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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

リアニメイトだけじゃない!独自チューンのディミーアの魅力(レガシー)

岩SHOW
 

 前回はレガシー環境で人気実力ともにトップクラスのリアニメイトデッキについて紹介させていただいた。このデッキはディミーア(青黒)カラーの代表的な存在であることは間違いないが、リアニメイトだけでディミーアは語れない。テンポ系デッキや忍者に《死の影》などなど、他のアーキタイプもこのカラーリングの中に内包されている。

 そして、350名オーバーの参加者が集ったレガシーの競技イベントにて、《Underground Sea》を用いるデッキが優勝。さてどんなディミーアなのか?それは他に類を見ない、特異のリストであった。ビジュアル的なカッコよさと、ゲームにおける強さを両立したものであり、フィーチャーマッチで戦う姿に実況解説陣や視聴者は心を鷲掴みにされたものだ。それではその素晴らしいリストをご覧いただこう!

片山 龍一 - 「ディミーア・テンポ」
BIG MAGIC Open Vol.14 BMOレガシー#1 スイスラウンド1位 / レガシー (2025年8月9日)[MO] [ARENA]
4 《汚染された三角州
2 《新緑の地下墓地
2 《霧深い雨林
4 《Underground Sea
1 《地底街の下水道
2 《不毛の大地
3 《古えの墳墓
1 《
1 《
-土地(20)-

3 《知りたがりの学徒、タミヨウ
2 《オークの弓使い
3 《バロウゴイフ
1 《厚かましい借り手
2 《濁浪の執政
-クリーチャー(11)-
4 《渦まく知識
4 《思案
4 《食糧補充
4 《意志の力
2 《否定の力
2 《目くらまし
4 《思考囲い
4 《致命的な一押し
1 《シェオルドレッドの勅令
-呪文(29)-
1 《シェオルドレッドの勅令
1 《漸増爆弾
2 《記憶への放逐
2 《水流破
1 《強迫
2 《除霊用掃除機
1 《外科的摘出
2 《攪乱のフルート
1 《悪意の大梟
1 《悪夢滅ぼし、魁渡
1 《厚かましい借り手
-サイドボード(15)-
BIGWEB より引用)

 

 

 こちらのリスト、青のドロー・打ち消しと《知りたがりの学徒、タミヨウ》のパッケージに、黒のクリーチャーなどへの除去を備えた、コントロール的な立ち回りが可能な構成になっている。レガシーでも使われたことで話題になった《食糧補充》。5枚見て2枚手札に加えるという、質と量の両方を追求するアドバンテージ源であるカードを、このリストはなんと4枚フル投入。いくら強力ではあると言っても、このソーサリーはマナ総量が3。他フォーマットならまだしも、《渦まく知識》《思考囲い》など1マナの呪文が主役であり土地を20枚くらいに抑えたリストが主流となるレガシーにおいて、この3マナの《食糧補充》はちょっとばかし重め。折角カードを手に入れても土地を3枚も寝かせているとそれをすぐに唱えるマナが残っていな……いや、だったらマナを用意すれば良いじゃないか。

 というわけでこのリストにはなんと《古えの墳墓》が採用されている!墳墓は無色マナ2つを加え、コントローラーに2点のダメージを与える、強烈なメリットとデメリットを同時にもたらすレガシーならではの1枚だ。2点ダメージは痛いが、それ以上に2マナを加えることの恩恵が大きすぎる。これで1ターン目に《虚空の杯》設置を狙うアーキタイプもレガシーではお馴染みだ。無色主体、あるいは赤単などで使用されるカードというイメージが強い墳墓を、まさかのディミーアが用いる。《Underground Sea》の横に並ぶ《古えの墳墓》という構図の初見時のインパクトはなかなかのものだった。そこから唱えられる《食糧補充》を見てその驚きは「つえ~……」という納得に代わるのだった。これなら他の土地から得たマナで何らかのアクションが行えるだろう。

 

 墳墓からの《食糧補充》という激強ムーブ、墳墓の採用はこれのためだけではない。《バロウゴイフ》!《タルモゴイフ》と同一の墓地を参照したサイズを持つクリーチャーで、接死と絆魂を持っている。3マナでパワー4.5も狙えて、絆魂でその分のライフをもたらしてくれるため、攻防両面で非常に頼りになる存在だ。《バロウゴイフ》もまた不特定マナ{2}を含む3マナの呪文なので、墳墓と何かもう1つ黒マナを加えられる土地があればこれを展開することが可能。墳墓で減ったライフをこれが回復させてくれるため、損失も気にならないという噛み合いっぷりだ。このバロウは対戦相手にダメージを与えることに成功すると、そのダメージ文の切削を行ってその中からクリーチャー・カードを拾える。次なるクリーチャーに繋がるのはもちろん嬉しいが、それだけでなく墓地が肥えると《濁浪の執政》が唱えやすくなるという副産物も。これら重めのクリーチャーらを主役とし、そのカードパワーで対戦相手を打ち砕く!

 

 サイドボードには《悪夢滅ぼし、魁渡》の姿が。このリストに限らず、忍者デッキやその他のディミーアでも採用されている、レガシーでもトレンドとなっているプレインズウォーカーだ。忍術で戦場に出せるので打ち消し呪文をかいくぐり、その能力は3つともいずれも強力。クリーチャーでもあるこのプレインズウォーカーは、タイマンでは負け知らずの最強のカードだ。相手のクリーチャーをタップ&麻痺させて攻撃、紋章で忍者を強化して攻撃、麻痺が解けた相手のクリーチャーをさらに麻痺……という動きで一方的に殴り続けることができる。お互いに死力を尽くした結果、クリーチャーが1体ずつ残った……そんな状況を迎えた時、魁渡がいれば安心だ。そんな魁渡を1枚で除去できる《シェオルドレッドの勅令》という便利除去は、ディミーア同色戦を戦う上で重要なキーカードとなるだろう。このリストはそこも抜かりなく、それもまた優勝を勝ち取った一因なのだろうと思うね。

 現レガシーのディミーアは本当に強く、そしてプレイングの奥が深い。練習すればしただけテクニックが身に着き、上手く、強くなれる。このフォーマットは求道者的プレイヤーにピッタリのもの。興味を持っているそこの君!デッキを組むハードルは高いかもしれないが、機会があればエキサイティングなレガシーを遊んでみて、生涯プレイしたくなるデッキに出会ってほしいね!

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