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岩SHOWの「デイリー・デッキ」

とことん!スタンダー道!ピクシーデッキってまだやれるかい?(スタンダード)
変化に立ち向かってこそチャンスあり!
スタンダードの禁止カードという衝撃、なかなか忘れられるものではなく、このフォーマットを語る上ではしばらく話題の中心になるのは仕方がない。しかしナーバスなことだけではないのは、スタンダードをとことんプレイしてきた諸君ならわかっているはず。逆境、それチャンスだよ、と。坂道が永遠に続くことはない、スタンダードという道、今週もとことん昇って行こうぜ!
《望み無き悪夢》がスタンダード環境を去った。これ1枚でできることはたかが知れている。手札を1枚捨てさせ、2点のライフを失わせる。これがソーサリーであれば問題はなかっただろうが、エンチャントというところが厄介。そのまま戦場に居座ってしまい、それを手札に戻して出し直すことで能力を再利用可能。これでバスバスと手札破壊を毎ターン連打されるとたまったものではない。手札が無くなって重めのカードは活躍の余地が無くなってしまうし、一時期は対策カードの《強情なベイロス》をメインに入れたリストまで出てきたレベルだった。いくつかのデッキをまとめてパワーダウンさせる調整にこの悪夢もともに退場となった。
この悪夢を用いていたデッキで、一時期は大会での使用率が1位になることもあったのがピクシー系デッキだ。パーマネントを手札に戻す能力を持った《養育するピクシー》を筆頭に《孤立への恐怖》《陽光真珠の麒麟》など軽くて飛んでて戻せるクリーチャーがデッキの主軸であり、これらで悪夢をグルグルと回転させながら攻勢をしかけていく…攻撃的に相手の行動を縛っていく。悪夢の2点ルーズも絡めば、これらの小粒クリーチャーでの攻めでも速やかに対戦相手のライフを削り取れる。さて、このピクシーデッキであるが、悪夢というデッキの最強兵器は失われてしまったが……しかしこの戦い方が失われたというわけではない。
| 4 《始まりの町》 4 《金属海の沿岸》 4 《闇滑りの岸》 4 《秘密の中庭》 1 《アダーカー荒原》 3 《地底の大河》 2 《不穏な投錨地》 1 《平地》 1 《島》 1 《沼》 -土地(25)- 4 《養育するピクシー》 4 《孤立への恐怖》 4 《陽光真珠の麒麟》 2 《ロザリアの心、アンブロシア》 1 《ティシャーナの潮縛り》 -クリーチャー(15)- |
2 《今のうちに出よう》 2 《不気味なガラクタ》 4 《勢い挫き》 4 《逃げ場なし》 4 《嵐追いの才能》 4 《悪夢滅ぼし、魁渡》 -呪文(20)- |
2 《失せろ》 4 《一時的封鎖》 1 《第三の道のロラン》 1 《呪文貫き》 1 《否認》 2 《安らかなる眠り》 2 《ティシャーナの潮縛り》 2 《永劫の好奇心》 -サイドボード(15)- |
というわけで《望み無き悪夢》が使用不可になった後の「エスパー(白青黒)ピクシー」の紹介だ。手札破壊の要素はなくなったが、しかしながら他にもピクシーデッキには戻して嬉しいパーマネントがある。クリーチャーを除去するアーティファクトやエンチャント……《不気味なガラクタ》《勢い挫き》そして《逃げ場なし》!これらのパーマネントを出して相手のクリーチャーを除去、ピクシーや麒麟で戻してまた出して除去、除去!除去!除去!対戦相手の攻めの手段をこれで完封するのだ。そうやって抑え込んでいる間に飛行組がチクリチクリとライフを詰めていく。以前より爆発力、仕留める力はなくなったが、クリーチャーを展開して戦うデッキにとってはまだまだピクシーは厄介な存在だ。
以前はこのデッキにおいて《この町は狭すぎる》は重要なカードだった。対戦相手のパーマネントを2つ戻す、自身のものと1つずつ戻す、自身のものを2つ…とケースによって使い分けが可能で、自身のパーマネントを対象にしていれば2マナで唱えられるのが非常にお手頃だった。相手の重要なパーマネントを戻しつつ、こちらの悪夢を回収して出し直して捨てさせる……思い出しても震える動きだ。
この町が抜けた後、そのスロットにも自身のパーマネントを戻せるカードが必要に。《今のうちに出よう》は自身のエンチャントやクリーチャーを2枚戻せて、またもう1つのモードではエンチャントやクリーチャーである呪文を打ち消せる。この町の後釜にはちょうど良い2マナのインスタントだ。またクリーチャーにも新顔が加わっている。《ロザリアの心、アンブロシア》は瞬速持ちでインスタントのタイミングで飛び出してパーマネントを回収出来るため、相手の除去カラクリ宇―チャーを救うなどの挙動も可能。土地を戦場に出すとパワーが上昇するため、打点的にも悪くない。
それらのカードで戻して嬉しいパーマネントは、除去のような受動的なものだけではデッキとして物足りない。ということで《嵐追いの才能》はこのデッキにとって、以前にもまして重要な能動的に展開できるエンチャントとなる。果敢を持ったカワウソを生成するこのエンチャントを、戻しては出し直すという作業を繰り返しているだけで強固な戦場が出来上がる。戻したパーマネントを再度唱えることで、カワウソの果敢が誘発するのがポイントだ。これらのパンチを叩き込むための除去のラッシュとも言える。地上の攻防はカワウソに任せろ!一度戦場をリセットされてしまっても、才能が戦場に出ていればそれを持だして出し直してで復旧できたりするのが強みだね。以前からスタンダードの強力カードだったが、今後は青野最強格の1枚として、各デッキでより主張を強めていくことだろう。
ピクシーデッキのように重要パーツを失ってもまだチャンスを掴めるデッキもあり、またそれらのデッキが形を変えざるを得ないという流れの中で生まれてくる新たなデッキもあるだろう。荒波にもまれているうちに、いつの間にかそこには“終端”がやってくる……真夏のローテーション、2025年7月25日。いくつかのセットがスタンダードを去る。その時が来るまで、今しか遊べないカード、今しか共に戦えないデッキと共に、とことんやっていこうぜぇ!
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