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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ワンショット・ティファ、次のレベルへの進化の兆し(スタンダード)

岩SHOW
 

 スタンダードが新環境のスタートを迎えて、チャンスを掴める立ち位置にいるデッキは……前環境にいたライバルが減り、自身はこれといった大きな損失もなく、得るものが多かったデッキ……当たり前のことすぎるが、前の環境から継続して使えるデッキ達が以前よりも輝く可能性が大。

 そんなグイグイ出てきそうなひしめき合うデッキの中でも、ひときわ目を引くのが「上陸アグロ」や「ワンショット・ティファ」と呼ばれるアーキタイプ。《サッズのヒナチョコボ》《ティファ・ロックハート》《苔生まれのハイドラ》らパワーが上昇する上陸能力を持ったクリーチャーを、《寓話の小道》《脱出トンネル》《旅するチョコボ》といったカードで育てて大ダメージを狙う、わかりやすくて奥が深いデッキである。キーカードの多くが『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』『ファウンデーションズ』に存在するため、ローテの影響を受けにくく、なんだったら前環境のリストそのままでも戦える。そんな緑のアグレッシブなデッキ、『久遠の終端』でも上陸能力を持ったカードや土地関係の緑のカードが収録されたことで、より強力でバリエーションに富んだ存在に進化しそうな予感だ。

Fukae Shigehiro - 「グルール(赤緑)上陸」
100円デイリースタンダード 2-0 / スタンダード (2025年7月28日)[MO] [ARENA]
3 《踏み鳴らされる地
4 《寓話の小道
4 《脱出トンネル
1 《
12 《
-土地(24)-

4 《ラノワールのエルフ
4 《サッズのヒナチョコボ
4 《ティファ・ロックハート
2 《棘を播く者、逆棘のビル
1 《生体工学の専門家
1 《太陽の執事長、インティ
4 《苔生まれのハイドラ
2 《旅するチョコボ
1 《氷耕しの探検家
-クリーチャー(23)-
2 《蛇皮のヴェール
2 《乗り手を守れ
4 《ナイレアの試練
1 《自爆
2 《真社会性工学
1 《亭主の才能
1 《惑星共生
-呪文(13)-
4 《炎魔法
2 《削剥
2 《漁る軟泥
2 《魂標ランタン
1 《蛇皮のヴェール
1 《乗り手を守れ
1 《中止 // 停止
2 《鎌爪の猛竜
-サイドボード(15)-
晴れる屋 より引用)

 

 

 そんな上陸アグロの最新のサンプルを一つご紹介。緑単色に赤をチョイ足しした構成だ。《寓話の小道》などで《》を持ってきたり《踏み鳴らされる地》が登場したことで気軽に赤を足せて、緑のみのデッキではできない動きが狙えるように。パワーが膨れ上がったティファやハイドラを《自爆》させて対戦相手に直接ダメージを叩き込んでフィニッシュしたり、《太陽の執事長、インティ》で手札を回転させつつ盤面を強化したり……そして新カード《生体工学の専門家》もお試し的に採用されている。

 この多色の昆虫は戦場に出た際に着陸船を提供。このアーティファクトのトークンは生け贄に捧げることでライブラリーから基本土地を戦場に出せる。単なるマナ加速の域を超えて、上陸を誘発させる攻撃的な手段にもなってくれる。アーティファクトの生け贄による2点ダメージもジワリと確実に効くボディブローだ。プレリ期間のデッキということもあってか1枚しか採用されてはいないが、これを複数枚採用して着陸船を複数射出してダメージを叩き込むようなリストを組んでみるのも面白そうだ。

 

 上陸と言えば《氷耕しの探検家》も見逃せない新カード。1ターンにプレイできる土地の枚数を増やし、しかも墓地から土地がプレイできるように。《寓話の小道》《脱出トンネル》を何度も使いまわして、とんでもないサイズの上陸クリーチャーを出撃させることが可能に。ロマンの塊だ。上陸によりロボット・トークンを生成する《真社会性工学》は効果が大きいためマナ総量5と重めのカードだが、ワープでなら2マナで唱えられる。他にアクションがないターンの隙間を埋めながらクリーチャーを展開し、長期戦になれば追放領域からこれを唱えて数の戦いを仕掛けよう。探検家と組み合わさればものすごい勢いでロボットが盤面を埋め尽くす!昆虫とそのテクノロジーらしさが感じられる良いカードだ。

 

 上陸デッキはクリーチャーらの能力や《蛇皮のヴェール》などで+ 1/+ 1カウンターを多数扱うデッキでもある。なので《亭主の才能》を忍ばせておけばそれらの+1/+1カウンターの乗る数を増やしたり、乗せたクリーチャーに護法を持たせたりと恩恵を受けられる。また土地を毎ターンだせるとも限らない中で、別の軸としてクリーチャーを強化してくれる才能や《太陽の執事長、インティ》といったカードがあれば攻めの幅が増えるという利点もある。

 そういった+1/+1カウンターを扱うカードと組み合わせて本領を発揮するのが《惑星共生》。+1/+1カウンターを乗せた時に、その乗せた個数分ドローが出来るというエンチャントだ。手札が切れやすい上陸デッキにおいて、こういったドローソースは非常に重要。乗せた数だけのドローというのも注目すべきポイントで、普通は1,2枚しか引けないようなところを《苔生まれのハイドラ》と絡むと4枚だ8枚だと大量ドローが狙えてしまう!ややオーバーキル気味ではあるが、こういうことができるのと全くできないというのは大違い。長期戦に弱いという明確な弱点を抱える「ワンショット・ティファ」にとって、このようなアドバンテージ源が増えたことは喜ばしいことなのだ。

 前環境の強さはそのまま、新カードでかつてない戦い方も見えてきた上陸デッキ。緑単や赤緑、その他緑を中心とした構成で、各々のベストな構築を目指して突き詰めていこう。大ダメージを叩き込む、このデッキの爽快感はスタンダードでも唯一無二のものだ。

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