数以下のマナ総量を持つパーマネントを戦場に出せる。とりあえずカードが引けるので、除去されても損しないし、同じようなサイズのクリーチャーを展開出来れば相手からすればたまったもんじゃない。戦場を離れるというのは受け身な能力に見えるが、この残留は能動的にこの能力を誘発させられる。ワープだ。{4}で唱えればターン終了時に追放され、能力が誘発。なんらかのパーマネントを置いて、追放されている残留自身は後のターンに普通に唱えられる。

 このワープ、最低限土地さえ出せればお得で、そもそもカードを引いているので損はしない。普通に4マナのパーマネントを4マナ払って戦場に出すよりも、残留経由の方がカードを引いている分美味しいってわけだ。パーマネントはタップ状態で戦場に出るので、ブロック役のクリーチャーを出したいのであればその常ではないが……残留をかます動きはかなりクール。今回はこの《反因果の残留》を用いるデッキをご紹介。スタンダードでクールさが炸裂する!

whitnen - 「ティムール(緑青赤)戦告者コンボ」
Magic Online Standard Challenge 32 第11位 / スタンダード (2025年8月16日)[MO] [ARENA]
4 《始まりの町
4 《踏み鳴らされる地
4 《繁殖池
1 《植物の聖域
2 《ソーンスパイアの境界
1 《湧霧の村
1 《
3 《
4 《
-土地(24)-

4 《ラノワールのエルフ
4 《荒野無頼団の先駆者
4 《ティムールの戦告者
4 《うろつく玉座
2 《百発百中のカクタスフォーク
3 《運命の大嵐、ドラゴンホーク
3 《反因果の残留
-クリーチャー(24)-
2 《削剥
1 《跳ね弾き
3 《幻獣との交わり
2 《絶望的猛攻
4 《重厚な世界踏破車
-呪文(12)-
2 《塔の点火
2 《炎魔法
2 《屑鉄撃ち
2 《幽体の否認
1 《否認
1 《軽蔑的な一撃
2 《除霊用掃除機
1 《神出鬼没の狩人、スーラク
1 《解剖道具
1 《嵐の目、ウギン
-サイドボード(15)-
Magic Online より引用)

 

 

 スタンダードのティムール(緑青赤)カラーのこのデッキ。他のアーキタイプでは見かけないカードが多数並んでいる、それだけでもクールに感じられる。《反因果の残留》を採用しこれのワープを上手く活かすために作られているわけで、実際ワープと好相性のカード達がチラホラと。ワープで戦場に出たクリーチャーはターン終了時に戦場を離れるが、その前に一仕事で《重厚な世界踏破車》に搭乗してもらおう。決して軽くない搭乗4も大柄のエルドラージなら1枚で軽々と乗りこなしてくれる。

 また、戦場を離れる前に攻撃させるというアプローチも。《百発百中のカクタスフォーク》は4マナ以上のクリーチャー達に速攻とトランプルを付与する豪快な能力を持っており、ワープで出てきた残留を即攻撃に向かわせる。これらは残留をサポートするものであり、また残留の能力で戦場に出すことでその後のゲーム展開を早めてくれるな関係でもある。

 

 そしてこのデッキの主役は実はエルドラージではなく……《ティムールの戦告者》!カラーリングだけでなくしっかりとティムール氏族のカードが入った正真正銘のティムールデッキなのだ。ティムールと言えばパワー4以上のクリーチャーをコントロールしていることでメリットを得られるというテーマ。この戦告者は自身のターンの間、パワー4以上のクリーチャー1体につき呪文のコストが{1}減少するという変則的なマナ加速能力を持っている。自身で{1}分のカウントになっており、もう1体でもパワー4がいれば相当な加速になる。もちろん戦告者自身が2枚以上並べばそれはもうクールなことに。

 この戦告者と組み合わせて大暴れするのが《荒野無頼団の先駆者》。パワー4以上が戦場に出ると1枚ドロー、自身が戦場に出ると色マナ1つを加えるという能力を持ち、さらに計画で追放しておいてあとからマナ不要で唱えられる。計画しておいてから戦告者と共に繰り出し、手札を補充しつつコストが軽減された呪文をプレイ。パワー4が出るたびにカードが増えて次の呪文のコストが下がって……とクールなチェーンを形成する。不特定マナが軽減されることで、残留をマナをまるっきり払わず唱えるという荒業だってなんのその。《うろつく玉座》で人間を指定すれば荒野無頼団で加えるマナやドローが倍になり、もう止まらない。土地しかなかった戦場がいきなりパワー4以上の軍団で埋め尽くされ、《百発百中のカクタスフォーク》から速攻を得てワンパンKO……筆者はあまりにもクールな敗北を喫して以来、《ティムールの戦告者》がトラウマだ。《荒野無頼団の先駆者》といい、見たらすぐ除去しろ!躊躇しているととんでもないことになるぞ!

 

 カード名だけでもクールすぎる《絶望的猛攻》なんてカードも入っている。クセは強めではあるが、ここぞというタイミングでクリーチャーをコピーすれば勝負を決めてくれる一手になるだろう。どこでどう使うか、それは実際にデッキをプレイして身をもって確認してほしい。今回紹介したデッキはじわじわと流行りだしているリストだが、最初にこれを作った人は本当にクールだね。スタンダードにはまだまだクールなカードがあり、各自の思い付きを形にすることが出来ればクールな新風を吹かせることが可能だ。最初は見た目とか、なんとなく好きとかそんな理由でカードを選んでも良い。お気に入りを輝かせる方法を突き詰めれば、手元にはクールデッキが完成しているのだ。

 それじゃあ今週はここまで。Stay cool! Build your own deck!!

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