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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:エスパー・レジェンズ、パイオニアならではのテクニック(パイオニア)

岩SHOW


 マジックのクールさを世界に届けるため、ただひたすらにクールなカードやデッキを愛でる、それが今週のCool Deckのコーナーだ。今回取り上げるのはパイオニアのデッキ。数多存在する構築フォーマットを階段に例えるなら、スタンダードが一段目でパイオニアは二段目にあたる。直近3年のセットが使用可能なスタンダード。パイオニアはその次にあたるセットで……といってもその範囲は、スタンダードと比べるとかなり広い。『ラヴニカへの回帰』以降のスタンダードを経由したセットが使用可能。今となっては13年分のカードが使用可能なので、これはもう十分に広大なフィールドだ。そんなフォーマットでは最近、スタンダードのデッキそのままだったり、それに+αのカードを仕込んだリストが活躍している。

 

 赤単色のアグロデッキは、ここ2年ほどのスタンダードのデッキをそのまんま持っていってもある程度戦える。主要なクリーチャーも《叫ぶ宿敵》や《陽背骨のオオヤマネコ》など、スタンダードでも目にする機会の多いカードだ。スタンダードそのままのデッキで他のフォーマットに殴り込める、これってなかなかクールなことだよね。スタンダードの赤単を組んでしまえば、そのままパイオニアで遊べるなんて良いことじゃないか。最初はこういうデッキで参入するのも良いだろう。

 しかし、折角パイオニアを遊ぶのであれば、この環境にしかないデッキをプレイしてほしいというのも同時に抱いている思いだ。パイオニアのカードプールだからこそ組めて、その環境だからこそ戦える。そんなデッキ達からこそ得られるクールな栄養素は確実に存在する。というわけで今回はパイオニアらしさを存分に感じられるクールなデッキをご覧いただこう!

kanara38204 - 「エスパー・レジェンズ」
Magic Online Pioneer League 5-0 / パイオニア (2025年8月4日)[MO] [ARENA]
4 《マナの合流点
4 《英雄の公有地
2 《神聖なる泉
2 《湿った墓
2 《金属海の沿岸
3 《闇滑りの岸
2 《秘密の中庭
1 《皇国の地、永岩城
1 《天上都市、大田原
1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼
2 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ
1 《
-土地(25)-

2 《暗黒騎士、セシル
4 《闇の中の研究者、ナシ
3 《嘘の神、ヴァルキー
4 《策謀の予見者、ラフィーン
3 《道の体現者、シィコ
-クリーチャー(16)-
4 《致命的な一押し
2 《シェオルドレッドの勅令
2 《消失の詩句
4 《思考囲い
1 《強迫
2 《再覚醒したジェイス
4 《不浄な別室 // 祭儀室
-呪文(19)-
2 《減衰球
2 《門衛のスラル
2 《否認
1 《切り崩し
3 《幽霊による庇護
2 《絶滅の契機
3 《夢を引き裂く者、アショク
-サイドボード(15)-
Magic Online より引用)

 

 

 エスパー(白青黒)カラー+αの……ラフィーンデッキ!なんだか懐かしい。《策謀の予見者、ラフィーン》はクリーチャーで攻撃すればするほどカードを引いて手札を入れ替えられ、さらに捨てたカードの内の土地でないもの1枚につきクリーチャーに+1/+1カウンターを乗せる、謀議という能力を持っている。本人も3色ながら3マナで1/4飛行に護法{1}持ちとスペックが良く、ラフィーンとその他のクリーチャーで攻めながら各色の呪文でパーマネント除去や手札破壊を行い、対戦相手に思うようなゲーム展開をさせずに殴り勝つというのがラフィーンデッキの基本だ。

 このリストはラフィーンと共に《闇の中の研究者、ナシ》を採用。ナシは攻撃を通せば与えたダメージ分だけ切削し、その中から伝説かエンチャントであるカードを拾い上げて手札に加えられる。この変化球なアドバンテージを受け取るために、このデッキはクリーチャーはすべて伝説、土地も伝説多め、そして《不浄な別室 // 祭儀室》を採用……というなかなか他に類を見ない構成になっており、パイオニアらしさを感じられる。《不浄な別室》はデーモンをコントロールしていることでその真価を発揮するが、ラフィーンはしっかりとデーモンなのでご安心を。こういったカードの噛み合わせの良さがデッキにクールさをもたらすのだ。

 

 伝説多めなデッキなので《英雄の公有地》を採用出来るため、多色デッキではあるが動きは比較的安定している。これと《マナの合流点》で各色のマナを得られるので、だったらもう1色足しても良いよね……と投入されているのがまさかの《道の体現者、シィコ》。この伝説のドラゴンは戦場に出た時に、墓地からマナ総量3以下のカードを追放。それをマナを支払わずに唱えられるという誘発型能力を持つ。スタンダードでもお馴染みな、確かなアドバンテージをもたらすクールなドラゴンだ。ラフィーンで捨てたカード、ナシで切削して墓地に落ちたカード、そういったものをシィコで拾えると美味しい思いができるだろう。だがこのデッキ、その程度のことで4色目のカードを入れるというリスクを背負っているわけではない。

回転

 

 シィコはマナ総量3以下のカードを追放し、そのカードをマナを支払わずに唱えられる。何を同じことを2回言っているのかと思われるかもしれないが、大事なことなので繰り返した次第だ。この能力、唱える呪文に対するマナの制限はどこにも書かれていない。そのため《嘘の神、ヴァルキー》を追放し、このカードのもう1つのモードである《星界の騙し屋、ティボルト》として唱えることが可能なのである!ティボルトは7マナとヘビー級のプレインズウォーカーで、思いだけあってかなり強力な制圧力を誇る1枚。これをシィコのオマケで得られるなんて、クールすぎて震えてしまうぜ。

 ヴァルキーとして唱えても相手の手札からクリーチャーを追放する妨害になるし、シィコ以外にもティボルトのコストを踏み倒すために《再覚醒したジェイス》を投入している念の入れようが素晴らしい。ティボルトで対戦相手のカードを追放し、それをこちらの戦力としていただく。この地獄に引きずり込まれれば、真面目に戦うデッキにとってはギブアップ不可避。これぞパイオニアらしいテクニック、このムーブを決めるというのはパイオニアをやるための動機として十分なもの。興味が湧いたら、君もパイオニアという階段に向けて一歩踏み出そう。

 それじゃあ今週はここまで。Stay cool! Enjoy pioneer decks!!

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