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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ボロス果敢:目立ちたがりと新戦力!(スタンダード)

岩SHOW
 

 前回でもガッツリ述べたが、《僧院の速槍》がスタンダードを去った。この使い勝手がすこぶる良い1マナクリーチャーが居なくなるのは寂しいが……名カードがまさかの再録で3年近く使えたことに感謝だ。長くマジックをやっていればまた帰ってくるかもしれないし、パイオニアなどじゃまだまだ、まだまだまだ現役バリバリの強カードだ。遊べなくなるというわけでもないし辛い別れではないね。

 

 1マナの果敢持ちはスタンダードからいなくなるが、それ以外のマナ域には色々と果敢やそれに類似した能力を持ったクリーチャーはいるものだ。なので前環境で「○○果敢」と呼ばれたようなデッキが組めなくなるわけではない。特に《精鋭射手団の目立ちたがり》は残るのが大きい。この鳥は飛行と速攻で攻撃を通しやすく、非クリーチャー呪文を唱えればパワーが2上昇する。7くらいには簡単にパンプしてしまうので、大ダメージを叩き込める。1ターンの密度を高めるために、計画で追放しておいて後から戦場に送り出すという使い方も出来るのが素晴らしい。目立ちたがりがいる限り、これを育てて勝つというデッキは自然発生してくるだろう。

 

 『久遠の終端』にはこの目立ちたがりや果敢を持つクリーチャーと相性の良いインスタントやソーサリーの姿が見られる。色はいずれも白で、たとえば《栄誉》。この名前のカードがまだ存在しなかったことも驚きだが、そのシンプルな名前通りに《栄誉》は効果もわかりやすい。クリーチャーに+1/+1カウンターを置いて1ドロー、これが1マナで行えるのだからかなりのお得感。ソーサリーであるため相手の除去に合わせたりブロック決定後に唱えるなどしてタフネスを上げるという使い方は出来ないし、むしろ対戦相手のインスタントによって妨害されやすい。これが解決される前に対象にしたクリーチャーが戦場を離れてしまうと、ドローもできず大損する羽目に。そんなリスクもあるが、とにかく1マナでクリーチャーを強化しながらドローというのは嬉しいもので、最小限のマナで手札を減らさずに果敢やそれに似た能力を誘発させられるのは最高だ。

 またこのカウンターも今セットの白のテーマになっており、《双陽の妙技》は対象にしたクリーチャーに+1/+1カウンターが乗っていれば1ドロー、こちらも手札を消費せずに動けて、対象には二段攻撃を与える。目立ちたがりと組み合わせれば大ダメージ確定だ。この2枚はセットで使えと言わんばかり。素直にそうさせていただくのがプレイヤーの嗜みというものだ。

 

 そんな『久遠の終端』の白のもう1つのテーマが、1ターンに2回呪文を唱えること。『タルキール:龍嵐録』の疾風能力と似たようなもので、同一ターンに2回以上呪文を唱えているとボーナスが得られたり、2回目の呪文を唱えると能力が誘発するカードなどがいくつか見られる。《栄誉》《双陽の妙技》がドロー付きで、同一ターンのダブルアクションを引き起こしやすく作られているのはこれを意図してのことに違いない。《コスモグランドの頂点》は2回目の呪文を唱えると人間・兵士を2体生成するか、各クリーチャーに+1/+1カウンターを置くかを選ぶ。クリーチャーが少なければ展開、十分な数がいれば強化を選択し、確実に強い盤面を作っていけるかなり期待の持てる1枚だ。

 この頂点のような重要なクリーチャーを護りつつ、1ターンに2回の呪文という条件クリアを後押しする頼もしいカードが《経路修正システム》。クリーチャーに破壊不能を持たせて、対戦相手の計算を大いに狂わせる。これも1マナと軽いため、重要なクリーチャーを繰り出しつつ構えるという動きが狙いやすい。また《経路修正システム》にはもう1つのモードがあり、タップ状態のクリーチャーに2点のダメージを与える除去にもなる。微々たるものではあるが、後手番などはこれに命を救われる場面もあるはずだ。またこの手のカードには珍しく、攻撃クリーチャーではなくタップ状態のクリーチャーを対象とする点にも注目。つまり自分のターンに相手のクリーチャーを除去しつつ、果敢などの能力の誘発を狙っていく能動的な使い方ができる、というわけだ。このインスタントはかなりシブい働きを見せてくれるのではと、個人的にもかなり注目している1枚だ。

 

 そんな白い新カードと、《精鋭射手団の目立ちたがり》などを組み合わせたスタンダードのデッキを構築してみよう。幸いスタンダードには《ボロスの魔除け》がある。前環境では目立たなかったが、このインスタントもかなり強い。対戦相手に4点ダメージ・全パーマネントに破壊不能・クリーチャーに二段攻撃と3つのモードすべてが強力。シチュエーションによって最適なモードを選びながら対戦相手を追い詰める、ボロス(赤白)カラーのアグレッシブなデッキを組んでみた!

岩SHOW - 「ボロス(赤白)果敢」
スタンダード (2025年7月24日)[MO] [ARENA]
4 《聖なる鋳造所
4 《感動的な眺望所
4 《サンビロウの境界
3 《眠らずの露営
4 《平地
3 《
-土地(22)-

4 《光逸らしの審問官
4 《ギトゥの溶岩走り
4 《精鋭射手団の目立ちたがり
2 《逃走する暗号破り
2 《コスモグランドの頂点
-クリーチャー(16)-
4 《噴出の稲妻
4 《ボロスの魔除け
2 《経路修正システム
4 《栄誉
4 《突破
4 《双陽の妙技
-呪文(22)-

 

 《栄誉》《突破》でドローして手札を減らさずに《精鋭射手団の目立ちたがり》《逃走する暗号破り》《コスモグランドの頂点》らの能力を誘発させてゴリゴリ攻めていく。《双陽の妙技》からの大ダメージを叩き込んでフィニッシュだ。

 

 ボロスカラーの良いところは、ローテーションによる土地の入れ替わりでの損失がほぼないところ。《戦場の鍛冶場》が抜けてしまったが、その枠を補って余りある《聖なる鋳造所》が加入!このショックランドの再録は非常に大きく、今セットでこれを得た5種類の2色デッキには大きな追い風が吹いたといえる。山であり平地であるため《サンビロウの境界》で赤マナを出しやすく、早いターンにアンタップ状態で出せるファストランドこと《感動的な眺望所》も残っているため、ボロスはデッキがとても組みやすい。こうした安定感のあるマナ基盤というものもデッキ選びには重要で、ボロスなど今回のローテーションで恩恵を受けたデッキ達が、しばらくは優位な存在となりそうな予感だ。

 《僧院の速槍》のような一部のカードが抜けたことでお約束が消滅、既存のものや新しいカードの中からこれが良いかな?いややっぱりこれかな?と悩みながら構築が出来る……これ、めちゃくちゃ幸せなことです。さあデッキを作った作った!

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