READING

戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:秘宝ゲットで胆液8枚!生け贄系親和デッキ(パウパー)

岩SHOW


 マジックのクールさを再確認するため、デッキやカードをじっくり観察。今週もCool Deckのお時間がやってきた。真夏の新セット『久遠の終端』がリリースされ、猛暑の日々にクールな潤いを与えてくれているのではないだろうか。新セットが出ればスタンダードをはじめ、マジックの構築フォーマット全体がその影響を受けることに。程度の差は大小あれど、各フォーマットで選択肢が増え、クールなデッキが誕生したりカスタマイズされる。そんなフォーマットの中でも、新セットの影響が無視できないのが……パウパーだ。

 

 パウパーはコモンのみが使用可能。コモンしか使えないと言っても、歴代のありとあらゆるセットのコモンが集うため、アグロ・コントロール・ミッドレンジと基本的なものはもちろん、固有の動きを見せるコンボデッキも存在している。クールで奥深いパウパーは、新セットの影響を受けて環境が変化することがある。近年のセットでも《のたうつ蛹》《目標の強奪》などこれまでありそうでなかったカードが出るたびにそれらを取り入れ、新たな戦術が発展する。レアや神話レアのようにド派手な変化ではないかもしれないが、コモンならではのシブい世界観を楽しめるのが醍醐味だ。

 『久遠の終端』には合計81種類のコモンが収録されており、その中にはワープやヴォイドなどの新能力を持ったものも含まれている。新戦力はコモンのみであっても、全く新しいゲーム体験が待っているかもしれないのだ。どうかな、クールさを感じてきたんじゃないの?

 

 そして『久遠の終端』にはプレビュー段階から「パウパーで強そう」と話題を集めたカードがある。《氷魔法の秘宝》だ。この青いアーティファクトは2マナで戦場に出ればカードを1枚引ける。さらに戦場を離れてもこのドローは誘発する。自身の能力により生け贄に捧げられるが、他のカードの求める生け贄をこれで支払うことでよりアドバンテージを獲得することが可能となる。パウパーでも長きにわたって使われ続けている《胆液の水源》に同型のカードが登場したことになる。これで実質8胆液!同じような働きを見せるカードが増えればそれだけデッキの動きは再現性が高まり、安定した強さを獲得する。もちろんクールさもだ。というわけで今回は《氷魔法の秘宝》が加わりパワーアップしたパウパーのデッキをご覧いただこう!

AlessandroPiraccini - 「グリクシス親和」
Magic Online Pauper League 5-0 / パウパー (2025年7月30日)[MO] [ARENA]
4 《霧霊堂の橋
4 《鉱滓造の橋
4 《銀色険の橋
4 《教議会の座席
2 《囁きの大霊堂
2 《大焼炉
-土地(20)-

3 《クラーク族のシャーマン
4 《契約人形の恐怖
4 《刷新された使い魔
-クリーチャー(11)-
2 《血の泉
4 《氷魔法の秘宝
4 《胆液の水源
2 《虚無の呪文爆弾
2 《間に合わせの砲弾
4 《腸抜きの洞察
4 《物読み
4 《感電破
3 《毒素の分析
-呪文(29)-
4 《強迫
4 《紅蓮破
4 《水流破
1 《青霊破
1 《クラーク族のシャーマン
1 《毒素の分析
-サイドボード(15)-
Magic Online より引用)

 

 

 アーティファクトがズラリと並んだ……親和デッキ!2枚ドローのインスタント《物読み》と2/1飛行+手札破壊の《刷新された使い魔》、これらの親和能力を持ったカードはアーティファクトが並べば並ぶほどそのコストは軽減される。最大でどちらも色マナ1つまで軽減されるので、そうなればマナ効率が良いとかそんなレベルの話ではない。パウパーにはアーティファクトであり土地であるカードが大量にそろっているので、毎ターン土地を置くだけでこれらのコストは確実に軽減されていく。《氷魔法の秘宝》《胆液の水源》などを並べてそれを押し進めていく。《血の泉》などは1枚でアーティファクト2枚分だ。

 そうやって自然と盤面にアーティファクトが並ぶこのデッキのメインの勝ち筋は《契約人形の恐怖》。アーティファクトが出ると1点ライフを対戦相手から頂戴する、チクチクと確実に詰めていくナイスカードだ。2枚以上並べばジワジワどころかゴリゴリ、一気に敗北へと導く信頼のおけるフィニッシャーだ。こんだけ性能良くてコモンってのが驚くべきクールさだなぁ。

 

 さて、この親和デッキにはもう1つのテーマがある。それがただアーティファクトを並べるだけでなく、それらを生け贄に捧げるカードを使うということ。そう、それらあってこそ胆液8枚体制の本領発揮だ。まずは《腸抜きの洞察》。アーティファクトやクリーチャーを生け贄にするのが追加コストで、2枚ドローのインスタントだ。追加コストは要るが2マナと必要なマナ自体は少なく、これで不要の土地や血などの小粒アーティファクトを充てればほとんど損せずに手札が増える。そして秘宝などを生け贄にすれば、合計3枚ドローで手札はパンパンだ。《物読み》と併せれば使いきれないかもしれないぐらいの量なのに、さらにこの洞察はフラッシュバックもついているので長期戦になっても手札は常に複数枚というクールな保証付き。

 同じく生け贄にするための手段である《間に合わせの砲弾》はアーティファクトをダメージに変換。このダメージはどこにでも飛ばせるので、除去でありフィニッシュにも繋がるクールすぎるエンチャントだ。秘宝を発射してダメージと手札、両方の面で優位に立とう。

 

 生け贄を要求するカードにはもう1つ《クラーク族のシャーマン》がある。アーティファクトをブン投げて、飛行を持たないクリーチャー全体に1点ダメージをばら撒く。1回起動すれば自身も焼けてしまうが、能力解決前に複数個生け贄に捧げることで2点以上の全体除去として機能させることが可能だ。

 そしてこのクラーク族の強さを引き出すのが《毒素の分析》!一見地味なリミテッド用のカードに見えるが、これがなかなかやりよるのだ。1マナでクリーチャーに接死と絆魂を持たせられるので、クラーク族が1回の起動ですべての地上戦力を焼き尽くす!さらにライフも回復できるので、相手が並べたクリーチャーを根こそぎ除去して盤面をコントロール。そしてオマケで調査を行い、手掛かり・トークンを生成。このトークン自身でドローしても良いし、上記のカードのコストにしても良い。こういうカードが活躍するフォーマット、めちゃ面白いよなぁ。

 コモンだけと侮るなかれ、あらゆるセットのコモンが集うことで様々なクールな化学反応がスパークするパウパー。他のフォーマットに疲れたタイミングなど、気分転換で遊んでみよう。そこからガッツリのめり込んでパウパー専門家になるのもクールだね。それじゃあ今週はここまで。Stay cool! Sacrifice the relic!!

  • この記事をシェアする

RANKING

NEWEST

CATEGORY

BACK NUMBER

サイト内検索