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岩SHOWの「デイリー・デッキ」

黒単ミッドレンジ:デメリットと引き換えの高性能!(パイオニア)
デメリット持ちのカード特有の魅力がある。最近ではこちらに大きなデメリットをもたらすカードはあまり作られない傾向にある。しかし昔のカード、特に黎明期と呼ばれるマジック誕生から10年以内にリリースされたセットには、あまりにも大きすぎるデメリットが設定されたカードが度々見られたものだ。4マナ5/5と当時のクリーチャーの基準では破格のコストパフォーマンスを誇りながら毎ターン1点のダメージを与えてくる、有名な《Juzam Djinn》を筆頭に、そのジュザムなどかわいいものだと言わんばかりのハイリスクすぎるカードの数々が作られた。テキストに二度も「敗北」という最悪のデメリットが書かれている《極悪な死》とかね。
なぜカードにデメリットがつけられるのか?それは多くの場合、本来そのk壮途では得られないような恩恵を受けられるカードに設けられている。まあ黎明期はデメリットがそれを上回ったりしたんだけども。
最近ではデメリットは控えめで、それが添えられていることにも納得できるようなカードデザインが施されている。最新のカードで言えば《黄昏の妨害工作員》。タフネスは1ながら、2マナにしてパワーは4!そして威迫を持つため、早いターンに出せればかなりのダメージを叩き込んでくれるだろう、何だったら2体のクリーチャーにブロックされても丸ごと相討ちに持っていけることも。そしてタフネスが低いからと除去を撃ち込もうにも、護法能力で除去耐性あり。この護法が手札1枚という厄介なコストを要急し、1:1交換は許さないという強気の姿勢。ここまで強みを書いてきたが、そのデメリットは……攻撃時に誘発、対戦相手のクリーチャーに+1/+1カウンターを乗せてしまうという、無視するにはなかなかに重いものだ。
相手のパワーが自分より大きくなると殴り負けるかもしれない……しかしながらこのデメリットには回避方法がある。対戦相手の戦場にクリーチャーが居なければ良い!シンプルな話だ。クリーチャーが出てきたら即除去、何もなければ強化されることもない。あるいはそもそも相手のデッキがノンクリーチャーなら危惧するものもなく悠々と一人旅だ。今回はこのデメリットと強みのバランスが絶妙な《黄昏の妨害工作員》を用いたデッキ案をご紹介!
| 4 《ロークスワイン城》 4 《変わり谷》 2 《廃墟の地》 1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 14 《沼》 -土地(26)- 3 《黄昏の妨害工作員》 2 《才気ある霊基体》 3 《墓地の侵入者》 2 《残忍な騎士》 2 《黙示録、シェオルドレッド》 -クリーチャー(12)- |
4 《思考囲い》 3 《強迫》 4 《致命的な一押し》 2 《保安官を撃て》 1 《シェオルドレッドの勅令》 2 《絶望招来》 4 《不浄な別室 // 祭儀室》 2 《ヴェールのリリアナ》 -呪文(22)- |
1 《切り崩し》 1 《レイ・オヴ・エンフィーブルメント》 2 《衰滅》 1 《大群への給餌》 2 《減衰球》 1 《強迫》 2 《真っ白》 2 《未認可霊柩車》 1 《絶望招来》 2 《ゲトの裏切り者、カリタス》 -サイドボード(15)- |
パイオニアの黒単色デッキ。質の良いクリーチャーを展開して殴りつつ、対戦相手のクリーチャーは除去&手札破壊でプランを崩し、アドバンテージを稼ぐ大技で勝つ……お手本のようなミッドレンジ(中速)デッキだ。クリーチャー陣はパイオニアらしく、《黙示録、シェオルドレッド》をはじめ近年のセットから優秀なものをピックアップ。数は多くないが《変わり谷》や《祭儀室》のデーモンなども動員し、質の良い面々で殴りきるのを狙う。妨害工作員と同じ護法を持ち、パイオニアにおいて有用な能動的墓地対策でもある《墓地の侵入者》は一時代を築いた名カード中の名カード。
また黒単ミッドの2マナ域といえば《才気ある霊基体》、接死に絆魂という強力なキーワードの組み合わせで戦線を維持するのに一役買ってくれる。パワーは2なので攻撃役としてはややパワーが控えめなのだが、その枠をこのリストでは妨害工作員と分かち合う形で共存させることで、攻撃役と壁役という風に使い分けることが可能となっている。タレントぞろいのパイオニア環境でも2マナでパワー4というのはそうそういるものじゃないのだ。ノンクリーチャーに近いコントロールやコンボ相手には霊基体よりもずっと優秀な攻撃役になる妨害工作員、使わない手はないって!
妨害工作員自体は色マナシンボル1つであるため多色のデッキで扱っても良いカードだが、このリストは黒単色。単色である理由は……カッコいいというビジュアル的なセールスポイントもあるが、ちゃんとした戦略的な理由も。
まずは黒マナを色濃く要求する《絶望招来》が極め座として使えるということ。3種類のパーマネントの生け贄を要求、できないもの1種類につき相手はライフを失いこちらはカードを引く。ゲームを終わらせる手段にも、ピンチを切り抜ける除去にもなる使い勝手の良いソーサリーだ。これを多色で使うことは簡単なことではなく、黒単で用いるのが無難。そして単色であるため多色土地などが不要であり、マナ基盤に余裕が生じる。《変わり谷》や《廃墟の地》といった強力な土地を使いつつ、これらを《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》で沼にすることで《絶望招来》も問題なく唱えられる。またドローが可能な超強力土地《ロークスワイン城》を4枚投入できるのも嬉しい。長期戦になればその本領を発揮する黒単の生命線、その強さは使って見れば身に沁みてよくわかる!
相手のクリーチャーは除去し、自分のクリーチャーの攻撃を確実に通す。パイオニアの「黒単ミッドレンジ」のプランに《黄昏の妨害工作員》は噛み合っており、打点が大きく向上したことでこのアーキタイプを目にする機会は増加するかも。妨害工作員、メインで使うならスタンダードよりもパイオニアが向いているように思える。スタンダードでもクリーチャーが少ない相手や護法の手札1枚をリカバーできないような相手を狙ってサイドに潜ませているリストも見られるので、油断していると危ないぞ。
こういったデメリット持ちを使いこなして勝てばマジックをやっているという実感が強く湧き、もしデメリットが足を引っ張って負けても「こういうのもマジックだよな!」と笑えるのも良いところ。デメリットを嫌いすぎず、リスクを背負ってこそのリターンを狙ってみよう!
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