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岩SHOWの「デイリー・デッキ」

環境の横綱級デッキ、ディミーア・リアニメイト(レガシー)
レガシーの大型競技イベントの実況のお仕事をいただき、東京へ。演者陣はマジック日本公式放送でもおなじみの面々、新旧プロツアー王者揃い踏みという顔ぶれで、正直僕は何もせずとも番組が成り立つレベルで安心。
肝心なのはフィーチャーマッチで配信するゲームの方だが……久しぶりに観戦するレガシー、最近のデッキ分布は追っていたが、ディミーア(青黒)カラーのデッキが他を圧倒する数を誇る環境、果たしてフィーチャーはどうなることやらと少々不安はあった。
忖度抜きで結論から言うと、杞憂だったな。どのラウンドのゲームも見応えがあって面白かった!ディミーアの数が断トツであることには間違いなかった。その中でも特に《納墓》《再活性》で大型クリーチャーを降臨させるリアニメイトは、場内をパッと見ただけで全体の2割、いや3割ほどいたんじゃないか?と思えるほど多くのプレイヤーが使用していた。
| 4 《汚染された三角州》 2 《溢れかえる岸辺》 2 《血染めのぬかるみ》 1 《霧深い雨林》 3 《Underground Sea》 2 《地底街の下水道》 4 《不毛の大地》 1 《島》 1 《沼》 -土地(20)- 4 《知りたがりの学徒、タミヨウ》 2 《厚かましい借り手》 1 《偉大なる統一者、アトラクサ》 2 《濁浪の執政》 1 《残虐の執政官》 -クリーチャー(10)- |
4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《意志の力》 4 《目くらまし》 4 《思考囲い》 4 《納墓》 4 《再活性》 1 《動く死体》 1 《虚無の呪文爆弾》 -呪文(30)- |
2 《致命的な一押し》 1 《苦々しい勝利》 1 《四肢切断》 1 《仕組まれた爆薬》 1 《無のロッド》 2 《否定の力》 2 《記憶への放逐》 2 《ダウスィーの虚空歩き》 3 《バロウゴイフ》 -サイドボード(15)- |
日曜日に開催されたメインイベント、9回戦の予選と3回戦の決勝ラウンドを生き抜き、優勝を手にしたのもこの「ディミーア・リアニメイト」。その強さはまさしく横綱。《納墓》+《再活性》or《動く死体》での最速2ターン目《偉大なる統一者、アトラクサ》、あるいは《残虐の執政官》であらゆるデッキを脅かす恐ろしいまでのぶちかまし。アトラクサは手札を膨れ上がらせ、執政官は盤面に触れることもできて、単にデカいだけでなくアドバンテージを稼ぐことでプレイヤーを一気に勝利へと導く。
このコンボを《意志の力》《目くらまし》などマナを払わずに唱えられるピッチスペルで無理やり通す。またこれらの打ち消しは攻めのためだけでなく、相手の攻勢を食い止める抑止力でもある。打ち消しと除去でコントロールチックに立ち回った末にリアニメイトで逆転といった、がっぷり四つに組み合った戦いでも強い。ただの初速がすべてのコンボというわけではないのだ。
現在最強格のデッキとして環境の中心にいるリアニメイトだが、レガシー黎明期にはどちらかというと競技的な強さよりも楽しさ重視なデッキであった。何せ墓地対策カードでやりたいことが完封されてしまうデッキだったのだ……それが今日、確かな強さを誇るようになったのは釣り上げるクリーチャーの質が高まったのはもちろんのこと、リアニメイトに依存せずとも勝てるデッキに昇華したからだ。メイン、あるいはサイドボードにそういった別軸の勝ち手段となるクリーチャーが用意されている。
例えば《ダウスィーの虚空歩き》。相手に対する墓地対策であり、それと同時にパワー3でほぼブロックされないシャドー持ち。2マナという軽さを活かして序盤から姿を現し、相手を妨害しながらバンバンと攻撃を仕掛けてライフを詰める。さらに追放した対戦相手のカードを、虚空歩きを生け贄にすることでマナ不要で唱えられるというオマケと呼ぶには強すぎる能力も。これにより《思考囲い》が致命的な一手になったりするから面白いしめちゃ強だ。
他にも《濁浪の執政》《バロウゴイフ》といったリアニメイトコンボとは関係なく勝利できるクリーチャーが揃っており、対戦相手が下手にコンボ対策に全力なサイドボーディングを行おうものなら、それを嘲笑うかのように戦うことが可能となっている。
ディミーアはじめ、青いデッキがレガシーで確固たる地位を築いているのは《意志の力》《目くらまし》らピッチスペル、《渦まく知識》《思案》といった軽量ドロー操作と、この環境を戦う上で効果的なカードを擁しているからだ。そしてここにさらに《知りたがりの学徒、タミヨウ》が加わり、すっかり青いデッキの嗜みとなっている。タミヨウは0/3と攻撃手段としては無力でありながら、攻撃することで手掛かりを作成。マナは必要だが後に手札を増やすアドバンテージ源となる。
そしてこのタミヨウ、同一ターンにカードを3枚引くことで変身。プレインズウォーカー《老練の学匠、タミヨウ》となる。こちらのタミヨウがこれまた無茶苦茶に強い!相手の攻撃クリーチャーのパワーを下げることで自衛しつつ忠誠度を高めて、大マイナスでライブラリーの半分のカードを引き込んで手札に。同時に手札の上限がなくなるので、こうなるともう圧倒的な物量で勝負ありだ。また小マイナスでは墓地のインスタントやソーサリーを回収、これにより《再活性》など各種カードを使い回して盤石なゲーム展開を約束してくれる。《渦まく知識》があれば一瞬で変身し、また対戦相手がクリーチャー除去を唱えてきてもこれにより回避が可能だ。
フィーチャーでもこのタミヨウを巡る攻防が繰り広げられ、定着させることに成功したプレイヤーは皆、勝利をその手に収めていた。間違いなくレガシーの青を象徴するカードである。
最強デッキの一つリアニメイトが横綱的な強さを発揮して参加者300名越えのイベントで堂々の優勝!しかし同規模のイベントが前日にも行われており……そこで勝利したディミーアは、リアニメイトとはまた毛色の異なるデッキであり我々実況陣をはじめ多くのプレイヤーに衝撃を与えたのだった……(次回につづく)。
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