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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

とことん!スタンダー道!ヴォイドや魔除けで黒単構築(スタンダード)

岩SHOW


『久遠の終端』キタキタキタァ!

 7月25日のローテーションと『久遠の終端』プレリリースの開始により、スタンダードの新時代が始まった!……と過去形で記してはいるが、この原稿作成時はまだその直前だ。正直言って、ここ数か月はモチベーションが下がっていたのだが……かなりエキサイトしているよ。宇宙船やロボットといったテクノロジー、未知のロケーションに謎多き種族、エルドラージにヴォイドといった人智を超えた宇宙の神秘……たまらねぇなぁ。このカッコいいセットの中でも、個人的に注目しているカードを挙げるなら……

 

 《エレジーの見習い》!自身のクリーチャーが対戦相手に戦闘ダメージを与えることでカードを1枚引ける、ローテーションで退場した《ヨーグモスの法務官、ギックス》と似た能力を持つ。攻撃することで有利になっていく、アドバンテージ源となるクリーチャーが入れ替わりで黒に補充されることに。黒好きとしてはこれは嬉しい、ライフの損失も見習い本人が絆魂を持っているのでカバーできる点が素晴らしい。これで4マナ4/4と文句なしのサイズ感、良いクリーチャーだなぁ……ってこれで終わりじゃないぞ、まだ能力がある。

 条件を満たせばターン終了時に誘発する能力持ちで、その条件とはパーマネントが戦場を離れるか、あるいは呪文がワープで唱えられているかという……この条件を持つカードは今回ヴォイドという能力持ちでひとくくりにされている。この《エレジーの見習い》のヴォイドは、2/2のロボットの生成だ。この手のトークン生成カードの中でも、2/2というサイズを生成し、しかもブロックできなかったりタップ状態だったりといったデメリットが一切設定されていないのはかなり強い。このロボットで見習いのドローの誘発も狙えるなど、まさしくこれ1枚でゲームを支配するポテンシャルを持っていると、そんな強力クリーチャーに見えるね。

 

 《エレジーの見習い》のヴォイドを誘発させるには、対戦相手のクリーチャーを除去するのが手っ取り早い。それこそ黒のお家芸、インスタントにソーサリーに、エンチャントやクリーチャーなどあらゆる手段で除去の雨を降らせられる。破壊も追放も何でもござれだ。

 しかしながら……ローテーションにより、その得意分野にも変化が。1マナ域の定番《切り崩し》、同じく2マナ域の看板《喉首狙い》がスタンダードでは使用できなくなった。これらのカードは滞在期間も長く、非常に使い勝手が良かったのでありとあらゆるデッキで使われていた。アーティファクト以外ならなんでも撃ち落とす《喉首狙い》の安心感。こちら後手番の時に相手2ターン目のエンドに2マナのクリーチャーを《切り崩し》で除去した時の充実感……これらが抜けることは痛手ではあるが、逆にいえばこれらで活躍の機会を奪われていたカードの出番も出てくるということ。《苦々しい勝利》《保安官を撃て》といったカードの使用率は一気に上昇するだろう。あるいは『久遠の終端』の除去も試しがいがあるだろう。

 

 そんな注目すべき新たな除去の中でも《大反目者の魔除け》は見逃せない。3つのモードから1つを選ぶインスタントで、同色のマナを3つ要求する「大○○の魔除けメガサイクル」の新作になる。

 黒らしく、最初のモードはクリーチャーかプレインズウォーカーを追放。墓地に落ちないので再利用されないし、追放に関するカードとのシナジーも狙える。ヴォイドの条件を満たすこのモードを基本線として、ケースによっては他のモードも。墓地からクリーチャーやプレインズウォーカーを2枚戻して戦線を立て直すモードは、長期戦で勝利を呼び込むムーブに。自身のクリーチャーに+1/+1カウンターを2個乗せて絆魂を持たせるというモードもこれで勝ち確という状況を作りだせる。

 3つのモードそれぞれがローテーションで抜けた《ギックスの命令》を思わせるものでもあり、派手さはなくなったが3マナのインスタントになって小回りが利き使いやすくなったという印象。どんなデッキ相手にも無駄にならない良いカードに見えるぞ。

岩SHOW - 「黒単ミッドレンジ」
スタンダード (2025年7月25日)[MO] [ARENA]
2 《魂石の聖域
22 《
-土地(24)-

3 《暗黒騎士、セシル
4 《大洞窟のコウモリ
4 《時系列の選別者
4 《分派の説教者
2 《カルシの帰還者
4 《エレジーの見習い
1 《最深の裏切り、アクロゾズ
-クリーチャー(22)-
4 《討伐
2 《保安官を撃て
4 《大反目者の魔除け
4 《切り倒す者の賛歌
-呪文(14)-

 

 

 というわけで黒単色、《エレジーの見習い》を主力としたヴォイド要素を含んだミッドレンジデッキを組んでみた。何かの参考になれば幸いだ。《暗黒騎士、セシル》《大洞窟のコウモリ》《分派の説教者》……前環境でもお馴染みの面々が並び、早いデッキには受けのスタイルで、遅いデッキには自ら攻めていくスタンスで戦えるように意識してみた。クリーチャーと除去で構成され、見習いなどのドローでアドバンテージを得て戦う。

 この見習いのヴォイドを誘発させる関係で、除去はインスタントであっても自分のターンに唱えることが多くなるだろう。だったらはじめからソーサリーでも良いんじゃないか?ということで前環境あまり使われていなかった《討伐》をメイン除去に。これや魔除けで除去しながら見習いで盤面を掌握するのが理想の展開。あるいはヴォイドはワープでも誘発する、黒のワープ持ちの中でも最もグッとくる1枚が《時系列の選別者》!2/2速攻、ワープなら1マナと2点のライフで繰り出せるため1ターン目に走らせてOK。素のコストも2マナと軽く、追放領域から再度唱えるのも簡単だ。そしてこれは墓地からワープで唱えられる!つまりこいつはどれだけ死亡しようとも、ワープしてはまた出てきてを繰り返す。未だプレイしていないが字面だけでも異常なしぶとさに見える。これが入手しやすいアンコモンというのが有難いね!

 この選別者のワープでヴォイドを達成できるので、このデッキにはもう1つヴォイド呪文を。《切り倒す者の賛歌》!2マナで諜報して1ドローのソーサリー、ヴォイド達成で2ドロー!1点ライフを失うとはいえ2マナで手札が増えるカードが悪いものなわけがない。序盤は2ターン目に土地事故を回避するために唱えたって良い。ヴォイドを達成できる余裕があればこれで手札を増やしながら戦っていこう。選別者が墓地にある時にトップデッキしたら興奮しちゃうね。『久遠の終端』の黒はしぶとさが売りのようだ。ミッドレンジにはもってこいだね。

 それじゃあ『久遠の終端』環境、遊びまくっていこう!宇宙のどこかで会いましょう、夏休みの学生諸君は宿題もやるんだぞ!

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