READING

戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

バント・コーナ:配備で生存クリーチャーをタップ!(スタンダード)

岩SHOW
 

 『久遠の終端』の新メカニズムの1つに配備という能力がある。クリーチャーをタップして起動する能力であり、宇宙船及び惑星というサブタイプを持つパーマネントがこの配備を持っている。タップしたクリーチャーのパワー分、蓄積カウンターを乗せる。その一定の個数に達したらクリーチャー化したり、能力がアンロックされたりするという具合で……搭乗や騎乗のリメイクというところだ。

 宇宙船をクリーチャー化させるには搭乗よりも多くのパワーを要求するが、一度クリーチャー化するともうクリーチャーをタップしなくて良いという利点がある。実際にどれだけの強さなのかはカード単体で見てもわかりにくい、こればっかりは実体験でその性能を見定めて欲しいなと。宇宙船に乗員を配備していざ出航!というフレイバーの点では楽しいことは間違いなし!

 

 宇宙船そのものの強さは未知数な部分も多いが、一つ確かなことがある。このカードはクリーチャーをタップする必要がある=クリーチャーをタップすることができる、ということ。クリーチャーの中にはタップ状態になることで能力を誘発させるものがいる。攻撃してその条件をクリアできれば良いが、召喚酔いだったり相手にブロック・クリーチャーがいるなどしてそれが行えないことも。そんな時にクリーチャーを搭乗させるなどしてタップするというテクニックは既存のものだが、配備が加わることでより選択肢が増えることに。タップして嬉しいクリーチャー、スタンダードであれば生存能力持ちがそれにあたる。タップ状態で第二メインを迎えると能力が誘発する面々だ。

 なかでも《救助のけだもの、コーナ》の能力は手札からパーマネント・カードを戦場に直接出すというかなりロマンあふれるもの。この誘発を今後のスタンダードではより安全に、そして意味のあるタップにより引き起こすことが可能になったというわけである。

Kitada Natsuki - 「バント(緑白青)コーナ」
『久遠の終端』プレイブースターBOX山分けスタンダード 3-2 / スタンダード (2025年7月27日)[MO] [ARENA]
4 《始まりの町
2 《繁殖池
4 《ハッシュウッドの境界
1 《フラッドファームの境界
4 《草萌ゆる玄関
2 《魂の洞窟
3 《吹きさらしの要塞、アダージア
1 《平地
2 《
2 《
-土地(25)-

3 《救助のけだもの、コーナ
1 《跳ねる春、ベーザ
2 《ホーントウッドの大主
4 《マラング川の執政
4 《反因果の残留
4 《ミストムーアの大主
1 《暴走暴君、ガルタ
-クリーチャー(19)-
2 《失せろ
2 《審判の日
4 《幻獣との交わり
1 《冬夜の物語
4 《重厚な世界踏破車
2 《セリーマ号
1 《殲滅戦艦
-呪文(16)-
2 《除霊用掃除機
2 《否認
1 《軽蔑的な一撃
1 《受け継ぎし地の開墾
1 《ストームケルドの先兵
3 《勝利の楽士
2 《鳴り渡る龍哮の征服者
1 《跳ねる春、ベーザ
1 《集会の季節
1 《ドッペルギャング
-サイドボード(15)-
晴れる屋 より引用)

 

 

 今回のデッキリストはそんな《救助のけだもの、コーナ》を配備でタップするシステムを軸に組まれた意欲的な逸品だ。主力は白と緑で青を足すというバント・カラーで組まれている。このカラーリングのデッキは代々、相手を選ばない柔軟さが強み。今回のリストも白のパーマネント除去、緑のマナ加速とマッチョなクリーチャー、青のドローでこれらをサポートという構成に、コーナからの巨大クリーチャー投下という必殺技を備えることで爆発力を付与した形になっている。

 《重厚な世界踏破車》に搭乗、あるいは《セリーマ号》などに配備、《冬夜の物語》の調和のコスト支払いなどでコーナをタップ!そこから《殲滅戦艦》や《ミストムーアの大主》などの巨大パーマネントを展開、カードパワーで圧倒するのを狙う。世界踏破車がマナ加速を兼ねるので、コーナの生存が決まらなくともヘビー級のカードを素出しするのも可能になっているのが良い調整だ。《セリーマ号》も伝説のクリーチャーを手札に加えられるので、これ1枚あればタップ手段とコーナの両方が揃うというのも素晴らしい。セットで使えと言わんばかりじゃないか。

 

 配備は惑星タイプを持った土地でも可能で、このリストでは《吹きさらしの要塞、アダージア》を採用。惑星は配備によりクリーチャー化するわけではないが、非常に強力な起動型能力が使用可能になる。アダージアはアーティファクトやエンチャントの伝説であるコピー・トークンを生成する特殊なカードだ。

 このデッキでコピーして特にうれしいのは《ミストムーアの大主》《ホーントウッドの大主》らエンチャント・クリーチャー。クリーチャーとしてのこれらをコピーしても強いわけだが、よりスマートな運用はこれらを前兆で唱えて、クリーチャーではないエンチャントとして戦場に出したものをコピーするという形。前兆ではコストが大きくダウンするため、これらの大主を出して即アダージアでコピーという流れも素出しより無理なく行える。

 そして非クリーチャーである大主のコピーは……ルールにより、クリーチャーとしての状態で出てくる。マジックを初めて間もない頃にはわかりにくい感覚かもしれないが、カードをコピーするときにばコピー可能な値というものが設定されている。詳しくはお近くのジャッジに尋ねてみてね。とにかく前兆で出していたこれらのエンチャントをクリーチャーとしてコピーする動きはめちゃ強。昆虫を2体生成する《ミストムーアの大主》であれば蓄積カウンター12個というハードルも楽々クリアできてしまうね。

 

 このリストに採用されている『久遠の終端』のカードで他に気になるものは……《反因果の残留》!エルドラージ!この無色のクリーチャーは7/5と戦闘向けのスペックではあるが、その本質は戦場を離れた時に誘発する能力。これにより手札からパーマネントを戦場に出せるという、コーナと並びデッキのエンジン役を担う1枚だ。出せるパーマネントは土地の枚数以下のマナ総量に限られるが、ホーントウッドやら世界踏破車やらで土地は並ぶのでそこそこデカいカードを繰り出せるはず。

 また戦場を離れるという条件は、自身が持つワープという能力で簡単に実行できる。ワープコストの{4}で唱えて、ターン終了時にこれが追放される。それにより誘発した能力で《暴走暴君、ガルタ》のようなカードを戦場に降臨させるカードとして運用しよう。ワープで出してもすぐに追放されるわけではなく、搭乗や配備のためにタップするタイミングがあるのでそれらのためにタップしてゲーム展開に貢献させつつ、ビックリドッキリカードを投げつける動きを狙ってみたい。

 新カードを既存のカードと上手く組みわせたリスト、こういうのを見るとスタンダードやりてぇ~という気持ちが高まるのは筆者だけではないだろう。火が着いた皆も、まだまだ未知数な宇宙船や惑星の実力を見定めるべく、自分のデッキを作ってみよう!

  • この記事をシェアする

RANKING

NEWEST

CATEGORY

BACK NUMBER

サイト内検索