マジックのカードには頻繁に固有名詞が登場する。背景世界に登場する次元・都市・地域や、種族・組織・個体の名前、はては魔法や技術のこと……カタカナで書かれていると音の響きを印象に残るが、結局あれはなんだったのかわからないというまま終わることも多い。背景ストーリーやフレイバーテキストで解説されていればまだ良い方で、何の説明もなく放置されているものもあったり。これはこれで良いと思うが、まあそういう話は長くなるのでここらで切り上げて。

　『久遠の終端』ではいくつかのカード名に「ピナクル」という名が見られる。英語表記はPinnacleで、これを含むカード名は過去にもみられた。《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》（Valakut, the Molten Pinnacle）といった具合に。頂点や尖峰など、山のようなものの最も高い位置を意味するわけだ。これがカタカナ表記となったピナクルは、終端と呼ばれる宇宙空間に存在する組織だ。この組織は多数の惑星、様々な種族で構成されている。それぞれに惑星間の移動がまだ不可能だった頃から、通信により結ばれていたという歴史ある組織で、現在は首都惑星を有する巨大なものとなっている。ピナクルは久遠の柱と呼ばれる星間輸送拠点を管理しており、恒星間を移動する際にはどんな船でもこれのお世話になるという。

　いかにもSFものらしい広大な設定がなされているピナクル。これをカード名に含んでいる《ピナクルの星檻》は強力なアーティファクトで、スタンダードで活躍している。そしてもう一つ、あるカードがモダンで存在感を爆発させているという……

　モダンのアーティファクトを中心とした親和デッキ！このアーキタイプを現在絶賛強化中なのが《ピナクルの特使》！このアーティファクト・クリーチャーはアーティファクト呪文を唱えた際に能力が誘発、ドローンを生成する。このトークンは飛行を持つものしかブロックできないという制限付きではあるが、1/1飛行と戦力としては十分。

　そしてこの特使の強みはワープを持っていること。青赤2色の3マナクリーチャーなのだが、ワープであれば青か赤の1マナのみで唱えて戦場に出せる。つまりは1ターン目特使からの{0}アーティファクト連打でドローン軍団を編成することが可能だ。モダンには《羽ばたき飛行機械》《メムナイト》《ミシュラのガラクタ》などなど、カード1枚分の働きが見込める{0}のカードがズラリ。中でも《オパールのモックス》は特別だ。マナを加えるための条件はアーティファ口を3つコントロールしていることだが、特使→オパール唱えてドローン生成と、この2枚で完全にその条件をクリアしてしまえる。

　そうした加速から繰り出すのはアーキタイプ名通りの親和呪文。アーティファクトの数だけマナが軽減される能力を持った《物読み》《思考の監視者》だ。いずれもカードを2枚引くことが可能で、これを使うことで手札の高速ダンプによる息切れを防ぐ。色マナはモックスから、不特定マナはドローンなどで軽減できれば、1ターン目にこれらを唱えることも容易い。あまりのエクストリームっぷりにテンションもピナクル（頂点）間違いなし！

　親和と言えば昔からのモダンユーザーが思い浮かべるのが《頭蓋囲い》。この装備品はアーティファクト1つにつきパワーを＋1する。一時期はモダンから姿を消していたこのカードも、ドローンをじゃらじゃらと並べれば在りし日を上回る大ダメージの素に。新カードの登場などでかつての名カードが再浮上するのは喜ばしい。

　《河童の砲手》もまたドローンを使って即席コストを支払い光速で戦場へ。そしてドローンが戦場に出れば強化されてブロック不可にもなるこれまた大ダメージ発生源だ。デッキのありとあらゆるカードと《ピナクルの特使》が相性◎で、プレイしていて最高に楽しいデッキに間違いなし！君もピナクルの一員となり、宇宙を駆けるドローンを量産しようではないか。